LIGHT THE WAYは、2023年12月にブランディングムービーを公開しました。プロジェクトの発起から2年という長い時間をかけて制作する、自社プロジェクトとしては大きなものでしたが、結果的に想像以上の反響、学び、成長をもたらしてくれました。 代表であり映像ディレクター/アートディレクターの西澤岳彦に、その制作の背景を聞きました。
スキルアップを目的とした実践的なアウトプットの場をつくりだす
昨年末に自社で制作したブランディングムービーを発表されましたね。
西澤:会社の顔となるような良い映像ができたと思っています。
LIGHT THE WAY Brand Movie https://light-the-way.jp/works/branding/5066
LIGHT THE WAYはアウトプットの表現を作るだけではなく、ストーリー構成やシナリオライティングから考える、デザイン+ブランディングの会社です。ロジカルにメッセージを伝えながらも、エモーショナルな表現で視聴者の心を動かすことを大切にしています。この映像には、その要素を詰め込みました。
パズルが並べ変わっていくシーン
例えば、パズルが並べ変わっていくシーンは、様々な選択肢があるなかで「道しるべとして正しい道を切り開く」ことを表現する比喩となっています。メッセージを伝えながら気持ちよく場面の展開がされることで、映像としての面白さも担保されている。クリエイティブディレクションから実制作までを行えるLIGHT THE WAYだからこそできた映像です。
なぜ、自社内でブランディングムービーを作ることになったのでしょうか?
西澤:きっかけは、月に1度行っていた社内勉強会です。技術向上のためにCG制作のチュートリアルを行っていたのですが、表現の手法をいくら覚えたとしても、実務に紐づかないと身につかないし、アウトプットをつくらないと他の人にも見てもらえず、仕事のようなフィードバックを得られないなと感じていたんです。
Director / Designer 白木悠輔(左) 森重宏紀(右)
メッセージやコンセプトから自分たちで企画し、色んな表現を試しながらスキルアップを出来て、なおかつコンペに出すなど色んな人に見てもらうことができる。そんな条件をクリアできる方法はないかと社内で議論していたところ、自社のブランディングムービーを制作するというアイデアが浮かびました。
クライアントの立場を経験してわかった「決められない」苦悩
実際に、どのようにこのプロジェクトを進めていったのでしょう?
西澤:企画が始まったのは2022年の春ですね。ただ、ポツポツとプロジェクトを進めながらも少し時間が空いてしまい、しっかりと実制作がスタートしたのは翌年の4月ごろでした。そこからグラフィック制作をスタートさせ、年内になんとか完成させることが出来ました。当初は「スピーディにアウトプット出来るものを」と考え、30秒程度の短い映像に決めたのですが、実際に作り始めたら想像以上に大変で、結果として2年がかりの大規模なプロジェクトになってしまいました。
企画当初のコンテ
手のデザインパターン
紆余曲折を経たグラフィック
LIGHT THE WAY Brand Movie – 制作過程
https://www.behance.net/gallery/201324257/LIGHT-THE-WAY-Brand-Movie
西澤さんはどのような立場で関わられたのでしょうか。
西澤:普段の仕事では私がディレクターとして企画プランニングや演出表現を考え、具体的な指示まで行っているのですが、今回は実制作の編集部分はノータッチでした。
弊社の白木がメインディレクターを担当し、他のメンバーと共にどういう映像にするかというコンセプト部分から考えてもらいました。要所要所で会話をしながらヒントを出すことはしましたが、最低限です。メッセージを形にするために、リファレンスを探してもらい、それを元に意見を交換しながら案を作ってもらう形で進めました。
自社プロジェクトでありながら、西澤さん自身はクライアントのような距離感で関わっていたんですね。
西澤:そうですね。社内プロジェクトとはいえ、クライアントワークのような緊張感の中で制作をするからこそ意味があると考えていたので。そうした立場で関わることで、私自身も勉強になった部分は少なくありません。
どういうことでしょう?
西澤:クライアントの立場、つまり発注者として関わったことで、これまで以上にもクライアントの気持ちが想像できるようになりました。
私たちのようなクリエイティブを専門とするパートナーからの「提案」はクライアントの判断を助けるものだと思いますし、そのメッセージをクリエイティブに翻訳するために伴走している。しかし、クライアントの立場(主観的な立場)になった途端、とにかく決められないんです。クライアントは「こういうことを伝えたい」という抽象的なイメージを持ってはいるかもしれませんが、そのためにどんなアウトプットが適切なのかはわからない。
Account Director / Planner 望月恵(右)
私自身、クライアントに「こういう表現が適している」という提案を行っていますが、それは外部の客観的な視点を持てるからこそ出来ることだなと再認識しました。主観的な目線でクライアントの立場となってどうするべきかと考えていても、「本当にこの表現が自分が一番伝えたいメッセージに最適な表現なのか、自分よがりになっていないか」を疑ってしまい、普段の業務ようにはなかなかスムーズに「核」には辿り着けませんでした。
今回、映像のコンセプトを固めるにあたり、メンバーからの問いかけがあり、それらを取捨選択することで強いメッセージを打ち出すことが出来ました。そうした経験を通じて、LIGHT THE WAYの普段の仕事の進め方が、理にかなっていることが改めて実感できました..
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https://light-the-way.jp/column/all/5547