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プランナーの僕が「Musubi AI在庫管理」の開発に強烈なクラフトマンシップを感じた理由。

はじめまして。AI在庫管理のプロダクトリード(PMM、PdM、営業、CSなどプロダクトの開発以外のとりまとめ役)をしている山本です。

前回はエンジニアメンバーが開発目線でAI在庫管理をご紹介しましたが、今回は企画寄りの目線で、プロダクトと開発について書いてみたいと思います。


山本 惇一(Junichi Yamamoto)
一橋大学商学部卒業後、東日本電信電話株式会社入社。シンクタンクに出向し国内外のICT動向のリサーチ、グループ子会社でWi-Fiアプリのプロダクトマネージャー等を経て、株式会社リクルートコミュニケーションズ(現株式会社リクルート)に転職。AIを活用した新規ソリューションのプロデューサーとして勤務した後に、株式会社カケハシへ。

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2021年9月にリリースした「Musubi AI在庫管理」は導入薬局数が右肩上がりの状態で、ありがたいことに毎日のように顧客からの問い合わせが続いています。自分自身、約2年前の構想段階から主体者として携わっているので本当に感慨深いです。

ただ、プロダクトとしてはまだ改善していかなければならないところだらけですし、実はこの先にもっと大きな展開を描いており、開発しないといけないものもたくさんあります。なので、本当にエンジニアが必要なのです!!

ちなみにチームはちょうど1年前の2020年9月末にはPdM、スクラムマスター、デザイナー、エンジニア2人の計5人という構成だったのですが、1年後の現在はAI在庫管理チーム、ファルマーケット連携開発チーム、新規大型機能開発チームの3チームに急拡大。営業、CSなども含めると30人程度の組織になっています。

エンジニアは、3チームあわせて13人(副業メンバーは除く)。これから新規大型機能開発が本格化、AI在庫の運用をしながら機能開発・改善を続けていくために、1年後には倍の25人~30人程度まで拡大していければと思っています。またデザイナー、スクラムマスターも現状1人体制なので、その拡大も急務。開発に関わる職種を大募集中です!!

目次

  1. 薬局からの期待感とそれを実現するエンジニアの力
  2. 薬局にとって在庫管理の課題とは?
  3. プロダクト開発環境3つの特徴
  4. 今後の事業展開は?

薬局からの期待感とそれを実現するエンジニアの力

さて、今回のプロダクトに大きな反響をいただくことができた一番の要因は、「薬局からみてプロダクトが斬新で、圧倒的に良いものになる期待感がある」ということに尽きると思います。そしてそれは、妥協せずプロダクトとユーザーに真摯に向き合っているプロダクト開発のメンバーの努力によって成り立っていると、身内ながら思っています。

例えば、今回のプロダクトの提供価値として、「来局予測に基づく需要予測」「薬局の在庫管理に適した独自コード」があります。


私たちが開発した独自コードは、処方箋情報に紐づくYJコードと発注データに紐づくGS1コードという既存の2つのコードを結びつけるロジックを裏で持ち、それをもとに初期の需要予測のモデルを作るもの——一言で説明するとそういうことになるのですが、そもそもデータ形式に揺らぎがある上に、薬局ごとにデータの内容にも揺らぎがあるという課題があります。AI在庫管理はそれを「いい感じ」に処理しているのですが……。詳細は実際に開発しているエンジニアの声に譲るとして、身近な立場で見ていた非エンジニアの自分からすると「本当に凄い!」の一言に尽きます。(興味をお持ちいただけたら、ぜひイベントへ!)

薬局にとって在庫管理の課題とは?

大手チェーンから個店まで200程度の薬局の方とお話させていただき、薬局の在庫管理には大きく4つの課題があると感じています。


1.業務に時間がかかる
1つ目は発注や在庫管理に関する業務に時間がかかること。例えば発注は一つひとつバーコードをリーダーで読み込ませて発注していたり、患者さんの来局タイミングにあわせて何錠の薬剤をいつ発注するのかを付箋や紙のカレンダーで管理していたりと、アナログなオペレーションが非常に多いのです。そのため、どうしてもミスが発生してしまう構造になってしまっています。AI在庫管理では、発注に関するすべてをプロダクト上で管理できるようにし、最短3クリックでの業務完結の実現を目指しています。

2.管理が手間
次に、管理が手間であるという課題があります。そもそも薬局の在庫管理に適したコードがない、ということが課題です。これまではそれを各薬局が独自の運用でカバーしていた、もしくはそもそも諦めていたのですが、AI在庫管理では、薬局の在庫管理に適した独自コードを開発することでこの課題を解決しています。

3.発注の属人化
薬局の発注業務はこれまで、ある特定の担当者が経験や勘を働かせて需要予測をしていたり、複数の店舗を擁する法人では、発注点設定のメンテナンスなど店舗によってバラつきがあったりと、かなり属人化していました。AI在庫管理は、AIアルゴリズムによって自動で発注タイミングをレコメンドするため、これまでの経験に依存せず誰でも発注業務を行うことができるようになります。

4.在庫の最適化が難しい
最後に在庫最適化の課題。薬剤は100錠、1000錠など箱単位で医薬品卸から納品されるのですが、箱を空けてしまうと返品できなくなり、そのままその薬剤を必要とする患者さんが来局しないと廃棄せざるを得ません。そのため薬局は、同じ法人の店舗間で在庫融通を行ったり、在庫過多の薬剤を売却するなどしています。ここを解決するのが、AI在庫管理とファルマーケットとの連携機能。出なくなった薬剤(不動在庫)を自動的に検出した上で概算の売却金額を提示するなど、入力作業から帳票発行まで売却までの手続きをスムーズにします。

プロダクト開発環境3つの特徴

1.顧客の課題を高い解像度で把握できる
1つ目は、これまでもさまざまなカケハシメンバーが語っているとおり、社内に薬剤師メンバーがいて気軽に仕様の相談ができること。それだけでなく、私たちのプロダクト思想に共感してくださっている薬局が多数あり、仕様の相談に乗っていただくこともできます。私も当初はわからないことだらけだったので、Slackであるユーザー薬局のオーナーに「これってどういうことですか?」と厚かましく伺っていました。こうした取り組みを続けていると、課題を非常に高い解像度で理解でき、「きっとこういう機能があると嬉しいんだろうな」ということも想像できるようになります。

2.完全リモート対応
2つ目は、チームが完全リモート対応している点。そもそもMusubi AI在庫管理の開発に着手したのは、エンジニアの平松が入社した2020年6月頃。すでに世間はコロナ禍、かつ平松は京都在住ということで、開発初期からすべてリモート前提でチームを構築しています。実際オフラインで顔をあわせたのは数回だけですが、それでもプロダクトをリリースするまでに特に困ったことはありませんでした。実はこのプロジェクトには、複数の方が副業で関わっています。稼働する時間もバラバラになってくるので、同期のコミュニケーションももちろんあるのですが、基本はSlackやドキュメント等を通じた非同期コミュニケーションでチーム運営しています。

3.営業〜CS〜開発が一気通貫で連携
AI在庫管理のチームは、営業~CS~開発が「ドメイン」という一つグループの中にまとまっており、サービスのデリバリーに関わる全ての工程がシームレスに繋がっています。例えばアルゴリズムに関しても、アルゴリズム定例MTGを毎週実施。営業メンバーが顧客の要望を共有し、その実現性や実現タイミングなどを直接データサイエンティストの保坂と議論するなど、職種をまたいだコミュニケーションが当たり前に行われています。エンジニアが直接薬局の現場に行くことも可能ですし、商談の同行なども簡単にできるので、解像度高く顧客を知り、一体感をもってサービス開発したいという方にはおすすめできる環境だと思っています。

今後の事業展開は?

プロダクトの機能としては足りないものがまだまだあるので、大手チェーン~個店まであらゆる薬局の在庫管理・発注業務を圧倒的に効率化し、いま初期ユーザーの方々からいただいている大きな期待感を、リアルなものにしていきたいです。

実はそこから先の機能開発もすでに設計段階には入っています。機密情報も多いので、なかなか詳細な説明は難しいのですが……カケハシのビジョンにあるように、僕らが目指しているのは「明日の医療の基盤となるエコシステム」です。そのビジョンの実現に向けて、一翼を担うこちらの開発にも力を入れていく予定です。

カケハシは薬局向けのSaaS事業からスタートしましたが、ファルマーケットがグループ会社になったことによって流通領域への入口に立つことができました。我々のような特定の領域に特化したVertical SaaSの米国での成功事例をみると、SaaSからFintech事業に広げていくなど、業界に深いソリューションを提供していくことが勝ち筋と言われています。AI在庫管理につづく今後の展開としては、このような業界特化のディープかつ広いソリューションを提供することになっていくと思います。

自分自身、カケハシに入社する前は全く知らなかったことですが、薬局はコンビニよりも数が多く、そこには専門性の高い薬剤師の方々がいます。しかし社会的にそのポテンシャルを100%活かせているかというとまだまだそうとは言い切れないのが現状であり、それだけに超高齢化社会の日本社会では非常に貴重な存在になっていくのではないかと思っています。医療業界自体が非常にアナログな世界であり、かつ業界独自のルールがあったりするため、それを理解したプロダクト開発が必要です(逆に言うと、それが開発する上での参入障壁になるのですが)。そのコードの意味合いなどを紐解きながら開発することに、私自身、ある種のクラフトマンシップを感じたりもしています。

そんな職人気質で社会貢献性の高い事業に面白みを感じられる方には、とてもおすすめできるの環境だと自負しています。少しでも興味をお持ちいただけたら、まずはカジュアルにお話させていただけると嬉しいです。

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