「99%の人には刺さらなくていい。1%の人に、ここじゃなきゃと思ってもらえる住まいを届けたい」
そう話すのは、株式会社リブランの代表取締役を務める渡邊裕介さん。防音賃貸マンション「ミュージション」を主力に、環境共生型住宅など独自の商品を手がける不動産会社のトップです。
宅地建物取引士の資格取得をきっかけに不動産業界へ飛び込み、3社を経験したのち26歳でリブランへ入社。一度退職したものの、2ヶ月後には復職し、異例の創業家以外で初の代表に就任しました。「企業目的は社長より偉い」「失敗とは挑戦しないことだ」そんな言葉が飛び出すリブランという会社の中身と、渡邊さんが描く未来について聞きました。
「知の貯金箱」「エンタメ研修制度」——成長を後押しする仕組みと、その背景にある想い
── リブランの事業内容について、簡単に教えてください。
渡邊: 主力は防音賃貸マンション「ミュージション」です。24時間楽器の演奏ができる環境を備えたマンションで、音楽家やミュージシャンの方々を中心に入居いただいています。もう一つの柱が、環境共生型住宅「てまひま不動産」。自然素材や省エネ設計にこだわった住まいで、エアコンに頼らずとも快適に過ごせる暮らしを提案しています。
どちらも、場所・間取り・価格という一般的な不動産の軸ではなく、「その人にとって譲れない4番目の軸」で選んでもらえる商品を目指して開発してきました。
── 社内制度にも、他社の不動産会社とは異なる特徴が多数あると伺っています。いくつか教えてください。
渡邊: 一番の特徴は、社員の成長を本気でサポートする制度が充実している点です。まず「知の貯金箱」という制度があって、ジャンルを問わず書籍代を会社が全額負担しています。2007年から導入しており、8割近い社員が活用しています。ジャンルを指定しないのは、社員自身が面白いと感じた本の方が内容が頭に残る、偶然手に取った本からアイデアを得るといった効果があると考えているからです。
もう一つが「エンタメ研修制度」です。映画やコンサート、テーマパークなどのエンタメを経験した費用を、会社が月に1万円まで負担します。2023年に開始した制度で、会社や自分の仕事に生かせそうな気づきをアウトプットしてもらうことを利用の条件としています。このアウトプットを意識するだけで、物の見方が変わるんですよ。
例えばテーマパークに行った時、営業なら「混雑時の動線がうまく設計されていた」といったホスピタリティの気づきを持ち帰れます。建築に関わる人間なら、テーマパークは建築物の集まりなので、造りをじっくり観察すれば学びの宝庫です。知らないことに出会いに行くことが、仕事の解像度を上げる一番の近道だと思っています。
── 社長として、社員に対してどんなサポートを心がけていますか?
渡邊: まずは自分自身が背中を見せることだと思っています。全社員が受ける研修に自分も参加し、同じ課題に取り組んできました。同じ土台に立って取り組む姿を見せることが大事だと思ってのことです。また、社員と研修を受けることで、逆に学ばされることも少なくありません。社員を見て「これまで私の会議の場の回し方が悪かったな」と気づかされることもありました。マインドセットが先で、そこが高まればスキルは後からついてくるというのが僕の考えで、まずは土台となる考え方を育てるための仕組みを作っています。
また、社員には「うちにこもっていないで外に出ていこう」という気持ちも正直あります(笑)。「エンタメ研修制度」を取り入れたのも、本を読んで得る知識と、実際に目で見て体感することって、似て非なるものだと思っているからです。2つの制度を利用し、その両方が組み合わさってくると、意思決定の軸が太くなるし、仕事への熱量も変わってくると思います。社員一人ひとりの自己実現が、リブランの企業目的の根幹にある。外に出て刺激を受けることは、その自己実現の土台になると思っています。
「退職した社員を、会長が直々に呼び戻した」——懐の深さと、出戻り社員が社長になるまで
── 渡邊さんが不動産業界に進み、リブランに入社した経緯を聞かせてください。
渡邊: 不動産業界に進んだのは、大学4年の時、父親の影響で宅地建物取引士の資格を取ったのがきっかけです。せっかく取ったのなら不動産を仕事にしてしまおうと、すでに出ていた内定を辞退して、不動産業界に入りました。賃貸・管理・仲介・売買・ファンド系など、色々な不動産分野の会社を経験しており、4社目がリブランです。
父親がマンション用地の仲介をした相手がリブランで、取引後の会食に私も呼ばれたのがきっかけでした。当時の副社長たちと初めて会い、未経験だった用地仕入れの仕事にも挑戦できると聞いて、ぜひここで働きたいと思ったのです。
── 入社後、一度退職されたとのことですが、どんな経緯で戻ってきたのですか?
渡邊: 入社して5年が経ったころ、「もっと次のステップへ」という気持ちが出てきて転職したこともあるんです。ところが転職して2週間後に家の事情もあり、父親の会社で仕事をすることに決めました。
その話をどこかで聞いたリブランの現副社長から「戻ってこいよ」と連絡が来ました。「父親のところで恩返しをしてから」とお断りしたのですが、それなら一度話そうということになり、現副社長と飲みに行ったんです。するとその席には、現会長の鈴木もいました。気づいたら「父親には話を通してあるが、いつから戻るんだ」という展開になっていたんです(笑)。退職した社員である自分のことを、ここまで案じて声をかけてくれる会社は、なかなかないなと思って。2ヶ月後に戻りました。
── そこから社長になった経緯も聞かせてください。
渡邊: 戻ってから数年後に、今の会長は次世代の準備を始め、私ともう1人の役員・今野が取締役に抜擢されました。ただその時点では、どちらが社長になるかも、社内から選ぶかどうかも決まっていませんでした。私自身も「社長になりたい」という気持ちは全くなく、どちらかというとナンバー2気質で、実務をしている方が向いていると思っていました。
後から会長に聞いたのですが、私を社長に選んだのは「"喧嘩"ができるから」という理由だそうです(笑)。実は社長になるまで、ずっと退職届をカバンに忍ばせており、会長とも衝突してきました。「覚悟を持って正面からぶつかってくる人間だから、会社を任せられる」と思ったようです。出戻り社員が社長になれる——それがリブランという会社の懐の深さだと思っています。
「社長より偉いのが、企業目的」——全社員で価値観をつくり、挑戦を後押しする組織文化
── 社長として意思決定するとき、大事にしている考えを聞かせてください。
渡邊: 意思決定する際に「リブランらしいか、らしくないか」を軸にしています。 その「らしさ」の根拠になっているのが、2000年の制定以来引き継いできた「社長より偉いのが企業目的」という考え方です。企業目的に反していると思ったら、部下から「それは違うんじゃないですか?」と言ってもらえるような会社にしたいと私も思っています。
リブランには「住宅産業は人間産業」という企業目的の一節があります。住文化の創造を通じて人々の幸せに貢献し、社員一人ひとりが自己実現できる会社であることを目指す。それが私たちの原点なので、どんな意思決定も、その軸からはみ出していないかを常に問い続けています。
── その「リブランらしさ」を社内で共有するために、取り組んでいることはありますか?
渡邊: 1年間かけて、全社員で「リブランバリュー」を作りました。大切にしたのは「自分が決めた」と納得してもらえるプロセスです。結局、誰かが勝手に決めたことはなかなか自分事にならない。だから社員全員が議論に参加して、自分の意見が全部反映されなかったとしても「話し合って決めたことだからやっていこう」と思えるようなプロセスを踏みたかったんです。バリューの中に「失敗とは挑戦しないこと」という言葉も掲げていて、これが今のリブランの姿勢を一番よく表していると思っています。これからはそのバリューを社内に落とし込んでいく段階で、各自が意思決定しやすくなる基準を作っていくのが目標です。
── リブランという会社で働くことの特徴は、どこにあると思いますか?
渡邊: 「ベンチャーらしい老舗」であることだと思います。リブランは老舗ならではの安定基盤を持ちながら、ベンチャーのように挑戦できる会社です。やりたいことに手を挙げて挑戦できる環境がある一方で、強固な財務基盤や信用があります。過去にも、社員からの提案で数百万円の予算をとって様々な実験をしてきました。例えば東京大学と連携した防音性能の研究をしたり、駐車場だった土地に木造テラスハウスを建てる挑戦をしたり。強固な財務基盤があるからこそ、社員がやりたいことに挑戦する背中を押してあげられるのです。
「リブランを使い倒してやろう」そう思える人と共に働きたい
── どんな人がリブランで活躍できると思いますか?
渡邊: 一言で言うと「一生懸命遊べる人」ですね。仕事でもプライベートでも、目の前のことに本気で向き合える人は活躍できると思います。よく「変人を求めている」という表現をするのですが、私たちが定義する変人とは「どうしてもこれがやりたい」という、強い内発的な動機を持っている人のことです。
リブランには、「こうしなければならない」という仕事の型がありません。だからこそ、自分の個性を活かして働ける人が活躍しています。一方で、個性だけでは仕事ができないのも事実です。「守破離」にあるように、基礎をしっかり身につけた上で、自分なりのやり方を見つけて自己実現してほしいと思っています。
── 長期的に、リブランをどんな会社にしていきたいですか?
渡邊: ミュージションに入居されたお客さまが、結婚や家族の変化に合わせてより広い部屋へ、やがては戸建てへと、リブランの中で住まいを選び続けてもらえるような状態を作りたいと思っています。今はリノベーションや戸建て開発のラインナップも少しずつ増やしており、その先は地方展開、さらにその先には海外展開も視野に入れています。
加えて、100年続く企業にするために、次の経営者を育てることと、新しいブランドや商品を作ることが自分の命題だと思っています。
── 入社を検討している方に、メッセージをお願いします。
渡邊: 「リブランを使い倒してやろう」と思える人と一緒に働きたいですね。やりたいと思ったことは覚悟を持って手を挙げてほしい。私としては、失敗してもいい、トライしないことの方がもったいないと思っています。
リブランは、場所・間取り・価格という一般的な不動産の軸ではなく、「24時間楽器が奏でられる環境に住みたい」という人にとって、譲れない軸で選んでもらえる商品を作っています。99%の人には刺さらなくていいけれど、1%の人に「ここじゃなきゃ」と思ってもらえる住まいを届けたい。大手にはできないことができる会社だと思っています。また、出戻り社員が社長になれる会社です。会社と自分のやりたいことが重なった時に、様々な道が拓ける。そんな会社で働いてみたいと思った方は、ぜひ一度お話ししましょう。