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社内外で活躍し、女性エンジニア界を盛り上げる──技術マネジメントを担うテックリードが描くキャリアパス

Contents

  • 「もっとユーザー目線で」との想いでSIerから自社開発企業へ
  • テックリードというロールにはこだわらず、チームに必要な役割を担う
  • 無意識のバイアスを無くし、女性エンジニアが働きやすい環境へ
  • ハイスキルでなくとも活躍している女性エンジニアはいる

エンジニア職における女性の比率は22.6%(2023年度)というデータがあります。昔と比べれば増えてきているようですが、そもそも女性エンジニアの母数が少ないことには変わりありません。

カオナビには、そんな中でも着実にキャリアを築き、テックリードとして開発プロジェクトチームを技術的にリードする女性エンジニアがいます。今回は、社内でのテックリードとしての活躍に留まらず、女性エンジニアを応援するため社外での情報発信にも取り組む奥津 絵里子さんに話を聞きました。

参照:「2023 年版 情報サービス産業 基本統計調査」一般社団法人情報サービス産業協会

Interviewee

プロダクトデベロップメント本部 サービスデザイン部 Strategy2グループ

奥津 絵里子

SIer企業で受託開発を経験後、デザインワン・ジャパンで機能開発に従事。2022年にカオナビに入社、現在は分析機能の開発を担当しテックリードとしてチームをリードする役割を担っている。また、女性エンジニアコミュニティWAKE Communityでエバンジェリストとしても活動し、社外に向けた情報発信も行う。

「もっとユーザー目線で」との想いでSIerから自社開発企業へ

──奥津さんがエンジニアとしてのキャリアを歩むことになったきっかけは何ですか?

奥津
大学卒業のタイミングで「何か手に職を付けたいな」と思ったのがきっかけです。当時はあまり多くの選択肢が見えておらず、総合職になって働くか、システムエンジニアになるか、と考えていました。

大学では文系でしたから、システムエンジニアの仕事に関してしっかりと理解できているわけではありませんでした。それでもエンジニア職を選んだのは、これから盛り上がっていく仕事だろうと思ったからです。エンジニアリングの知識は会社に入ってからOJTや資格勉強を通じて学んでいきました。

最初はSIer企業で受託開発をしていましたが「もっとユーザーに近い場所で、ユーザーが本当に求めているものを開発したい」という想いを持つようになり、自社開発サービス企業へ転職しました。

──なぜ「ユーザーに近い場所で、ユーザーが求める機能の開発がしたい」という想いが生まれたのですか?

奥津
SIer企業で受託開発をしているときはクライアントと直接対話する機会が多かったのですが、その中で『カイゼン・ジャーニー』という本を読んだことをきっかけに、そう考えるようになりました。

『カイゼン・ジャーニー』は、プログラマーである主人公が数々の試練を乗り越えながらプロジェクトリーダーとして成長していく物語を中心としながら、アジャイル開発がどのようなものか学べる本です。ユーザーの業務を深く知り、ユーザーが本当に求めるものを作るためにアジャイル開発するというストーリーに共感して、私もそれをやりたいなと思ったのです。

ただ、SIer企業でそれをしようと思うと、クライアントとの関係性づくりが私1人ではなかなか難しくて……。そこで、自社開発の企業ならもっとユーザーのことを考えられるかな、と思い転職しました。

──その後カオナビに入社されたんですね。カオナビへの転職を考えたのはなぜですか?

奥津
前職の企業で働いているうちに「もっとスキルを伸ばしたいな」と考えるようになったのが、カオナビへの転職のきっかけです。カオナビは、技術カンファレンスの登壇者が多く所属しているので、ここなら自分のスキルも伸ばせるのではないかと思い入社を決めました。

テックリードというロールにはこだわらず、チームに必要な役割を担う

──現在はどのような業務を担当されているのですか?

奥津
「カオナビ」の分析機能を開発するStrategy2グループで、主にバックエンドエンジニアとして働いています。また、グループ内でテックリードとしての役割も任せていただいており、プロジェクトチームを技術的にリードしていく立場を担っています。

──入社されてから今までの業務の変遷について教えてください。

奥津
最初はDevOpsというチームにいました。そこは「カオナビ」の全機能に対して横断的に顧客からの問い合わせ対応やリリース管理を行う部署で、私はバックエンドエンジニアとして問い合わせ内容の調査や不具合修正を担当していました。顧客と直接やり取りをしていたわけではなく、カスタマーサポート経由での対応です。その後、今所属しているStrategy2グループに異動しました。

Strategy2グループに移った当初は、バックエンドエンジニアのメンバーとして開発に携わっていました。最初は「カオナビ」のワークフローシステムの開発チームにいて、その後ダッシュボード機能の開発チームに移り、最終的に移ったのが今いる分析機能の開発チームです。

テックリードとしてのロールに就いたのは、分析機能の開発チームに移った頃です。チーム構成が少し大きくなったのでグループ内でチームを2つに分け、各チームにディレクターの補佐をするリードエンジニアとしてテックリードを置くことになったのです。今はチーム自体が縮小して1つのチームにまとまったのですが、変わらずテックリードの立場を任せていただいています。

​──なぜDevOpsからStrategy2グループへ異動することになったのでしょうか?

奥津
DevOpsは主に問い合わせ対応や不具合修正の部署で、当初私が考えていた「もっとユーザーに近い場所で、ユーザーが本当に求めているものを開発したい」という想いからは少し離れていました。最初はDevOpsでの採用と伝えられましたが、まずはやってみようということで入社したのです。ただ、それでも「ユーザーが求める機能の開発がしたい」という気持ちはまだ持っていました。

異動のきっかけになったのは、入社から1年くらい経った頃、全社総会「カオナビキャンプ」でカスタマーエクスペリエンス部の千葉一恵さんとつながったことです。カスタマーエクスペリエンス部は、主に「カオナビ」の機能開発を行っているチームで、私の想いに近い仕事ができそうな部署だと思っていました。

その後、千葉さんに「こういうことがしたい」と話したことがきっかけで、カスタマーエクスペリエンス部への異動が実現しました。

弊社には、半期に一度上司を通さずに異動希望を出せる「ハンズアップ制度」というものがあります。私は利用していませんが、こういった仕組みを会社側で用意してくれていると自分の挑戦したいことにも手を挙げやすいですよね。思い描いたキャリアを築きやすい会社だと感じています。

──現在はテックリードとしてプロジェクトチームを技術的にリードされているということですが、これまで勤めてこられた企業でもそのような役職に就かれたことはありましたか?

奥津
前職でも保守チームのリーダーを務めていましたし、リーダー経験はこれまでにいくつかありました。その経歴もあって、テックリードを任せていただいたのかなと思っています。

──テックリードとしてのお仕事について、今の手応えはいかがでしょう?

奥津
正直、手応えはまだありません。日々難しさを感じています。私は技術的に「ここが強いです!」という部分を持っていないのですが、それでもメンバーのフォローを行わなければならないので、知識が足りないところについて勉強する必要がありました。今もまだ弱点ではあるのですが、知識不足を感じているフロントエンドのタスクを少しやってみるなどして、概要がつかめるように心がけています。

──今後取り組んでいきたいことや、目指していく方向について教えてください。

奥津
テックリードの役割の1つに、ディレクターやQC(品質管理)・QA(品質保証)との協業を図ってチーム全体をまとめる、という役割があります。そのためにはディレクターがメンバーに何を求めているのか、チームがどういう形になってほしいのか、どのような考え方をしているのかを知らなければなりません。そういう意味では、ディレクターのスキルを身に付ける必要があるのではないかと考えています。

ただ、私自身がテックリードとしてやっていくことに対するこだわりはありません。チーム内の役割として私がリードしていくことが求められているのならやりますが、そうでなければ私自身のロールにはこだわらないというスタンスです。いずれにせよ、チームでの開発がもっと良くなればいいなという想いは常に持っています。

無意識のバイアスを無くし、女性エンジニアが働きやすい環境へ

──続いて、奥津さんが女性エンジニアとして活躍されているという点にも目を向けていきたいと思います。そもそも、エンジニアの女性比率が低いのはどうしてなのでしょう?

奥津
一般的には、理系に進学する女性が少ないから、結果的にエンジニア職に就く女性も必然的に少なくなるのだと言われています。世界的に見ても日本は理系分野における女性比率が低く、OECD(経済協力開発機構)加盟国では最下位なのだそうです。このように理系に進む女性が少ないのは、「女性は理系科目が苦手」といったようなアンコンシャスバイアスがあるからではないかと思います。

ただ、近年は日本全体で性別役割のバイアスをなくそうとしている傾向が感じられるので、今後は理系に進む女性も徐々に増えていくのではないでしょうか。そうなれば、女性エンジニアも増えていくかもしれませんね。

参照:「Education at a Glance 2021」OECD、p199, Table B4.3. Distribution of new entrants into tertiary education by field of study (2019)より

──奥津さんは、社外でも女性エンジニアを応援する活動をされていると伺いました。

奥津
女性エンジニアのコミュニティ「WAKE Communityで、エバンジェリストとして活動しています。このコミュニティはbgrass社の女性エンジニア向け転職サービス「WAKE Career」が運営するもので、エバンジェリストは自ら応募して認定していただきました。

──なぜエバンジェリストに応募されたのですか?

奥津
各地の技術カンファレンスにブースを出して女性エンジニアが行きやすい空間づくりをしたり、女性エンジニア向けの勉強会やイベントを開催したりといった活動に取り組む「WAKE Career」に強く共感したから、というのが大きな理由です。

技術カンファレンスの参加者はほとんどが男性で、登壇や情報発信をしている女性は少ないのです。私自身、カンファレンスに興味を持っても行きづらいと感じることが多かったので、そういった女性エンジニアを応援する活動をされているところがいいなと思い、私にも何かお手伝いできることがあればという気持ちで、エバンジェリストに応募しました。

──術カンファレンスの行きづらさや情報発信のやりづらさについてもう少し伺いたいのですが、なぜそういった女性エンジニアにとってのやりづらさが発生してしまうのでしょうか?

奥津
やはり女性比率が低いから、というのは大きいでしょうね。それと、技術発表の場においては女性の方が低く見られがちで批判を受けやすいと言われていることも、登壇や情報発信のやりづらさにつながっていると思います。

ドイツのNGO団体Terre des Femmesが行った実証実験によれば、男女で同じ経歴とスキルを持って同じ会社の採用面接に行ったところ、男性の方が平均33%高い給与を提示されたという結果が出ています。それと同様に、女性エンジニアは低く見積もられがちなのではないでしょうか。

参照:「The Gender Salary Experiment by Terre Des Femmes」Terre des Femmes

──確かに、エンジニアに限らずさまざまなところで「女性はスキルを低く見られがち」という話を聞くことがありますね。そういったバイアスは今後どうすれば無くなっていくと思いますか?

奥津
まずは自分の中にもアンコンシャスバイアスがあるかもしれないと知る必要があります。先ほどお話しした研究結果を知識として知っているだけでも、「無意識のうちにバイアスがかかっているのでは?」と気付くきっかけになりますよね。そういったきっかけを作っていけば、平等で公平な視点を持つ人が増えて、女性エンジニアもさらに働きやすくなるのではないでしょうか。

──そのあたりを意識しながら、エバンジェリストとして活動されているということですね。これまでエバンジェリストとして活動されてきて、奥津さん自身には何か良い影響はありましたか?

奥津
他の女性エバンジェリストと交流した際に、自分の中でモヤモヤしていた気持ちに共感してもらえたことで「これは自分の思い込みではなく他の人も感じていた気持ちだったんだ」と気付き、自信につながりました。そのおかげで、バイアスをかけない視点を持つことを啓蒙していこう、という指針も見えてきたように思います。

ハイスキルでなくとも活躍している女性エンジニアはいる

──奥津さんの中で、女性エンジニアとしてのロールモデルとなっている人はいますか?

奥津
いえ、実は私にとってのロールモデルはいないんです。ただ、それは「この人がロールモデルだ」と決めてしまうと自分が目指す方向とのズレが生じたときに苦しくなりそうだと思ったので、あえて決めていないのです。各所で「この人みたいになりたい」と感じた人は男女問わずいらっしゃいますが、ロールモデルを1人に定めたことはありません。

​──これまでに女性がエンジニアとして活躍してきた例が少ないからこそ、自分にぴったりのロールモデルがいない、ということにもつながるのかなと感じました。

奥津
ある意味では、それが私自身がエバンジェリストとして活動している理由の1つにもなっている部分もあります。技術的に特化したハイスキルな女性エンジニアは目立ちますが、そうではなく私のように、企業の中でプロジェクトをリードしているエンジニアの1人として“普通に”女性がいるということも、継続的に伝えていくべきだと思うんです。女性エンジニアの母数を増やすだけではなく、こんな人もいるんだと気付いてもらえるように活動していきたいですね。

──今後、女性エンジニアを取り巻く環境に対して「こうなってほしい」と思うことはありますか?

奥津
今後は、リーダー層にいる女性エンジニアの数がもっと増えていけばいいなと思っています。若手の女性エンジニアは増えていますが、リーダー層にいらっしゃる方がまだ少ないんですよね。だからこそ、男女関係なくスキルを高めてステップアップを目指せる環境づくりが必要です。

これは私の肌感ですが、女性よりも男性の方がチャレンジングな仕事を与えられる機会が多いような感覚があります。その原因はマネジメントする立場の人に男性が多いからなのか、ライフイベントが重なって退職せざるを得ない女性が多いからなのか、本当のところは分かりません。女性エンジニアの母数が増えていけば、そういった部分も変わっていくのかもしれません。

私はこれまでエンジニアとして働いてきて、男性比率が高い中でステップアップしていく難しさなど、女性エンジニアならではの課題を感じ取ってきました。そういった課題の数々も、私自身が発信することで少しでも良い方向に変わっていけばいいなと思います。


▼その他インタビューをご覧になりたい方はこちら
kaonavi vivivi(カオナビの「人」と「組織」が見えるメディア)


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