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2025年6月9日から13日にかけて開催された「WWDC 2025」。
フェンリルからは毎年、エンジニアとデザイナーが数名、現地参加しています。今年もデザインセンターから3名、開発センターから4名の、計7名が参加しました。渡航、滞在費共にフェンリルが全額負担し、最新のデザインや技術に触れることができます。
今回は、現地参加した2名のiOSエンジニア、ナリーンと江越、ディレクターの荒川に話を聞きました。
現地の様子をはじめ、注目していたデザインや技術、印象に残ったセッションなどを、それぞれの視点で語っていただきました。
【荒川】デザイナーとエンジニアの架け橋を目指してUXを追求するディレクター
デザイン部 TD課ディレクター。
より良いユーザー体験を提供するために、お客さまと共創しながら要件定義からデザインまでを一貫して担当している。グローバルな視点と多様なユーザーニーズを深く洞察するため、そして、デザインと技術に対する知見を得るためにWWDCへの参加を希望。
WWDCは積極的なコミュニケーションの場
WWDCの会場は、さまざまな食事やアクティビティ、フォトスポットが用意されていて、まるでお祭りのような雰囲気に包まれていました。
特に印象的だったのは、参加者たちのオープンなコミュニケーションです。休憩しようと椅子に座ると、さまざまな方から話し掛けられ、お互いの仕事のことや住んでいる地域について積極的に情報交換をしました。このようなコミュニケーションスタイルは日本と比べると新鮮で「自分も積極的に意見交換しよう!」と自然と心が動かされました。
また、日本からの参加者ともお話しする機会がありました。フェンリルから7名が現地参加していることを伝えると、皆さんがその人数の多さに驚かれていました。改めて、フェンリルの一員としてこのような貴重な機会をいただけたことに、深く感謝しています。
大規模なデザイン刷新がもたらすUXの向上に期待!
「今年のWWDCでは大規模なデザイン刷新の発表がある」との噂を耳にしていたので、その詳細が明かされるのか胸を躍らせていました。
そしてKeynoteでは、iOS 7以来となる画期的なデザイン刷新が発表されました。デザイナーとしてこの瞬間に現地で立ち会えたことを心からうれしく思います。
Apple. “Keynote - WWDC25 - Videos - Apple Developer”. https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2025/101/ , (2025-07-09).
新しいデザイン言語として発表された「Liquid Glass」は、ガラスの光学特性と液体の流動性を組み合わせた、透明感、奥行き、インタラクションで表現されていました。このデザインはAppleのプラットフォーム全体で統一されたガイドラインとして展開され、ユーザーは一貫した体験を得られるようになりました。
一貫性のあるデザイン思考や、ユーザー体験の最適化という視点でとても大切なことだと思います。
最高のユーザー体験を追求したい
単に最新技術の情報を得るだけでなく、肌で感じた「熱量」や、その場でしか得られない「つながり」が印象的で、刺激的な毎日でした。画面越しでは味わえない高揚感、新しいデザイン言語や革新的な技術が発表される瞬間は、会場にいる全員の気持ちが高まっている様子が伝わってきました。
Liquid Glassは、テクニカルディレクターへのキャリアアップを考えている私に、大きな気づきを与えてくれました。
単なる美しさだけではなく、ユーザー体験の統一、アクセシビリティへの深い配慮、そして何よりも「人間中心」であることを徹底的に追求するAppleのデザイン哲学は、今後の業務に取り入れたいと強く感じました。Appleの一貫性を意識したデザインガイドラインや、プラットフォームごとの特性を最大限に生かしつつもユーザーが迷わないデザインを、自身のスキルとして落とし込んでいきたいです。
また、デザイナーでありながら技術的な知識を深めることで、エンジニアとの共通言語を増やし、よりスムーズな連携を図りたいと考えています。デザインの意図を正確に伝え、技術的な実現可能性を踏まえた上で、最高のユーザー体験を追求するための「架け橋」となることを目指します。
【ナリーン】最新技術の導入に注力するiOSエンジニア
開発技術部 iOS2課シニアエンジニア。アプリ開発を中心に、新機能の実装やコードレビューを担当。 参加目的は、WWDC25で発表された最新の機能や技術について深く理解し、それをフェンリルのプロジェクトに生かすこと。特に注目していたのは、iOS 26の新機能やApp Intents、Swiftの進化。
初めての渡米。現地の雰囲気や文化に触れて
海外のイベントに参加するのは初めてだったため、ビザの取得、渡航計画、現地での移動手段の確認など、事前に多くの準備をしてとても期待していました。
カリフォルニアの物価の高さには驚きましたが、現地の人々のオープンな雰囲気や多様な文化に触れられたことはとても刺激的でした。
美しさと洗練された雰囲気のApple Parkでは、世界中から集まったApple社員の方々はずっとハイテンションで、会場を盛り上げてくださいました。会場で受け取ったWWDC25のノベルティは、ロゴが入ったウォーターボトルやトートバッグなど、現地で使える実用的なものでうれしかったです。
Apple Intelligenceの進化、App Intentsに関心
私が参加したセッションは、主に新しいデザインシステムや開発者向けアクティビティに関するもの。Appleの最新デザイン原則や、より一貫性のあるユーザーインターフェースを実現するための実践的なアプローチについて学びました。
特に興味深かったのは、iOS 26におけるApple Intelligenceの進化と、それがシステム全体やアプリにどのように統合されているかという点です。
App Intentsを活用することで、SpotlightやSiriなどのシステムインテリジェンスとアプリ内の機能が自然につながる設計ができます。例えば、Siriに「鞄が欲しい」と言ったらショッピングアプリで鞄の検索結果を表示したページが自動で開くとか。これにより、今までにないユーザー体験が可能になると感じました。
Apple. “App Intentの最新テクノロジーの詳細 - WWDC25 - ビデオ - Apple Developer”. https://developer.apple.com/jp/videos/play/wwdc2025/275/, (2025-07-09).
私たち開発者には、Apple IntelligenceやApp Intentsを最大限に活用できるアプリ設計やアーキテクチャへの適応が求められます。また、iOS 26で導入された新しいデザインシステムやパーソナライズ機能に対応しながら、アクセシビリティとパフォーマンスを確保していくことも重要な課題だと感じました。
先進的なプラットフォーム機能と、現実的なスケーラビリティやチームでの開発体制をうまく橋渡しすることが、今後の鍵になると考える良い機会になりました。
人とのつながりが開発の励みに
Appleのエンジニアの方々と直接話す機会があり、質問したりフィードバックを得たりできました。皆さんとてもフレンドリーに接してくださり、中には連絡先を交換したエンジニアも数名います。「困ったことがあればいつでも連絡してください」と言っていただき、今後の開発において大きな励みになりました。これも、オンライン参加では得られない大きな価値です。
世界中のエンジニアと積極的に会話したり、連絡先を交換したり、日々の開発や設計の考え方について意見交換ができたことはとてもうれしかったです。普段の業務では得られない視点や刺激を得ることができ、業務にも大きく生かせると感じました。このような海外カンファレンスに参加することで、技術だけでなく人とのつながりの大切さも実感しました。
今後のプロジェクトに生かし、チームのスキル向上を
WWDC25での収穫は、最新の技術動向やAppleの今後の方向性を直接感じ取ったこと、そして、世界中のエンジニアやAppleエンジニアとの交流を通じて大きな刺激を受け、自分の視野が広がったことです。
現地で得た知見や経験を、今後のプロジェクトに積極的に取り入れたいです。特にiOS 26で導入された新機能やApple Intelligenceを活用しながら、よりユーザー体験に優れたアプリ開発を目指します。また、社内でも定期的にナレッジを共有し、チーム全体のスキル向上にも貢献したいです。
【江越】新卒2年目で開発だけでなくPMにも挑戦するiOSエンジニア
開発技術部 iOS1課エンジニア。クライアントとの共同開発案件で、iPhoneやiPadのアプリを開発。
Appleへの強い憧れがあり参加を希望。英語力を強化するために英会話のオンラインスクールを2か月契約!
心待ちにしていた新機能の発表!
目標は、海外の経験豊富なエンジニアとのつながりを増やすことでした。アメリカ到着時には「30人と連絡先を交換するぞ!」と意気込んでいました。
注目していたセッションは、AI関連のアップデートと、AppIntentと言われるアプリ外への連携システムの発表です。昨年のWWDC24で発表されたApple Intelligenceは、OSの標準機能が中心で、サードパーティ製アプリにおける拡張性は限定的でした。そのため、今回の発表で、開発者がより柔軟に利用できる機能が追加されることを楽しみにしていました。
Keynoteの会場は予想よりリラックスしたムードが漂っており、落ち着いて見ることができました。
そしてここで、開発者が自由に扱える自然言語モデル「Foundation Model」が発表されました。待望の新機能の発表には深く感動し、会場も大きな歓声に包まれました。
このモデルは、チャットボットのような文章による入出力はもちろん、人物の名前生成など特定の形式に合わせて出力を制御できます。「@Generable」という新機能を用いることで、あらゆる形式に沿って安定的に要素の生成ができるのではないか、と大きな可能性を感じています。
現地参加の醍醐味は、世界中のエンジニアをつながれること
WWDCで一番印象に残っているのは、Appleのエンジニアに対して日頃からの疑問を直接ぶつけることができたことです。AppIntentから画像認識AIやMapのことまで、それぞれの実装担当が詳細に答えてくれる時間は、私にとって最高に贅沢でした!
世界中のエンジニアとのつながりやアイデアの共有は、現地ならではの体験です。
Keynoteでの発表で会場の熱気が最高潮になった直後に周囲のエンジニアと会話しました。新技術に対する感動やアイデアをリアルタイムで共有できたことがとてもうれしかったです。
社内のメンバーには、WWDCで得た知見を共有するとともに、このような貴重な体験をできるチャンスがあるということを伝えたいです。それが、メンバーの行動の原動力になればと考えています。
WWDCへの参加を検討している方、「発表内容は動画で視聴できるからオンラインでいいじゃん!」と思うかもしれませんが、現地でしか体験することのできない感動があります。例えば、オンライン視聴ではエバンジェリスト(広報の役割を持つ方)に質問するため、質問内容を厳選する必要がありますが、現地参加ではAppleエンジニアに直接質問できます。1時間ほどの質問時間が設けられているので、事前に用意した質問はほぼ全て聞くことができます。
このように、現地でしか味わえない体験が、WWDCをより一層印象に残るものにしてくれます。