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プロジェクトを止めるな!システム管理部の奮闘。Myページリニューアルストーリー

サービス利用時、お客様が必ず経由する「Myページ」。重要な機能である反面、注目されることは少ないMyページだが、このほど将来の機能拡張を視野にリニューアルを実施。プロジェクトを率いたのが、システム管理部でマネージャーを務める両角直弥だ。プロジェクトはスケジュールとの戦いだった。工程の各所で遅延や不備が発生しても、何としてもリリースまで持って行くのがシステム管理部の責務。そんなプロジェクトストーリーを紹介する。

使いづらかったMyページを刷新へ。将来の機能拡張を見越した環境整備も

2023年6月、インヴァスト証券に口座を持つお客様向けの「Myページ」が刷新された。『トライオート』『マイメイト』『くりっく365』と、どのサービスのユーザーも必ず使うMyページだが、実は、リニューアル前は長らく使いづらいままになっていた。

以前のMyページは、スマートフォン用につくられていなかった。パソコン用のホームページがそのままスマートフォンでも表示されており、見たい箇所をいちいち指先で拡大したり、縦横にスクロールしたりしなければいけなかった。これは地味に使いづらい。「Myページを経て『トライオート』や『マイメイト』などのサービスに移動するのですが、まずそのボタンが、指で拡大しないと押しにくい。とはいえ機能的には問題はなかったため開発の優先順位としては低くならざるを得ませんでした」。事情を話すのは、今回のMyページリニューアルプロジェクトを率いたシステム管理部の両角直弥だ。

『マイメイト』のサービス開始に『トライオート』の大幅リニューアルと、この数年は社運を賭けたプロジェクトが続いた。その開発にリソースを集中的に投入する必要があり、Myページの件は、気になりながらも先送りされてきた。「ただ、今回プロダクトの責任者から、必ず通る導線としてMyページがある以上、もっと見やすいUIにすべきという方針が出て、リニューアルが決まりました」

スマートフォン向けのレイアウト変更に加えて、新機能として、複数のサービスにまたがって取引をしているお客様が、合算してインヴァスト証券にどれだけのお金を入れているのか一目でわかるように、円グラフで示す機能を加えた。また、裏で動いているアプリケーションが脆弱だったことから、システムの構成も変更。今後のサービス拡張にも対応できるようにした。UIとともに、先々を見越して環境も整えた形だ。

開発は外部のシステムベンダーに委託した。両角は、その進捗のコントロールと、完成後の社内システムへの実装、テスト、リリースまでを担った。

少しずつ積み重なる綻び。どこで何が起こってもリリースにこぎつけることが責務

プロジェクトはスケジュールとの戦いだった。プロジェクト発足は2022年7月。コーポレイトサイトのリニューアルと一体的に進め、コーポレイトサイト部分を先にカットオーバー後、新Myページもリリースし、2023年度の頭には両リニューアルが終わっている予定だった。

が、工程ごとに少しずつの見通しの甘さがあり、それらが積み重なった。まず、外部ベンダーの開発スケジュールが遅れた。その後、社内システムへの実装段階では、アプリケーションを乗せるためのAWSの環境のセットアップに、想定以上の時間がかかった。また、上がってきたシステムをテストすると、数々のバグも見つかった。

「開発の遅れには本当に苦労しました。外部ベンダーは証券業務を熟知しているわけではなかったため、スケジューリングの精度が高くなかったことに加え、外部ベンダーが自社で確認している環境と、分散構成となっている当社のクラウド環境の違いを埋めるために、想定以上の時間が掛かりました。この部分の確認は、こちらからももっと早い段階から関与を高めて解決を図るべきでした」と両角は反省する。というのも、開発・製造を委託しているとしても、それらをコントロールし、リリースに持って行くまでの責任を負うのはシステム管理部だからだ。見通しや働きかけの甘さも含めて、両角にとっては反省点だった。

ようやくテストができる段階になったのは、2023年度に入ってから。テストは、カスタマーサービス(CS)のメンバーが行う。お客様目線に立ってシステムを動かし、チェックするのだ。通常業務である日々のカスタマー対応と並行して、多くのチェック項目に沿ってテストを進める。当初とはスケジュールがずれるなか、何とか調整を重ねて実施してもらったところ、いくつものバグが見つかった。

「それだけテストの精度が高いからですが、例えばスマートフォンでの操作性を改善させることも目的として進める中で、スクロールが行えず必要な情報が確認できなかったり、書類のアップロードが行えない等、様々なバグが見つかりました」と両角。外部ベンダーのミスでも、そのコントロールと品質管理の責任を持つのはシステム管理部だ。開発元に差し戻し、厳しく品質の要求を出しつつ、社内では再びCSに頼んでテストを行う段取りをつける。これらの調整を粛々と行った。CSも、ここでチェックを怠ればより大変なことになるとわかっているだけに、時間を確保して対応した。

このようにして社内が一丸となって取り組み、2023年6月、当初予定よりやや遅れたものの、新しいMyページとその裏のアプリケーション改修など一連のリニューアルが完了。リリースを迎えた。

反応がないことが最善の成果。大きな構想の実現に向けたスタート地点に立てた

新しいMyページは、丁寧にバグに対処した甲斐があり、リリース後のトラブルは特に聞かない。Myページはその役割上、リニューアルをしたところでお客様に感動を与えたり、絶賛されたりするようなものではない。普通に動いていることが当たり前であり、何の反応もないことが最善の成果だ。

注記:上記の写真が今回リニューアルされたMyページ

「今回のリニューアルは、レイアウトと裏で動いているアプリケーションの問題解決とともに、将来の機能拡張に向けた土台づくりの意味合いもありました。今後は、例えばお客様の状況に応じて適切な取引を案内するなど、分析して、お客様に対してアクションする機能を持たせたいと考えています。今回のリリースでは、その機能自体は見送りましたが、今後の運用のなかで付加していくための土台ができ、やっとスタート地点に立てました。今後の大きな構想の実現につながるリニューアルでした」と両角。将来的にサービスラインアップが増えたときに、対応しやすい「入口」となり、長年の懸案事項も片付いた新しいMyページだ。

「障害なくリリースできたことに、自分としては達成感がありました。何もない状態を保つことが自分の仕事なので、反応がないことが何よりでした」。両角は言う。決して華やかなプロジェクトストーリーではないが、見えないところで頭を下げたり、調整したりしながら、事故なく迎えることができた。日頃、淡々と職務を果たしているように見える両角だが、ひそかに心の中でガッツポーズをしていた。

リリース後、インヴァスト証券では、とある市の体育館を借りてささやかなスポーツ大会を開催した。家族ぐるみのイベントで、社内のメンバーが企画し、参加者を募った。両角も家族とともに参加し、バドミントンやドッチボールを楽しんだ。コロナ禍前は折々に、このように社員が自発的に企画し、有志が集まるイベントがあった。押し付けではない、自然な交流を楽しむ社風だ。コロナ禍で控えていたが、社会生活が正常化するなか、インヴァスト証券でも、このような楽しい交流も含めた日常が戻りつつある。

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休みの日には子どもと遊びながら庭の手入れをし、ときには家族を伴ってこのようなイベントに参加するよき父親でもある両角。自分から前に出るタイプではないが、誰からも信頼される包容力が両角らしさ。真面目な性格ゆえ、少し前までは仕事を抱えがちだったが、部長の伊藤が参画し(IT部長兼システム管理部長を兼務する執行役員の伊藤裕。2022年10月に入社し、2023年5月から現職)、開発体制の整備が進むなかで、両角も自分の仕事を適切に振り分けることを意識するようになった。それが全体最適や後進の育成につながるからだ。

今回のリニューアルでも、自身はリニューアルに専念し、ほかの仕事をメンバーに任せるように心がけた。インヴァスト証券が掲げる大きな構想を実現するためには、みんなの力を引き出す必要がある。その布石だ。新たな挑戦は始まったばかりだ。

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