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どうして薬剤師がYouTubeに? 動画配信で見えた薬局の新たな可能性

薬局・薬剤師のコミュニティ「MusuViva!」で2ヶ月に1度開催される薬剤師のオンライントークライブ「Viva! Cast 〜調剤室の小窓から」。

2022年10月に開催された第4回では、前回に引き続き、福岡県北九州市の「みんなの薬局」より詫間勇輔さん、そして詫間さんのオファーをうけた、兵庫県姫路市の「ぼうしや薬局」高橋亮平さん、井上良祐さんをお招きしてトークライブを開催しました。

薬局業界ではとても珍しく、公式YouTubeでの情報発信を積極的に行っているという「ぼうしや薬局」のお二人。その背景にある想いや発信を続ける際に意識することなどを教えていただきました。

<スピーカー>
みんなの薬局NPO法人 地域医療連繋団体.Needs 薬剤師 詫間勇輔さん
ぼうしや薬局 薬剤師 高橋亮平さん
ぼうしや薬局 薬剤師 井上良祐さん

<モデレーター>
株式会社メタルファーマシー 代表取締役 川野義光さん

目次

  1. なぜ、薬剤師がYouTubeでの情報発信に?
  2. 会う前に知りあえる。動画配信が採用に活きる瞬間
  3. 薬剤師の人柄を柔らかく伝えたい
  4. 長いトンネルのなかでも「挑戦」を続けた
  5. 動画配信、最初の一歩に必要なのは?
  6. 「薬局×〇〇」コラボレーションによる新しい価値を探して

なぜ、薬剤師がYouTubeでの情報発信に?

川野:みなさん、こんばんは。モデレーターのメタルファーマシー・川野と申します。今回は、前回ご登場いただいた詫間さん、そして、ゲストをお二人招くという初めての試みで「Viva! Cast」を開催していきますのでよろしくお願いいたします。

詫間:改めまして、前回に引き続き参加させていただいている「みんなの薬局」の詫間と申します。今回は「ぼうしや薬局」の高橋さんと井上さんにお声がけをして参加いただいています。よろしくお願いいたします。

川野:詫間さんには前回の第3回で“ディズニーワールド3周目”というあだ名を付けさせていただきましたね。もしもディズニーワールドを訪れたとしたら、園内を3周したことで自信に満ち溢れている安心感抜群の日本人っぽいなあと思ったので……(笑)。

そして、今回お招きした「ぼうしや薬局」のお二人、通称“フラフープブラザーズ”の高橋さん、井上さんも自己紹介をお願いします。

高橋:僕たちはユニットとしてあだ名が付いているんですね(笑)。詫間さんにご指名いただきました「ぼうしや薬局」の高橋です。よろしくお願いします。

井上:同じく「ぼうしや薬局」の井上です。僕たちは兵庫県姫路市で地域密着型の薬局を目指して運営を行っています。日頃は通常の薬局業務とは別に公式YouTubeでの情報発信にも注力しています。今日はよろしくお願いします。

詫間:今回、僕がお二人をお呼びした最大の理由が、今お話いただいた情報発信を積極的に行われている点なんです。医療業界は規制が厳しいので対外的に発信できる内容には限りがありますよね。

そういった制約のなかでも「ぼうしや薬局」さんは上手に発信している印象があって。チャレンジングな取り組みを行う理由や、上手に発信するための秘訣なんかを教えていただきたいと思っています。

会う前に知りあえる。動画配信が採用に活きる瞬間

川野:「ぼうしや薬局」のYouTubeチャンネルは2020年5月スタートとのことなので、約2年半継続されていらっしゃるんですね。僕のなかでお二人は“YouTubeの人”というイメージが生まれてきています。

詫間:僕も同じですね。高橋さんにお会いすると「いつもYouTubeで見ている高橋さんだ」と思ってしまうので……。

高橋:最近、ありがたいことにそう言っていただくことがすごく増えました。僕たちのYouTubeを学生が観てくれていることも多いので、うちの薬局に来てくれた実習生や薬学生が「いつも観てます!」と声をかけてくれることもありますし。

井上:この間なんて、薬をお渡ししたはずの患者さんが退店せずじっと僕のほうを見ていたんですよね。どうしたのかなと思ったら、近くにきて声をかけてくださって「あの……YouTubeの方ですか?」って。

用事があって本店を訪れたら、少し年配の患者さんから「いのっち(井上さん)じゃん!」とお声がけいただくこともありましたしね。幅広い世代の方に動画を観ていただいているようで本当にありがたい限りです。

川野:YouTubeで顔を出して発信をしていることで、お二人が多くの人にとって親近感のある存在になっているのかもしれませんね。

高橋:「会う前に知りあっている」という感覚なのでしょうね。以前から知っているという理由で選考を受けてくれたり、面接時に緊張せず話すことができたりという学生からの声もあります。採用面ではYouTubeでの発信がプラスになっていると感じますね。

井上:それ以外にも、薬局での服薬フォローアップ事例紹介なんかは他の薬局の方が参考にしてくださっているようですし。

僕たちとしてもせっかく取り上げるなら「自分たちも実践してみよう」と思ってもらえる事例を紹介したいと思っているんです。だからこそ、“気軽さ”や“身近さ”みたいなものを意識して発信内容を考えていますね。

薬剤師の人柄を柔らかく伝えたい

川野:薬局や薬剤師という存在を身近に感じてもらうための取り組みは僕もすごく重要だなと感じることが多いです。ただ、実際にそれらを実行するとなると障壁も多いのかなと思うのですがいかがでしょう?

高橋:そうですね。僕たちはYouTubeを中心に発信を続けていますけれど、実際のところそれだけでは全然足りないなと思っているんです。そういった背景から、オンライン上だけではなく地域イベントを開催して町の人との接点を持つような取り組みも行っていますね。

薬剤師といえど一人の人間ですし、さまざまな人柄の人がいます。そんな人となりを知ってもらうことが、薬剤師を身近に感じてもらうためにも必要なのかもしれないなと。

詫間:僕たちもときどき市民センターでの講演会を通して、薬剤師の仕事について地域で発信する機会を設けています。調剤室でどんなことをしているのか、どうして薬を受け取るまでに待ち時間が発生するのかなどを一つひとつ伝えることで、薬剤師の仕事への理解が深まればと思ってのことです。

そういった経験を通して思うのは、やっぱりYouTubeという形で日本中に広く映像を届けられるのは有意義だということ。多くの人に薬局や薬剤師のことを知ってもらえるって素晴らしいです。

高橋:不特定多数の方に動画が届くぶん、発信の仕方には気をつけていますね。たとえば「薬剤師はすごく大変なんだ!」という主張のための動画にはしたくないなとか。

自分たちの保身のためではなく、薬剤師の仕事を知ってもらうことで「気軽に相談してみよう」「話しかけてみよう」と思ってもらえる動画を配信したいじゃないですか。

詫間:実際の調剤室の様子なんかが映ることで、普段は意識しない薬局の奥深くまで興味を持ちやすい動画になっていますよね。

高橋:そうですね。あとは「あるある」系の動画で薬剤師の仕事を知ってもらうような工夫もしています。

井上:「あるある」は結構ふざけていますけどね(笑)。

長いトンネルのなかでも「挑戦」を続けた

詫間:改めて、2年半も動画を出し続けているって本当にすごいことですよね。継続するために大切にしたことや頑張ったことってどういった点なんですか?

井上:我ながらよう続いているなと思っています(笑)。始めたばかりの頃は週に2本動画を配信していたので撮影や編集が大変でしたが、今は週に1本ペースなので以前よりはずいぶんと楽になりましたね。ここまで続けてきてしまったので、もう後には引けないっていう使命感もありますし。

また、なにより自分たちのエピソードを配信することで得られる気づきが多いのも、継続できている大きな理由になっています。これまでの経験をアウトプットすることで自分自身の整理ができたり、若手育成にもつながったりするんです。

詫間:たしかに、動画を出すことそのものが仕事になったり目的になってしまうと、モチベーションが保ちにくそうですよね。その点、動画を出すことが薬局のためにもなると実感できることで、やりがいにもつながるのかなと感じました。

川野:YouTubeを始める前と今とで気持ちに変化ってありましたか?

井上:当時、個人的にでもYouTubeを始めたいと思っていたので、会社でYouTubeを始めるのは願ったり叶ったりでしたね。しかも、それをばっしー(高橋さん)と一緒に取り組めるなら楽しそうだなと。

高橋:YouTubeを始める前に学生との接点をつくろうとTwitterも始めていたんですよね。そこでの感触が良かったですし、薬局が公式YouTubeを開設している例も少なかったので先手必勝だという気持ちもあって。

YouTubeでの情報発信についてはわからない部分もあるから、まずはやってみようという考えで走り出しました。

井上:このままで良いのだろうかと右往左往することもありました。チャンネル登録者数がグンと伸びることもあれば、停滞することもあるし、まったく変化しない時期もあったり……。

とくに登録者数が停滞するときは打ち手がわからず悩んでいましたね。「このまま続ける?」と話し合ったこともありました。

高橋:予想ができないから難しいんですよね。真面目な動画がなかなか再生されなかったので少しカジュアルな企画を考えて投稿するようにしたけれど、ある日突然、昔配信した真面目な動画があとから伸びる……なんてことも。

ただ、同じような投稿を続けるだけではもったいないので、ショートやライブ配信などにもチャレンジして飽きさせない工夫をしていました。やっとチャンネル登録者数が900人を超えて1,000人という大台を目指せるようになってきたので、続けてきて本当に良かったですね。

川野:登録者数1,000人……! そろそろチャンネルの収益化も見えてくる頃ですか?

井上:いや、収益化するための条件には総再生時間という高い壁もあるのでまだまだですね。「ばっしーの給与明細を大公開!」みたいな動画でも撮れば今より再生時間数は伸びると思うんですけれどね。

川野:えっ、その企画良いじゃないですか。

高橋:いやいや、勘弁してくださいよ〜(笑)。

動画配信、最初の一歩に必要なのは?

詫間:これまでに何本の動画を公開されているんでしたっけ?

井上:240本ですね。

詫間:それだけの本数があれば過去の動画も資産になってくれますね。僕の前職ではYouTubeで社内向けに運営方針発表会を開催し、従業員がいつでも観ることができるようアーカイブに残して活用していました。そういった社内活用も行われているのでしょうか?

井上:社内向けには、別のチャンネルを作ってそこで動画公開を行っています。

たとえば、診療報酬改定のポイント解説動画、各ブロックの方針発表や年頭所感など、社内だけで共有したいものはそちらのチャンネルで公開していますね。他の店舗では、実習生の研修でその動画を活用してくれている例もありました。

川野:これから動画配信に挑戦したいと思っている薬剤師さんもいらっしゃるかなと思うんですが、動画撮影を始めるために必要な道具にはどういったものがありますか?

高橋:最初はスマホひとつで始めましたよ。薬局内にある「OS-1」の什器にスマホを乗せて撮影していたくらいです。あとから登録者数が伸びたご褒美に三脚を買ってもらえて三脚の利便性を痛感しましたが……。

井上:登録者数が300人を超えるくらいまでは三脚を使っていなかったんですよね。「三脚って実はすごい便利なアイテムだったんだね〜」と二人で話していました。

高橋:あと、すぐに必要なアイテムではないですが、ピンマイクを導入してからはすごく音質が改善されましたね。

井上:スマホって優秀なので、空調の音まできれいに録音してしまうんですよね。コメント欄でも「声が聞こえにくい」とご意見をもらう機会があったので、試しにピンマイクを購入しましたがすごく良かったです。

「薬局×〇〇」コラボレーションによる新しい価値を探して

詫間:YouTubeについて、今後の展望や次のステップとして考えていることってなにかあるのでしょうか?

井上:そうですね〜。発信できる内容についてはこれ以上攻めるのが難しいかなと思うラインまできているんです。

だから、次は映像としての面白さを追求するターンなのかなと感じています。これまでは僕たち二人が画面いっぱいに映って話をするような動画が多かったですが、絵変わりも考えていきたいなと思いますね。

あとは、日ごろ薬局に来てくださっている患者さんにも楽しんでもらえる動画をつくりたいんです。

一例ですが、来局者向けの限定配信動画を撮影して、薬の待ち時間にも動画を楽しんでもらうのってどうかなと考えています。「目薬一本もらうあいだにええこと聞いたな」と思って帰ってもらえたら、患者さんの体験も今より良いものになるのではないかなと……。

詫間:街中で流れているデジタルサイネージ広告のような動画を薬局内で流すってことですね。それはすごく面白そう!

高橋:あとは、他社さんと協力してつくる動画のアイデアもあります。というのも、以前、とある疾患についての解説動画を撮影したんですよね。

今回はNGが出てしまったのですが、製薬会社さんからも「いつかそういった取り組みもしてみたいですよね」と前向きなお声をいただいて。課題はありますが、内容の充実を図った動画も公開したいですね。

井上:よく薬局には脂質異常症のリーフレットが置いてありますけど、ああいった冊子も動画で読み上げたり解説するような動画があれば注目度が変わるかもしれませんよね。

リーフレットについているQRコードを読み取ったら僕たちがその内容について話している、とかだと親近感が湧くのかなと思いました。

川野:それすごく良いですね。薬局を知ってもらうきっかけにもなりますし。そういった企業とのコラボレーションもできたら面白い取り組みになると思います。

今日はみなさんにいろいろとお話を伺ってきましたが、最後の質問です。みなさんにとって「MusuViva!」ってどんな存在ですか?

詫間:そうですね……僕は薬局ができた直後から「MusuViva!」に参加しているので、日々の頑張るためのモチベーションとして活用させてもらっています。

ひとりで薬局運営をしているので、ときどき寂しさを感じることがあるんですよね。そういったとき「MusuViva!」にいる仲間の取り組みをみていると、刺激がもらえるし、自分も頑張ろうと思える。そういう場所です。

川野:とても良いことを言うじゃないですか。全国に仲間がいるって頑張る理由になりますよね。

高橋:「MusuViva!」ではコミュニティに参加するだけではなく、こういったかたちで話す側に回ることも増えてきました。

自分の経験を伝えることでつながりができたり、刺激をもらえているのが本当に嬉しいですし、他では味わえない楽しさがあるなと感じています。だからこれからも「MusuViva!」を盛り上げられるよう頑張りたいですね。

井上:YouTubeでの発信を見つけて僕たちにセミナーやコミュニティ内での登壇機会をくれたのが「MusuViva!」でした。二人で2年半もの間活動を続けることができたのも「MusuViva!」の存在あってこそ。だからこれからも「MusuViva!」に貢献させてください。

川野:今回も熱いお話をありがとうございました。とても楽しかったです!

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