INIには、いろんなキャリアを歩んできたディレクターが在籍しています。今回はインテグレーションチームのプロジェクトマネージャーである前原さんにお話を伺いました。
▼前原 那美
Webディレクター/プロジェクトマネージャー
2020年2月中途入社。中央大学法学部卒業後、新卒で大手エンターテインメント企業に就職。事業会社サイドで制作進行管理やWeb担当を経験後、制作会社サイドのWebディレクターに転身。INI入社後は、ディレクターとして先輩社員とプロジェクトをともにした後、大規模金融系Webサイトなど複数案件のプロジェクトマネージャーとして現場の最前線で活躍している。(2022年7月時点の取材に基づいた情報です)
大手企業に就職するも、経験とキャリアのギャップに悩む
──本日はよろしくお願いします。前原さんは、幼少の頃からWebが身近にあったとか。
前原: はい。親にパソコンを買ってもらって、小・中学生の頃から試行錯誤しながらHTMLでプログラミングをしてWebページを作ってみたり、ネットゲームに興じたりしていました。当時、インターネットは定額料金制ではありませんでしたので、高額のインターネット接続料金が来てしまい、よく親に怒られていました(笑)。
そんなWebの世界が幼少の頃から身近にあったものの、「趣味の延長で仕事をしない方が良いよ」と親からの助言もあって、法学部に進学したんです。ですが、いざ就職活動をするとなった時に、どうしてもWebの世界が忘れられなくて。「やっぱり自分の目指す道はWebなんだ!」と思い、新卒で大手エンターテインメント業界の総合職として入社しました。
──その会社では、どのような仕事をされていたんですか?
前原:当時、携帯電話が一般にも普及し出した頃で、デジタルの可能性を感じていました。そういった中で、音楽としてのエンターテインメントもデジタルの世界に足を踏み入れており、私はデジタル配信部署に所属し、着信メロディーを配信するためのプロモーション活動を行っていました。また、アーティストのWebサイトに情報を掲載するに当たって、常駐していただいている制作担当の方に指示するなど、プロモーションと社内Web担当のような業務をしていました。
また、その後は、CDやDVDのパッケージ制作の進行管理担当として、パッケージができあがるまでのスケジュール管理を行っていました。ディレクターという立場で、見積もりを取って予算管理をしたり、納期やスケジュールを管理したり、デザイナーやアーティストなど様々な関係者と調整しながら、着実にリリース期限までにモノを作り、納めることがミッションでした。
誰もが知っている知名度のある会社でしたので、自分が携わった制作物が世の中にリリースされていくことにはとても大きなやりがいを感じたのですが、その後の転職活動で客観的に自分のことを見つめ直した時に、私自身のキャリアに自信を持てなくなってしまったんです。
仕組み化された箱の中で、"こなす"ような仕事をしていたんじゃないか
──どうして自信がなくなっちゃったんですか?
前原:前述の会社で培った経験を活かして転職活動をしていたものの、客観的に見れば実績や肩書きだけが輝いて見えるだけで、「実際に自分に何かできるのか?」というスキル面を改めて見つめ直してみると、自信が無くなってしまったんです。大手企業という傘の下で、与えられた役割のなかで大きな仕事をできていただけで、それは自分自身の実力ではないんじゃないか、と。大手の枠組みの中で、決められたシステムの中で、決められたことをやっていただけじゃないのだろうか...と突きつけられた気がしました。
オーダーに対して着実にスケジュール通り動かす進行管理が私の役割でしたので、「パッケージをどう見せるか?」「どのような表現が良いのか?」などのコンセプト領域に関わる上流側は全て決められて降りてくるため、そこに私の提案の余地はありませんでした。当時は忙しくもしていたため、それが当たり前だし、求めても仕方ないと思ってはいましたが、何だか流れ作業のようになってしまい、ニーズを汲み取ったり、課題の解決に向き合ったりしながらモノ作りをしているという実感は、正直なところあまり無かったんです。
そのような自己評価でしたので、私の経歴として表現されるこれまでの経験と、いま持っているスキルが見合っていない...。このギャップの存在は、私の中でずっとモヤモヤとして残り続けました。
──忙しく動いている時はなかなか気づきにくいですが、ふと立ち止まってみると見えてくるものもありますよね。そのようなモヤモヤを抱えつつも、次はどのような道に進まれたんですか?
前原:事業会社のWeb担当者として転職をすることになりました。ここで私がいまINIでプロジェクトマネージャーとして働くことにつながった出会いがあったんです。当時、その会社のWebサイトをリニューアルするプロジェクトが立ち上がり、私も社内のWeb担当として参画することになりました。その際に制作会社の方がパートナーとなり、Webディレクター、プロジェクトマネージャーの方と一緒に仕事をする機会があったのですが、その方たちの仕事を目の当たりにして、「これが私が求めていたスキルというものなんだ!」と見せつけられた気がしました。
クライアントの立場であった私に、プロジェクトのスムーズな進行を促すためのアウトプットの提示や適切な情報の提供、先読みした検討事項の提示など、私が迷うことがないように伴走してしっかりとガイドしてくれているような感覚でしたね。また、しっかりと体系化されたWeb制作フロー、フレームワーク、プロジェクトを円滑に進めるためのコミュニケーションナレッジなどのノウハウも豊富でした。この出会いは、私にとって衝撃だったとともに、具体的に目指したいキャリアモデルが見えた瞬間でもありました。「私もこの人たちみたいになりたい!」と。
制作会社の高度なノウハウに心が動かされる
──進みたい道が見えたんですね!
前原:はい。ビビッという感じで(笑)。事業会社のWeb担当の仕事もやりがいはありましたが、先ほどの出会いによって、もっとWebの領域で自分を成長させたい気持ちが大きくなりました。また、事業会社のWeb担当のままだと、私が追求したいWeb領域以外にも様々な業務を担うことも組織の役割としては必要ですし、Webに特化した仕事ばかりができるとも限りません。
また、社内で同じWebの仕事をしている社員も少ないため、共に高め合う仲間の存在も少ないことも、私にとっては物足りなさを感じていました。制作会社サイドが持っているような高度なノウハウを事業会社サイドが保有していることは稀ですし、居心地は良かったとしても、スキルがタコツボ化してしまうのも怖かったんですね。Webのことなら幅広く何でもできる経験値よりも、Webにどっぷり浸かるくらいの経験をしたかったんです。
──これが制作会社のWebディレクターへの道につながっていくことになるんですね。
前原:先ほどのような経緯もあり、制作会社サイドのWebディレクターとして転職することを決意しました。当時入社した会社では、Webディレクターが私一人だけという状況でしたので、Web制作の案件に関しては全て対応していたのですが、スキルや知識不足でわからないことも多かったため、案件対応しながらわからないことは調べてインプットを増やすという状態でした。自分でやるしかないという環境は、それはそれで成長につながったと思ってはいますが、我流でしたので「本当にこれで良いのか?」という不安はやはり拭えませんでした。
そこで、しっかりとベースとなる知識を学んだ方が良いと思い、その会社に勤めながら、デジタルハリウッドSTUDIOのWebデザイナー専攻に入学をすることにしました。「せっかくやるのなら、がっつりWebを学んでやろう!」と思って意欲的に取り組んだこともあってか、スクールで選抜されるクリエイターズオーディションという卒業制作発表会に参加することになりました。そこでお声がけいただき、出会ったのがINIなんです。
INIの体系立てられたノウハウとカルチャーに惹かれて
──INIとの出会いは偶然だったんですね。
前原:実は、オーディションには参加しましたが、本気で転職をするつもりはなかったんですよ(笑)。でも、INIの会社のことを聞いているうちに、成長できる環境はここにあるんじゃないかと思うようになりました。当時、我流でWebディレクションをしていた私にとって、これまでのWeb制作実績の中で培ったノウハウ、組織として体系立てられたワークフローが整備されていることは、INIの大きな強みだと感じました。
ナレッジに強みを持つ会社であれば、私が求めていたスキルが仕事を通じて身につく環境だと感じましたし、いま以上にWebディレクターとしても成長できるんじゃないかと思って、お声がけいただいたINIに興味が傾いていったんです。
──INIに入社してからは、どのような仕事をしているんですか?
前原:入社後はアシスタントディレクターとして先輩社員のサポートをしていたのですが、入社後3ヶ月くらいでINIのワークフローに沿い先輩のサポートを得ながらメインディレクターとして大きな案件を任せていただきました。ノウハウやワークフローが整っていることと成長を促す文化があれば「ここまで任せてくれるんだ」と驚きましたね。現在も複数案件でプロジェクトマネージャーを担当していますが、大型案件のWeb制作・実装案件を任せてもらっており、きっと私のキャリアの中でも忘れられない貴重な経験になると思います。
こういった思い切りの良いアサインができるのも、社内に豊富なナレッジがあるからだと実感しています。また、INIが大切にしているクレドをベースとした行動指針を大切にして行動をしているからこそ、社内・社外問わず協働できる文化ができているんだと思います。素敵なことですよね。
INIはベンチャーと老舗の良いところ取り
──実際にINIに入社して、印象はいかがでしたか?
前原:ベンチャー企業のように若すぎる感じだと、就労環境面やナレッジなどが不安に思うものだと思います。また一方で、古すぎると、これまでのやり方に凝り固まって柔軟性にかけて変化ができないといった不安もあると思います。そういった点では、INIはこれらの良いところ取りをしたような会社だと感じています。ワークフローの整備やナレッジの蓄積など、これまでのWeb制作事業20年来の強みを持っている。だけど、新しいことには柔軟で、新しい風も意見も受け入れてくれるオープンな社風だと転職経験も踏まえて感じています。
Web系の会社のイメージですと、テンションが高めのノリや勢いが強めの会社さんも多いかもしれませんが、INIはその中でも比較的インテリジェントな印象で、ほっこりしていて、落ち着いているようなイメージですかね(笑)。
──INIで求めていたWebにどっぷり浸かる仲間が見つかったんですね。
前原:そうですね(笑)。これまで我流を貫いてきた私にとっては、ありがたい環境だと思っています。社内チャットで、INIメンバーで雑談や情報交換をするチャンネルがあるのですが、情報発信もとても活発に行われています。ほっこりするようなやりとりもあれば、「こういうの見つけたよ!シェアするね!」といったやりとりまで。自分のアンテナだけではキャッチアップできない情報が、社内メンバーからも積極的に発信されているのは、勉強になりますね。いま流行りの言葉で言うと、"心理的安全性"が高い職場だと感じています。
そういった意味では、INIメンバーは勉強家の人が多いのかもしれませんね(笑)。代表の和田さんを筆頭にして、みんなWebの世界が好きですし、好きだからこそ、どんどん外部からも情報を吸収して、そして社内の仲間に共有しようとしてくれます。知的好奇心もくすぐられますし、とても刺激的ですね。
Webにどっぷり浸かりたいなら、制作会社は成長の機会が多い
──事業会社のWeb担当者から、制作会社のディレクターに転身するのは珍しい気もします。前原さんはどのようにお感じですか?
前原:そうですね。制作会社は案件がいつも詰まっていて、忙しく、働き方に持続可能性を感じないイメージが強いのもあると思いますが、それは一概に全てに当てはまるものでもありませんし、会社によって違う気もしますね。私の場合も、転職する際には「働き続けられそうかどうか」は重要視していました。
その点ですと、INIの場合は、プロジェクトの規模が大規模案件がメインで、短納期で多くの制作納品物を量産をするスタイルではなく、じっくりとクライアントと向き合い続けられる環境だと感じました。だからこそ、やりがいと無理のない働き方の両立が実現できているんだと思いますし、20年以上続いているクライアントがいることはその証でもあると思いますね。
──周囲のサポートも得られやすいですか?
前原:はい。私自身もプロジェクトの立ち上げ経験や大規模案件の経験はありませんでしたが、代表の和田さんやマネジメントメンバーの方々のサポートをもらいながら、業務を進めることができており、安心できています。Web業界でよく聞くような「対応リソースがなくて自分で抱え込んでしまう...」「悩んでいるのに、相談できずに案件で孤立してしまう...」といった個人商店のような状況にはなることはありませんね。「自分の中でリソースは管理しつつも、どうしても収まらない時は相談しましょう」というカルチャーがINIには根付いています。
また、最近ではPMOの役割も設けて、プロジェクトマネージャーへのアドバイスもしっかりとできる体制を整えてくれています。予実管理、アサインルールなど、マネジメント体制がしっかりと整っているからこそ、チームとして機能し、無理のない働き方も実現できるんだと感じています。
変化があるからこそ、仕事に飽きることはない
──ありがとうございました。最後に一言お願いします!
前原:実体験から感じたことですが、私のように変化や刺激を求める人であれば、事業会社のWeb担当者、いわゆるインハウスの担当者よりも制作会社をおすすめしますね。飽き性なだけかもしれませんが(笑)。
受託制作は、クライアントも社内外のパートナーも、課題も人も変わります。だから飽きないんです。変化があれば、刺激も多く、新たな出会いもあり、成長もできる。INIに転職した当時はそこまで意識していませんでしたけど、今ではそういった受託制作のメリットを強く実感しています。私の志向にはマッチしている気がしますね。
いまINIで、じっくりとクライアントの想いやニーズ・課題に向き合い、いろんな刺激をもらえるINIの仲間たちと共にWebの世界にどっぷり浸かることができていることは、幸せな環境だと思っています。新たにINIのジョインされる方とも、共に高め合えたら良いなと思います!
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