製薬企業へのマーケティング支援を行うメディカルサービス部で部長を担う石川慎也。一貫した営業職のキャリアのみならず、様々な挑戦を重ねてきた石川さんに、その道程を語ってもらいました。
どんな商材も愛せる―営業職が向いていると感じた前職
――本日はよろしくお願いいたします。石川さんはメドピアに入社する前はどのような仕事をされていたのでしょうか?ご経歴を教えてください。
私は2011年に電機メーカーに新卒入社して、工場の自動化事業やエネルギー事業部門に所属し、7年ほど勤めていました。
学生時代の留学や世界45カ国を周った際、様々な人から「日系メーカーの商品は品質が素晴らしい」と言っていただく機会が多く誇らしかったこともあり、当時の就職活動ではメーカーを中心に見ていました。メーカーの製造を下支えするような事業を展開する企業であれば製造業自体を幅広く支えられるのでは?と思い、工場の自動化事業(FA事業)を行う前職へ入社を決めました。そこでは、工場の自動化に関わる幅広い製品を製造販売していましたが、私はその中でも産業用ロボットの目にあたるセンサーの営業担当としてキャリアをスタートさせました。
――かなりニッチな製品の営業からスタートしたのですね。
そうかもしれません。産業用ロボットは、各工場の環境に合わせてパーツを組み合わせ、最適化させるのが一般的です。しかし、そこで使われるセンサーは熱や煙の中でも使える耐久性や、検出精度が落ちない角度や距離なども重要になってくるので、製品をそのまま納入することは難しいんです。ですので、営業の際にはエンジニアに随伴してもらうケースが多いのですが、私の場合は自分自身でも取引先企業の工場に赴いて使用シーンを研究し、コンサルティングのような形で提案していくといった工夫をしていました。そうした努力を重ねるうちに、現場にエンジニアを呼ばなくても、私一人でサンプルの設置やデモンストレーションなどができるようになっていったんです。こういった取り組みを経ることで、自分自身の商品知識が深まっていくだけでなく、商材への思い入れも強くなっていくのを感じていました。
他にも、太陽光発電や蓄電システム関連機器の販売などを担当しましたが、お客様のニーズに合わせた訴求ポイントを研究していくうちに、必ずと言っていいほど自分がその商品を好きになっていくんですよね。そうすると説明にも熱が入るし、成約できれば嬉しい。その感覚も心地よくて、自分は営業職に向いているんだろうなと思いました。
産みの苦しみだった事業開発。経営学を学んで選択した「営業」という仕事
さまざまな素晴らしい製品と向き合う中で徐々に「自分でも商品を作ってみたい」とも思うようになっていました。入社から3年が経った頃、新製品の事業部立ち上げの話がありまして、異動を申し込んだところ、合格したんです。そこからPdM(プロダクトマネージャー)としての経験も積み始めました。
――営業職から、事業開発の経験まで幅広く積まれたのですね。
経験としては非常にありがたい機会ではありましたが、1年半ほどはとても苦しかったです。
当時PdMとしては最年少であり、かつ営業の経験しかありませんでしたので、事業推進に対してPdMというポジションからの価値がなかなか出せませんでした。
今の自分に足りない点は何かを考えたとき、経営視点を持っていないことだと思い至りました。そこで、一念発起して経営大学院に通ってMBA(経営学修士)を取得しました。
――行動力が素晴らしいですね。
何も生み出せない…と悩んで立ち止まってしまいそうなときこそ、手足を動かして、新しいことをやってみるのが私のやり方かもしれません。これまでの経験から言っても、その方が物事の見方を変えることができて決断しやすくもなり、結果もついてきやすいんです。
この時も大学院に入学し、商品を売ることを改めて経営学の観点から学んでみたら、「営業は経営そのものだな」と感じたんです。
営業は、顧客の課題解決に向けたプロダクト開発の入口であるニーズ発掘から仮説検証、その後上市したプロダクトの市場浸透までずっと顧客と向き合う仕事です。そういった、顧客のいる現場の声をもとにアクションし続けることが経営の根幹なのではないかと思いました。それに気づいたことで原点回帰し、もう一度営業職に戻ることにしたんです。現場で顧客のディープな声を拾うところから再出発し、どんな声でもとにかく拾って社内にレポートし続けていきました。すると実績も評価も上がり、1年後にはまた新たな事業開発に携われるようになりました。
メドピアに見出した、実行力の高い経営人材への道
――前職での活躍から、そこでキャリアの磨きをかけることもできたと思います。そんな中でキャリアチェンジをしたきっかけはどのようなものだったのでしょうか。
MBAを取得し、前職で営業として職務に邁進しながらも何か新しいことをしていきたいと考えていたんです。そんな時に、担当していた新規事業の協業先との雑談中に今後のマーケットチャンスについての話があり、それがとても印象に残りました。「今後はモノではなく、コトが勝つ世界になる」という視点から様々な実例を聞かせてもらったんです。当時の会社なら良い製品を作れることは間違いないが、これからは商材の有形無形に関わらず、ビジネススキーム自体を創れるようになりたい、と思うようになりました。そして、それにチャレンジできる機会を求めて、転職活動を始めました。
企業選びにおいては、プラットフォームビジネスを展開している企業であり、かつ加速度的な成長が見込める業界にあり、新事業や新分野に積極的に進出しようとしている企業であることを重視していました。
当時、私は未経験でしたがサービス企画という仕事にチャレンジすることを希望していたので、それを実現するには会社がどのような成長フェーズにあるのかはとても重要だと考えていまし、プラットフォームビジネスを展開している企業であれば、業界のチェンジメーカーになれる可能性があるのではないかとも考えていました。
そういった観点で企業を探す中で出会ったのがメドピアです。
――メドピアへの入社の決め手は何だったのでしょうか。
一番の決め手は、最終面接での当時のCOOとのやりとりです。自身の経歴から、メドピアでチャレンジしたいキャリアイメージまで具体的に話を聞いてくれたのですが、「その時間軸では遅いと思うよ。30代前半までにどれだけ挑戦できたかでその後のキャリアは決まる。35歳ごろまでには事業責任者になっていかないと」とその場で厳しいフィードバックをされました。選考結果も合格ではあったものの、「なにくそ」という気持ちが湧いて、ここで成果を出したい!と奮起しました。
――医療・ヘルスケアという業界に対して特に壁は感じられませんでしたか。
ありませんでしたね。どの商材も研究すれば好きになれますし、そもそも採用の条件に医療知識の有無は関係しないとあったので、不安を感じることもありませんでしたし、必要なことは入社後にキャッチアップしていきました。
例えば医療系のセミナーに参加したり、Googleアラートでキーワード登録をして毎日インプットを続けたり。あとは製薬企業の取引先との会話の中でわからないところはひたすらメモしてあとで調べる、の繰り返しなどで、地道に身に着けていきました。
製薬企業と向き合う5年、そしてサービス開発への再挑戦
――2017年11月にメドピアに入社されてから5年が経ちますね。
もうそんなに経つのか…、早いですね…!
私の担当する製薬企業向けのマーケティング支援ビジネスは、メドピアの収益基盤の大半を占めています。クライアント/顧客である製薬企業は、医師に対して医薬品の適正利用に向けた情報提供活動を行っていますが、その活動をメドピアが運営する医師専用コミュニティ「MedPeer」の会員基盤を活用して支援するというビジネスモデルです。製薬企業のPdM(プロダクトマネージャー)の方のミッションの一つである処方数量の最大化に向けて、どのような医師にどのような施策を打っていくべきか。それに適したコンテンツ、時期、メディアなどのデジタルマーケティングプランのご提案と実施を通じて、製薬企業のマーケティング活動をご支援しています。
振り返ると、入社直後から大手の製薬企業を担当させてもらい、日々、キャッチアップしながら営業に奔走していました。2018年ごろから、製薬業界も徐々にDXに意識を向け始めていましたが、医師専用コミュニティ「MedPeer」の認知も上昇途中だったので、新規の取引先はプッシュ型営業で地道に増やしていきました。
――入社から今まで一貫して「製薬企業向けマーケティング支援」に従事してきているのですね。
そうですね。一貫して製薬企業のニーズを拾って提案することに携わっているので、業界を支えるプラットフォーマーの中枢を担えているようなやりがいを感じています。私の場合はラッキーなことにそれに留まらず、事業企画にも手を広げる機会をいただいてきました。
入社から2年の、2019年春ごろに、最終面接で叱咤激励を受けた当時のCOOに声を掛けられ「事業のマネジメントもやりたいと言っていたよね。今月末までに何か新規サービスの企画を持ってきてみて」と言われたんです。
当時のCOOは社員にも事業にも熱い姿勢で向き合ってくれる方でしたが、実現可能性をしっかり見る、質にはとても厳しい方だったので、胃がきりきりしながら考え抜いた事業企画をもっていきました。
初回はもちろん大きくダメ出しされたのですが、そこからもあきらめずに週に1回くらいのペースでブラッシュアップしたものに赤ペンを入れてもらうやりとりを続けたところ、最後には「お客さんから案件を受注するところまでやりきってみて」と背中を押してくれました。
実際にそれが、「MedPeer」の医師会員と製薬企業のMRとの双方向型リモートコミュニケーションツール「MedPeer Talk」*として2021年にリリースされ、形になり、今も製薬企業と医師会員をつなぐ役目を担っています。私にとって事業企画から運用までの実行を実践する貴重な経験になりました。
*医師とMRの双方向型リモートコミュニケーションツール「MedPeer Talk β版」を提供
*MedPeerのダイレクトコミュニケーションサービス「MedPeer Talk」、 MRがWeb講演会の招待状を医師に直接送ることができる 「インビテーションTalk」サービスの提供を開始
メドピアで描く今後のキャリア
――石川さんの今後の目標をを教えてください。
今年度から部長職に就いたので、現在の目標は素直に「部の目標の達成」だと思っています。
2020年にCOVID-19が流行し始めて以降、製薬業界のDXは緊急度が急速に高まって、メディカルサービス部としても提案から課題解決までのスピードが強く求められるようになりました。それは追い風である一方、当時のチーム規模では対応が難しくなり、現在は2年前と比較して倍以上の規模になりました。
業界のDX需要とともにメディカルサービス部も高い目標を掲げ、チーム規模を拡大させていますが、その道筋として「顧客のパートナーになる」ことをミッションに掲げています。すなわち顧客課題ファーストでソリューションを提案していくことです。
そのために、組織として部署の縦横の連携を強化して営業力向上を図るとともに、提案に時間をかけられるようにサポート部門と一体となって業務効率化を推進していたりします。
あとは、これからもメドピアグループは事業を拡大し、成長し続けていくと思います。そこに合わせて自分もより経営に近い役目を担えるよう、視座を高めて行動し続けたいと思います。
営業職のキャリアを軸としながら、メドピアで事業企画やサービス開発・リリースも経験し、着実にキャリアの幅を広げている石川。どんな場面でもチャレンジを欠かさないその姿は周囲の社員にも刺激を与え続けています。今後のますますの活躍を応援しています!