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役員経験2社からキズキへ/戌亥一幸

取締役の戌亥一幸(いぬい・かずゆき)と申します。

私の社会人歴は20年ほどで、前半の10年は新卒で入社した大手アパレル会社に勤めていました。その後ソーシャルベンチャー企業の常務執行役員やベンチャー企業の取締役といった経歴を経て、現在はキズキで1年4か月ほど働いています。

今回は、私がキズキの一員となった経緯や、さまざまな分野のベンチャー企業の経営を行ってきた私が感じるキズキの魅力や今後の方向性についてお話しします。

最後には、これまでの20年間を経て感じるキャリア一般についてのお話もいたしますので、キズキへの就職・転職を考えてくださっている方はもちろん、キズキでなくても自分の働き方について模索されている方にも、一助になりましたら嬉しいです。

MBA取得とインターネットの可能性。ご縁が重なり、社会課題に興味を抱くように

新卒入社した大手アパレル会社での10年間では、ビジネスにおける基礎的な能力に加えて、企画・立ち上げの知見も得ました。具体的には、事業企画から新ブランドの立ち上げ、インターネット販売や全社共通CRMシステムの立ち上げ、海外物流の経験等です。

会社員として働く傍ら、とあるご縁で国内のビジネススクールに通い、MBAを取得しました。次第に、「大手企業のブランド力に頼らずに、自分の能力がビジネスの世界でどこまで通用するのか試してみたい」と、新たなチャレンジ精神がふつふつと湧き上がるようになります。

また、インターネット事業に取り組んでいた2008年頃、日本では、徐々に発展途上国における労働環境等の問題が注目されるようになってきました。当時発展途上国でのモノづくりが主流となっていたアパレル業界に携わる者として、「より安く作り、より安く売るという競争の先に何が残るのだろう」という想いが少しずつ強まってきました。

そんな時、自らがインターネット販売に関わっていたこともあり、途上国×インターネットの可能性を強く感じたのです。

例えば、バングラデシュや中国の農村に住む労働者は、工場で製作した製品を非常に安価な価格でバイヤーに売ります。その後、更にさまざまな仲介を経て、日本で売られるときには何十倍という価格になっています。

しかし、インターネットの力によって、途上国の労働者自身が直接グローバルな経済システムの流れにアクセスできるようになり、仲介者を介さずに取引ができるようになれば、彼らはもっと対価を得られるのではないかと思ったのです。

そのように考えていた矢先、通っていたビジネススクールを通じたご縁で、ファッション関連のソーシャルベンチャーと出会いました。彼らはまさに途上国における現状を変えようとしていたのですが、話を聞けば聞くほど、単にインターネットを持ち込めば問題が解決すると考えていた自分の浅はかさを知りました。

現実にはもっと根深く、難しい課題が入り組んで存在していました。それでも、果敢にそれにチャレンジするそのソーシャルベンチャーの志に共感し、転職を決めました。

入社後は主に国内の責任者として、店舗開発や運営、商品開発、その他人事総務等にも全般に関わりました。大企業から転職し、初めてのベンチャー企業は面食らうことも多く、これまで如何に他の同僚の力を借りて仕事をしてきたのかを思い知りました。ベンチャー企業は一般に、大企業に比べてマルチタスクです。特に規模が小さいうちは何から何まで自分でせねばならず人任せにできることは限られています。

日々発生する様々な課題にただひたすら立ち向かいながら、たくさんの失敗もしましたが、なんとか業績は伸ばすことはできました。入社3年目には常務執行役員に就任しました。

実はキズキ代表の安田さんと出会ったのも、この頃です。

その後、エネルギー業界のベンチャーへ取締役として参画。のちの経験がキズキへの転職を考えるきっかけの一つになります。

仕事と子育てにおける苦悩に直面。残りの人生は同じ苦しみを抱く方の力になりたい

取締役として参画するということは、業績貢献への高い期待を背負って入社するということですが、そんな期待とは裏腹に、非常に行き詰った時期がありました。

ソーシャルベンチャーでも数多くの失敗はありましたが、それでも業績アップに一役買った自負はあったので、「異業種転職でも同等の成果を出せるだろう」という思いはありました。しかし、後となっては自信過剰になっていたのだと思います。業界も企業の体質も異なる環境で成果を出すことは簡単ではなく、力不足で出来ないことばかり。自他ともに私への期待値が高かったため、そのギャップに苦しみ、心理的に大きなストレスを抱えました。

「期待されているのに、私の価値を全く発揮できていないじゃないか」

「このままではこれまで通りに家族を養うことができなくなるのではないか」

そのような不安な思いにさいなまれる日々でした。

これまで当たり前に過ごしていた安定した生活というのは、実は薄氷の上に成り立っていることであって、それまで考えもしなかった社会からのドロップアウトの危機を、身をもって経験しました。

幸いなことに周りの方々の支えがあり、追い詰められた状態は長引かなかったですが、当時はすべてのことがネガティブな思考へ陥っていました。これまでビジネス経験やキャリアを積んできたと思っていたが、こんなにもプレッシャーを感じて辛い経験をすることがあるのか。その他にも、ふとしたことでドロップアウトして苦しむ人は多いのかもしれない。そう考える度に、心の奥にしこりが残るようでした。

時期は異なりますが、小学生だった子ども が一時期不登校になり、親としての対応に非常に悩んだこともありました。登校を拒む子どもを無理やり学校に連れ出すのは良くないと思い、休ませて見守っていたものの、欠席が続くにつれて不安も募ります。

インターネットで不登校や引きこもりの親の対応について検索するものの、心から信用できる情報を見つけることが出来ず、暗中模索する日々。頼れる組織や人も分からず、当時は知り合いのツテで不登校に詳しい人がいないか聞くことしか出来ずにいました。

そんな状態が半年ほど経った後、明確な理由はわかっていませんが子どもは次第に学校へ登校するようになりました。

ほぼ同時期に子どもがよく遊んでもらっていた近所のお兄ちゃんも不登校になったこともあり、これまでは一般的な社会問題としてしか捉えていなかった「不登校」が自分ごととして感じられました。

3年間、一心不乱に取締役を務めた後、「残りの人生の時間や労力を使って本当にしたいことは何か?」と考えるようになりました。

そんなときに脳裏をかすめたのは、先述した二つの出来事です。仕事における心理的ストレスや、不登校の子どもがいる保護者としての苦悩。双方の社会課題に取り組む企業として「キズキ」が思い浮かびました。

それまで密接に関わりは無かったものの、私から安田さんにご連絡し入社に至りました。

良いチームは、一人ひとりが持つ他者へのまなざしとバランスで成り立つ

2020年5月に入社し、はじめにキズキビジネスカレッジ(以下、KBC)の運営を行いました。

KBCは、うつや発達障害で離職した人を対象に、専門スキルの習得と多様な進路への就職を支援するビジネススクールです。「就労移行支援」という障害福祉サービスの枠組みを利用してサービスを提供しています。

私も前職で仕事を理由にメンタルが落ち込んだ時期を経験していることや、MBA取得のために受講生としてビジネススクールに通った経験があることから、まずはKBCの運営を任されることになりました。

その後、学習支援事業部や管理部門も管轄する立場となり、今年の4月からは執行役員、7月から取締役に就任しました。

キズキを含めベンチャー企業を3社経験して感じるのは、「結局のところ、実際に入ってみないと実態の半分以上は分からない」ということです。

それでは何を信じて転職を決めるのかというと、僕の場合は「人」であると言えます。

なぜかというと、大きな試練が生じたときに乗り越えられるかどうかは、良いチームかどうかに左右されると考えるからです。

良いチームになるためには、何が必要なのか。その根本には、人への優しさが欠かせません。

私は入社前に、安田さんをはじめ他の役員の方々や幹部のみなさんとお話しする機会をいただき、「良いチームとして、お互いに信頼して働くことができそうだ」と思えたことで、安心して転職しました。

経営が上手くいくかどうかは、代表1人の力では決まらず、チームの在り方が決めると思っています。周りのベンチャー企業のお話を聞いても、上手くいっている企業は基本的にチームで動いており、1人が圧倒的なカリスマ性で引っ張り決断していく姿はあまり見受けられません。ソーシャルベンチャー時代の経験を踏まえても、チームプレーが良いと企業も成長していきます。

キズキで働く人々は、根本として人への優しいまなざしを持っていますし、だからこそ良いチームで働くことができると確信しています。

デジタルシフトとマーケティング志向で社会課題へのより深いアプローチを実現

今後キズキで必要な成長は、「デジタルシフト」と「顧客毎のニーズに合わせた提案力」です。 デジタルシフトにおける第1フェーズでは、「一般の民間会社が当たり前にやっていることを、キズキも行うこと」を目標にしています。

福祉・教育業界は他業界に比べてまだデジタル化が進んでいないように感じます。また、経営手法においても、一般民間企業が取り入れているような管理手法がまだ取り入れられておらず、結果としてロスが生まれているようにも感じます。このような非効率性の積み重ねは、結果として顧客の不利益となり得るため変えていく必要があると思います。経営手法においても、近代の手法が用いられていません。こうした非効率性の積み重ねは、顧客に被害が及んでいることもあると考えるため、迅速にあり方を変えなければいけません。

第2フェーズでは、テクノロジーを活用し「生きづらさへの包括的なソリューションの創出」を画策しています。

デジタルシフトや顧客のための事業展開を行い、キズキを「エクセレント・カンパニー(※)」と呼ばれるような会社にすることで、キズキの顧客や、働く人々のやりがいや幸福に繋げたいです。さらには、業界全体の生産性や、付加価値の向上に貢献したいです。

私個人の理想は、キズキが「困ったときに頼りたいと思える存在」になることです。生活に困りごとがないときは気にかけていないけど、困難が生じたときには真っ先に頭に浮かび、そして「キズキがいてくれたから、人生が変わった」と思ってもらえる会社です。

そのためには顧客を知り、お一人お一人のニーズにあわせた提案ができる会社でなければいけません。

これまでもキズキはさまざまな支援に取り組んでいますが、顧客を知るという点では、まだまだ改善が必要です。顧客へのヒアリングといった従来の方法に加えて、テクノロジーを用いた顧客の行動や感情を知り尽くすことが求められます。

そのうえで、「顧客が本当に求めているもの、足りないもの」を考え、本人自身も考えつかないような、一歩、二歩先をいく解決策を出さなければいけません。

人に寄り添う心はもちろん、社会や顧客への洞察力と潜在ニーズに向けた企画提案力を持つ仲間が増えてほしいです。

※エクセレント・カンパニー
元マッキンゼーのコンサルタントであるトム・ピーターズ氏とロバート・ウォーターマン氏によるビジネス書『In Search of Excellence: Lessons from America’s Best-Run Companies』の邦題に使用された用語。
『エクセレント・カンパニー』では、米国の超優良企業を対象に組織文化や企業文化を調査し、超優良企業であるために欠かせない特性を挙げている。

社会課題が自分ごととなったとき、人生で成し遂げたいことへと変わる

これまでキズキについてお話しましたが、「みんな社会課題に取り組もう!」と伝えたいわけではありません。

かくいう私も、キズキを知った時から良い活動をする会社だと思っていましたが、それだけでは入社に至りませんでした。

キズキが取り組む社会課題を「自分ごと」として捉えるようになったからこそ、キズキの一員になったのです。

数多ある社会課題の中でどれを選び、尽力し続けるのか。それは外から押し付けられるものではなく、自分の人生とマッチしたときに初めて取り組みたいと思えると言えます。

私の原動力は「過去の自分と同じ苦しみを味わう人がいない社会を創る」という思いです。

聞こえはいいかもしれませんが、実現までの道のりは一筋縄ではいかず、それでも諦めずに取り組まなければいけません。だからこそ、心から尽力したいと思う方に仲間になっていただきたいです。

やりたいことが分からず悩んでいる方は、情報のシャワーをたくさん浴びて、社会の動きやご自身に深く目を向けてみてください。本当に成し遂げたいことに気づく可能性が高まります。

最後に、「誰しもが心からやりたい仕事に全力で取り組んでほしい」というのが私の願いです。

世の中には自分の考えを縛る価値観や固定概念があります。

環境や学歴、人の意見等、守りたいものが多い人ほど、身動きが取れなくなってしまうかもしれません。それでも限られた時間を本心とは異なることで消費するのは、非常にもったいないことではないでしょうか。

「ありたい姿」があるのであれば、いま一度、あなたの理想を妨げる考えを取っ払ってほしいです。

キズキでの働き方にご興味のある方は、会社説明会や応募フォームへのお申込をお待ちしております。

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