「営業を任されている以上、成果を返すのが責務でしょう」
独立して働いてきた鈴江さんにとって、それは長いあいだ揺るがない前提でした。実際その通りに、前の案件では30ヶ月連続でクライアントの求める数値を返し続けています。
ところが、約100名が動くプロジェクトマネージャーになった途端、その前提だけでは前に進まなくなりました。いったい何が起きて、彼の中で何が変わったのか。
後編では、鈴江さんがぶつかった「30人の壁」から、マネージャー以上のレイヤーでmake standardsに関わる面白さまで伺いました。
※make standardsの代表の佐藤は、メンバーからも社外の方からも、親しみを込めて「じゃがさん」と呼ばれています。そのため、本記事でも「じゃがさん」と書かせていただいています。
「30人を超えた途端に、回らなくなり出した」
広報:プロジェクトがどんどん大きくなっていく時期は、どんな気持ちだったんですか。
鈴江:正直、しんどかったですね。やり方も考え方も含めてアップデートしないと通用しないな、と明確に思いました。これは実は、今もそうなんですけど。
もともと私は、リクルートで言うところの「見立てる・仕立てる・動かす」でいくと、たぶん「動かす」が得意なタイプなんです。30人規模までは、プロジェクトの空気感も、成果に向かう一体感も、私の関わり方でかなりつくれていました。業績もずっと右肩上がりで、手応えを感じていたんです。
広報:その手応えが崩れるきっかけがあったのでしょうか?
鈴江:はい、実際はいくつかのきっかけが重なりました。クライアントさんの繁忙期に合わせて、それまでの業務から新しい業務へ切り替わったこと。加えて、経験したことのない、一気に20名の方が新しく参画されるという状況。立ち上がりの時期のサポートもあって、いっぱいいっぱいになってきて。
そして30人を超えたあたりから、私の声というか、成果に向かう温度感みたいなものが、うまく共有できなくなってきたんです。
広報:「30人の壁」ということは、組織論でもよく言われますね。
鈴江:もろに感じました。30人を超えた途端に、回らなくなり出したので。
「一人で返す成果」と「チームで出す成果」は、別物だった
広報:30人を超えて組織がうまく回らないなと思ってから向き合ってきたテーマのようなものはありますか?
鈴江:二つです。一つは、プロジェクト全体の生産性を最大化して、業績の責任を果たすこと。もう一つは、そのために、ご一緒している一人ひとりが力を発揮しやすい状態をつくることです。
私自身は「成果を出すことは責務であり義務である。出さなければならないものだ」というスタンスで仕事をしています。クライアントから仕事として受けている以上、一人ひとりが成果を出せる人として、最大限のパフォーマンスを出す努力をするのが当然だろう、と。自分の考え方を、そのまま周りにも当てはめていたんです。
でも今のプロジェクトで一緒に働いているのは、20代前半〜後半の方々が中心です。社会人1年目、2年目。営業歴が短い方だと、本当に数ヶ月、半年もないような方もいます。まだ社会人経験が短いみなさんにとって、「成果を返すことが責務だ」という私の前提をそのまま持ち込んでも噛み合わないんです。
広報:その現実に向き合った上で、いまはどのように考えていますか?
鈴江:プロジェクトメンバーが、成果を返せる状態にたどり着くまでに、私は何を渡せるのか。持っている知見をどう共有すれば、その方が早く手応えを掴めるのか。そこが、自分の中でずっとテーマとしてありますね。
相手の「これから」を主語に話す
広報:プロジェクトメンバーとのコミュニケーションで意識していることはありますか?
鈴江:「仕事なんだから、目標があるから」を主語にすることは、絶対にしないようにしています。
代わりに、常に「このプロジェクトを通して、将来どうなりたいんですか?」を主語にして話す。このプロジェクトで稼働することは、ゴールではないと思っているんです。そのメンバーにとっては一つのステップアップ、階段の一段なので。だとすれば、目指す先から逆算して、今ここで何を掴んでおくといいのかを一緒に考えたほうが早い。
広報:そうやって話す中で、「この人は伸びるな」と感じる共通点はありますか?
鈴江:無計画でもいいんですけど、やっぱり将来こうなりたいと描いているものが大きい方は、どんどん自分から動いていくなと思っていて。
一番伸びやすいのは、将来起業したいという方。しかも、その構想が割としっかりしている方ですね。「とにかく社長になりたい」ではなく、「どういう会社を作りたいか」が明確にあるメンバーは、自分で動いていく。今リーダーを担っている方にも、たぶん多いんじゃないですかね。
具体的な構想がなくても、「とにかく将来のために力をつけたいんだ」とちゃんと言える方は、伸びます。
クライアントの「ミッション」から逆算する
広報:クライアントとの向き合い方で大切にしていることはありますか?
鈴江:私は現場のマネージャーなので、おそらく最も多くのレイヤーの方とコミュニケーションを取らせていただいています。そのステイクホルダーのみなさんたちがどんなミッションを持って日々仕事をされているのかを考えて、それを私たちでどうクリアできるか、という形で考えています。現場の責任者の方であればミスの件数、上位のレイヤーの方になるとアポイントの件数やCPA。立場によって重視する指標も変わってくるので、そこに合わせてバリューを発揮できるようにする、というのは常に意識していますね。
広報:あちらを立てればこちらが立たず、ということも起きそうですね。
鈴江:そういうシーンは実際めちゃめちゃありますよ。向こうの方も、現場のマネージャーが私しかいないので、「とりあえず一旦、鈴江さんに伝えておけばいい」となるじゃないですか。でも、それが飛んでこなくなったら、たぶん私のバリューってないなと思うので。どこから来た話でも、ちゃんと返すようにしています。
「私たちに、そこまでやるんですか?」
広報:じゃがさんが話す価値観で、共感していることはありますか。
鈴江:成果に向き合った人に、より大きな機会が開かれていく。会社としてそこを本気でやろうとしているところですね。しかも、言っているだけではなくて、ちゃんと現場でそうなっている。
広報:現場でそうなっている、と感じるのはどういうところですか。
鈴江:97名規模のプロジェクトになると、当たり前ですけどマネージャー一人では回らないので、リーダーやサブリーダーという役割を担っていただく方が必要になります。そこで、外から経験者を連れてくるのではなく、このプロジェクトで成果を出した方が、プロジェクトでより広い役割を担えるような体制をつくる。そこまでが私の役割なんです。
広報:言葉と現場が、ちゃんと結びついて実現しているんですね。
鈴江:はい、これって結構すごいことだと思うんですよ。掲げていることと現場でやっていることが全然違う、という会社は、前職時代のクライアントさんにも結構ありました。掲げるのはできても、それを実行するのは難しいので。
勉強会も、振り返りのフレームも、「使いたい人が使う」形で
広報:会社として用意されているものには、どんなものがありますか。
鈴江:新しく参画される方には、make standardsについて知っていただいたり、プロジェクトに関わるうえで必要な情報を共有したりするオリエンテーションがあります。あとは、営業として自分でPDCAやKPTを回していくための考え方を共有する場もあります。
それから、YWTという振り返りのフレームを共有していて、日々の気づきを自分で言語化するときに使えるようになっています。稼働報告とは別物で、あくまで本人のための振り返りですね。
広報:振り返りをして気づきを得られるような機会が多いんですね。
鈴江:営業代行会社って、クライアントさんの案件に参画すると、その後は会社との接点が少なくなるケースもあると聞きます。実際、私がmake standardsに参画した頃も、今ほどこうした機会はなかったんですよ。振り返りに活用できるフレームもなければ、知見を共有する場や、成果を称え合うような場もなかった。
それが変わったのは、じゃがさんが「成果に向き合う人に、ちゃんと機会が開かれる会社にする」と決めてからです。そこから成果を称える場ができ、振り返りのフレームが共有されたり、営業に関する知見を共有する場ができたり、メンバーの皆さんが、何かあったときに相談できる社内窓口もできました。いろんな立場のメンバーが集まっている中で、こうした機会があって、それぞれが必要に応じて参加したり、活用したりできるのは、結構すごいことだと思うんですよね。
30ヶ月、一度も「業績どうなの?」と言われなかった
広報:make standardsで働く面白さは、どんなところにありますか。
鈴江:任せてもらえる範囲が大きいところですね。じゃがさんから「鈴江、業績どうなの?」とか「もっとこうした方がいいんじゃないの?」ということを一言も言われたことがなくて。
広報:一言もですか。
鈴江:本当に、30ヶ月の中で一回もないです。「お前だったら大丈夫だよね」と、完全に任せていただいていました。たぶんじゃがさんは分かっていたんだと思うんですよ。私は性格上、営業をやっている時に後ろからああせいこうせいと言われるのが、めちゃくちゃ嫌いなので。
もちろん成果が出ている前提はあると思います。その上で、こちらから要望する稼働条件も、ちゃんとお話しさせてもらえる。そこはやっぱり大きいですね。
「新しい基準」を、一緒につくりたい
広報:今後、make standardsをどうしていきたいですか。
鈴江:じゃがさんが最近、make standardsという名前にちなんで「makeが新しい基準を作っていくんだ」とおっしゃっていて。それに私もすごくワクワクしています。
普通、大きな役割を任せる時って、その基準に届く人を外から連れてくるじゃないですか。それが一番早いですし。この業界ではそれが当たり前だと私も思っていました。makeでももちろん採用はしていますけれど、目の前で成果を出している人や、成果に向き合い続けている人にも機会が開かれていく仕組みを実現できているなと思います。
じゃがさんは「一人ひとりのHappyに向き合う」ということを大事にしていて。成長したいと思っている人が学べる機会があったり、成果に向き合った先に、より大きな役割に挑戦できたりする。そうやって、一人ひとりが自分の可能性を広げていける環境をつくることが、make standardsの「新しい基準」なのかなと思っています。自分もその新しい基準を作る側として、できることを全力でやっていきたいというのが、今一番強い気持ちですね。
マネージャー以上のレイヤーで、活躍しやすい人
広報:最後に、マネージャー以上のレイヤーで活躍しやすいのはどんな方だと思いますか。
鈴江:三つあると思っています。
一つは、本気でプロジェクトマネジメントに向き合ってみたい人。私のプロジェクトは今97名ですけど、他の会社でそこまでの規模のプロジェクトで現場のPMを担う機会は、なかなかないと思うんですよ。
広報:普通なら、部長クラスの管掌範囲ですよね。
鈴江:そうですね。仮に20人、30人規模だとしても、一つのプロジェクトの責任者としてお任せいただける。make standardsには複数のプロジェクトがあるので、そういう機会があります。
二つ目が、個人ではなく、チームで大きな成果を残したい人。
広報:鈴江さんご自身は、このタイプですか。
鈴江:今は本当にこのタイプですね。私がプレイヤーとして動けば、一人あたりの5〜6倍の生産性を出せるかもしれない。それでも、結局5〜6人分にしかならないんです。クライアントさんが求めている100人規模の成果を返すというのは、チームでしかできないじゃないですか。個人で出せる売上の規模なんて、たかが知れているので。
広報:三つ目はなんでしょう?
鈴江:一人ひとりが力を発揮できる環境をつくることに、面白さを感じられる人ですね。私自身、この半年間で、目の前の方ができることをどんどん増やしていく姿を見ていて、すごくやりがいを感じています。
前職で勤めていたような大きな企業では、組織を動かすための仕組みがすでに整っていることが多くて、マネージャーがゼロからそれを考える機会は、そこまで多くない印象なんです。make standardsでは、どうすれば一人ひとりが力を発揮しながら、チームとして大きな成果につなげられるのか、その環境や仕組み自体を考えられる。将来自分で法人をつくって100人、1000人規模になった時にも、その経験は活きると思います。
広報:鈴江さんにとっての、一番のやりがいは?
鈴江:「このメンバー全員で成果を出すためにどうすればいいんだっけ」を考えることが、一番しんどいんですけど、一番やりがいを感じるところです。これは、make standardsでしかできないなと思っていて。
プレイヤーとして成果を出すことも、30人規模のプロジェクトを動かすこともできた。けれど、30人を超えたところで、それまでのやり方が通用しなくなった。100名規模となった今、鈴江さんが向き合っているのは、「どうすれば一人ひとりが力を発揮し、プロジェクト全体の成果を最大化できるのか」という問いです。
自分自身が持っていた前提を疑いながら、鈴江さんの試行錯誤は今も続いています。
鈴江 仁
◆プロフィール
1993年生まれ。同志社大学理工学部機能分子・生命科学科を卒業。2016年に株式会社リクルートライフスタイルに入社。美容業界向け販促メディアHOT PEPPER Beuatyのリテール営業、大手法人営業を担当。2022年10月に独立し、翌年7月から株式会社make standardsに参画。Saas企業でのフィールドセールスとして活動し、2026年1月から大手買取企業のPrjマネージャー就任。
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