こんにちは、カケハシ公式note編集部の鈴木です。
カケハシでは日頃から社内Podcast「カケハシラジオ」を公開しています。社内のさまざまなできごとやトピックスをお送りしていますが、メインコンテンツの一つとして配信を行っているのが、一人のメンバーをゲストに迎えてお送りする「月イチ!カケハシさん」。
カケハシとの出会いや仕事を進めるうえで大切にしているスタンスなど、メンバーの人柄を紐解くための企画です。
これまでは社内だけで公開していたカケハシラジオですが、せっかくなので「月イチ!カケハシさん」をnoteでもおすそわけする運びとなりました。ラジオパーソナリティは、ブランディングチームの上田恭平さんと鈴木啓祐さん。それでは、今月もカケハシラジオの世界を覗き見していきましょう!
目次
- 歳を重ねて見えてきた「半径3メートルの先」の世界
- 自身を盤上の「駒」として、適材配置を考える
- 麻雀に学ぶ、「運」との上手な付き合い方
上田恭平(以下、上田):カケハシのみなさん、こんにちは。上田です、よろしくお願いします。
鈴木啓祐(以下、啓祐):鈴木啓祐です。
上田:最近のカケハシラジオは、全体会議でのリレースピーチのアフタートークのような形でお送りしております。今回は、2023年11月度のリレースピーチを担当いただいた、松山さんをゲストにお迎えしてお送りしたいなと思います。松山さん、よろしくお願いします!
松山哲也(以下、松山):よろしくお願いします!
上田:先日のリレースピーチでは、バリュー「変幻自在」の解釈として、自分の役割を抽象化し、こだわりを相対化していくっていう考え方を話してくださいましたが、これってバリューの個人的な解釈だけに留まらず、松山さん自身のキャリア感、仕事感にもなっているのかなと思いながら聞いていたんです。
松山さんといえば、カケハシ創業当初からのエンジニアであり、もう7年ほど長きにわたって貢献していらっしゃいます。一方で、次で50歳を迎えるとのことで、キャリアについていろいろと考えることも多いとのこと。ということで今回は、ミドル世代のキャリアをテーマにいろいろとお話していけたらと思ってます。よろしくお願いいたします。
歳を重ねて見えてきた「半径3メートルの先」の世界
上田:リレースピーチの際、松山さんが「エンジニアであるというこだわりさえも抽象化していく必要がある」って仰っていたのがすごく印象的だったんです。逆に、今はどんなところにこだわっているのかなと。
松山:そうですね、今はやっぱりなにか社会に一つくらい貢献したいって思いがありますかね。というのも、これまでのキャリアのなかで携わった事業が成功した経験っていうのがあんまりなくて。
もちろん仕事をするなかで工夫をしてみたり、新しい技術を導入したりして、自分なりに成長していって今があるんですけれど、世の中に対する影響は大して与えられていないんですよね。
そろそろ50歳っていうことを考えると、あと働けるのは10年、しかも能力は衰えていく。そしたら、やっぱり一つくらいは世の中に貢献したといえる仕事をしたいなと考えるようになりました。
自分が死ぬときに「ちょっとくらいはいいことしたんじゃないかな」って思えて、安らかに眠りにつきたいな〜なんてことを考えて、今働いています。
上田:それが、自分自身の唯一のこだわりっていうことなんですかね。
松山:今はそうですね。だから、個人としての成長を最優先にはしていないとかにはもうあんまりこだわっていないのかなと。若い人はどんどん成長を目指してほしいなって思うんですけれど、僕は今から成長してもなって。
もちろん成長したいとは思うけれど、そのためだけに特別なことをするっていう選択肢はないんですよね。必要な業務を通じて、結果として成長できているなら、それは嬉しいことだと思うばかりです。
上田:成長自体を目的とするのではなく、世の中に価値を残すような仕事をしたいというモチベーションが第一であるっていうことですよね。基本的には世の中に価値を残すような仕事をしたいっていうモチベーションのほうが強いっていうことですよね。カケハシに長年在籍して仕事に取り組んでいるのも、社会に爪痕を残しうる環境だからなんですか?
松山:そうですね。日本国内の課題ってたくさんあると思うんですけれど、医療費の問題ってかなり重要度の高い問題だと思っていて。
上田:社会保障費の問題。
松山:はい、そういう点の課題解決において、わずかながらでもお役に立てる実感があるからカケハシでずっと働いていますね。
上田:仕事でどう成長したとか、このスキルを手に入れたいとか、そういった点じゃないところにモチベーションが湧いているからこそ、ひとつの職場に長く在籍し続けられるっていうのはあるかもしれないですね。
松山:そういう意思を持っている若い人を否定しているわけではないし、そもそも若い人こそ野心を持っていてほしいとは思うので、まあ年齢がそうさせているのでしょうね。
上田:松山さん自身も歳を重ねるごとに考えが変わってきたんですか?
松山:若い頃は、事業貢献とかってあんまり考えていなかったんですよね。自分自身も意識が低かったですし、半径3メートル圏内しか見えていなかったような気がします。でも、歳を取ってくると自然とまわりが見えてくるじゃないですか。そこから、だんだんと他の課題が見えてきて、半径3メートル以上の仕事をしたいなって思うようになってきたんです。
上田:まあ、自分の人生がなんのためにあったのかって考え始めますよね。
松山:本当にそうなんですよね。
自身を盤上の「駒」として、適材配置を考える
啓祐:松山さんって、カケハシに入社以来、ずっと同じチームの所属で「Musubi」を開発していらっしゃいますよね。
全体会議のとき、コードを書く時間の変遷を図に表して見せてくださったと思うんですけれど、それを見たときに、役割こそ変化しているものの、チームの要としてずっと同じ場所を守っているのだなと感じたんです。
そこで質問なんですけれど、カケハシに長期的に在籍するなかで、ほかのチームやプロダクトに携わってみたいと思うことってあったんですか?
松山:そういう選択肢もあるなとは思いますね。僕は、自分がなにをしたいのかよりも、自分がどこの位置に置かれているのが最適かどうかっていう思考でものごとを考えちゃうんです。
将棋が好きなので将棋で例えますが、自分という「駒」を、自分の手に持って、どこに置けば一番良い手になるんだろうって考えているというか。
上田:あ〜自分のことを将棋の駒に見立てているんですか。
松山:ですね。「どっちにいきたい」っていう意思は関係なくて、どこに置くべきなのかで見ています。
啓祐:客観視がすごい(笑)。常に盤面を上から眺めているんですね。
松山:もちろんそれって難しいことなので完璧にできているとは言い難いですけれど、そうありたいなと思っています。残り短い時間のなかで、自分の力を最大限活かして働きたいので。
上田:盤面を俯瞰しているときって、事業を成功させるためにはどうしたらいいのかっていう目線で考えているんですか?
松山:そうなりますね。もちろん、役員の方々ほど高いレベルで考えられてはいませんけど、自分なりに考えるベストエフォートっていうイメージで見ています。
上田:じゃあ、個人的な「will」として、違うチームを経験してみたいって気持ちや興味はあるんですか?
松山:単純な技術的な興味でいうと、このチームにいって、この技術を学んでみたいなって思うこともありますよ。
上田:あ、それはそれであるんですね。じゃあ本当に事業の成功っていうものの優先度が、ご自身のなかで最も高いからそういう判断軸になっているわけですね。
ちなみに、今はその可能性をカケハシに感じていると思うんですけれど、それがもしカケハシの外側の会社や環境にあるってなったら、松山さんはカケハシを離れてチャレンジしてみようって思うんですか?
松山:う〜ん、難しい質問ですね(笑)。もちろん一旦検討はすると思うんですが、今はまだカケハシでやりきった感を持てていないので、しばらくはないのかなあ。
上田:そのやりきった感って、どういうことができたら感じられるものなんですかね?
松山:どうなんですかね、それがすごく難しいです。まだなにがゴールなのかはっきりわかっているわけではないんですよ。
上田:ただ、今は「まだだな」っていう感覚がある?
松山:そうですね。部分的な成功事例は生まれてきているけれど、その影響が患者さんにまで波及しているとはまだまだ言えないと思うし、カケハシが今よりもっと大きな存在として患者さんに対して良い影響を与えられるようになるにはもう少し時間がかかるかなって。
上田:やっぱりそのときがくるまで関わり続けたいと思っているんですね。
松山:必要だと言ってもらえればの話ですけれどね。「もう歳だからいらない」って言われるかもしれないし(笑)。
上田:それはないでしょう(笑)。
麻雀に学ぶ、「運」との上手な付き合い方
上田:リレースピーチのとき、二面性のある概念が好きってお話もされていましたよね。ものごとにはかならず良い面もあれば悪い面もあるんだっていう。
今までのお話を聞いていても本当に迷いが少ない印象を受けているんですが、それって自分がどんな選択をしても、その選択には良い面も悪い面もあるんだとって考えられているのかなと感じました。
松山:その話は難しいですね。迷いが少ないというのは、まず自分が期待値を相当低く見積もっているのが一つ。それと、考えてもどうしようもないことは考えないって決めているのが大きいと思います。
たとえば、「明日運動会があるから晴れてほしい」とかって、自分じゃどうしようもないので、考えても仕方がないと思うんです。そういう、考えてもしょうがないことを割り切ることは普段から多いですね。
あとは、もちろん悩みもそれなりにあるけれど、僕はすぐに忘れちゃうんですよね……特に今は忙しい時期なので。それが良いのか悪いのかはわからないんですけれど。ただ、思うのは、自分が一年前にどんなことで悩んでいたのかって覚えていない人が多いと思うんです。
上田:たしかに。
松山:人って案外すぐに忘れるじゃないですか。どうせそんなもんなので、考えても仕方ないなって思ったことは、意図的に考えないようにしちゃう。
上田:最初に仰っていた、期待値が低いっていうのは?
松山:そもそも、最初からものごとがうまく進むと思っていないってことですね。うまくいけば「ラッキー」、うまくいかなかったとしても「そんなもんだよな」って思える。どんなことも、そういう意識で考えている感じです。
上田:なるほど、なるほど。松山さんって、麻雀好きじゃないですか。
松山:(笑)。あれも基本確率が入ってくるので、正しいことをすればうまくいくとは限らなくて。たまたま誤った手を打ってもうまくいくケースさえあったりするんですよね。
よくスポーツ選手だと、応援してくれているファンの方に対して試合前に「絶対勝ちます!」と言うことがあると思うのですが、そんなことは言えない、と主張する麻雀のプロの方がいるんですよ。なぜなら、麻雀ではどうやっても勝てない配牌が存在してしまうから(笑)。
上田:うん、そうですよね。
松山:僕も人生はそういうもんだと思っていて、どうしようもないときはどうしようもないよねっていう。人生って不条理で不公平だと思うし。
上田:なるほどな〜。だから、その前提に立ったうえで、どこまでやれるかってことなんですかね。
松山:麻雀のおもしろさってそういう運の要素の多さにあるんですよね。けれども、一方で何十年も麻雀をやっている人はやっぱり結構強くもあって。運の要素が大きいけれど、自分でなんとかできる部分もある。どうしようもないところは割り切ったうえで、頑張っていこうっていう感覚ですね。
生まれた境遇とかも似ているなと思っていて、親が金持ちかどうかは自分では決められないけど、自分の努力でなんとかできることってあるわけで。そういう世界観をゲームとして表現できているのが麻雀だから、すごいゲームだなって思っているんです(笑)。
上田:その観点は仕事に通じる部分がありますよね。自分がどうにかできる範囲がどこなのか、自分が影響できる変数があるのかを捉えられるのかって大切ですし、運要素の部分をいかに考えずに仕事に取り組めるのかも、結構重要なのかなって思ったんですけれど。
松山:ただ、人の考え方は人生次第なので、そこの定義がめちゃくちゃ難しいと思っています。たとえば、世の中が富裕層と貧困層の二つに分かれていたとします。
そのなかで、貧困層に生まれたときに「富裕層になりたい」って考えるパターンと、「差別をなくそう」と考えるパターン、両方ありますよね。それって、どちらが良い悪いではないじゃないですか。
上田:本当に個人の思想の話になってきますもんね。ミドル世代のキャリア感としては、究極考えても仕方ないというか、「自分になにができるのか」をシンプルに考えるのが大切ってことをすごく感じました。
啓祐:僕は、考えても仕方のないことを諦めるとか悲観するってニュアンスではなくて、一旦置いておく、みたいな受け取り方をしました。
上田:そうそう、ポジティブですよね。それが良い距離感でキャリアをつくっていく秘訣なのかなと感じましたし、そういうものを松山さんは麻雀から学んでいることもよくわかりました(笑)。
松山:(笑)。
上田:松山さんには、また今度麻雀から得た学びについても詳しく教えていただきたいなと思うんですが、今回はそろそろお時間がきましたので、このへんで締めたいと思います。
松山:はい、機会があればいつでも呼んでください!
上田:ありがとうございます! ということで、今回のゲストは松山さんでした。
松山:ありがとうございました!
啓祐:ありがとうございました〜!