初めて、経理が事業の中に入りこんでいる感覚を得られた。
Makuakeはお金だけじゃなく、気持ちを集めている。
僕が仕事で大事にしていることは、「誇りが持てるか」ということ。
――松津亮佑(経理/公認会計士)
数学が得意で目指しはじめた公認会計士
中学生の頃、数学が得意だった僕を見て、母が教えてくれた職業が公認会計士でした。母子家庭だったこともあり、経済面で心配なさそうな点も惹かれた理由のひとつです。
大学1年生の頃に『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』(光文社新書)を読み、会計のおもしろさに目覚めて本格的に公認会計士を目指し始めました。自分や2人の妹をしっかりと学校へ行かせてくれた環境にありがたさを感じ、自分が親になるときには、子どもを不自由させないようにしたいと思ったのを覚えています。卒業前に公認会計士短答式試験に、卒業後の夏に論文式試験に合格し、公認会計士の資格を得ました。
試験に合格後には、ジャスダック上場のベンチャーと東証一部上場の証券会社に。経理部として3年半ほど勤めましたが、スキルが上がると仕事が早くなり、残業が減る。その結果、収入も減っていくんです。そんな状況に物足りなさを感じて、成長できる場所を求めて入ったのが、4大会計事務所のひとつでした。
入社以前からハードワークとは聞いていましたが、成長したい気持ちが勝りました。
周囲についていくため懸命に勉強した
仕事のハードさは、評判どおりでしたが、想像と実際に体験するのは違う。就業時間だけでなく、周囲のレベルの高さから感じるプレッシャーも大きいものでした。
公認会計士の業務の中でも税務が中心になるため、専門性が非常に高い。学歴の高い人たちがさらに勉強をしているので、僕も毎日のように勉強をしました。同僚や先輩に負けてはならないと、背伸びし続けているような気持ちでした。幸い、本を読むスピードは速かったので、専門書やクライアントの業界のことなど、目的に応じてたくさん読みましたね。
外国人のクライアントも多く、英語を使う機会も多かった。それほど得意ではなかったので、オンラインの英会話を毎朝30分ほど、2年間続けていました。もともと、目標があれば頑張れるタイプ。同僚にもいた外国人と会話がしたいという想いで続けられたんだと思います。
応援を集める事業と成長の可能性に魅力
さまざまなクライアントの仕事に関わり数年たった頃、当事者として、愛着のある事業に関わりたい想いが強くなっていきました。ひとつの会社で、事業を見届けたいと考えたんです。在籍してきた企業は安定的だったので、今度は大きく刺激的な成長をサポートしたいと思った。そこで、ベンチャー企業を中心として転職活動をスタートしました。
いくつかの企業で面談を進める中、Makuakeの事業に強い興味を持ちました。著しい成長も、魅力のひとつ。決め手は、転職活動の話を人に話したとき「マクアケのことは面白そうに話すね」と言われたことかもしれません。僕自身が、ほかの事業と何かが違うと感じていたのでしょう。Makuake自体がお金を集めているのに、お金だけでは計れないものを扱っている。そこには関わる人の「想い」があると感じました。
役員との面談でも、他社とは違っていました。ほかの会社は、「経理でどんなことをやりたいか」といった話が中心になるのですが、マクアケは「Makuake」という事業の魅力を話してくれる。Makuakeは関係する人たちがみんなハッピーになる事業。プロジェクトを実行する人、支援する人、さらに、プラットフォームを運営している僕たち。どの関係者にもプラスを生み出せるんです。
さらに、ビジネスモデル自体が新しいため、自分たち自身がそのビジネスを作り、広げていくという意義もあります。ほかの社員の方とも接点を持つ中で「この人たちがビジネスを作っていけば、いい形で広がっていくだろう」と直感したんです。
経理が事業に入り込んでいる感覚は初めて
マクアケに入社して仕事を進めると、これまで経験してきたものとは違う感覚を持ちました。ほかの企業での経理とは、成績を集計するという意味合いが強い。ところがマクアケは、事業自体でお金を集め、それを実行者の方に渡します。経理自体が事業の中で大事な歯車になっています。僕が思い描いていた「当事者意識」を、想像よりも強く感じるものでした。まるで、事業部門にいるような感覚なのです。
支援者の方からは、お金だけでなく、応援する気持ちも集めている。――それを実行者の方に確実に届けることには、とても大きな責任があります。
事業に対する当事者意識を強く感じるのは、ビジネスモデル以外にも理由があります。少数精鋭ということもありますが、経営陣や事業部門とたくさんディスカッションをするんです。他部署との連携が多いので、作るおもしろさがある。今後は、経理業務などは真っ先にAIにとってかわられると言われていますが、事業サイドで経験しているような仕事は残るはず。AIで便利になるところは上手に活用しつつも、自分のバリューを出せる部分は奪われることはないでしょう。そのためにも、事業の経験を積んでおくことは重要だと思っています。
僕が仕事で大事にしていることは、「誇りが持てるか」ということ。例えばミスをしたときに、慣習的に判断した結果だったらとても誇りは持てません。戦略的に考えて判断して、それでも結果的にミスとなったら恥ずかしくない。そういうミスなら、その後もポジティブに進むんですね。だから、機械的ではなく感情を入れた判断によって「意思のある会計」をしたいと考えています。
着実に成長を遂げるマクアケは、今後どんどん大きくなっていくでしょう。急激な成長を遂げながらも、同じ思いを持った人、共感を得られる人の輪を広げていきたい。今の想い、熱量のままで進むビジネスを、しっかりと支えていくのが僕の役割だと思っています。
取材・執筆:栃尾江美 Website