DIYを通じて子ども達の可能性を広げる「KUJILIKE」 | KUJIRA
KUJILIKEについて DIYを通じて子ども達の可能性を広げる「KUJILIKE」 現在日本では、虐待、貧困、親の病気などの理由から約4万2000人の子ども達 [...]
https://kujira.ltd/magazine/30691/
僕が通っていた高校は、いわゆる地方の公立、普通科の進学校。
地道にコツコツ勉強するタイプの矢野少年が突然「調理師になりたい」と高3の春に言い出したから、先生、同級生、家族は各々に僕に“当たって”きた。
ー そのまま大学行きを決めるなんて、流されているだけなんじゃないか。
当時はこのくらいの感覚で、調理師専門学校への進学を決めた。
20年ちょい経った今、そんな僕が大学生や大卒の社員に囲まれて日々働いているのは、また少し“変わっている”のかもしれない。
経験ある人なら共感してもらえると思うが、特定のコミュニティにいると自分の将来の選択肢は狭くなるだけでなく、その意思決定のタイミングすらも、自由度が低い。
僕の場合は進学校にいたので、2年生のクラス替えの時点で、「理系に進むのか、文系か」「国公立か、私立か」はおよそ決めて、クラスも決まり、授業も決まる。
当社では、児童養護施設の子どもたちと一緒に施設をリノベーション(DIY)するKUJILIKE(クジライク)という活動を行っているが、その目的の一つは「子どもたちにとって、学校の先生でも施設の職員でもない、『第3の大人との接点』を提供したい」というものである。
児童養護施設に関わるようになって10年が経つが、やはり中学生前後のタイミングで「先輩OB/OGを見て、自分の将来を想像してしまう」ことになるらしい。
過去に、KUJILIKEに毎回参加してくれている高校生が「将来は建築の仕事に就きたい」と言ってくれるようになったが、結果的に専門学校への進学をあきらめて、建築業ではない仕事に就くことになり、悔しさが残ったこともあった。
そのコミュニティにおける当たり前というのは、とても根深く、力強い。
当社には、ほぼ毎年「就職活動の時期をズラしている学生」が来る。
春〜夏の間に就職活動に積極的になれなかった学生、内定をもらっているけどモヤモヤしている学生、そもそも大学卒業後に就職するのか?と悩んでいる学生…
そこから当社に入社することになった人も少なくない。24卒入社、25卒入社ともに”年明けに内定、春に入社”というスタッフがいる。
口を揃えるかのように「まわりと違って、私は就職活動あまりちゃんとやってこなくて…」と自信なさげに言うが、僕は良いと思う。
「周囲がやっているから、自分もやらなきゃ」はおかしいし、なんとなく「流されるのも違うかな…」と思ったなら、その違和感はその人にとって才能の現れのように思える。
大切なのは、自分で決めることである。
進学校のコミュニティを無視する形で、大阪の調理師専門学校に進学した矢野少年は、卒業後に不動産屋になった。
「料理はつくるより、食べる方がいい」と真剣に思ってしまった。笑
そこから24歳で、不動産仲介業を営む会社として創業したクジラ株式会社は、今やリノベーションを中心とした建築業を営む会社になり、リノベーションを駆使する形で、商店街をまるごとホテル化するSEKAI HOTEL(セカイホテル)を運営する会社になった。
あの時、高校のクラスの雰囲気に流されなかったからこそ、40歳過ぎても大人の青春ができているなと嬉しく思う。
従業員はアルバ一も入れて50人を超えたが、うちの連中はみんなちょっとずつ“こだわり屋さん”かもしれない。
多くのスタッフが、学生時代にリーダー格を張ってきたような目立つタイプではない。「コツコツ努力する優等生タイプと思いきや、土壇場では周囲の言うことに流されずに決断する」ちょっと頑固?な人の集まりかも。
みんな明るくて、素直で、真面目で、いい奴。
なのに、ここぞという時は自分を曲げない。
10代のときの自分と、共通点を持ったスタッフが集まってるってことか。笑
この記事は、夏が終わりそうなこの時期に“自分の就職活動に悩んでいる学生”にぜひ読んで欲しくて書いている。
周囲に合わせないのは勇気のいる決断ではあるが、もっとも自分らしいのではないだろうか。「自分で決めていない」が一番良くないし、自分で決めたことが周囲と同じ方向に進むことならそれも良いだろう。
あなたの人生は、あなたが主役。
迷っているなら、迷うことを選んでいるその感性こそがあなたの才能なんじゃないかな?