当社では、「インティメート・マージャーのオープン社長室」と題し、代表である簗島の考えを共有するツールとして、Spotifyで定期的にラジオ配信をしています。 社長が普段思うこと、日常生活での気づきが凝縮されているので、定期的にテキスト化してお届けしていきます。是非ご覧ください!
今回のテーマ:【AIとの分業の方法】
簗島:データは客観的な事実なので、自分に気づきを与えてくれるものとしては、とてもいいものだと個人的に思っています。
当社は普段様々な企業様と合同でセミナーを開催することが多々あるのですが、中でも株式会社ガラパゴス様と行ったセミナーは客観的に見てもとても面白かったです。意外とAI系のサービスって、いつもポジショニングトークが中心で「なんか良いだろう」みたいなものになっちゃうケースが多い気がするんです。ですがそのセミナーでは、実践的なものが多く、我々と目指している思想が近いと感じました。人と機械の住み分けではないけれど、根源的に似ている部分があるなと思って。社長さんとお話するのは2回目で、どんな感じなんだろうって思っていたのですが、なんか「分業」というところですごく人らしさがちゃんと残っている業務を作っていくという志を感じました。一部のAI系のサービスを作るにあたって破壊神のように経験を排除するというような雰囲気を持たれてる方もたまにいたりするのですが、そのような中でこのセミナーは新鮮でした。
「デカルト経験論」なんていったりしますが、AIサービスなどを作るにあたっても、経験を排除する必要は全然なくて、経験がパワードスーツのように拡張されれば、それが1番良いと思っています。だからAIをその人の代替よりはパワードスーツのように考えて、機能のような拡張として考えているんです。
でもその一方で、興味深いことに、人間は機械との分業で、人が人らしいところの業務に誇りを持って仕事をしているかといわれれば、全員が全員ではないなと感じることもある。なのでそこは悩ましいところでもありますね。人らしい仕事と、AIが巻き取ってしまう仕事との議論になると、AIが巻き取るところは「努力」や「頑張る」というような献身さであることが多い。その一方で、人らしい仕事は、考えたり、センスを活かしたり、視野を広げたりといったことが求められます。それは、目先の努力では身に付けられない、日々の生活の中での意識の問題が問われるということでもあるので、そこはすごく残酷な業務だけが残るな、と感じる部分もあります。だから結構仕事としては疲れるし、変わってくる。やはり努力は、「やったやらない」の基準なので、クオリティではなく、クオンティティ(量)が問われるのが難しい。
100個書類を作ったら、それは100個の努力と認められますよね。一方で、キャッチコピーとか、ターゲットの適切さを考える作業は、「数量」ではない部分を求められます。そういう「0」か「100」のところの業務が発生することが増えてくるので、かなり大変だなと感じます。
もちろん、クリエイティブの領域もそんな感じです。クリエイティブに関して言うと、AIにパターン出しのような7掛け、8掛けもするような作業をパスするという効率化が本当にすごいなと思います。一気に何パターンも出してくれて、テストができるようになるわけですから。
ただ、50メートルを1キロに比べて走るのは訓練が必要ですよね。肺活量なども増えてくるに対して、50メートルを早く走るのは割とセンスだと思います。「50メートルを20回走れるようになりました。なので、足の速い子に追いつけるようにしましょう」というような。そこもやはり難しいところですよね。なぜなら私たち人間は頑張ることや努力することよりも、成果や効果に目を向けることが増えているからです。これは最近のセミナーで特に感じましたし、この問題はChatGPTや人工知能系のサービス全体にもいえることですよね。やっぱり人と機械の分業が上手いということは、これからすごいポイントなんでしょうね。
ChatGPTにタイトルを考えさせるようなことも同様です。あれはターゲットとテーマを決めて、雰囲気を伝えた上で生成されているのですが、あれだけ出してくれる機械が出てきたというのはすごいことで、100個もしタイトルを作成させたとすると、「これだ!」と思うものが1つぐらい見つかる。自分の考えをブレストしてくれて、かつ網羅性もある。指示からのブレードも少なくて、ブレが少なければ指示を出したい部分を出せば良いだけなので、いつも適切な抽象度で出力してくれています。
いわゆる雑誌とかに出てくる、「人から仕事を奪ってAIが置き換わっちゃう」というような感覚のように、今までって意外とそういうAIが人間から仕事をなくすみたいなことが多かったような気がします。ですが最近は、結構タスク単位で残る、残らないというような風潮になりつつあり、使った方がより楽になるという意味合いで、仕事のスタイル自体もタスク単位で切り分けをして人に渡すという指示の仕方に変化してくると思います。つまり直感的な物事よりも、タスクを分業していくということですよね。例えるならば、オフシェアでサービスの開発などを全て誰かに投げることっておそらく難しい。つまり最終的な確認まで含めて全ての業務をAIにまかせることは出来ない。でも一連の業務の間、間にある誰でもできるような業務はAIにも分業させて効率化することが可能である。だからこそ、AIにビジネスプロセスを任せるという考えが生まれてきています。
その時に重要なのは、全体がちゃんと把握できて、全体のチェックポイントが理解できること。それが分かっていれば、AI時代の仕事に適応できると思います。「昔はみんな子供だった」という表現で、よく社内のマネージャーにも伝えるのですが、何かをやる過程で必要となる訓練について考えるということ。ChatGPTが作業を行えることが分かっていても、その業務を支持するためには、その業務を手で行った経験が必要ではないかということは僕の中でまだ直感的に思っています。機械が100%補える業務を訓練として人間がやる必要がどれだけ残るのかなということは、やはりすごくよく思うことですね。
ただし、これは感覚的な話で、直接的な証拠はないのかもしれません。ChatGPTは結果を出力することはできますが、その正しさは人間の目で見て判断しなければいけない。重要なのは結果、つまりアウトプットを揃えることです。仮に、aするとbという結果がわかれば、仮定はもう任せられる。これはAIでよく触れられる話題でもあり、ブラックボックスをどれだけ許容するかというのが問題となります。インプットをAIに与え、期待したアウトプットが得られるか試してみる。それを数回繰り返して、結果が得られたら、そのAIに任せられると感じます。これは人においても同じですね。ある作業を数回試してみて、成功すると、それ以降はその人に任せられると感じます。
結局のところ、問題はソースコードを読む能力が必要か、それとも結果を出せるかというブラックボックスを許せるかということです。これは人によりますが、私は後者のタイプで、失われるものよりも得られるメリットの方が圧倒的に大きいと考えます。ブラックボックスを許容できるかどうかは結局、本人の気持ちの問題なのではないかと思います。失われるものよりも得られるメリットの方が圧倒的に大きいので、あまりアウトプットの質は気にしすぎず、ChatGPTなどのAIサービスはどんどんポジティブに有効活用していきたいなと思います。
AIは人間の仕事を奪うものではなく、人間の経験や能力を拡張し、人間らしさを残した業務を作っていく助けとなってくれるものとしては強力な味方ですよね。
ChatGPTやAIのサービスも、人間のやるべきことに集中できる効率的なツールだと捉えて、どんどん日常でも活用していきたいですね。
🌟今回のお話がラジオで直接聞けるSpotifyリンクはこちら!⇒https://podcasters.spotify.com/pod/show/im7/episodes/AI-e1v0tmq/a-a1q0nh