※2020年06月26日に広報ブログ(http://blog.loco-partners.com/)で投稿された記事です。
こんにちは!経営管理部 財務/経理グループ インターンの武市です。
現在、公認会計士試験の勉強の傍ら、Loco Partnersでインターン生として働いています。
6月23日に開催された、クラウド会計ソフト「freee」(以下、freee)を提供するfreee株式会社さん主催のオンラインイベント「freee×Slackで実現する経費精算/ワークフロー構築」に弊社経営管理部 部長の川口が登壇いたしました!
リモートワークが主流となるWithコロナの時代、バックオフィスにも変革が求められています。
特にバックオフィス領域には、紙文化が根強く残っている部分も多くあります。
そのため、緊急事態宣言中は業務を行なうのに出社を余儀なくされ、苦労された方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そのようなコロナ禍で、弊社のバックオフィスで起きた大改革の全貌をお届けいたします。
なお、本イベントは140名の経営者/役員/管理部長の方々にご参加いただきました!
お忙しい中ご参加いただいた方々、誠にありがとうございました。
川口は組織内会計士として弊社のバックオフィス全般を管掌する傍ら、社外においても実家の酒屋の売却や、認定NPO法人の監事など、様々な領域で活躍しています。
川口のパラレルキャリアについては、昨年10月に株式会社アカツキさんのオフィスで開催された「ベンチャー×会計士のキャリアを知る!」に川口が登壇した際の記事が上がっておりますので、ぜひご覧ください!
blog.loco-partners.com
また、川口が事業承継した際のエピソードについては、こちらの記事もご覧ください!
ちなみに、「日本酒 会計士」で検索すると川口の記事が出てきます。(笑)
cpa-navi.com
目次
1. 前回のおさらい〜バックオフィス改革の軌跡〜
2. 内部統制と管理会計強化への道のり
2.1. 中長期的なロードマップの作成
2.2. AsIs-ToBeの整理
2.3. All Freee Project 〜freeeの正社員全員への拡大〜
2.4. まさかの三大事件
2.5. 約1ヶ月でのスピード導入達成!
3. 導入の効果
4. 早期導入の要因
5. 苦労したこと
6. 早期導入の秘訣
7. Locoバックオフィスのこれから 〜DXの波に乗って〜
8. おわりに
前回のおさらい〜バックオフィス改革の軌跡〜
今回の内容は、2018年12月開催「freeeユーザー大忘年会」に登壇した際にお話しした内容の続編となります。
前回の内容につきましては、以下の記事をご覧ください!
blog.loco-partners.com
内部統制と管理会計強化への道のり
中長期的なロードマップの作成
freeeの財務会計領域への導入が完了した2018年頃、CFOと共に、各機能における現在の管理レベルと、今後どのようにバックオフィスを強化していきたいかを表したロードマップを作成しました。
弊社の現在のフェーズは、下図の管理Level.4からLevel.5への移行期にあたります。
今期はその中でも特に、内部統制と管理会計を重点的に推進したいと考えていました。
AsIs-ToBeの整理
そこで、以下のように内部統制と管理会計について、AsIs-ToBeを整理し、Gapを提示しました。
■AsIs: 最低限のレベルの整備
○内部統制
・そもそも法定監査対象会社ではないため、優先度を劣後させていた
・しかし、近年、規模拡大と共に各所から整備の必要性を指摘されるようになってきた
○管理会計
・財務会計が整備され、管理会計を精緻化する土壌が整った
・一方で、事業規模拡大に伴い精緻な業績管理が必要になってきた
■ToBe: 上場準備レベルの経営管理体制の構築
○内部統制
・上場準備レベルの体制の構築
・freee権限拡大によるシステム統制強化、権限管理の徹底等実施
○管理会計
・週次、月次レベルでのタイムリーな業務管理(部門別管理会計)体制の構築
・精度の高い事業計画を効率的に立案する体制の構築
また、システム構成についても、AsIs-ToBeを整理しました。
中でも今期は、内部統制の強化、経費精算工数削減という目的から、freeeの利用範囲を拡大し、
購買、経費領域にもfreeeを導入しようと考えました。
All Freee Project 〜freeeの社員全員への拡大〜
このような購買、経費領域へのfreee導入プロジェクトを、弊社では「All Freee Project」と名付け、
社員全員へのfreeeアカウントの付与を行うことにしました。
それまでfreeeについては、経理担当者と部長以上のメンバーにしか権限を付与しておらず、経費精算についてはGoogleスプレッドシートやエクセル、稟議についてはコミュニケーションツール「Slack」とGoogleフォームで行なっていましたが、このプロジェクトによりどちらもfreee上で完結するようになります。
■目的
○内部統制の強化
・改ざん可能な稟議システムからの脱却
・従来より柔軟な承認経路に
○経費精算工数削減
・乗換案内機能、OCR領収書読み取り機能、下書き作成機能で工数削減
・将来的には電子帳簿保存法との兼ね合いを見つつ、紙保管を削減
経営会議を通過した当初は、2020年5月から徐々に導入し、上期中の導入完了を目指すというスケジュールで推進しようとしていました。
しかし…ここで川口を悩ませる三大事件が勃発しました。
まさかの三大事件
事件1、創業者である篠塚の退任。
退任に伴い、登記変更などの手続きが必要になり、主に会社法務系タスクなどに忙殺…
事件2、突然の職務範囲拡大。
それまで担当していた経理や法務、総務、労務に加え、未経験であった人事まで担当することに…
事件3、皆さんもご存知のコロナショック。
弊社でも全社的に在宅勤務を実施することになり、リモートでの年度決算、また人事部長として新卒19名の研修をオンラインで行なうことに…
あれもこれも想定外、しかも初めてのことばかりで、途方に暮れた時期もあったそう。(笑)
しかし、むしろこれは短期間でfreeeを導入するチャンス!
在宅勤務への社会的要請、そもそも導入しないと決算が締まらないことから、当初のスケジュールを大幅に短縮し、2020年5月までに導入を完了させることを決めました。
約1ヶ月でのスピード導入達成!
その結果…!
経費精算については4月下旬に、稟議については5月にfreeeへの移行を完了することができました!その期間なんと、わずか約1ヶ月。
freeeさんからも、これほど早く導入できた会社はない、とお褒めの言葉を頂きました!
導入の効果
freeeの社員全員への導入、経費精算および稟議機能のfreeeへの移行の効果としては、大きく分けて2つありました。
1つ目は、承認経路の可視化です。
意思決定履歴をクラウド上で見ることができるようになったことは、不正防止の強化に繋がりました。
2つ目は、リモート勤務体制の推進です。
承認済の証憑をクラウド上で見ることができるため、出社頻度を減らしてもリモートで決算を締めることが可能になりました。
また、freeeはSlackとも連携しているため、freeeにログインせずともSlack上で承認やコメントができる、という思わぬ副産物もありました。ちょっとしたスキマ時間で承認できるのが非常に便利です。
早期導入の要因
上手く導入することができた要因は、以下の4つであると考えています。
■そもそもクラウド基盤が整っていた
○Slack文化が根付いていた
○上記に限らず、ITに親しい土壌が根付いていた
■事前に計画を大筋引けていた
○3月時点で、残りは導入作業を行なうだけ、という状態であった
■申請ルール等の下準備ができていた
○freee社の導入アドバイザリーの方と権限シートを用いた承認経路の作成など実施済だった
■社会的に推進する理由があった
○クラウド上で締める仕組みを作らないと、決算が締まらなかった
また、弊社特有の要因として、親会社がKDDIであり会計に関してのモラルが高かったことも挙げられます。
www.kyocera.co.jp
苦労したこと
一方、導入する上で苦労したこともありました。
■ユーザー側の予期せぬ挙動
○領収書単位での経費精算の申請など
■新運用の啓蒙不足
○誤った申請経路での申請など
■リモートでの証憑回収の困難性
○どのタイミングでどれくらい証憑を回収するか
○電子帳簿保存法との兼ね合いから、今後も運用を検討していく必要あり
しかしながら、社員の協力もあり、何の問題もなく月次決算を第5営業日に締めることができました。
中でも、メンバーが自走して推進してくれたことは非常に大きかったです。
このため、川口のやるべきことは基本的に壁打ち相手や、最終的なGOサインを出すといった程度で済みました。
早期導入の秘訣
freeeを全社に早期導入できた秘訣は、大きく分けて2つあると考えています。
1つ目は、他部署への啓蒙や周知を丁寧に行なったことです。
事あるごとにロードマップやシステム構成の理想像を見せ続けたことで、他部署に対して目指すイメージを植え付けることができました。そのため、社内での反発はほとんど起きませんでした。
2つ目は、フェーズに切り分けて推進したことです。
システムを導入する際、理想像まで一足飛びに推進できない、というのはよくある話です。
そこで弊社では、実現したい状態を3つのフェーズに切り分け、タスクに優先順位をつけて推進したことで、早期導入を達成することができました。
Locoバックオフィスのこれから 〜DXの波に乗って〜
Loco Partnersバックオフィスの大改革は、まだまだ続きます。
将来的には、以下のようなシステム構成にしたいと考えています。
具体的には、管理会計領域へのfreee導入、請求・債権管理領域における統合CRMプラットフォーム「Salesforce」とfreeeの連携、労務・給与計算領域における人事労務freeeの導入などを検討しています。
ユーザーとのコミュニケーションを密にし、要望を迅速に取り入れてくださるところはfreeeさんの魅力の1つでもあります。
freeeさんには他のクラウドサービスともどんどん連携いただきたいですし、今後のさらなるアップデートを期待しております!
また、最近の注目ワードである、DX(デジタルトランスフォーメーション)のレベルも上げていきたいと考えています。
ベンチャーキャピタルSTRIVEの古城さんが、DXについて非常にわかりやすくまとめてくださっている記事がありましたので、ぜひご覧ください。
note.com
そして、最近、前職DeNAが提供しているRPA「Coopel(クーペル)」の導入も検討しています。
従来のRPAはどれも月額数十万円と高い料金設定でしたが、このRPAは月額5,400円と類をみない破格です。
RPAを導入することで、より本質的な仕事に集中できる環境を作りたいと考えています。
おわりに
コロナ禍における、弊社バックオフィスの大改革の全貌、いかがでしたでしょうか?
現在弊社では、一緒に働く仲間を募集中です!
出典:(https://blog.loco-partners.com/2020/06/26/160915)