TOMOL PROJECTで垣間見た「対話」の本質
〜起業家精神を育む深い学びの時間〜
TOMOLプロジェクトでは、アントレプレナーシップを持つ若手人材の発掘やプレ起業家のポテンシャルを引き出す人材育成に注力し、起業ワークショップや合宿を通じて実践的なスキルを習得する機会を提供しています。プロジェクトの目的は、単に起業家を生み出すことではなく、アントレプレナーを育成することにあります。
TOMOL PROJECTで、私は「対話」という行為が持つ深い力を改めて実感することができました。普段の忙しい日常では、目の前のタスクや具体的な問題解決に追われがちですが、この場では参加者同士が自分の生き様や信念を語り合い、真剣に耳を傾け合う、そんな特別な時間が流れていました。
安心できる場での自己開示の力
TOMOL PROJECTは、まず「自分のことを語る」ことから始まります。これは単なる自己紹介ではありません。自分の想いや経験、時には失敗や挫折も含めて言葉にし、それを同世代お仲間がしっかりと受け止めてくれる環境があります。
このプロセスを通じて、普段はなかなか表に出せない自分の本音や価値観を、安心してさらけ出すことができます。そして、他者のストーリーにも真剣に耳を傾けることで、深い共感や新たな気づきが生まれていきます。
「具体」と「抽象」を行き来する思考の重要性
日々の生活では、どうしても具体的な問題や出来事に目が向きがちです。しかし、TOMOL PROJECTでの対話を通じて、具体的な経験を抽象化し、全体像を捉えることの重要性を学びました。
特に重要だったのは、抽象化する際に自分の感情に注目することでした。単に出来事を振り返るだけでなく、「その時どんな感情を抱いたのか」「なぜその感情が生まれたのか」を深く掘り下げることで、自分の価値観の根源にたどり着くことができます。
例えば、「失敗して悔しかった」という感情から始まって、「なぜ悔しいと感じたのか?」「その背景にある自分の信念は何か?」と問いを重ねることで、自分が本当に大切にしているものが見えてきます。感情は、私たちの深層にある価値観や信念を映し出す鏡のような存在なのです。
対話の中で「つまり、それってこういうことだよね?」と仲間にまとめてもらうことで、自分でも気づいていなかった本音や価値観がクリアになっていく感覚がありました。これは一人では決して到達できない境地です。
言語化がもたらす理解の深化
自分の考えや想いを言葉にしてみることで、頭の中が整理されていきます。そして、仲間からのリアクションやフィードバックを受けることで、さらに理解が深まります。
特に感情を言語化することで、漠然としていた想いが明確なカタチを持つようになります。「なんとなく嫌だった」という感情も、言葉にすることで「自分の価値観に反することをしていたから違和感を覚えていた」というように、具体的な理由が見えてきます。
これは、起業家にとって極めて重要なスキルでもあります。自分のビジョンを他者に伝え、共感を得るためには、まず自分自身が深く理解している必要があるからです。
対話が生み出す活気と相乗効果
何度も話し合いを重ねていくうちに、参加者の表情がどんどん生き生きとしていくのが印象的でした。お互いの話に刺激を受け、新しい発見や学びが次々と生まれていく。
TOMOL PROJECTの場は、まさに「対話を通じて自分も周りも成長できる場所」だと実感しました。
この相乗効果こそが、一人では到達できない高いレベルの気づきや成長をもたらしてくれるのです。
EXPACTが考える対話の力
この体験の背景には、EXPACTが掲げる「人が心から『やりたい』と願うとき、その小さな一歩が、やがて社会を揺るがす大きな波紋となる」という信念があります。
知性や効率だけでなく、「熱意」や「感情」といった人間の根源的な力を重視し、起業家と近い距離感で知情意すべてで寄り添う――そんな哲学が、TOMOL PROJECTの対話重視のアプローチを支えているのです。
「未来を創る若者よ、情熱に火を灯せ」というミッションのもと、TOMOL PROJECTは単なるビジネスプランの作成ではなく、「自分が、人生がどうありたいか」という根本的な問いから始まる設計となっています。
起業家にとって本当に大切なこと
TOMOL PROJECTを通じて、起業家にとって大切なのは「何をするか」だけでなく、「自分が、人生がどうありたいか」という根本を見つめることだと改めて理解しました。
技術やビジネスモデルは時代と共に変化しますが、自分の価値観や使命感は、どんな困難な状況でも自分を支えてくれる不変の軸となります。そして、その軸を見つけるためには、自分の感情と真摯に向き合うことが不可欠なのです。
TOMOL PROJECTの独自性
原体験探求に特化したプログラム設計
「原体験探求ツアー」では、自然の中で焚火を囲みながら自己開示を行うなど、他のプログラムでは見られない独特なアプローチを採用しています。
感情が大きく動いた体験を掘り起こし、「なぜそうなったのか」を参加者がお互いに何度も問い直すことで、本当になりたいこと、大切にしていることを探求します。
幅広い年齢層への対応
15歳から40歳未満という幅広い対象で、実際に高校生から大学生の学生起業家が多数参加しています。これにより、より早い段階からアントレプレナーシップを育成することができます。
包括的な支援体制
5ヶ月間の長期プログラムで、起業体験合宿やメンターによる個別伴走支援を提供。専門家による定期メンタリングなど包括的な支援を通じて、情熱やアイデアをビジネスへと発展させます。
TOMOL PROJECTが教えてくれる「自分らしい道」の見つけ方
「将来何をしたいかわからない」「起業に興味はあるけど、それが本当に自分の道なのかな?」
そんな悩みを抱えている方に、今日は素晴らしい事例をご紹介したいと思います。TOMOL PROJECTから生まれた2つの挑戦ストーリーが、私たちに大切なことを教えてくれます。
25歳で市議会議員に!玉木りょうたさんの挑戦
磐田市議会議員に当選した玉木りょうたさん、なんと25歳です。彼の原動力となったのは、シンプルだけど力強い信念でした。
「やってみなきゃ、わからない。やってみると、見えてくる」
この言葉、胸に響きませんか?
玉木さんがTOMOL PROJECTで身につけたのは
- 挑戦と失敗を恐れない心
- 自分自身との深い対話
この2つが、政治という未知の世界への挑戦を支えたのです。
社会課題に技術で挑む!泉本悠さんの取り組み
一方、泉本悠さんは全く違うアプローチで社会貢献を実現しています。
ヒートショック事故ゼロを目指すデバイス開発
起業でもなく、政治でもなく、技術開発という形で社会課題の解決に取り組んでいるんです。
やりたいことを見つける3つのヒント
この2つの事例から、私たちが学べることは何でしょうか?
1. 「やってみる」ことの力
考えているだけでは見えないものが、行動を起こすことで見えてきます。完璧な計画を立ててからではなく、まず一歩踏み出してみる勇気が大切です。
2. 自分との対話を大切に
外からの情報や他人の意見も重要ですが、最終的には自分自身の心の声に耳を傾けることが必要です。何を大切にしたいのか、どんな価値観を持っているのかを知ることから始まります。
3. 道は一つじゃない
起業、政治、技術開発、社会貢献...「やりたいこと」を実現する方法は無限にあります。自分らしい形を見つけることが重要です。
あなたの「やりたいこと」は必ず見つかる
玉木さんも泉本さんも、最初から明確な目標があったわけではないかもしれません。でも、挑戦する心と自分との対話を通じて、それぞれの道を見つけました。
あなたも、今日から小さな一歩を踏み出してみませんか?
対話から始まる新たな挑戦
TOMOL PROJECTでの体験を通じて、「対話を通じて具体と抽象を行き来しながら、特に感情に注目することで自分や他者の考えを深めていくことの価値」を改めて強く感じました。
これからも、この学びを日常や仕事の中でも活かしていきたいと思います。そして、同じように自分の可能性を探求したい方には、ぜひTOMOL PROJECTのような場に参加することをお勧めします。
きっと新しい自分や仲間に出会えるはずです。そして、その出会いが次の挑戦への第一歩となるでしょう。
大人も変わる、成長する――メンターとして関わる意味
TOMOLプロジェクトの真の価値は、参加する若者だけでなく、メンターや支援者として関わる大人たちにも深い変化をもたらすことにあります。
若者の純粋な情熱が大人を変える
メンターとして参加した大人たちは、若者の純粋な情熱と向き合う中で、自分自身の初心を思い出すことがあります1。「なぜ自分はこの仕事を始めたのか」「本当に大切にしたい価値観は何か」――若者との対話を通じて、忘れかけていた自分の原体験や情熱を再発見する瞬間があるのです。
教える側から学ぶ側へのパラダイムシフト
従来の指導関係とは異なり、TOMOLプロジェクトでは双方向の学びが生まれます。メンターが若者にアドバイスを与える一方で、若者の斬新な発想や柔軟な思考から、大人が新たな視点を得ることも珍しくありません。デジタルネイティブ世代の感性や、社会課題への新しいアプローチに触れることで、メンター自身のビジネスや人生観が更新されていきます。
組織や地域への波及効果
TOMOLプロジェクトに関わった大人たちは、学んだ対話手法や価値観を自分の組織や地域に持ち帰ります。「知情意すべてで寄り添う」というEXPACTの哲学が、企業文化の変革や地域コミュニティの活性化につながる例も見られます。一人の大人の変化が、やがて組織全体、そして地域全体の変革の起点となる可能性を秘めているのです。
TOMOLプロジェクトは、若者の成長を支援する場であると同時に、大人にとっても自己変革と成長の機会を提供する稀有な場なのです。世代を超えた真の学び合いが、静岡から日本全体への波紋となって広がっていく――そんな可能性を秘めたプロジェクトだと言えます。
EXPACT株式会社
髙地 耕平