2026年8月、きのもと商会の採用サイト・β版が公開されました。
今回は、採用サイト制作プロジェクトに関わったメンバーが集まり、プロジェクトを振り返っていきます。
創業8年目にして、なぜ今採用サイトプロジェクトがスタートしたのか?
今の形になるまでにどんな経緯があったのか?
「β版」ってどういうこと?
などが話題に。
採用サイトと併せて、ぜひご覧ください。
きのもと商会|採用
参加メンバー
- 村山さん(代表/ファシリテーター)
- 石倉さん(デジタル・ディレクション事業部マネージャー/プロジェクト全体の進行)
- 朝日さん(デジタル・ディレクション事業部デザイナー/デザイン面でのアイデア出しを担当)
- 瀬戸さん(コーポレート/採用現場目線でのアイデア出しを担当)
採用サイト制作がスタートしたきっかけ、なぜ今?
村山)
採用に関して大きな課題を抱えているわけではなく、安定して回せている状況だとは思っています。ただ、採用情報がまとまっていて応募が来るのがWantedlyのみという現状もあって。採用の幅をもっと広げていきつつ、自社の雰囲気も含めて伝えられる場所があった方がいいのではという思いがありました。
もう一つ、今デジタル・ディレクション事業部(以下DD)が採用サイト制作に力を入れているので、その取り組みが対外的にも見えていた方がいいのではという意図もありましたね。
石倉)
DDとしては、採用サイトのプロとしてクライアントに提案を行っています。採用サイトの研究や分析にはかなり時間をかけていますし、実績も増えてきています。ただ、採用戦略は基本的に企業秘密なので、他のクライアントの情報を提案の場で話すわけにもいかず、実績として語りやすいかというとそうではない部分も正直あって。
でも自社の採用サイトであれば、狙いや具体的な変化も話しやすくなる。これは「やらない理由がない」という気持ちで取り掛かり始めました。
瀬戸)
もともと、サイトとまではいかなくても、NotionなどでなにかしらWEB上に採用情報をまとめた方がいいのではという思いはずっとあったんです。ただ、なかなか手がつけられていなかった部分でもあって。
石倉さんが採用サイトについてのナレッジをまとめているnoteがあることは以前から知っていたので、この内容をきのもと商会として実践できるのであればとても面白そうだと思いました。
採用サイトを持つ意味とは
村山)
デザインを考える前に、コーポレートサイトの中に採用ページを作るのではなく、あえて別物として採用サイトを作る意味はなんなのかというところからまず整理しましたね。
クライアントからもよく聞かれる質問だと思うんですが、どうですか?
石倉)
確かに、よく聞かれますね。結論としては、「場所としてあった方がいい・なくていい」という話ではなく、コーポレートサイトと採用サイト、それぞれ「誰に・何を伝える場所なのか」という定義や役割をきちんと整理することが大切だと考えています。
今回のプロジェクトでも、どんな人を採用したいのか、採用サイトで何を見せたいのかという話だけで、打ち合わせを3回ほど重ねましたね。
村山)
メンバーの見せ方についても議論しましたね。プロフィールなど個人にフォーカスした情報を採用サイトに載せるべきかどうか、という話です。
最終的には、採用サイトでは、メンバー同士の関係性や仕事へのスタンス、カルチャーを見せるということに重点をおき、そこに共感できる人に来てもらえるようにする、という方向でまとまりました。
一方で、個々のメンバープロフィールはコーポレートサイトに飛ぶ形で見せていく、というサイト同士の連携の話にもなりましたね。
瀬戸)
コーポレートサイトに事例や関わったメンバーのプロフィールをまとめておくことで、クライアントに向けた見せ方と、候補者に向けた見せ方の差別化もできそうだなと思いました。採用サイトとコーポレートサイトがうまく役割分担できる形ですよね。
今のサイトが形になるまで
村山)
採用サイトの定義や役割を考える時間をしっかり取ったからこそ、デザインは意外とすんなり決まった部分もあるんじゃないかと思います。
瀬戸)
採用サイトを通じてカルチャーを感じてもらう、という方向性が決まって、じゃあ感じて欲しいカルチャーは何なんだろう?と考えたとき、「社内全体としてテキストコミュニケーションが意外と多いよね」、という気づきがありました。
うちはリモートOKにしているんですが、基本的に出社しているメンバーがほとんどなので、直接話す機会が少ないからテキストでのやりとりが多い、というわけでもないんですよね。
それでもプロジェクトのことからちょっとした相談や雑談まで、いろいろな情報をテキストに残してオープンに共有している。それが、みんなで仕事をスムーズに進めていくためのコミュニケーションとして自然と根付いているんだと思います。
石倉)
そうでしたね。そのテキストコミュニケーションの多さをどうやって可視化するか、というところからアイデアを出していきました。
チャット形式のQ&Aコーナーを作る、メンバー紹介に吹き出しをつけるなど色々な案が出たんですが、グラフィックやビジュアルで表現するよりもテキストを「読んでもらう」ことに注力する方がいいのではという話になって。
そうなると、なるべく抵抗感なく馴染みのある形で文章を読んでもらうにはどうすればいいか。そこで思いついたのがSlackでした。
朝日)
実際、きのもとの人たちってSlack使うの上手ですよね(笑)
さっき瀬戸さんが言っていたように議事録、書類の共有などプロジェクトに関わる内容はもちろん、スタンプも新しいものがたくさん出てきますし、ちょっとした日常写真もほぼ毎日共有されますし……。社内のあらゆる情報がSlackにまとまっているというか。
そう考えると、Slackの形はきのもと商会のカルチャー、空気感を伝えるにはピッタリだったのかなと思っています。
村山)
Wantedlyは同じフォーマットで複数の会社を横並びに比較できるというメリットがありますよね。
一方で採用サイトの大きなメリットは、自社の世界観をしっかり表現できることにあるんじゃないかと思います。
そういう意味でも、きのもと商会の日常にある要素から考えてサイトを作っていくという決め方ができてよかったです。
瀬戸)
Slackをイメージして採用サイトをつくる、というアイデア自体は面白そうだと思いつつ、実際にどう形にしていくのか、最初はイメージがつかない部分もありました。
石倉さんに大枠を作ってもらった後、事業部紹介や募集要項などのコンテンツ部分を私の方で入力していくという形で進めていったんですが、Slackはもともと長い文章を読むためのものではないので、その見た目をそのままWebサイトに落とし込むと、メリハリがつきにくくて読みづらくなるかも……という懸念もあったんです。
でも意外とStudio(今回の採用サイト制作に使用したノーコードツール)上ではボリュームのある文章も見やすく配置できることに気づいて。私自身Studioの操作に慣れているわけではなかったのですが、感覚的に操作できる部分も多くて面白いなと思いました。
結果としてSlackっぽさ、と採用サイトとして伝えたい情報を載せる、ということの両立は叶ったのではないでしょうか。
▼採用サイトの一部を公開
採用サイトを「デザイン」するとは?
村山)
テキストコミュニケーションの多いカルチャーを伝えたいという意図がある反面、今回のサイトはテキストコミュニケーションが苦手な人にとっては少しハードルが高く感じるデザインになっているかもしれません。
コーポレートサイトは、事業やサービスをクライアントにわかりやすく伝えてどれだけ興味を持ってもらえるかが重要ですが、採用サイトのデザインは「誰が見てもわかりやすい」ことだけが重要なわけではないのかもしれない、とも思っています。
石倉)
確かにそう思います。
採用サイトには、会社への理解を深めて「応募したい」と思わせる「アクセル」の役割と、カルチャーが合うかどうかを一歩踏みとどまって考えられるような「ブレーキ」の役割、両方が必要だと考えています。今回の採用サイトも、派手な動きや全く新しい仕掛けがあるわけではないですが、採用サイトとしての役割をきちんと果たすデザインになっていると自信を持っています。
見た目を整えることや細部にこだわることも大切な要素ではありますが、それだけでは良いデザインとは言えないですよね。
村山)
採用サイトといえば、あえてシンプルなデザインに振り切ったbaigieさんのサイトが以前話題になっていましたよね。
今回のプロジェクトでも、あの採用サイトがなぜこんなに伝わりやすいのかを要素分解しながら、自分たちのデザインに反映させることができたと思っています。既存のUIの型を採用することでカルチャーを伝える、という方法に挑戦できたのは良いチャレンジだったのではないでしょうか。
デザイナーの朝日さんとしては、このデザインの作り方は面白さがありましたか?
朝日)
面白かったですね。
デザインを作るにあたって、役割や目的を整理してそれに合った最適な形を考えていくことはもちろん大切にしていますが、「良いじゃん!」「面白そう!」という感覚も同じくらい大事なのかなと思っています。
今回は自社のサイトということもあって、そういった感覚のまま進められた部分も多かったので、純粋に楽しかったです。
「β版」ってどういうこと?
石倉)
サイトのメニューや見せ方を考えるにあたって、色々な視点が欲しいと思ったんです。
最初は公開前の状態を社内にリリースして意見をもらうことも考えたのですが、いっそ「β版」という形で公開して反応を集めてみるのも良いのではという話になりました。
また、ここからどのような変更を行い、それによって採用にどんな変化があったのかというデータも、ひとつの重要な記録になると考えています。
変わり続ける採用サイト、というのも特徴的で面白いんじゃないかと思っています。
朝日)
更新がある、ということはその裏で人が動き続けているということでもあると思っていて。それは「動きがある組織だ」という安心感にもつながるし、なんとなく人の存在も感じられるじゃないですか。
これまで話題に上がっていたようなデザインから伝わる雰囲気の他に、「動きがある」という様子から伝わる親しみやすさも、このサイトの魅力になるんじゃないかと思います。
村山)
ひとつの完成形を作って、その後に大きな改修を行うというよりも、小さな変更を重ねていける状態にしておくことで、より良くなっていくのではという期待があります。
いつか「完成版」が公開されるというわけではなく、あくまでずっとβ版であり続けるというイメージですね。
実はこの座談会、採用サイトの公開後ではなく公開直前のタイミングで集まっています。
ほぼ形ができあがった採用サイトを見ながら、
「きのもとっぽいね」「スタンプや写真の入れ替えどうしよう」「いろんな村山さんの写真にしてみるのはどうだろう」「まだまだ足したいことはある」「会社の資料を入れてみて、ダウンロード数まで分かったら嬉しいな」「投稿の日付が出てきたらよりSlackみたいで面白いかも」「メニュータブ、この内容でいいのか?」など、様々な声が飛び交いました。
あえて未完成の状態にしておくことで、より良くしていくための自由な発想が生まれてくる。そのことがとても面白いと感じました。