note版はこちら
今回お話を伺ったのは、全社横断組織であるデータソリューションチームのマネージャーを務める開さん。バックエンドエンジニアとして培った確かな技術を武器にデータエンジニアに転身し、現在はプロダクトの成長を支えるデータ基盤の構築からチームマネジメントまでを担っています。
そんな開さんがファインディで取り組むのは、単なる情報の整理に留まらない、組織と事業をシームレスにつなぐ「データの民主化」です。データを通じて組織の意思決定を支え、エンジニアのキャリアや企業の技術戦略をより良い方向へ導く。その裏側にはどのような思想があるのか、そしてファインディのデータエンジニアリングはどこへ向かおうとしているのか。開さんのキャリアとともに、その挑戦の背景にある思いを伺いました。
開 功昂 | データソリューション マネージャー
高専・大学卒業後、新卒で株式会社イプロスに入社しWebエンジニアとしてキャリアをスタート。その後スタートアップで0→1フェーズのプロダクト開発等を経験し、4年前からデータエンジニアに転向。ファインディではマルチプロダクトのデータ基盤設計および開発をリード。
目次
「データ活用が誰かの役に立つ」— キャリアの軸となった原体験
ファインディで挑む「データの民主化」
数字の背景にあるストーリーが見える瞬間がたまらない
データをつなぎ、エンジニアと企業に新たな価値を届ける
さいごに
「データ活用が誰かの役に立つ」— キャリアの軸となった原体験
―開さんのこれまでのキャリアについて教えてください。ファインディに入社するまで、どのような経験を積んできたのでしょうか?
開:
大学でコンピューターサイエンスを学んだあと、新卒でBtoBのマッチングプラットフォームを運営する企業にバックエンドエンジニアとして入社しました。ユーザー数が百万人規模の成熟したプロダクトで、Web開発の基礎はもちろん、プロダクトをスケールさせていくプロセスまで幅広く経験することができました。エンジニアとしての基礎体力を、この時期にしっかり鍛えられたと感じています。
前職ではデータエンジニアとしてAIコンサル企業へ入社し、さまざまな企業の開発プロジェクトに参画しました。そうした中で、一貫して「データをいかにビジネスで活かすか」をテーマに掲げ、クライアントのデータ基盤や機械学習基盤の構築を支援していました。ファインディに入社したのは2023年11月で、現在はおよそ2年半になります。
─データ領域に関心を持つようになったのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?
開:
あるとき、自身のキャリアを「Will・Can・Must」で整理して、「次に本当にやりたいことは何だろう」と改めて考えたんです。そのとき思い出したのが、大学時代の経験です。当時は行政のオープンデータを扱う活動に関わっていて、統計情報やSNSの分析結果を可視化して公開したところ、行政の担当者から「施策の参考になった」とフィードバックをいただいたことがあったんですよ。
データ活用が誰かの役に立つ。その実感が自分の中にずっと残っていたことに年月を経て気づくことができました。しかもデータエンジニアという職種が広がり始めていて、「機械学習に使うデータが社内で整理されていない」といった話もよく耳にするようになっていました。社会的に求められていて、しかも自分のWillとも重なっていたので、データエンジニアを目指すことにしたんです。
ファインディで挑む「データの民主化」
─ファインディとの出会いはどのようなものだったのでしょうか?
開:
前職のAIコンサル時代は、スキルを磨ける環境ではあったものの、あくまで外部から支援する立場だったため、最終的な意思決定に関われないことに歯がゆさも感じていました。次第に「自分が好きなサービスを育てるために技術を使いたい」という思いが強くなり、より意思決定に近い環境で働きたいと考えるようになったんです。
そんな時、もともと利用していた転職サービス「Findy」のユーザーサクセス(キャリア面談)を受ける機会がありました。世間話として自分のキャリア観について少しお話ししたところ、「ちょうどデータエンジニアのポジションがあります」と紹介していただいたんです。偶然の出来事ではありましたが、またとない機会だと感じ、カジュアル面談を受けてみることにしました。
─当初はそこまで強い志望動機があったわけではなかったのですね。そこからどのような流れで入社を決められたのでしょうか?
開:
もともとファインディには、「新しい仕組みを発明している面白い会社」というポジティブな印象を持っていました。面談で詳しく話を聞くなかで、会社全体で事業の意思決定にデータを徹底して活用していこうとしていることが分かりました。今後は、データエンジニアの役割がより重要になっていくフェーズだと感じたんです。
これは個人的な考えですが、データエンジニアはゴールに向かってボールをつなぐ「パス回し」の役割を担っていると思っています。そのパスを活かせるかどうかは、組織としてデータをもとに意思決定を行う前提があるかにかかっています。
ファインディであれば、そうしたデータをもとにした重要な意思決定のすぐそばで仕事ができる。そう確信できたことが、入社の決め手になりました。
─入社前後でギャップはありましたか?
開:
ポジティブなギャップでいうと、想像以上にビジネスサイドのメンバーがエンジニアへの理解を深めようとしている点に驚きました。入社前から面談などを通じてそうした印象は持っていたのですが、実際はそれ以上で。
社内のデータエンジニアはまだ人数が多くないこともあり、ランチや相談の場で「このデータエンジニア向け施策、どう思う?」といった壁打ちをよく頼まれます。その際、みなさんが事前にかなり調べてきたうえで質問をぶつけてくださるんですよ。その真摯な姿勢に感心しました。
一方で、これはギャップというより課題認識に近いのですが、組織全体のデータ活用の観点ではまだ伸びしろがあると感じています。現状では、データを本格的に活用できる人が、データアナリストやデータサイエンティストといった専門職に限られているんですよね。
─なるほど、それはどのような理由からでしょうか?
開:
背景には、二つの構造的な課題があると考えています。
一つは、データの定義や説明が整っていないことです。その値がどのような条件で集計されたものなのかが不明確だと、活用は進みません。もう一つは、データ同士の連携が不十分なことです。どこにどのようなデータがあるのかが把握しづらいと、活用しようにもなかなか手が届かないんです。
そうした課題を解決するのが、データエンジニアの役割だと捉えています。「データの民主化」をテーマに、専門職だけでなく誰もがデータを活用できる状態を実現していきたいと考えています。
数字の背景にあるストーリーが見える瞬間がたまらない
─ファインディに入社してから、具体的にどのような業務に取り組まれてきたのでしょうか?
開:
ファインディに入社してまず取り組んだのは、転職事業部におけるデータ基盤の刷新でした。当時は、新しい施策や事業が次々と立ち上がるエキサイティングなフェーズでしたが、基盤側では運用負荷の上昇や、セキュリティリスクへの対応が後手になっているなど課題を抱えていました。特に、取り組みが増えていく中で、データの整合性や管理体制の一貫性を保つことが難しくなっていたんです。そこで、よりセキュアで運用しやすいようにデータ基盤のアーキテクチャの見直しや新ツールの導入を進めました。
この刷新において最も意識したのは、単にツールを入れることではなく、『ガードレールを引いて高速道路を作る』ことです。これにより、誰もが迷わずに『正しい道』を通って、安全かつ高速にデータを活用できる仕組みを整えました。この転職事業部で成功した基盤モデルを、他の事業部へもマルチプロダクト共通基盤として横展開するプロジェクトを推進しています。
ただ、事業やプロダクトが増えるにつれてデータソースも多様化し、一人で対応するのが徐々に難しくなってきました。ちょうどそのタイミングでマネージャーの打診をいただき、チームを率いる立場になりました。現在はプレイングマネージャーとして、データ基盤の整備や各事業部との連携をリードしながら、チームのマネジメントも担っています。
─ 現在はどのようなチーム体制で動いているのでしょうか?
開:
私を含めた4名のメンバーで、全社横断組織として、常時6つほどのデータ活用プロジェクトに並行して携わっています。1人あたり2つほどを兼務しており、単発のプロジェクトであれば、2〜3か月程度のスパンでPDCAを回しています。期間はプロジェクトによって異なりますが、比較的短いサイクルで改善を重ねていくことを意識しています。
─少数精鋭でいろいろなプロジェクトを回されているんですね。直近ではどのようなプロジェクトに取り組んでいるんですか?
開:
大きな取り組みでいうと、コーポレート部門と連携しながら、各事業のKPIをもとにした売上分析の自動化と可視化に取り組んでいます。もともとはスプレッドシートなどを活用してこうした情報を管理していましたが、データ量が増えるにつれて運用が煩雑になってしまうため、ビジネスインテリジェンスツール(データを集約・可視化し、安定して閲覧できるツール)上で見られる状態を整えようとしています。そのために、各部署からの情報収集や定義のすり合わせを行いながら、合意形成を進めている最中です。
このプロジェクトでは事業部とのコミュニケーションも多く、売上データ一つをとっても細かなルールまで理解する必要があります。ファインディは各事業ごとに提供しているサービスや売上の立ち方が異なるため、その前提を踏まえたうえでデータを扱う必要があるんです。
そうした数字の背景にある「なぜこの売上が生まれているのか」という事情やストーリーが見えてくる瞬間が、個人的にはすごく好きで。血の通ったデータに触れられている感覚があり、データエンジニアである面白さを感じています。
─開さんはマネージャーを経験されるのがファインディが初めてとのことですが、メンバーのマネジメントで意識していることはありますか?
開:
チームのKPIを軸に「結果はどうだったか」「その背景には何があったか」を聞き出しながら、次のアクションを一緒に考えるスタイルを大切にしています。特に注意しているのは、マイクロマネジメントにならないようにすることです。
私自身、プレイヤーとしての期間が長かったこともあり、つい細部まで口を出したくなる場面もあるのですが、そこはグッと堪えてメンバーに任せるようにしています。メンバー自身が考えて意思決定する経験を積むことで、チームとしての再現性や成長スピードが上がると考えているからです。
─データエンジニアからみてファインディのデータの特徴や、他社と比べたときのユニークさはどこにあると感じていますか?
開:
エンジニア個人と開発組織、その両方の意思決定に関わるデータが蓄積されている点ですね。たとえば、開発ツールに特化したレビューサイト『Findy Tools』というサービスには、テック企業の技術選定に関する知見が膨大に集まっています。
また、転職事業を通じて蓄積されるデータには、単なる数値以上の深みがあると感じています。具体的には、プロダクトの利用データといった定量的な情報だけでなく、エンジニアがキャリアの節目でどのような課題を感じ、どのような選択をされるのかといった定性的な情報が、マーケット全体の解像度を高めるための組織知として蓄積されている点です。そうしたキャリア選択における構造的な悩みや傾向を適切にモデル化し、プロダクトの改善にフィードバックできる点は、稀有で面白い環境だと感じています。
─SaaSとして蓄積されるプロダクトデータと、人的なキャリア支援を通じた定性的な情報。その両方をサービスとして提供しているからこそ扱えるデータなんですね。
開:
はい、なかなか他にはない特徴だと思います。
もう一つ、環境面での特徴として、データエンジニアが関われる範囲が非常に広い点があります。大きな組織だと「データを集める人」「基盤を整える人」といったように役割が細分化されがちですが、ファインディではデータの取得から加工、そして実際の活用まで、一連のプロセスに関わることができます。
また、複数の事業を横断しながら優先順位をつけて進めていく必要もあるため、データエンジニアリングの全体像を経験できる環境だと感じています。
─最近はAI活用も進んでいると思いますが、チーム内ではどのように取り入れているのでしょうか?
開:
AI活用については、主に開発プロセスの効率化とデータ処理の自動化の両面で使っています。
生成AIにコードを書かせて、それをベースに開発を進めることも多いですね。それに加えて、実務のデータ処理プロセスにもAIを組み込んでいます。社内に情報がない企業について調べる際に、外部から情報を取得して整理する処理をエージェントのように動かしています。イメージとしては、検索ボットに近い仕組みですね。
データをつなぎ、エンジニアと企業に新たな価値を届ける
―今後、データエンジニアチームはどんな役割を担っていきたいと考えていますか?
開:
先ほども触れた、組織全体でのデータ活用につながる基盤の整備に加え、チームの取り組みや成果を社内外に発信し、データチームの役割が正しく伝わる状態をつくっていきたいと考えています。
背景にあるのは、「データエンジニアの成果は社内から見えにくい」という課題です。データの整備やダッシュボード化など、事業の意思決定に直結する重要な役割を担っている一方で、そのプロセスや個人の貢献が表に出にくい側面があります。
だからこそ、データチームの成果も可視化し、メンバーの頑張りが評価される状態をつくっていきたいと考えています。チームの成果を社内にしっかり発信していくことは、マネージャーである私の大きな役割の一つだと思っています。
―ユーザであるエンジニアや開発組織には、どのような価値を届けていきたいと考えていますか?
開:
エンジニアリングに関する悩みがあった際に、「とりあえずファインディに頼れば大丈夫」と思ってもらえる状態をつくりたいと考えています。
現在、ファインディのサービスは事業ごとに分かれているため、それぞれのサービス内で見える情報が中心になっていますが、サービス同士のデータをつなげていくことで、エンジニア個人や企業にも新しい見せ方や価値が生まれる可能性があると感じています。
その一例が、最近注力している非構造化データの活用です。例えば、求人情報などは自由記述のテキストが多く、企業ごとに記述スタイルも多様ですが、これらを構造化していくことで、技術スタックや役割の定義を、より客観的に整理できるようになります。
こうしたプロセスを通じて、企業が求めるエンジニア像と、エンジニアが求める環境のミスマッチを構造的に解消できると考えています。バラバラだった情報を整理し新たな発見を創出していくことは、データエンジニアリングの面白さだと感じています。
──社内外で向き合うテーマが多く、やりがいも大きそうですね。ファインディでデータエンジニアとして働くうえで、どのような能力が重要だと考えていますか?
開:
データエンジニアリングの手法はある程度パターン化されてきている側面もあるので、技術はもちろんですが、それ以上に「他領域の知識をどれだけ貪欲に取りにいけるか」を重視しています。
周囲とコミュニケーションを取りながら、自分の技術領域に閉じず、外の世界に興味を持って関われる方がファインディには合っていると思います。
データエンジニアとしての実務経験は必須ではありません。私自身もバックエンドからキャリアチェンジしていますし、エンジニアとしての基礎素養があれば、この領域に挑戦する土台は十分にあります。
―最後に、候補者の方に向けてメッセージをお願いします!
開:
ファインディは、私自身も入社前からプロダクトのファンだった会社です。エンジニアに向けてこれだけ多角的にサービスを展開している会社は他にあまりないと思いますし、その分ユニークで面白いデータを扱える環境だと感じています。
また、扱うデータがエンジニアである自分自身にとっても身近なドメインであるため、データが示す傾向を現場感覚と照らし合わせながら向き合える点にやりがいを感じています。
「エンジニアがどのような環境でより力を発揮できるのか」といった業界共通の課題に対し、実感を伴った仮説検証ができるのはこの環境ならではの面白さです。こうしたエンジニア領域の課題解決に深い関心を持ち、データを通じて「挑戦するエンジニアのプラットフォーム」を作っていくことに、前向きに、そして誠実に取り組める方と一緒に仕事ができたら嬉しいです。
さいごに
データエンジニアリングに関するイベントも開催予定です。ご興味のある方は、ぜひご参加ください!
事業成長に効かせるファインディ流データエンジニアリングの実践
みなさんとお話できることを楽しみにしています!