琵琶湖大橋翔裕館Ⅰ号館は、2022年度にご利用者数が急激に増え、地域の中でも人気になった施設です。その人気の秘訣である認知症ケアや、多くのご利用者さまに楽しんでいただくための工夫をレポートします。チームの一体感も伝わってくる素敵なお話だったので、ぜひ最後まで読んでください✨
琵琶湖大橋翔裕館Ⅰ号館とは?
この施設は滋賀県大津市に位置する2階建ての建物で、1階がデイサービス、1・2階がグループホームとなっています。規模としては、デイサービスは定員30名、グループホームは定員27名です。現在はデイサービスもグループホームも定員・満床になるほど、多くの方にご利用いただいている人気施設です!
デイサービスとは、可能な限り自宅で生活を行えるようにするため、在宅にお住まいの方が日中通うサービスです。施設ごとに特色が異なり、中には料理に特化した施設や認知症に対応した施設など、様々な施設が存在しています。
グループホームとは、認知症の高齢者に特化した小規模の介護施設で、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスの1つです。
認知症の方に合わせた環境が用意され、認知症介護の知識と技術を持ったスタッフが対応します。
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《もくじ》
● この1年間の変化(2022-2023)
● 認知症ケアプログラムの取り組み
● 認知症ケアプログラム浸透によるチームの変化
● 今後の展望
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👆今回お話してくださったデイサービスの井上さん(左)と東さん(右)です。(以下、敬称略)
👆グループホームの木村さん(左)と古川さん(右)です。(以下、敬称略)
この1年間の変化(2022-2023)
星加)琵琶湖大橋翔裕館Ⅰ号館はこの1年間で大きな変化があったと伺ったのですが、実際はいかがでしたか?
東)デイサービスはこの1年間で本当に変わったなと感じます。ちょうど1年前、デイサービスのご利用者さまは1日あたり15名ほどで、今の半分程度でした。当時はアピールできるようなアクティビティも少なく、午後くらいから退屈な時間になってしまうこともありましたね。そこからGenki Group式認知症ケアプログラムの取り組みを始めて活気がわいてきて、今では1日あたり30名定員のうち28~29名の方がご利用してくださるようになりました。近隣のケアマネジャーの方からは、「人気のデイサービス!」だとか「実績をたくさん見てきたから、ここのデイサービスに任せたい」などと、ありがたいお言葉もいただいています。それだけ責任感も増しますし、職員とも共有して、みんなでモチベーションを上げながら頑張っています。
星加)1年間でそこまで変わるのが凄いですね!取り組みを続けたからこそ、選ばれるデイサービスになってきたことが伝わってきました。グループホームではどんな変化があったのでしょうか?
古川)実は2~3年前からGenki Group式認知症ケアプログラムの動画を見ていたのですが、なかなか浸透するところまでいかなかったんですね。約1年半前に色々な施設を回って情報を集め、2022年4月あたりからは琵琶湖大橋翔裕館Ⅰ号館の中でも本格的に浸透させていこうと思い、仲間を増やしていきました。この数か月で、Genki Group式認知症ケアプログラムによってご利用者さまの反応もどんどん変わっていくのが目に見えてきたので、スタッフの中でも認知症ケアプログラムが素晴らしいものだという風に感じられるようになったと思います。
木村)認知症が進行して意思疎通の難しかった方ともコミュニケーションが取りやすくなったり、それによって拒否もだんだん薄らいだように感じています。だからこそ、今は「Genki Group式認知症ケアプログラムを導入しなければならないからやる」のではなく、「Genki Group式認知症ケアプログラムなしではやっていけない」という感覚ですね。ご利用者さまご本人が穏やかになっていくのはご家族にも伝わっているようで、「質の高い介護をしてもらっている」「母の表情を見ると、職員さんに対して安心しきっているのが分かる」という感謝のお言葉をいただくこともあって嬉しいですね。
認知症ケアプログラムの取り組み
星加)琵琶湖大橋翔裕館Ⅰ号館に大きな変化をもたらした”Genki Group式認知症ケアプログラム”は、どのように浸透させていったのかお伺いできますか?
👆Genki Group式認知症ケアプログラム
東)まずは、職員全員がGenki Group式認知症ケアプログラムの研修を受け、実際の状況をイメージしながらロールプレイ練習をしました。研修で目指すべきケアの方法を示してもらったおかげで、どのように関われば良いのか分かりやすくなりましたし、意識して接しやすくなったように感じます。最初は慣れない部分もありましたが、実際に適切な認知症ケアを実践してみると、認知症の方もそうでない方もとても反応が良かったので、「絶対実践した方が良い!」とみんな実感するようになったと思います。例えば「手を振って目が合ってから話しかける」ようにすると、いきなり話しかけるよりも表情や伝わり方も全然違います。認知症ケアプログラムを実践し、コミュニケーションがスムーズでご利用者さまにも安心してもらえるというのを体感することで、少しずつ浸透していきました。
古川)グループホームでは、最初から全員の理解を得るのは難しかったですが、話し合いの場でプログラムについて丁寧にお伝えすると、理解をしてもらえてとてもスムーズに進むようになりました。そこから各ユニットにもっと仲間を増やしたいということで、推進委員を中心に頑張ろうということになりました。各ユニットから勤務歴の長い職員と新しく入ってきた職員の組み合わせで2名ずつ、3ユニットで計6名、推進委員になってもらいました。そこから月1回の会議をしていくうちに、どんどん色々な意見が出てくるようになりました。会議で出てきた案をやってみたり、効果がないなと思ったら次のやり方を考えたり。推進委員の仲間が増えると発信してくれる仲間も増えてきて、みんなの気持ちが一つになってきたと思います。
井上)職員どうしが思ったことを言い合える関係性も大事ですね。もちろんロールプレイもやりますけど、やはり普段のケアの中で声を掛け合うことで浸透していきました。みんなが意識をすると「今、早口だったかな?」「手振り身振りを忘れてしまったな」と気づけるようになっていきます。それと、職員一人ひとりが意識できるよう、認知症ケアプログラムの10ヶ条は施設内に掲示しています。どこにいっても目に入るようにして、意識づけの啓蒙をするのは大事ですね。
👆階段やユニット、施設内の至るところに認知症ケアプログラムの10ヶ条が掲示されています。
👆認知症ケアプログラムの第1条、「自分の存在を伝えるために『手』を振る」を自然に実践されていて素敵です✨
星加)ちなみにデイサービスでは、ご利用者さまと一緒に取り組む認知症ケアプログラムのメニューがあるということですが、どんなことをされているのですか?
東)5~6人のグループになって、認知症ケアプログラムのキットを使った取り組みを行っています。大人数でやるメニューもありますが、5~6人だと個別対応に近いので、より話しやすくて盛り上がりますね。「頭を使って物忘れを予防しよう」という目的をご利用者さまも理解しているのですが、それを越えて皆さん会話を楽しんでいらっしゃいます。自然と認知症予防になっているような感覚です。
井上)例えば、カードの絵柄に合わせたエピソードを話したり、それを複数枚繋げて物語を作ったり。その後にカードの順番を思い出して当てるというルールでやったりしています。その場で覚えて思い出す、というのを繰り返して認知症予防としています。答えが間違っていたとしても面白いと感じられる空気づくりも大事にしています。
👆デイサービスで行っていた”認知症ケアプログラム”のカードキットは特に盛り上がっていました!
👆5本の指に「1・2・4・8・16」の数字が書かれたこの手袋。2進法を使ってお題の数字をつくるというメニューを全員でやっているそうです!
東)それに加えて、目標達成したらコインをもらえる「がんばったコイン」制度を取り入れました。これで予想以上に反響があったのでびっくりしています。コインを集めたいという思いで、認知症ケアプログラムのメニューや運動に参加される方もぐっと増えました。
井上)コインが50枚貯まったら、”びわこや”の賞品と交換できるようにしています。先日も50枚集まった方がいらしたので、一緒にコインの数を数えて盛大にお祝いしたんです。コインの貯まり具合がパッと分かるので、「〇〇さんもうすぐ50枚貯まるから、私も頑張らなきゃ」というように闘争心が燃えるみたいです🔥
👆「がんばったコイン」を見ながらマシンの運動をされる方も多くいらっしゃいます。
👆コインを貯めた方がいらっしゃる日には、"びわこや"が開店し贈呈式が行われます✨
認知症ケアプログラム浸透によるチームの変化
星加)認知症ケアプログラムの浸透によって良い変化がたくさん感じられるのですが、職員やチームの雰囲気は変わりましたか?
東)これだけたくさんのご利用者さまに来ていただけるようになったので、「全員に楽しんでもらいたい!」という職員の気持ちはとても強くなりました。「何をしたら楽しんでもらえるだろう?」とみんなで考えて、イベントもたくさん実施するようになりました。
職員間の雰囲気は良いので、忙しい中でも、営業に行く職員に「行っておいで!」と送り出せる関係です。営業でお褒めの言葉をいただくと、良い取り組みをしているんだと実感できて、職員も生き生きしてきたように思います!
井上)お写真を見たご家族もとても喜んでくださっています。写真を見ることで何をしたのか、どこに行ったのか、伝わりやすくて良いなと思います。お喜びの言葉をいただくと、やる気もさらに増しますね!
星加)お互いに思いやるチームの姿勢が素敵ですね。良い取り組みが施設内に広まり、ご家族や地域にも伝わっていくというのが素晴らしいなと感じました!グループホームではいかがでしたか?
古川)認知症ケアプログラムの内容を見ると、今まで私たちが正しいと信じてやってきた声かけも間違っていたと気づきました。正しい声かけとして、例えば耳の遠い方にはジェスチャーを使ったり、聞こえやすい角度から話しかけたりの対応をすると、びっくりするほど変化がありました。ご利用者さまが怒りを表すこともなくなって笑顔が増えてきましたね。その様子を見た職員も実践しようとしてくれて、認知症ケアプログラムも浸透したと思います。ご利用者さまの変化を見てさらに職員も自信に満ち溢れてきたので、お互いに褒めあう文化もできてきたなと実感しています。
また、琵琶湖大橋翔裕館Ⅰ号館では、外国籍職員の方も何名か働いているのですが、彼らから学ぶことも多くあります。外国籍の方は多くの日本語をお話されるわけではないですが、丁寧にゆっくりと話す姿でご利用者さまにも安心感を与えています。むしろ日本人より認知症ケアプログラムを自然に上手に出来ていて学ぶことが多いですし、お互いに刺激を受けて良い関係性になったと思います。
琵琶湖大橋翔裕館Ⅰ号館の今後の展望
星加)ここまで認知症ケアプログラムの浸透による変化をお伺いしてきましたが、最後に今後の展望を教えてください!
東)現在は、認知症ケアプログラムのカードキットの使い方研修も行って、各テーブルで認知症ケアプログラムのメニューをできるように目指しているところです。認知症ケアプログラムをもっと浸透させて、たくさんのご利用さまに喜んでいただけるようなデイサービスをつくっていきたいです!
井上)グループホームでも認知症ケアプログラムはこの1年で浸透してきましたが、常に啓蒙し続けることが大事なので、次の策を考えて実行していきたいと思っています。日々のケアでの実践を続けていきたいです。
古川)認知症ケアプログラムの浸透はもちろん、発信も頑張っていきたいなと思っています。実は今年に入ってからInstagramを始めてみたんですね。すると、想像以上にご家族からも反響がありました!今までSNSはそこまでやっていなかったのですが、新しい形でご利用者さまや施設の様子を発信していくのも良いかなと思っています。
👆琵琶湖大橋翔裕館Ⅰ号館のInstagramもぜひチェックしてみてください!
琵琶湖大橋翔裕館Ⅰ号館の皆様、ご協力ありがとうございました!
以上、"認知症ケアプログラムの実践"で滋賀の人気介護施設になった琵琶湖大橋翔裕館Ⅰ号館のインタビューでした!
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