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入社4年目の兒島ゆう子。
しかし住宅デザインだけでなく、クジラの自社ブランドであるSEKAI HOTELや、店舗デザインまでこなすほどのデザイナー。そんな急成長を遂げた背景やこだわりについて、代表の矢野、施工管理の松田がインタビューしました。
デザイナーとしてのルーツ
矢野:ゆう子が入社した時から、先輩として近くで見てきたと思うけど、松田はどんな印象を持っている?
松田:思いやりがあって、人が嫌がることは絶対しない人ですね。
矢野:デザイナーとして一緒に仕事してみた印象は?
松田:お互い未熟だった頃は、現場で“一緒に戦った”という印象です。あと、帰りは「マクドナルドで締める」みたいなことも多かったのが思い出ですね。笑
そこから約2年ぶりにフルリノベーションの案件を今やってますけど、雰囲気的に楽しいし、とにかくハラハラ感もあります。
矢野:ハラハラ感ってどんな感じよ?
松田:現場(施工管理・職人)では思いつかないような、仕様を提案してもらえるから、「そっちのほうがカッコいいな」と納得する時もあるし、「カッコいいのはわかるけど、現場めっちゃ大変やん」という時もあるので、ハラハラ感。デザイナーとしての先輩である翔さんのような雰囲気を感じる時がありますね。
矢野:しっかり先輩に似てきてるわけね!そんなゆう子はいつから建築の仕事を意識し出したんかな?
兒島:小学校の卒業アルバムの一言に「将来に建築家になりたい」って書いてました。その時は家づくりくらいの程度に考えてました。2〜3歳の頃からシルバニアファミリーのおもちゃとか、ポストに入ってる不動産のチラシに載っている間取り図面が面白かったです。
兒島:絵を描くようになってからは、家の間取りを紙に描いて、人形で遊んでました。富豪の家を作ったり、狭小住宅にチャレンジしていました。
矢野:変わった子どもやなぁ笑。進路として建築を意識し出したのはいつくらい?
兒島:中学校のときに興味ある職業を調べる授業があって、その時はインテリアコーディネーターを調べていました。
周りが看護師とか教師とか調べていた中で、自分はすでに建築業界に興味をもっていましたね。そこから、高校生の時に大学を選ぶのに、あらためて将来の仕事を考えた時に、建築を学ぼうと決めました。
それで、富山大学の芸術文化学部・建築デザインコースに進みました。
矢野:高校くらいから具体的に建築の道を考え出して、そこから社会に出るまでの学生の間、特に心境の変化とかブレたりとかはなかった?
兒島:「家に関われる仕事だったら」と、ブレることはありませんでした。
矢野:その後、大学進学・就職活動という中でクジラを見つけてくれたんよね?
兒島:「関西 リノベーション」でGoogle検索したり、Instagramで検索してクジラを見つけました。クジラに電話をかけて連絡先を告げたら、すぐ矢野さんからメールきてびっくりしました。それまでの就活では連絡も遅かったり、個人に対して接してもらえる印象もなかったので、代表からすぐに連絡きてびっくりしたのを覚えています。
Works|Designer 兒島 ゆう子
店舗デザイン
矢野:アシスタントではなく、メインの担当として店舗デザインに携わったのは初めてだったと思うけど、総じてどんな思い出?
兒島:矢野さんとお客様とのブランドコンセプト設計の会議から参加していたので、ただ設計するだけじゃなかったということで新鮮でした。
一般的な店舗デザインって、店舗のコンセプトが決まった状態で設計業務を受けるはずなので、とても貴重でした。
おかげでブランドコンセプト決定後に設計する時に、ものすごくプランしやすかったです。他のメンバーとのコミュニケーションもコンセプトに沿って決まっていくので、やりやすかったし、なにより楽しかった。
松田:施工はクジラじゃなくて、地元(広島)の業者に頼んだけどどうだった?
兒島:やっぱり普段、施工メンバーが社内にいるってやりやすいなぁって実感しました。このプロジェクトはデザイン設計業務だけだったので、外部の施工会社とやりとりするときに立場の違いもあって、意見が食い違うことも多かったので。
矢野:設計面でこだわった部分ある?
兒島:コンセプトを体現するために「曲線を取り入れよう」ってなったんですけど、ただ曲線を取り入れるだけじゃなくて、動線や、曲線の塩梅に至るまで大元のコンセプトを守るために注意しました。
兒島:そのために関係者とコミュニケーションする時も自分の意図をスムーズに言語化できてよかったです。
あと、仕上げ材(ジョリパッド)にはものすごくこだわりました。色、塗り方をこだわって「これにしよう」と選ぶだけじゃなくて、「こっちのパターンは違うよね」というところまで事前に検証できたのがよかったです。
矢野:初めて出来上がりを見た時の感想は?
兒島:他のセルフエステを調べてたので、しっかり「他とは違う」を実現できて嬉しかったです。
オープン後に、お客様から「『お店のデザインが可愛いから』という理由で来店してくれたユーザーがいる」と聞いて嬉しかったです。
あと、今まではアシスタント側に回ることしかなかったけど、今回はひとりのデザイナーとして向き合えたのも嬉しかったです。
矢野:お客様からも何度も「兒島さんは感性が私とぴったりです」って言われたしね!
中古マンションリノベーション
矢野:この案件は松田も手伝ってたよね?
松田:施工管理が後輩だったのでフォローで携わってましたね。寝室のデザインがものすごくウケた印象で、ゆうこちゃんやったから提案できたものだと思います。
矢野:寝室のデザイン決める時に、お客さんとどんなコミュニケーションした?
兒島:寝室に限らず、家全体のイメージをPinterestとかを使って擦り合わせていきました。その時にいくつかの写真を指して「この写真みたいな可愛らしい感じが好きです。あくまでイメージですけどね笑」って恥ずかしそうにおっしゃってたのが印象的で、可愛い路線かつ上品なデザインを思い切って提案しました。
矢野:「理想はこうしたいけど、自分から言い切るのは恥ずかしい」ってお客様の本音でもあるよね。
松田:プロの前で“自分好みのオシャレ”を語るって、勇気いる人が多いと思いますよ。
兒島:そうですね。写真を説明しながら恥ずかしそうにしているお客様の背中を押してあげたいって思いました。
矢野:可愛らしく、上品な寝室っていうのを作っていくのにこだわったところある?
兒島:可愛くなりすぎないために、空間全体の色の調整をしたり、ホテルの事例を多く調べて参考にしました。
兒島:建具を枠が無いものにしつつ、天井までの高さにしたり、ドアハンドルも可愛い印象を調整するために、長くてすっきりした印象のバーハンドルを使用しています。
矢野:確かに“ホテルライクで可愛い”っていうくらいのバランス感やね。リビング部分ではどうこだわった?
兒島:お客様がすでに購入したいソファを決めていたので、あえて違うテイストのCGパース3種類用意して、ソファ(色)とリビングのテイストの相性を見てもらいました。
3種類出したことですぐに方向性が決まって、ひとつのCGパースを細かく修正しながら、お客様と一緒にデザインを決めていきました。
兒島:最後引き渡しの時に、お客様が少し涙を浮かべながら(多分)喜んでくださったのがとても嬉しかったです。
中古戸建リノベーション
矢野:今日、撮影協力して頂いているここもすごく良いよね。
兒島:ありがとうございます。お客様にもたくさん時間を取ってもらいました。
一階の土間リビング周辺の間取りもいくつもご検討頂いて、最終的には「玄関からの目線の広がり」を優先して、リビング・ゲストルーム間の壁を斜めにするプランを採用して頂きました。
兒島:解体後に筋交が無いことがわかり、お客様と一緒に喜んだり(空間が開放的になる)、休日にお客様とたまたま鉢合わせて話が盛り上がったりなど、コミュニケーションの部分でも思い出深いリノベーションでした。
デザイナーとして成長を感じた瞬間
矢野:クジラに入社して4年目。デザイナーとして「ひとつレベル上げたなぁ」みたいな瞬間ってあった?
兒島:うーん、、、、大きく実感したことは無いです。ちょっとずつちょっとずつ重ねてきた感じですね。
矢野:周りのゆうこに対する印象もそんな感じ?
松田:グイッと成長した瞬間がいつだったかは浮かばないですけど、施工管理や職人さんの飲み会でも案件ごとにしっかり成長してきているデザイナーとして名前が上がるのはゆうこちゃんですね。
例えば、社内のデザイナーでもさえちゃんと翔さんって全然違うタイプっていう共通認識があると思うんですけど、両方の良いところを吸収してるのがゆうこちゃんっていうイメージですね。
矢野:実は先日の年長者飲み会(昭和生まれ&役員)で「今後一番期待できるスタッフ」投票でも、ゆう子の名前上がってたよ。
俺的には、さっきの店舗デザインらへんが転機だったと思う。単純にやりとりのしやすさも変わったし、作業も早くなったイメージかな。
「コンセプトに沿ってデザイン」だけでなく「コンセプト設定のプロセス」まで経験・理解したことで、デザインについての考えとか意図がしっかりしたんじゃないかな。
課題も背景も文脈もない状態でのコンセプトって押し付けがましいものになりがちやけど、課題・背景・文脈を捉えてコンセプトを作ると、ものすごい求心力をもつから、その辺を理解して生まれてくるデザインや周辺の作業は全然質が違うよね。
デザイナーとして大切にしていること
矢野:座右の銘とか、なにかひとつ大切にしているものある?
兒島:特に座右の銘のような文章や言葉はないですけど、、、プラン考える時に意識しているのは「お客様の一生モノだからこそ、もっとできることないかな?」と考えるようにしています。
矢野:デザイナーという人種の中で、建築ってやりなおしが効かない分野になるよね。何か気をつけていることある?
兒島:グラッフィックデザインとかは、とりあえず作ってお客さまに確認してもらえば、やりなおしが何回もできるけど、建築系はやりなおしが効かないところが大半なので、なるべく今の暮らしを深ぼって聞くようにしています。過去の生活感などを把握して、これから起こりそうな生活をなるべく予測する。そしてそれを寸法とかに反映させる。
例えば、お客さまから枯山水を頼まれたことがあったんですけど「今回のリノベーションで絶対やる必要がありますか?」と見直してやめたこともあります。将来いろんな可能性があるなかで、リノベーションを100%やるんじゃなくて、今後お客様が自分で手を加えたりできる余白も残しておくよう意識しています。
矢野:一生モノだからこそ、余白を残しておいて、どんな生活の変化にもお客様が対応できるようにしてるってこと?
兒島:そうですね。将来「やらなきゃよかった(やりすぎたな)」と思うかもしれないと予測した箇所は、お客様と慎重に議論します。
これからの建築デザイナーとはどうあるべき?
矢野:理想のデザイナー像とかある?
兒島:人のお金なのに、自分の作品を作っているかのように見える建築家もいるけど、お客様がちゃんと納得して喜んでいる場合ばかりじゃないように感じます。プロが素人に押し付けるような作品ではなく、お客様の一生の住まいを作っているというスタンスが大切です。
友人の設計事務所の話を聞いていると、ものすごく良いモノを作っていてもどこかお客様が置いてけぼりのように感じる時があります。お客様が反論しづらい空気があるかもしれません。
お客様が「こっちの方がいい」となったときに、「それはカッコ悪い」「それは機能的じゃない」とか一言で済ませちゃうこともできるけど、お客様と一緒に、その案を納得できるまで議論するようなデザイナーでありたいです。
矢野:クジラの場合でもお客さまに「それじゃダサいっすよ!」って言うことあるけど、“なぜダサいか”は資料を交えて説明するようにしてるし、最後はお客様に意思決定してもらってるよね。
兒島:一言「ダサいっすよ」で済ませて、お客さまはその場で納得してなくても、出来上がりはすごく素敵な場合もあるので、やっぱりデザインって難しいですよね。
矢野:それとクジラのスタッフが若いのもあって、はっきり言い切る場面が少ないのもあるかもね。はっきり言いたい(言い切りたい)場面もよくある?
兒島:たとえば、「リビング壁面にエコカラットを貼りたい」っていう人の大半は、エコカラットじゃなくてもよかったりするんですよ。
でもそのお客様はどこかでエコカラットの壁面を見て「かっこいい」と思ってきたから言ってるんですけど、私たちからすると他の方法での「カッコいい」もある場面が多いです。
そんな時に「ダサいです」の一言で済まさずに、他の選択肢を示したり、お客様がエコカラットをカッコいいと思った経緯を一緒に振り返ったりして、本当にエコカラットを壁面に貼るのが良いのかを検討します。そうすると、意外に他の方法でよかったりするんですよね。もちろん、「やっぱりエコカラットが一番」となるケースもあります。
矢野:こっちはプロで、圧倒的に知識・経験があるなかで、お客さんの意思決定に時間をかける理由って?
兒島:クジラは「お客様とチームになる」とこだわっているので、主役であるお客様が自分で住まいづくりを語れるように理解・納得して欲しいです。
それに、違う分野で自分がお客側として「ダサいっすよ」の一言で済まされたら悲しいなと思います。例えばオーダーの靴屋さんとか。
矢野:今後、自分のどういうところ伸ばしていきたい?
兒島:細かい作業の抜け漏れがあるので、「完璧!」ていうのを目指していきたいです。今は、他スタッフに自らチェックしてもらえるように打診してるけど、セルフチェックできるようにもなりたい。
社内作業・個人作業がもっと完璧に進められたら、よりデザイン面での提案や貢献の幅が広がるし、SEKAI HOTELのような新規プロジェクトにも、もっとチャレンジできると思います。
仕事バリバリこなしたい!っていうイメージではなくて、クジラを頼ってきた人の困りごとを解決できることをひとつでも増やしたいイメージです。