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【OKR資料も公開】金融事業の代表が、全社規模のOKRスキル向上に本気で取り組むワケ~freee finance lab特集 vol.3~
今回は、freee finance lab特集の第3弾。
finance labの代表である武地 健太の紹介です。
しかし、今回は金融事業の紹介はほとんどしません。
実は、武地は今年からOKRという手法の全社普及に取り組んでいます。
この記事では、彼がOKRに熱を入れる理由と取り組みの実情を聞いてみました。
後半では、OKR浸透に使っている資料(抜粋版)も公開します。
プロフィール
武地健太(Kenta Takechi)
古都長岡京の出身。両親ともに税理士の会計一家に育つ。
京都大学卒業後、あずさ監査法人大阪事務所で会計監査や上場支援に携わる。
27歳で東京進出し、ボストン・コンサルティング・グループ入社。マネージャーとして、製造業・IT業を中心に、新規事業開発・中期経営計画策定・M&A支援等のコンサルティングに従事する傍ら、新人育成に情熱を傾ける。2016年にfreeeに参画。
OKRに取り組む理由
ー突然ですが、OKRって何ですか?
OKRは目標管理ツールと言われていますが、私は時間を最も有効に使うツールと捉えています。
freeeでOKRを作る時は、Objective (目標)とKR(主要な結果)を、事業全体/チーム/個人が、それぞれの単位で作ります。さらに、ストレッチかつ熱意を持てる目標を置くこと、できるだけ数は絞ること、きちんとトラッキングして修正していくことは特徴的ですね。
ー目標設定だけでなく運用まで考えるのですね。なぜOKRに惹かれているんですか?
freeeの文化とも相性が良いですし、何よりメンバーが価値を感じることにフォーカスして時間を使えるからです。私だけでなく働く多くの人にとって、「時間」は1番か2番目に重要なはずです。
OKRを作る過程で、「何にフォーカスするか」を突き詰めて色々考えます。そのフォーカスは自分がやりたいか、やらないといけないか、それをやったら所属組織の成長にもつながるか、個人のがんばりをちゃんと評価できるか、までちゃんと考慮して決めます。
その結果、皆の時間を本当に価値ある開発や施策にフォーカスし、インパクトを大きくできるのは魅力的ですね。
ーOKRに惹かれるきっかけは何かありましたか?
Measure What Mattersという本を読んだことが大きなきっかけです。freeeでは昔からOKRを導入していましたが、この本で「もっと使いこなせば、みんな幸せになれる」という確信を持ちました。
ちょうどそのころ、社内のチーム横断で「OKR進め隊」という有志の集まりができていたので、そこにも飛び込んで積極的に貢献するようにしました。
「OKR進め隊」を起点にOKRの浸透にコミット
ー「OKR進め隊」ってどんどん勢い増してますよね!
やはり「進め隊」のメンバーは皆これまでよく考えて工夫しているので、そういう人たちは使いこなすのも上手いです。
集まるメンバーは「OKRが難しいのは確かだが、とても良いものだ」と心から信じていて、皆に「それを一緒に使えるようになっていこう」という想いを持っています。
各チームで活躍している人たちが信じているというのもあって、OKRは良いツールなのだろうなと思いを強めました。
ー「OKR進め隊」で武地さんはどういう役割なんですか?
明確に役割は決まっていなかったのですが、金融チームでの事例を積極的に紹介しつつ、OKRの良さや使い方をとりまとめて、それを金融チームや全社に還元することにコミットしています。
社内用語は割愛しましたが、私は以下のような資料をまとめてメンバーに共有しました。(抜粋版)
資料を共有するだけでは身にならないので、資料と各メンバーのOKRを見ながら1on1ミーティングを設定し、かなり時間を割いて「どうしたらもっと良い目標を設定できるだろう?」とディスカッションしています。
この資料は抜粋版ですが、他の人も色々な観点で社内浸透用の資料を作ってまとめています。
自分自身のOKRに「OKR浸透」を入れた
ー武地さんのOKRはどういうものなんですか?
私自身、この3ヶ月はfreee全社の経営企画、GR(Goverment relations)の推進、OKRの浸透の3つにフォーカスしました。
私はfreee全社の経営も関わっている都合上、1つ目は全社の経営企画に置きました。
2つ目にGRがあるのは、freee finance labの事業特性によります。我々が手がけるfintechでは、「絶対に規制から逃げない。グレーなまま置いておかない」というのがビジネスの成功要件の1つです。GRはプロダクトやサービスの進化への貢献が見えにくく、簡単ではないので後回しになりがちです。しかし、そこを重要だと割り切ってOKRに入れていくことができたのは、良い決断でした。
ー3つ目にOKRの浸透ですよね。金融の開発やビジネスにどう生きるのでしょうか?
金融事業はまだまだ固まっていない状態ですし、メンバーの能力や個性によって、事業の未来が変わりうるフェーズです。
逆に言えば、放っておくと「あれもこれも」となって、どれも中途半端で手をつかないというのは目に見えていました。世の中にどんどん新しいfintechが生まれているように、選択肢を出し始めるといくらでも方針はブレていきます。
OKRを使うことで、沢山ある未来の選択肢の中で、メンバーが最も熱意を持ち、インパクトが出せるところだけにエネルギーを集中させられるのは、大きなメリットですね。
OKR実践からの学び
ーご自身で3ヶ月OKRを本格運用してみてどうでしたか?
本格的にやってみて良かったです。
業務の進捗や意思決定が段違いに早くなりました。あと、目標が明確になることで毎日の充実感が変わりますね。
実は、OKRを家族でも使うほどになりました。“OKR”という名前はわからないので使いませんが、エッセンスだけ利用しています。習い事や生活習慣の改善と相性良いんですいんですよ。OKRって。
ー家族でも!他に学びはありましたか?
副次的な効果も色々ありました。
たとえば、管理業務の一部は、手を挙げてくれたメンバーにお願いしています。メンバーがやりたい分野から権限移譲が進んでいったのは予期せぬ大きなメリットでした。
あと、OKRを作るときに「ユーザーの目線を取り入れること」は大事だなとつくづく思っています。よく「ワクワク感が必要」だとか、「定量化した方がいい」とかも言われていますが、それはそれで正しいとは思います。ただ、教科書通りに「何月何日までに何個の機能を作ればいい」としてしまうと、ワクワク感もないしタスクリストに近くなります。
それを、例えば「ユーザーさんがfreee特有の自動化機能が使えるまでの時間を半分にする」のようにユーザーの体験に寄り添ってOKRを作ると、定量化も自ずとできていますし、「正しいユーザー体験だったらぜひやりたい」とワクワク感も出ます。
ー良いところだけでなく、課題はありましたか?
改めてOKRを実行するのは、すごく難しいとは思いました。
まず良い目標を作るのはとても難しいです。「進め隊」でも、みんな難しいと言っています。
ボトムアップ志向はfreeeの社風にピッタリである一方、ボトムアップで目標を作るときに、自分が心からやりたいことで、世の中にインパクトが出ることで、組織の方針の中で重点領域で応援してくれる人がいる、ということがきちんと揃っていないと機能しません。
でも、そんな目標をつくる経験をしてきた人は、freeeでもなかなかいないのが事実です。
さらに、OKR設定だけでなく、運用開始までにも難しさがあります。
OKRでやることを絞っても、今までやってきた仕事は、その人の責任において工夫して調整しなければいけません。
たとえば、重点領域ではない分野の人から「何かやりませんか」と声をかけられたとき、正直に「今リソースに余裕がないため数か月待ってください。申し訳ありません。」と謝って仕事を調整することも大事です。
逆に「自分ではなくてもできるし、これは他のチームの人にやってもらった方が効率が良い」と思う仕事は恐れずに言うことも重要です。そういった工夫をセットでできるようになれば、多くの人がOKRのメリットを活用できるようになるはずです。
たまに、「武地さんだからできるのでは?」と言われますが、OKR運用がうまくて成果を出している人は、ポジションに関係なくいます。ただ、立場によって難しさを感じる分野は違うでしょうね。
OKRを使って達成したい未来は?
ーOKR自体はツールだと思うのですが、武地さんはOKRを使って何を目指しているのでしょうか。
まずは、新しいサービスをいち早く世に送り出すことが楽しみで仕方ないです。OKRで事業が加速している実感があるので、広く皆さんに発表するタイミングがとても楽しみです。
freee finance labは、会計freeeの持つ自動化・効率化、経営状況の可視化のメリットを最大限に活かし、freeeをスモールビジネスの資金繰りを改善出来るサービスに進化させます。
言いかえれば、freee全社のサービスコンセプトである「情熱やパッション/スキルがあれば、誰でもビジネスを立ち上げられる」、そんな世の中を実現する一翼となります。
また、個人的にはOKRのメリットを組織に浸透させて、新しいビジネスを生み出す/安定的に成長できる、そんなメンバーやチームが生まれる組織づくりにも貢献していきたいですね。
ー最後に、freee finance labに興味がある方に一言お願いします。
freee finance labでは、短期間でメンバーが成長し、事業も加速したため、予想以上に早い段階で新メンバーも受け入れられる体制ができました。
成長ベンチャーの中のベンチャー。スタートアップの中でもチャレンジを応援するメンバーばかりです。金融の経験者/未経験者が強みを発揮しあって、価値があるものを認め合い、裁量もあります。というか、各メンバーが裁量を持って意思決定をしてトライしていかないと、前に進めない荒地でもあります。
こんなに面白い環境は他にはありません。是非、一緒に日本の金融マーケットを良くしていくサービスを作りましょう!