2026年8月31日〜9月11日の10日間、フェズとして初めてのエンジニア向けサマーインターンシップを開催しました。参加学生が、LLMとBigQueryを組み込んだデータ分析Webアプリを、一人ひとりゼロから作り上げるプログラムです。
このプログラムを一から作り、当日も学生に伴走したのは、ビジネス開発部のエンジニアです。今回は、その舞台裏と新卒への想いを聞きました。
プログラムの具体的な内容は、開発ブログ「LLM を組み込んだ Web アプリ開発に挑戦!フェズのサマーインターン開催レポート」で紹介しています。
― PROFILE ―
恒次 翔一(写真左):2023年4月新卒入社。ビジネス開発部 データ利活用グループ。インターンシップでは、プログラムの方針からコンテンツの作成までを担当。
橋本 篤徳(写真右):ビジネス開発部 Urumo開発グループ。インターンシップでは、メンターと講義資料の作成を担当。
―今年初めて、エンジニア向けのインターンシップを本格的に開催しました。なぜ開催することになったのですか?
恒次:学生と会社の双方にメリットがあると考えたからです。フェズはベンチャーで、知名度もまだ高くありません。大手と違い、採用で関わった社員と入社後も一緒に働くことが多いので、どんな事業や技術、人がいるのかを入社前に知ってもらえれば、ミスマッチを減らせます。
会社側にとっては、新卒採用はポテンシャル評価です。技術にしっかり取り組んできて、入社後もキャッチアップできそうか。1時間の面接では見極めが難しい部分を、1〜2週間一緒に過ごすことで見られるのではないかと考えました。
―お二人が担当になった経緯を教えてください
恒次:声をかけてもらったのと、自分でもやりたいと思っていたのと、半々ですね。昨年度から新卒採用に関わっていて、自分自身も新卒入社でした。入社当時は採用プロセスや教育体制が整っていたわけではなかったので、今後の資産になるなら取り組む価値があると思いました。
さすがにきちんと対応するにはもう1〜2人は欲しいという話になって、同じく昨年度から採用に関わっていた橋本さんともう一名の社員に声をかけ、メインは3名体制で担当しました。
―前例も教材もない中で、どう進めていきましたか?
恒次:レビューはほかの方にもお願いしつつ、コンテンツ作成は基本的に一人で進めました。軸にしたのは、自分が学生ならこういうことをやってほしいか、AIに触れるのが当たり前の今、何があったら良いか。また、データを価値とする会社としてデータの文脈は大事にしつつ、特定の領域に閉じない、何年も使える普遍的なテーマにしたいと考えました。
―AIで何でもできる時代に、あえて「自分の手で書いて理解すること」をメインテーマにしたのはなぜですか?
恒次:AIを使って良いアウトプットを出せる人と、AIがなくても良いアウトプットを出せる人には、強い相関があると感じています。根本にあるのは、何が重要で、何を決め、どんな順番で進めるのかという、開発プロセスへの理解です。文法のような表面的な話ではありません。
AIは答えを教えてくれますが、自分が理解するという第一ステップでは、頼らない方が良い場面も多い。だから頭をしっかり使える設計にしたくて、AIを使う場面を減らしました。
橋本:僕も同じ気持ちです。AIを使うと、人間の仕事は判断することになり、扱う抽象度が上がっていきます。でも、抽象度の高いことを判断するには、具体のことも分かっていないといけない。具体を理解しないまま抽象度の高いことだけを考えていると、判断の質は落ちていくと思います。
もう一つ、エンジニアの仕事には、時間をかけないと分からないことがあります。例えば、あるアーキテクチャに決めて、3年後に実は間違っていたと分かることがあります。もし、作った当時に理解しないまま判断していたら、どう改善すればいいか分かりません。だからこそ、まず具体をきちんと理解することが大切だと思っています。
―10日間のプログラムを作るうえで、一番こだわったこと、悩んだことは何ですか?
恒次:コンセプトを10日間にどうパッケージするかが本当に難しかったです。サマーインターンとしては10日間は長いですが、今回のプログラムは新卒研修なら1か月、大手なら2〜3か月かけるような内容です。詰め込みすぎて、全体をふわっとおさらいしただけの状態にはしたくない。一つひとつを理解できる密度にしつつ、10日間に収める。その取捨選択に悩みました。
橋本:横で見ていて、「詰め込もうと思えば詰め込めるけれど、10日間だからここは削ろう」という意思決定をしているのは感じました。フロントエンドのところを削る判断などもそうですね。
恒次:そこが一番力をかけたところです。エンジニアが知っておいた方がいいことは世の中に溢れていて、盛り込むことは誰でもできるし、AIに任せればいくらでもできる。でも削ることは、意思がないとできません。
橋本:シンプルにする方が難しいんですよね。フロントエンドを削るにしても、フロントエンドとは何かを理解して、自分の中に考え方を持っていないと、どこを削るかは決められない。理解していないと、削ることもできないんです。
―インターン後半には自由実装の日を設けました。時間が短い中で、自由実装を残したのはなぜですか?
恒次:「守破離」を意識していたからです。一番の主軸は、しっかり理解する「守」。でも、自分なりの改善を見つける「破」や、自立する「離」も大事で、それによって「守」が深まる側面もあります。
アプリの中身をしっかり理解している場合、「これをこうしたい」というコンセプトさえ持てれば、自由実装は1日でもできる。それまでの日々は、自由実装ができるようになるための期間でもあります。実際、短かったという声はありましたが、出てきたアウトプットはみんなしっかりしていて、想定以上でした。
―メンターとして、学生との関わり方で意識していたことはありますか?
橋本:最初から答えを教えるのではなく、「ここはどうしたらできると思う?」と聞くような接し方をしていました。あとは、僕らは現場で働いているエンジニア(複数人で開発する)なので、ツールの使い方など、学生が一人で開発していると分からないことを伝えるようにしていました。例えばコードジャンプのような細かいことです。「現場ではこうやっているよ」という、学生だけでは分からないことを持って帰ってもらいたいと思っていました。
恒次:僕は姿勢を意識しました。即答できない質問を受けたら、分からないと素直に言い、どう調べて解決していくのかのプロセスを見せていました。安易に正解に飛びついたり、分かったようなことを言ったりせず、一つひとつ順序立てて理解していく姿を、口で言うだけでなく実際の態度として取り組む姿勢を見せていました。
―インターンシップの中で、印象に残った場面はありますか?
恒次:参加してくれた学生たちが、ノートを取ったり、「分からなかったので復習してきました」と言ったりと、それぞれのやり方で自発的に学んでいたことです。偉そうに「理解するとは」を伝えておきながら、自分の学ぶ姿勢が年々薄れているかもしれないと、逆に教えられた面もありました。
初日は説明も多く、みんな疲れていそうで不安でしたが、日を追うごとに生き生きと、自然体で取り組んでくれたのが嬉しかったですね。
―学生の積極性はどうでしたか?
橋本:分からないところがあれば、積極的に質問してくれました。思っていた通り、いや、思った以上でしたね。
恒次:みんなそれぞれ違う形の主体性があって、求めていた基準はみんな超えていました。理解したことを自分で説明して納得する人、ほかの人に説明できる人、分かるまで食いつく人。
橋本:言葉の意味は何なのかを深掘りして理解する人もいましたね。最終的に理解するというゴールは同じでも、そこに至るプロセスは人それぞれなんだなと思いました。
恒次:フェズが求めているのは、自分でしっかり考えて理解していく姿勢のある人です。学びの姿勢は、言葉にするのは簡単でも、実際に見てみないと分からない。10日間となると、社員も相応の時間と労力をかけることになりますが、面接では分からないことが分かる、それに見合うプログラムだったと思います。
―新卒エンジニアに期待することは何ですか?
恒次:インターンシップのコンセプトと同じで、分からないことをしっかり理解し、自分の考えを持つことです。この期待はAIの時代においても変わりません。インターン自体も、間違いなくやってよかったと思いますし、形を変えながらでも、同じような取り組みを続けていきたいです。
―最後に、この記事を読んでいる学生の皆さんへメッセージをお願いします。
橋本:学生のうちは、会社を選ぶ材料があまりないと思います。フェズで働いたこともなければ、ほかの大手企業で働いたこともない。会社をどう選べばいいか分からないのが普通です。基準が無いので、会社選びと言えば企業ランキングや年収、有名な企業で選ぶ人が多いと思います。それでもこの記事を読んでいるということは、直感かもしれないけれど、何か良いなと思って見てくれているのだと思います。
考えるだけだと堂々巡りになりがちで、行動してみないと分からないことの方がたくさんあると思います。
少しでもいいなと思っているのであれば、まず応募してみてはどうでしょうか。
一人で本を読んだり開発してるだけではわからないことも、現場にいるエンジニアと会話することでたくさんの新しい発見をすることもあると思います。
恒次:エンジニアは良くも悪くも、業種にとらわれずにいろいろな場所を探せる職種だと思います。学生のうちに幅広くいろいろな会社を見るのは、良いことだと思います。
そのうえで、AIでアウトプットを出すことが簡単になってきた中で、優先順位をつけて何に取り組むかを決められる、信念や哲学のようなものを持っている人が、ビジネスの領域では重宝されるようになっていくと思います。フェズが期待しているのも、そういう人です。自分なりの軸を持って、しっかり考えて理解しようとする人と、一緒に働けたら嬉しいですね。
初めてのエンジニアインターンシップを、ゼロから形にした2人。その根底には、「理解すること」を大切にしてほしいという、新卒への一貫した想いがありました。
インターンシップの詳しい内容は開発ブログで、使用したコンテンツの一部はGitHubで公開しています。
フェズでは新卒採用を行っています。少しでも興味を持った方は、ぜひご応募ください!