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CEO Interview | 西垣 雄太

株式会社GENEROSITY
CEO
西垣 雄太

1989年生まれ。2015年5月株式会社DAWGSを設立。同年7月にデジタルフォトプリントサービス「#SnSnap(エスエヌスナップ)」をリリースし、株式会社SnSnapに社名変更。SNSを軸としたデジタルコミュニケーション企画を強みに事業展開し、2016年12月に同社をPEファンドに株式譲渡。立体的なブランド体験の企画、制作、実施まで行うエクスペリエンスエージェンシーとして成長し、2018年9月に株式会社GENEROSITYに社名変更。国内外1,200を超える案件実績を達成し、ファッション、ビューティー、スポーツ、エンターテイメントという幅広い分野でデジタルとリアルの両面のコミュニケーションを駆使した立体的なマーケティングを行っている。



起業を志した原点は、学生時代に体感した「デジタルへの新潮流」


__現在のGENEROSITYの事業について簡単に教えてください。

私たちはブランドエクスペリエンスエージェンシーとして、ブランドのリアルとデジタルのコミュニケーションをワンストップで提供しています。自社でプランナー・デザイナー・エンジニアを抱えているのに加え、#SnSnapなどのオリジナルプロダクトを持っていることで、私たちにしかできない「リアル×デジタル体験」を提供できることが強みです。創業当初は#SnSnapを主軸としたSNSプロモーションを支援するプロダクトの提供に特化した会社でしたが、お付き合いのあるクライアントからのご要望にお応えする形で、イベントを主軸としたプロモーション全般を手がけるようになりました。2015年にはDAWGS(ドーグス)という社名で創業しましたが、事業の変化・拡大に合わせて、SnSnap(エスエヌスナップ)、GENEROSITY(ジェネロシティ)と社名も変更してきました。GENEROSITY(寛容・寛大)という社名には、時代の流れを寛大に受け入れ、この先も成長を止めないエクスペリエンスエージェンシーになるという決意を込めています。

__西垣さんは2015年にDAWGSを創業されますが、起業を志した経緯を教えてください。

私は、携帯電話が「ガラケー」から「スマホ」へ変わっていった時期に学生時代を過ごした、いわゆる「ミレニアム世代」です。私が大学に入学した2008年頃は、海外でiPhoneが広がりはじめた時期に重なります。もともとITには興味があったので、マイクロソフトやアマゾンの本社があるシアトルのワシントン大学に2010年に1年間留学しました。そこでまず驚いたのは、大学の環境です。今では当たり前ですが、広大なキャンパス内のどこでもネット回線がつながる状態で、授業やプロジェクトが行われている__。世界中の学生が集まって先進的な授業を受けている様子は印象的でした。留学中は現地企業でインターンも経験しながら学生生活を過ごしていたのですが、2011年に入って東北大震災が起こりました。テレビをつけても詳しい情報が全然入ってこない。誰もが緊迫して不安な状態に襲われていた時、「ツイッターで更新される情報」が非常に重宝されたのは、みなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか。世の中の情報のコミュケーション方法が変わって来ている。その空気感を肌で感じた学生時代だったと思います。また、その当時、スティーブ・ジョブスや孫正義さんなど、メディアで起業家が盛んに取り上げられ始めたことも興味を抱いたきっかけです。私は学生時代に、iPhoneの発売から3年間ほどで、情報の伝わり方やコンテンツのあり方が劇的に変わっていったのを目の当たりにしました。アプリ1つで上場できる会社が次々と生まれてくる。この時代の流れに夢を感じました。デジタルの分野で自らの事業を作り出すことに興味を抱いたのは学生時代の経験が元になっています。



目指す起業のため、必要な経験と人との出会いを掴みに行く


__起業のテーマについてSNSを選んだきっかけを教えてください。

​学生時代から社会人になったころから、企業がソーシャルメディア広告の活用ニーズが高まっていることを肌で感じており、自分もその領域で勝負してみたいと思うようになりました。当時ソーシャルメディアといえば、国内はフェイスブックやツイッター、アメブロ、海外ではスナップチャット、インスタグラムがユーザー数を多く獲得し始めたころで、その中で、日本で一番普及していたのは文字先行型のツイッターでした。しかし、ブランド広告は媒体を選びます。ブランド広告のビジュアルコミュニケーションが一番ハマるのはどこだろうと考えた時、私はインスタグラムではないかと思いました。「近い将来、絶対インスタグラムが来る!」そう確信したのはこの頃です。とはいえ、まだ自分自身がぶれていた時期でもあり、ソーシャルメディアの勢いが増してくるという確信はあったものの、具体的な構想はありませんでした。アイデアがない……。とにかく事業アイデアが欲しくて、土日の休みを使ってハッカソンに足を運びはじめました。

__ハッカソンで思いついたアイデアや出会いを教えてください。

ハッカソンに通うようになってSNS領域以外のアイデアも含めて3つの企画を思いつきました。1つが、月額定額制のコーヒーサービス。2つ目が、シェアリングの文脈で思いついた高級時計のレンタルサービス。3つ目が、#SnSnapの原型となるフォトプリントサービス。この3つのアイデアを話してみたのが、当時別のITベンチャー企業にいた平沼慎吾(GENEROSITY現CTO)でした。平沼とはハッカソン内でのチームイベントで出会います。違うチーム同士だったのですが、平沼のチームは企画からプロダクト開発が一番早くて、「すごい人がいるな」と当初から注目していました。そのイベントが終了した後に、彼に声をかけます。自分は起業したいと考えていること、アイデアを出すためにハッカソンに参加するようになったこと、今度は一緒のチームで参加したいことなど……。この出会いをきっかけに、土日にハンバーガー屋などで会うようになりました。何度か重ねるうちに、あるハッカソンイベントに一緒に参加しようとなったわけです。


__平沼さんと参加したハッカソンイベントではどんなことをしたのでしょうか?

そのハッカソンイベントはスポンサー企業が4社あって、それぞれの企業のサービスをビジネスアイデアに連携させることでポイントが加点されるルールでした。 自分が持っているアイデアは3つ。そのうちの1つ、高級時計のレンタルサービスは、アプリはすぐに作れるけれど、実際に高級時計を仕入れて現場で貸し出すパフォーマンスが必要になります。となると、これは実現が難しい。月額定額制のコーヒーも、やはりアプリはすぐに作れましたが、現場で試すのが難しいサービスであることがわかりました。そこで残ったのは、#SnSnapのフォトプリント。プリンターを会場に持ち込んで、審査員に試してもらえば盛り上がるパフォーマンスができるかもしれない。ここで初めて、本格的に#SnSnapサービスを形作っていくことになりました。ある特定のグッズショップに行くともらえる限定スタンプをアプリで共有させて、それを使って写真を投稿するとTシャツやスマホケースに自動印刷できるグッズサイトを作り、決済サービスとグッズの生産先にスポンサー会社を使うなど、4社を#SnSnapサービス全てに連携させました。さらに、当日の会場にはディスプレイも作って#SnSnapの発表となりました。




ハッカソンで生まれたアイデアが今につながる事業サービスに


__ハッカソンイベントで#SnSnapを発表した結果を教えてください。

結果として、イベントは非常に盛り上がりました。イベント期間内に、アプリの制作とウェブサイト、ハードまで作ってきたグループは初めてだと評価されて、準優勝をいただきました。この時、ディスプレイしていた#SnSnapのベータ版が広告代理店に勤めている来場者の方の目に止まり、「面白い会社がある」とSNSに投稿されたんです。そしたら、大手雑貨店から#SnSnapについて問い合わせが来て、「使ってみたい」と……。すぐに打ち合わせに向かったところ、その日にサービスが売れてしまいました。売れてしまったものだから、完成品をすぐに作らなければなりません。早速、平沼に報告してプロダクトの制作に取り掛かり、初めての納品にこぎつけることができました。すると、大手雑貨店にプロダクトが導入されたことを、参加したハッカソンイベントやIT系のメディアが記事にしてくれて、問い合わせが来るようになります。自身でも、「こんなプロダクトを作ったのですが、興味ありますか?」と知り合いにメッセージを送り出しました。その中の1人にブランド広告に関わっている人がいて、インスタグラムでの広告戦略について話を聞きたいという反応をいただきました。打ち合わせはトントン拍子に進み、ラグジュアリーブランドで初導入が決定。ここで、#SnSnapを本気で事業として立ち上げることを決めました。

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__プロダクトが売れていったところから事業が形作られていったのですね​。

そうですね。人脈をたどって、#SnSnapが合いそうな大きな音楽イベントに売り込みをかけ、そこでもブースを作って導入してもらうことに成功します。SNSの拡散力は絶大で、#SnSnapを利用した芸能人が投稿することで一気に認知度が広がっていきました。ここまで、平沼はサブプロジェクトとして#SnSnapに関わっていたのですが、こっちを本気でやった方がいいと説得して正式に会社にジョインして貰うことになりました。1つ実績ができたら次々とクライアントを紹介していただき、国内の大型イベントにどんどん出店。自分でもSNSにイベント実績を投稿していて、それを見た知り合いが手伝うようになってくれたり、逆に一緒にやってくれないかと誘って、少しずつ人員も増えていきました。ハッカソンイベント準優勝から怒涛のスピードで大きくなっていった#SnSnap。しかし、同年10月末、とうとうプロダクトの生産が資金不足で追いつかなくなります。



会社の危機が、会社のポテンシャルを高める原動力に


__資金が追いつかなくなった時、どのように乗り越えたのでしょうか?

​この事業の一番のネックとなったのが、資金調達でした。その頃、SNSがまだ理解されていなくて、銀行からすると「インスタって何? ハッシュタグって何?」というレベル。一方でベンチャーキャピタルは、当時流行りのシェアリングエコノミーなど、今後拡大が確実視される事業にしか投資しないような流れでした。興味を持ってくれたのは、ゲーム会社やプリンターのメーカー、広告代理店など。ただし、特定の企業からの資金提供を受けることで、競合他社との付き合いがしにくくなるという懸念もあり、なかなか良い方法が見つかりませんでした。そんな時に手を挙げて来たのが、とある投資ファンドです。グローバルな市場も狙えるサービスやコンテンツを持っている会社を応援したいということで、早急な資金提供の他にバックオフィスを整えて組織形成を手伝ってくれるとのことでした。しかし、融資ではなく、全株式の譲渡が条件。つまり、投資ファンドが会社のオーナーになるという条件です。一瞬躊躇しましたが、売却を決めました。特定の企業と付き合いにくくなることもないし、組織のバックアップもしてくれる。何より、今いるクライアントのニーズを断らずにすむというところが大きかったです。

​__資金が調達できてから事業はどのように成長していったのでしょうか? また、資金調達以外にあった危機などがあれば教えてください。

資金を得たことでオフィスを構えることができ、プロダクトの生産も進み、人の採用もきちんとできるようになっていきました。それによって、プロダクトありきのサービス領域から、イベント全体のプロモーションまで事業領域が拡大します。しかし、それまでの道のりは順風満帆ではなく、むしろ会社の存続を揺るがしかねない問題があって、今のGENEROSITYへと成長してきたと言えます。その問題とは、2017年にインスタグラムのAPIが使えなくなったことです。つまり、インスタグラムのあるシステムを使える権利が廃止されることで、#SnSnapが機能しなくなる事態に陥りました。当時の事業計画では、商業施設やアミューズメントパークなどに#SnSnapを常設し、月額レンタルサービスを展開する予定でしたが、それができなくなったことで、インスタグラムのAPIに依存しないサービス領域を広げていくしかなくなりました。動画コンテンツ制作や結婚式の撮影など、APIを利用しない撮影サービスを模索しますが、マーケットの新規開拓は簡単には進みません。そこで、これまでのクライアントから声としてあった、「SNSのプロモーションとイベント全体」の相談に目を向けたんです。自分たちがイベントの企画から運営まで取り仕切り、その中に#SnSnapプロダクトを入れる。この領域にチャレンジすることを決め、2018年大手化粧品会社の新商品イベントプロモーションを成功させました。この大規模案件を皮切りに、事業方向を大きく転換していくことになります。




主導権を握りなおし「ゲームチェンジ」で迎えるチャンス


__事業方向を転換した翌年2019年に投資ファンドから会社の株を買い戻しましたが、どのような狙いがあったのでしょうか?

売却時の契約であった、2年間、取締役として会社に残る義務。その解除が来た時、会社自体のポテンシャルはまだまだあると感じていましたが、自分が経営の主導権をもたない状態でのスピーディーな成長と事業拡大が厳しいと感じました。会社は大型案件が受注できるようになり、ラグジュアリーブランドからも一目置かれる存在に成長してきている。ここで、事業の拡大スピードが落ちてしまうのならば、もう一度自分が主導権と責任を持ってさらに大きくしていきたい。そう考えて、投資ファンドと話し合い、MBOに至りました。

__その矢先に、コロナ禍が起こりましたが、それらも踏まえてこれからの展望を教えてください。

​2020年からGENEROSITYが出し続けているメッセージの1つが「ゲームチェンジ」です。ゲームチェンジとは、昔ながらのマスメディア媒体への広告が、デジタル方面へシフトしていくことにより、広告業界の勢力図が変わっていくことを指します。YouTubeやSNSなどにより個人の発信力が強まったことで、これまでの広告業界が担ってきた消費者と企業の間を取り持つ役割、いわゆるテレビCMや新聞広告の必然性が低くなってきていますよね。企業はインフルエンサーやYouTuberなどの演者と直接つながりたがっているし、特に既存のラグジュアリーブランドは、デジタルによるクリエイティブの制作や開発ができるパートナーを求めている。ブランドが考えている世界観を適切に表現する広告や、ブランドがつながりたい消費者に対してダイレクトにアピールする方法を実現するには、デジタルとクリエイティブとプランニングに力を持っていなければなりません。そして、そこに私たちGENEROSITYは強みを持っている。コロナ禍によって様々な業界が影響を受けていますが、広告業界におけるこのゲームチェンジのスピードが3倍早まったような印象を受けます。結果として、世間の流れの中でGENEROSITYはチャンスを迎えていると言っていいでしょう。



GENEROSITYをステップアップの場所として利用して欲しい


__GENEROSITYの現場で働く人に求めるものはありますか?

​創業当時から大事にしているのは、「アンテナ力」と「突破力」、「成長欲」です。デジタルや情報コミュニケーション領域は変化が激しい分野なので、常に新しいことに対して興味関心を持てる人は強いと思います。アンテナを常に張っている人ということですね。突破力が意味するのは、「一芸」を持つということです。例えば、「私はGENEROSITYの中では、一番女性に好かれるクリエイティブが作れます」とか、「僕はGENEROSITYの中では、一番セールスが強いです」とか、もちろん今現在一番でなくても良いんです。つまり、GENEROSITYという大きな船の中で、それぞれが得意とするスキルとポジションを確立して行って欲しいということ。自分のポジショニングがしっかり見えていれば、個人の成長の期待度も飛躍的に高まりますし、結果として会社のポテンシャルも高まります。好奇心と成長意欲のある人には、GENEROSITYは絶好の場所であると思います。

__GENEROSITYの採用コンセプトとして「ビヨンド」を掲げた理由を教えてください。

​私は、「企業に所属することは、自分の夢の実現のため」だと考えています。もちろん、長く一緒に働けるのはうれしいことですが、自分自身が、これまで所属した企業で積んだ経験や人脈で起業した経緯があります。なので、起業のためにGENEROSITYで経験を積みたいという人にもぜひ来て欲しいですね。ステップアップのための環境は、用意されていると自負しています。他の広告代理店であれば、10年20年経験を積んだベテランが担当するラグジュアリーブランドのプロジェクトでも、GENEROSITYでは20代の社員が主担当として取り組んでいます。例えば、2017年にインターンから正社員として入社した木村優馬さんはその好例です。意欲があれば、それに見合う成長は確実に遂げられます。実際に、GENEROSITYでキャリアアップして次の会社に行く人もいますし、起業して独立した人もいます。むしろ、GENEROSITYが触媒となって、様々な人の夢の実現が促進される環境になっていけたら、経営者としてはこの上ない喜びです。




【GENEROSITY採用候補者様向け社員紹介サイト】
https://www.recruit.generosity.co.jp/
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