リスキル(re-skilling:新たなスキルの取得)は最近フォーラムやニュース、企業や個人の間で話題に上がるようになりました。言うは易く行うは難し、です。なぜスキルの再構築をするのか考える上で、「どのように新たなスキルを取得するか」や、「どんなスキルを身につけるか」は重要な問いです。加えて、変化する市場の状況や給与、年齢、現在持っている経験や修得スキルも考慮する必要があります。
考えられる、効果的で実現可能なスキルの再構築の例を下に挙げます。
- SAPを使った仕事を数年間行っている(例:SAPを人事や会計に使用しているなど)方なら、SAPのスキルを勉強・磨くことでSAP機能のコンサルタントになれるかもしれません。
- HTMLデザイナーの方は、JavaScriptを学ぶことで違う仕事に繋がったり、分析ツールを学ぶことでデザインとデータの知識を活かしたアナリストになれるかもしれません。
- コーディネーターや翻訳者の方は、プロジェクト管理スキルを学ぶことでPMO(プロジェクト管理オフィス)に所属出来たり、ドメインや書類作成を勉強してビジネスアナリストへの道が開けるかもしれません。
基本的に、自分が今やっていることと繋げてそれを次のステップに活かすことが出来れば-そしてその市場についての理解もあると、リスクを少しでも減らせるので一番良いですね。(もちろん時には大きなステップを踏んで全く違った新しいことを始める必要もあるでしょう)
新たなスキルの取得の際は-
- 時間制限を設けて自分自身を週毎/月毎に監視する。
- 実践スキルを重視する。そのツールやソリューションを提供している企業のウェブサイトをチェックし、無料のデモや2週間の無料トライアルが無いかチェックしてみてください。
- その分野の専門家にアドバイスや助けを求める。何人かは相手にしてくれないかもしれませんが、必ず数人はいくつかのポイントを示して助けてくれるはずです。大人になってから学ぶにあたり、メンターやアドバイザーはとても役に立ちます。
- 応募したい企業や職のリストを作る。そしてそれらの企業の最新情報に目を光らせておくことで、新しい業界/職の知識も並行して得ることができ、転職がスムーズになります。
- 面接の際に見せられるデモを用意しておく。これにより実際の面接で、ただ「出来ます。」と答えるのではなく、実際の仕事を見せることが可能になります。元々のスキルについてはあなたの経験や推薦で証明されています。が、新しいスキルは経験や推薦がないので、早めに見せて証明しておくに越したことはありません。(何年も前.NETのポジションの面接に応募してくださった方は、.NETを勉強し、MSテクノロジーへの転職を切に望んでいるにもかかわらず履歴書にはほぼPHPのことしか書いてありませんでした。私は不安でしたが彼に会うことにしました。彼はラップトップを開き、なんと自分で作った.NETのアプリケーションを見せてくれたのです。そのアプリケーションは.NETの重要なコンセプトを押さえたうえで作られたものでした。それから彼は私たちに「何でも聞いてください」と言いました。私たちは彼の積極さにとても驚き、クライアントはたちまち彼を気に入りました。
リスキルだけでなく、セルフ‐リブランディング(self-rebranding:自身の印象の再構築)も同じくらい大切だと思っています。あなたの前の履歴書を見た人や、あなたのことを前から知っていた人は、あなたが本当に変わったことを知らなければなりません-でなければその人たちにとってあなたは前と変わらない人なのですから。例えば、昨日までSAPユーザーだったあなたがどうやったら今日はSAPコンサルタントやビジネスアナリストになれるのか。したがってあなたがどのように貢献できるのか、なぜリスキルを行ったかなどの、新しいイメージ、プロフィール、ストーリーが重要になります。これには文字ではなく、ビデオの履歴書も役に立ちます。
改めて言いますが、これは簡単ではありません。厳しい努力が必要です。このあなたの挑戦もまた、人に伝えるべきサクセスストーリーになります。そして読み手は自己規律、学習能力、柔軟性、積極性など、量りきれない資質を感じるでしょう。
最後に
あなたがついにリブランドやリスキルをするとなった際、最初は給与や職を捨てなければならなくなるでしょう。元の経験があるにしろ、あなたは全く新しいことを新しいスキルで始めるわけですから、企業は試してみたいとはいえ社内でそれを正当化するのに苦労すると思います。改めてこれは完全にあなた自身の決断ですが、人はこれを新しいスタートとして考えた上で、進んでその飛躍をつかみ取る必要があります。あなたのこれまでの経験は、新しい自分が企業のはしごを登るにあたり必ず助けになりますし、数か月、数年後にはあなたの元のお給料/役職を簡単に超えているかもしれません。ですが、時に1ステップ進むには2ステップ下がらなければならないこともある、ということを忘れてはなりません。
あなたのリスキルの目標を達成するために私たちにできることがありましたら、ぜひご連絡ください。皆さんが“なんの”スキルを新たに身につけるか決めるにあたって、チームや私自身が、日本・東京の市場や重要なスキルについてお話することも出来ます。
皆さんの幸運を祈っています。
フィデル・コンサルティング株式会社CEO-スニル・クルカルニ