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こんにちは、GIG新入社員のじきるです!徐々に会社に慣れ、毎日元気に仕事に取り組んでいます。まだまだヒノキ花粉が辛い季節ではありますが、GIGではティッシュが無限に支給されるのであまり困ってはいません。花粉症患者に優しいティッシュ使い放題の会社。それがGIGです。
さて、そんな花粉が舞い心踊る季節に、GIGは社外のスピーカーをお招きした勉強会「Tech Trend Talk vol.2 シリコンバレーで見たIoT開発最前線」を開催しました。
第二回の社外向け勉強会ですが、今回は20代から40代までの幅広い年代の方がGIGのオフィスにお越しくださいました。いつもの社内勉強会より賑やかで活発な議論が交わされました。今回はその模様をお届けします。
シリコンバレーで見た、IoT開発の最前線
講師を務めたのは、ソフトバンク株式会社のIoT事業推進部としてシリコンバレーに4年間駐在した菊池仁さん。「シリコンバレーで見たIoT開発最前線」と題して、シリコンバレーでの投資や開発の現状、次に来る開発トレンド、シリコンバレーの人々の生活などを分かりやすく教えてくれました。
菊池 仁:ソフトバンク株式会社 IoT事業推進本部。2014年より2018年までシリコンバレーオフィスに勤務。 各種スタートアップとの協業など、事業開発・新商品開発に従事。 デバイス、クラウドプラットフォームからサービスまでプロトタイプ開発を精力的に推進している。 趣味の一環としてIoT開発ボードの収集にも取り組む。
そもそも「IoT」とは?
そもそも「IoT」とは何のことでしょうか?IoTは「Internet Of Things(モノのインターネット)」の略です。PCやスマートフォンだけでなく、日常の中のあらゆるものがインターネットとつながる仕組みを指します。
一説によると、2035年までにはインターネットにつながるIoTデバイスが2750億個(現在は157億個)を超えると推計されています。また2018年(今年!)にはコンピュータチップのトランジスタ数が300億個を超え、人間の脳の処理能力を上回ると言われています。
菊池:「近い将来に人間より賢いデバイスが数千億個ばら撒かれる社会がやってくるのです」
シリコンバレーの日常に浸透するIoT
しかし、日本ではあまりIoTが普及しているようには思えません。一方、シリコンバレーでは日常の中にIoTが徐々に浸透してきていると菊池さんは話しました。
菊池:「例えば僕が住んでいたアパートは、スマートホームの設備が標準で付いていました」
菊池:「サンフランシスコ49ersの本拠地・リーバイススタジアムには、スタジアムの様々な箇所にカメラが設置されており、各々のデバイスで自由な視点から試合を観戦することが出来ます。また100席ごとにWi-Fiルーターが設置されており、スタジアム全体がWi-Fiで覆われているため通信環境も良好です」
シリコンバレーのエンジニアの平均年収は高いけれど
IoTが広まるシリコンバレーでは新しいモノを作る人へのリスペクトが高く、最新テックを追うエンジニアは高く評価を得ています。エンジニアの平均年収は1000万円を超えており、日本の2倍となっています。しかし、それでも生活は苦しいと菊池さんは語ります。
菊池:「例えば私が家族と一緒に住んでいたアパートは、月の家賃が30万円でした。これでも平均的だと思います」
菊池:「シリコンバレーは基本的に物価が高く、生活費が日本の3倍はかかります。1000万円程度の稼ぎではなかなか生活が苦しいため、共働きの家庭も多いです」
シリコンバレーの「エコシステム」とはなにか
シリコンバレーには世界中の主要なベンチャーキャピタルが集まっています。彼らが莫大な資金をどんどん投資するため、スタートアップはシリコンバレーに集まってくるとのこと。
菊池:「シリコンバレーは投資家からお金をもらう場所です」
シリコンバレーには独自の”エコシステム”が成立していると菊池さんは教えてくれました。
菊池:「シリコンバレーにはVCをはじめ、起業支援をするインキュベーターや、人材供給や法律関係業務を請け負う企業などが多く集まっています。スタートアップには最適な環境が整っています」
菊池:「スタートアップ同士でシェアオフィスを借りる文化もあり、会社を超えた横の繋がりが広いのも特徴です」
決断が遅い日本人は「インナーサークル」に入りにくい
シリコンバレーでは会社を超えた交流が日常的に行われている一方、日本人はインナーサークル(最新テックを開発する中心集団)になかなか入っていけないと菊池さんは語ります。
菊池:「日本企業は決断が遅いことで有名なので、日本人は嫌われがちなんです」
菊池:「最新テックの開発はスピードが命です。早く開発しないとトレンドが移り変わってしまいますからね」
日本的なサラリーマンでいる限り、シリコンバレーに何年いてもインナーサークルには入っていけないそうです。
一方、スピード感を大事にして行動すれば、数週間程度でも入りこめる可能性があると教えてくれました。
全然スマートではない、スマートホーム
シリコンバレーでは、2014年をピークにIoT関連への積極的な投資が行われました。スマートホーム関連のIoT事業だけでも60社以上が参入しています。
菊池:「しかし、それぞれが別々のスマートホーム用アプリを開発してしまっているんですよね。スマート家電ごとに対応アプリが違うので、めちゃめちゃ不便。その辺がスマートじゃなくて残念ですね」
スマートホーム関連投資は一巡して、2017年以降はだいぶ減ったとのことです。
コーポレートVCによる買収
2014〜2017年にかけて、大手コーポレートVCが有力なスタートアップを次々に買収する流れが現れました。
菊池:「例えばnestは、Googleに3.2ビリオン(約3500億円)で買収されました」
菊池:「nestはスマートサーモスタット(ホテルやマンションの空調を全自動で調節するIoT機器)をリリースしている会社ですが、Googleはスマートサーモスタットによって得られる全米中の室温調節情報をアナリティクスし、そのデータを電力会社に売ることを思いついたのです」
ただ単に便利なIoT機器を作るのではなく、その先に考えられるビジネスを想定することがスタートアップ成功の秘訣ということでしょう。
ゲームチェンジャーとしての「AI」とは
IoT関連投資が落ち着き、VCたちが次に目をつけているのはAIだそうです。
菊池:「例えば、スタンフォード大学の学生や教授たちが、家の中にあるセンサーや家電を全てAIで制御しようと開発を進めています」
菊池:「家の主人の行動パターンやヒートマップをAIが学習することでそれを可能にしようとしています。いずれはスマートスピーカーへの指示すらいらなくなるでしょう」
スマートホームの究極系を、AIによって成し遂げようとしている模様。
このように、ただAIを開発するのではなく、それを分野別・業種別にどう使い倒したら良いかというのが考え込まれているとのこと。
現在は特にリテールテック(小売業界のAI)が注目されているようです。
シリコンバレーのマインドセットについて
最後に、菊池さんはシリコンバレーで活躍する人々の考え方を教えてくれました。
菊池:「シリコンバレーの人々は、演繹法的発想で開発を進めているのです」
菊池:「データや前提を元に、仮説を立て、すぐ検証。それを繰り返す」
菊池:「仮説と検証をどんどんしたいから、スタートアップは早く商品を出したいのです。色々な検証を繰り返しながら、ブラッシュアップしていく」
この発想自体は、何もシリコンバレーの人に特別なことではありません。日本にいながらでも、同様のことはできるでしょう。
勉強会の後は懇談会で乾杯!
勉強会の後には懇談会を開催しました!某中華料理店のオードブルを囲み、GIGメンバーと社外の方が交流しました。
左からGIG代表取締役の岩上さん、今回のスピーカーの菊池さん、僕。僕が「シリコンバレー行ってみたいです!」と言ったら、菊池さんが「岩上社長が連れてってあげたら?」と仰ってくれました。岩上社長、どうですか? 僕!!(とりあえず英語勉強しよ)
まとめ
GIGでは月イチ程度のペースで社外向けの勉強会を開催しています。今回もエンジニアに限らず、ディレクターやエディターなども勉強会に参加しており、全社的な知識スキルの向上の機会となりました。
シリコンバレーの最新トレンド情報は日本にいるとなかなか入ってこないので、このような勉強会はとても貴重です。非エンジニアの僕も大変興味深く聞くことができました。
GIGでは機械学習、IoT、ブロックチェーンなどの最新トレンドに関する勉強会を今後も開催していきます。イベントの詳しい情報は、connpassのGIGページをチェックしてください!