境さん / フィッツコーポレーション 商品開発部門
代表作:「オーシャントリコ」「プア ナナラ」など、数々のヒット商品を生み出している。
1. 商品開発のアイデアはどこから?
Q1:境さんは、普段どのように新商品のアイデアを考えていますか?
情報収集は日常の中で自然と行っています。
SNSを見たり街を歩いたりしているときに、「あ、これいいかも」って思うことが多いんです。
特定のアイテムや成分というより、「こういう雰囲気が今流行っているな」という全体感を大切にしています。
仕事中はアイデアが湧いてくることは稀で(笑)、海外に行った時やオフの時間にヒラメキが浮かぶことが多いんです。あとはなんとなくの会話の中でアイデアが思い浮かんだり。
普段は世の中の流れをざっくり見ているだけで、タイミングが来たら「これいいかも」ってアイディアをストックするようにしています。
Q2:特にインスピレーションを受けるものはありますか?
店頭を見に行くことが多いですね。
同僚とも話すのですが、興味関心がすべて商品に向いています(笑)
バラエティストアやドラッグストアが大好きで、コスメも見るし、パッケージの裏面とか訴求ポイントとか全部見たくなっちゃうんです。
また、SNSで海外ブランドやインテリアをチェックすることも多いです。
特に検索機能を使って、自分がフォローしていない新しいトレンドも積極的に眺めるようにしています。
自分の知らない世界を知ることで、新しいアイデアが生まれることが多いです。
Q3:境さんが手がける商品には細部のこだわりを感じることがとても多いのですが、商品開発で大切にされていることを聞かせてください。
相手を受け入れる姿勢です。
モノに対するこだわりを持ちながらも、自分の意見だけを押し通すのではなく、
デザイナーさんをはじめとしたプロフェッショナルをリスペクトすることです。
プロを信頼することが本当に大切だと思っています。
その心構えを持つことで、プロジェクトがとてもスムーズに進んでいくということもあります。
私自身は、20代前半のころは「高見え」するもの、つまりコスパは良いけど高く見えるものを買うのが大好きでした。
価格を知らない人が見たら「いいものを使ってるんだね」って思われるような、いい意味でのギャップがある商品に魅力を感じていて。その経験を今の商品開発に活かしています。
また、質感へのこだわりは強く、チープな感じにはしたくないと思っています。
例えば、パッケージの質感などは、単なる白一色のパッケージではなく、
手触り感があるもの、また素材やデザインのディテールも大切にしています。
和紙を使って陰影を出したり、つるつるとした質感とザラザラ感を組み合わせたり。
遊び心や材質選びには本当に時間をかけています。
Q4:ヒット商品が生まれるまでのプロセスと苦労についても聞かせてください
商品化のプロセスは一筋縄ではいかないことが多いです。
例えばヘアワックスのリニューアルはかなり集中したプロジェクトでした。
市況の変化があって様々な試作を繰り返している最中に、コロナ禍となり、計画が白紙になってしまったこともあります。
当時、1年以上かけてやってきた処方案が一気になくなってしまったんです。
でも、「仕方ない、こういう状況も受け入れよう、運命だと考えよう」と受け入れることができました。苦しいことや壁が出てきても、「また次、頑張ろう」と思える自分がいるんです。それは私の育ってきた環境の影響もありそうです。
中学の時は部活で非常に厳しい監督のもと鍛えられる経験をしました。
高校では帰国子女が3分の2もいる環境で、「自分のアタリマエがアタリマエではない」という多様性の極みのような状況に身を置きました。
「自分は自分、人は人で、正解も違う」というのを学生時代に体と心で学んだことはとても大きく、今の仕事を支えるベースとなっています。
Q5:今までのキャリアとこれからについて
私のキャリアの中で大きな転機だったのは、3年目でレディース商品を担当し始めたことですね。
それまでの1、2年目は男性化粧品、フレグランスの商品開発担当でしたが、
レディース商品に関わるようになってから視野がぐっと広がりました。
女性向け商品開発の経験が、今の発想力につながっていると思います。
これからも商品開発の視座を高め、お客様がほしい!、かわいい!と感じていただけるような開発に邁進したいと思います。
Q6:最後に、求職者の皆さんにメッセージをお願いします!
心の中に、ギャルを飼っていて(笑)
常に、何か課題が起きたとき、落ち込んだ時も心の中のギャルがポジティブに解決してくれるので、困難や課題と向き合いながら、自分らしく楽しみながら働くことができるようになりました!
皆さんの個性やセンスが活かせるお仕事があります。
そのためには、強いマインドを持って、どんな困難も楽しみながら乗り越えられる方と一緒に働けたら嬉しいです。