ファストドクターは今、どんなメンバーを求めているのか、その具体像について、経営企画部シニアマネージャー菊池洋輔さんと、ファストドクターテクノロジーズDX推進シニアマネージャー井本紗也子さんに語ってもらいました。サプライチェーンが長く、部署間が連なって、新たな医療提供サービスを切り拓いているファストドクターだからこそ活かせる知見、新規上場を目指している今だからこそできる仕事について、コンサル出身者の二人から自らの体験を交えてお話しいただきました。
▼経営企画部シニアマネージャー 菊池 洋輔のプロフィールは記事からご確認ください
▼ファストドクターテクノロジーズDX推進シニアマネージャー 井本 紗也子のプロフィールは記事からご確認ください
「より現場に」「世の中のためになる仕事を」とコンサルから転職
━━お二人とも前職はコンサルティング会社でした。これまでの職歴とファストドクターでの担当業務を教えてください。
菊池:
大学を卒業してファストドクターに入るまでの6年弱、コンサルの仕事に従事しました。最初の3年半はクライアント企業の事業戦略立案やビジョン策定、M&Aにおけるビジネスデューデリジェンスなどに携わりました。そのうち、もう少し現場に入り込んで成果を出していく経験を積みたいと思うようになり、そういった志向性のある別のコンサル会社に転職し、顧客先に常駐して組織改善に取り組んだり、新規事業の立ち上げでは経営企画の社員と一緒に事業計画を策定したり、資金調達を経験する等、さまざまなキャリアを積んできました。そうした6年間を経るなかで、今度は一つの事業に長くコミットしてみたくなり、選んだのがファストドクターでした。現在は経営企画部で管理会計の仕組み構築、他の事業部の皆さんの協力を得ながらの事業計画策定、新規サービスの開発・改善に取り組んだりと、さまざまな業務に携わっています。
井本:
私は新卒でSIer企業に入社し、4年半ほどシステムエンジニアをしていました。当時はビッグデータの分析や仕組みを構築するプロジェクトを主に担当していました。その後、総合コンサルティング会社に転職して約10年間、業務・ITコンサルとして基幹システムの導入や業務プロセスの改善支援などに携わりました。クライアントは商社、鉄道、製造、小売などさまざまで、業務も会計からロジまで幅広く経験し、ジェネラリストとしてのキャリアを積んできました。世の中のためになることをより実感できる環境で、経験やスキルを活かしたいと考えて、2021年にファストドクターに入社し、現在はファストドクターテクノロジーズという部署のDX推進チームで仕事をしています。
━━ファストドクターテクノロジーズは経営企画部内にあったDX推進チームが分離し、エンジニアやPdM、UIUXデザイナーと共存する新しい部署ですが、どのようなミッションと業務を担う組織ですか
井本:
経営企画部時代からDX推進チームは、「経営にインパクトのある生産性改善をリードする」ことを目的としています。テクノロジーを活かした生産性改善や新たなサービス創出、プラットフォームの構築などを、さらに強く推し進めようという会社の方針で2022年12月にファストドクターテクノロジーズとして組織化されました。私がシニアマネージャーを務めるDX推進チームには現在、社員6名がいます。
具体的な業務で言うと、一つは社内の労働生産性を向上させる取り組みです。ファストドクターは、コールセンターでの患者さんの電話応答から始まり、医師のシフト調整、救急往診手配、診察、請求業務などサプライチェーンが長く、そのオペレーションも複雑です。この医療提供サービスをもっと効率的に行うために必要なことは、業務プロセスの見直しやシステム化をコストパフォーマンスも視野に入れて判断し、システム化が必要であれば、仕様の要件設定をしてエンジニアにつなぐ仕事をしています。また、新たなサービスや事業展開では、社内業務プロセスの整理やシステム対応などを、新規事業開発室や各事業部のメンバーと議論し、その推進を支援する役割を担っています。
初めて経験した「意思決定権を持つ」面白さと大変さ
━━コンサル経験者からみたファストドクターの仕事の面白みややりがい、それまでのコンサル業務との違いを教えてください。
井本:
一般的にITコンサルとして他社のシステム導入に携わる場合、システム導入後3カ月程、運用をサポートしてプロジェクトは終了します。そこから先のPDCAに携わることはあまりありません。今はPDCAを回しながらその都度検証し、次の改善につなげていく、この作業の連続です。事業会社では当たり前の運用後のプロセスが、SIer、コンサル出身者の私には新鮮で、そこに面白さを感じています。その面白さの根底にあるのは、意思決定権があるということです。コンサルの立場では、「こうしたほうが良いと思います」と提案はできても、決めるのはクライアントです。今は自分たちの意思で業務を進められる環境がある。それがやりがいにもつながっています。
━━そうした面白み、やりがいを実感された業務でのエピソードがあればお伺いしたいです。
井本:
新型コロナの新規感染者が急増した2022年の第6波と7波では、ファストドクターの医療提供サービスを利用される方も比例して急増しました。そのニーズに応えるためには、効率良く救急往診先を回り、診察することが必要になります。医療品質を落とすことなく、医師の診察や移動時間を短縮するには、システムや業務プロセスをどう改善すると良いのか、仮説を立てて検証し、小さな改善を積み重ねました。事業会社だからこそ、こうしたPDCAに関われるわけで、新興感染症という社会課題に取り組むやりがいも感じられたケースでした。
菊池:
井本さんがお話された意思決定権を持つ面白さは、まさに私も感じているところですが、決めたことを実際に動かして、成果を出すところまでもっていくのが事業会社であり、うまく行きそうなプランを考えるまでが主たる業務であったコンサルとの圧倒的な違いをそこに感じています。
最近、ある自治体との新規プロジェクトに取り組んでいました。ファストドクターにとっては新たな挑戦となるこれまでにない業務内容で、当初は構想通りに現場が回らなかったんです。そこで自分も現場に入ることにしました。その業務の一つとして患者さんへの架電があるのですが、企画目線だと1件2分程度で済みそうだと思っていた通話が、実際に自分で何件も電話をしてみると患者さんそれぞれでお悩みを抱えていたりするので2分ではとても終わらないケースも多い。また架電者によって1件電話をかける毎に躊躇があってアイドル時間があったりと、実態としての架電業務の姿をリアルに体感し、現場担当者と改善策を考えてようやく形にできました。これはコンサル時代にはできなかった経験で、現場を知ることの大切さや面白みと同時に、成果を出すことの難しさも感じました。
それぞれが求める人物像とは
━━経営企画部とDX推進チームは絶賛採用強化中のポジションだと思いますが、求める人材像と、今入社すると、「こういう業務に関われる」といった具体的なお話を伺えますか。
菊池:
経営企画部がやらなければいけないことは無数にありますが、まずは今後目指しているIPO(新規上場)の準備です。会計周りでは事業別の収益性をより明確にすることや、事業別に中長期の事業計画を策定するなど予実管理体制の整備を進めています。それを事業部門の皆さんと認識を合わせ、対外的にも説明できる準備をしないといけません。一方で、各事業部と協働しながら新たな事業構想を練り、実現化させて軌道に乗せていくことにも取り組んでいます。今求めている人材は、事業計画や事業戦略等の策定経験がある上で、現場との協業も厭わないマインドを持つ企画人材です。ベンチャーの企画部で上場経験を持つ人、大企業で事業部横断での取組を主体的に推進した経験を持つ企画部人材も大歓迎です。
井本:
DX推進チームも業務範囲が広いのですが、今動き出しているプロジェクトを一つ挙げると、電子処方箋への対応があります。これまで紙だった処方箋を電子化し、患者さんの同意を得られれば、医療機関や薬局間で薬の情報を共有することができる仕組みで、2023年1月に利用が始まりましたが、導入した医療機関や薬局はまだ全体の10%に満たない状況です。そういった国策にもアラインした取組みをファストドクターがパイオニアとして進めていきたいと考えています。
DX推進チームとして求めているスキルセットは、複雑なITの仕様や業務プロセスを理解し、要件定義〜運用までをドライブ出来る人。業務コンサルやITコンサル経験者をバックグラウンドとして持つ方は非常に親和性があると思います。自らデータを分析して考え、現場に入ってメンバーを動かす「駆動力」が重要なので、そうした働きを楽しめる人が志望してくれたら嬉しいなと思っています。
菊池:
コンサル会社にいると、社内は皆コンサルタントで、クライアントの多くは大企業の経営企画部門でベテランの方ばかりだったりします。スペシャリストから学ぶことも多いのですが、コミュニケーションを取る対象の幅が意外と限定されている世界です。ファストドクターでは医師や患者さん、自治体関係者、医療機関関係者など関わる方が多岐に渡り、社内も部門横断でプロジェクトが進行します。さまざまな人とコミュニケーションを取ることに抵抗がなく、謙虚さを併せ持つ人が良いですね。
上場を目指す今、取り組んでいること
━━先ほどもお話に出ましたが、ファストドクターは今後、IPOを見据えています。そこに向けて部署として目指していることを教えてください。
菊池:
上場を見据えた準備はいろいろとしていますが、上場は事業の拡大、サービスを広げていくための手段でしかないと思っています。この数年をかけて取り組むべきことは、ファストドクターという会社と私たちが取り組む救急往診サービスの知名度を上げることです。急病で困った際、「救急車を呼ぶ」「救急外来に行く」ほかに、「ファストドクターに連絡する」という選択肢があることを認知してもらい、普及させていきたい。そうした社会に少しでも近づけるように、上場も一つの手段として捉えつつ、経営企画としてやれることすべてに力を注ぎたいと思っています。
井本:
ファストドクターでは生活者に向けた救急往診サービスの救急往診(toC)事業、自治体と連携した自治体支援(toG)事業、在宅医療を行うクリニック向けの在宅医療支援(toB)事業を展開していますが、それぞれ商流が異なり、サービス内容やプラットフォームのあり方にも違いがあります。DX推進チームを含むファストドクターテクノロジーズとしては、この仕組みや機能をさらに充実・改善させて、サービスやプラットフォーマーとしての圧倒的な価値を示したいと思っています。医療業界には生産性に関する課題が山のようにあります。社内で培った知識・知見で医療業界全体の生産性向上を牽引できるような役割が果たせたらと思っています。
ファストドクターでの経験は自身のレベルアップにつながる
━━ファストドクターへの入社を考えている方にメッセージをお願いします。
井本:
入社して間もないときに聞いた役員の言葉を今も覚えています。「物事を整理するだけでは価値は生まれない、効果を出して初めて価値になる」。コンサルから転じた私にすごく刺さった言葉でした。コンサルタントは自分の稼働時間が売上に直結する商売なので、物事を整理することに価値を生み出しているような感覚がありました。それはおそらくコンサル経験者みんなが陥る感覚だと思います。事業会社で働くことで身に就く視点や体験は、今後のキャリアを築く上で視野と目線を一歩引き上げる経験にもなると私は思います。
菊池:
医療系のベンチャーは、テクノロジーやデータを競争力の源泉として事業を展開している会社が多い印象です。一方、ファストドクターには現場があり、独自のオペレーションを持ち、長いサプライチェーンに多くの人が関わっています。改善する課題は多く、これまでの経験を活かして企画として関与できる領域は本当に広くあります。自社の成長とともに、社会に貢献している実感がとても得やすい仕事です。そこにやりがいを感じる方はぜひ応募してください。
文:斉藤 泰生