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「本物の顧客志向を追求したい、その思いが僕をカスタマーサクセスという仕事に辿り着かせた」取締役CCO 鈴木奨平(全3回)

本日はカラクリで活躍するメンバー「カラクリスト」の1人であり取締役CCO(チーフカスタマーオフィサー)の鈴木奨平さんのインタビューをお届けします。

カラクリ4人目のメンバーとして、創業初期はスタートアップ精神溢れる「何でも屋」としてカラクリを支え、今は5名のメンバーが居るカスタマーサクセス※チームのリーダーとして「お客様のサクセスのため、出来ることは全てやる」を信念に、カスタマーサクセスとしてのキャリアを突き進んでいます。そんな奨平さんが、カラクリにJoinした理由や、カスタマーサクセスに情熱を注ぐに至った原体験など、これまでのキャリアを基に紐解きながら伺いました。

※ カスタマーサクセス…自社サービスを顧客に活用してもらうことを通じ、顧客が抱えている、あるいは今後直面するであろう様々な課題の解消を継続的に支援し、顧客が理想とするゴールに向けて伴走すること。

欠品は仕方ないこと?

- それでは奨平さん、何やら改まってインタビューをするのは照れ臭いですが、本日はよろしくお願いします笑。まずはこれまでのキャリアやカスタマーサクセスに関連するエピソードについて教えていただけますか?

奨平さん:はい。僕は、大学時代にアルバイトで2年間、新卒から7年間は小売業に携わっていました。主に別の企業が運営している延べ250店舗くらいの運営指導を担当していました。いろんなお店を見てきたのですが、売れている商品を欠品させてしまうという場面がよくありました。その理由として、予想以上に売れてしまったからというのは最悪仕方ないかもしれませんが、決算対策など目先の自社の利益を確保するため、あえて欠品し続けるということも多く目にしました。

- あえて欠品…ですか?

いくつか理由があるのですが、期末は在庫を絞った方が棚卸作業がしやすくなるメリットがあります。在庫量が影響する経営指標を良く見せることもできます。社会人になってから従事していたレンタルビジネスの場合は、仕入れた時点で原価になり利益が出るまでに時間がかかるので、期末までに利益を回収できないものは仕入れないこともありました。

- なるほど…

もちろん、その事情はわからなくはないのですが、このようなことが四半期に1回など慢性化している店もあったので、お客様は他の店、あるいはネットに流れ(当時はネットでの購買はまだそこまで浸透していませんでしたが)、短期的に良くても中長期的にはお客様を失い、業績も下がるのでは?ということを当時から疑問に感じていました。

それは誰のための仕事?

- 企業側にも事情があるとは言え、売れている商品を切らすというのはお客様にとって良いこととは言えないので、そこに疑問を感じていたということですね。それ以降のキャリアについても教えて頂けますか。

奨平さん:その後、コンサルティング業界に転職しました。カラクリにJoinする前に業務委託で働いていた期間も入れると約2年半この仕事をしています。僕がアサインされたプロジェクトの顧客は誰もが知っている大企業の部課長クラスの方がほとんどでした。そのような方々からコンサルティングの仕事をご依頼いただき、非常に貴重な経験ができたのはありがたかったです。ただ中には、納品するプロジェクトの報告書が事実を積み上げてその顧客のためになるような提案をするというよりは、発注時点で発注者の意向に沿う内容にしないといけない、つまり最初から報告して欲しい答えは決まっていて、それに必要な材料を集めストーリーをつくっていくために仕事を進めるようなこともしばしばありました。

- 答えが決まっている出来レースのような仕事もあったということでしょうか?

奨平さん:はい。顧客はその答えに導くプロセスで困っていらっしゃるので、我々に仕事を依頼されるわけです。ただその答え自体が間違っている可能性もあるのに、それには触れられないジレンマはありました。さらに、「コンサルティングは提案だけでその後の責任を負わない」と批判的なことを言われるケースがありますが、プロジェクトによっては実際にそのように感じたこともありました。自分がやっていることは本当に正しいことなのか?自問自答することも多かったです。

各部署でやっていることがバラバラ

- そんなことがあったんですね。コンサルタントと顧客の関係だけではなく、企業によっては上司と部下でも同じようなことがあったりしますよね。。

奨平さん:残念ながら、そういうこともありますよね。その後、人材系の会社でマーケティングや事業企画の仕事をしていました。当時、僕の部署のミッションの1つは売上に繋がりそうなユーザー数(求人サイトだったので会員数や応募数)を最大化することでした。ただ部署としては、そのユーザーが実際に売上に繋がっているかどうかは気にせず数値を最大化しろという状況でした。また、営業に関しては売上がミッションだったので、とにかく何でもいいから数字を上げることが目的になり、その後の顧客(ここでは求人掲載企業のこと)満足度のことはあまり気にしていませんでした。また、カスタマーサポートの部署もあり、ユーザーや顧客からの生の声も上がっていましたが、それらが活かされているとは言い難い状況でした。

これらは、各々がユーザーや顧客の方を見ずに、自分たちの部署のことしか考えてなかったことが原因です。会社全体でのベクトルが顧客の方に向いていなかったんです。当時は社長と近いところで仕事をしていたので、ユーザーや顧客の声に真摯に向き合い、マーケティングやセールスを行いながら価値を提供し、彼らの満足度を高めていこうと試みたものの、自分自身の力不足で会社を良い方向に変えられなかったことは今でも後悔しています。

顧客の言うことを聞くな、顧客のためになることをなせ

- 各部署で自分たちが正しいと思っていることをやっていても、実は全体で見ると一枚岩ではなかったんですね。。逆に、奨平さんの仕事観が確立されたようなエピソードがあれば聞かせて下さい。

奨平さん:先程の新卒で入った会社の行動規範の1つで「顧客の言うことを聞くな、顧客のためになることをなせ」というのがあるのですが、これは本当に印象に残っていますね。社長が常日頃から口酸っぱく「顧客のことを考えろ」と仰っており、それが末端の社員まで浸透している「顧客志向」な文化でした。実際に僕も旗艦店の立ち上げのプロジェクトメンバーだった時に社長と一緒に仕事をさせていただいたことがあるのですが、まだ未完成の店の中や店の周辺の街を社長自らが歩いて周り、細かいところもフィードバックいただいたことは鮮明に覚えています。

また、本当の「顧客志向」というのは「本当に顧客の為になることであれば顧客の言うことに無理に従う必要もなく、顧客自身も気づいてない価値を提供することだ。」というのもここで学びました。

僕はなぜずっと悩み続けていたのか?実はこの価値観、考えに影響されていたのだということに、ここ数年で気づきました。

これらの経験を通し、ビジネスなのでもちろん自社の利益も大事ですが、本当に顧客のため、社会のためになる仕事をしたいという思いを持つようになりました。「カスタマーサクセス」という概念を知った時に、僕の中で真っすぐな一つの道が浮かび上がった気がしました。

続く…

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