こんにちは! エスタイル採用広報です。
エスタイルではAIやデータサイエンスなどの最新技術を用い、多くの企業のビジネス推進やDX化を支援しています。日々進歩する技術や変化が激しい世の中で、今後どのような事業戦略や人材戦略をとっていくのでしょうか。代表取締役CEOの「みやさん」(画像右)と、エンジニアを経て現在は事業部長を務める「フィル」(画像左)に、エスタイルの事業面や技術面での展望、これからのエンジニアに求められることなどについて聞きました。
わずか2年で売上の6割がAI関連に
ーエスタイルが現在力を入れている事業領域について教えてください。
みやさん:AIコンサルティング事業とデータサイエンス事業がメインで、売り上げ比率は6:4くらいです。もともとはデータサイエンス事業が中心でしたが、ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)の登場により、ここ2年でAI関連の引き合いが急増しました。
フィル:まさにゼロからのスタートでしたよね。
みやさん:ChatGPTが公開されて約2カ月で1億ユーザーを獲得したと聞き、「絶対に注目すべきだ」と感じました。その時点ではビジネスとしての活用イメージは曖昧でしたが、まずは社内でケーススタディに取り組みました。そこで得られた知見をもとにお客様に提案したところ、「ちょうどこんなことがやりたかった」と話が進み、どんどん取引が拡大していったという経緯です。
フィル:今では、AI活用により事業会社のDXを加速させるプロジェクトがいくつも走っています。具体的には、まずLLMを企業の基幹システムに組み込み、安全に使える環境を整備するところから始まります。そこから徐々に個別部署のDXへと話が進んでいきます。たとえば社内ドキュメントを参照した投資判断支援システムやSalesforceと連携した営業支援システムの構築など、各業務に特化したAIシステムを構築し、導入と活用を支援していきます。
ーこれからもAIを軸に事業を展開していくのでしょうか。
みやさん:4、5年前、データサイエンスをメインに事業展開していた時に「私たちはデータサイエンスの会社だとは定義していません」と話したことがあります。実際、今では6割が生成AI関連の事業になっています。だから正直、これから5年後に今とまったく同じサービスを提供しているかどうかはわかりません。
ただ、かつてITやインターネットが新しい技術として世に出てきて、今やあらゆる産業において当たり前のように使われているのと同じように、AIも今後あらゆる分野におけるイノベーションの「一丁目一番地」になることは間違いありません。そのため、たとえ事業の形や注力する領域は変わっても、何らかの形でAIには関わっていくのではないかと思います。
エスタイルは基礎研究と社会実装の橋渡しをする会社だと考えています。何でもやみくもに手を出すつもりはありませんが、新しい技術が生み出され世の中での活用が見えてきた時に、すぐに動ける会社でありたいと思っています。
技術力だけではない、これからのエンジニアに求められるもの
ー最近、注目している技術はありますか?
フィル:AIエージェントに可能性を感じています。生成AIは人間が細かく指示したことに対して答えを返してくれるのに対し、AIエージェントは目的を伝えるだけで自動的にタスクを実行してくれます。まさに「エージェント」(代理人)のような働きをしてくれるんです。
先日、2つのコーディングエージェントを使って遊んでみたんです。一つはGoogle検索ができるけれど、コーディングの性能はあまり良くないもの。もう一つは自分で検索はできないけれどコーディングの性能が圧倒的に高いもの。そこで、後者のエージェントに対し、「検索が必要な時には、もう一つのエージェントに聞きながらコーディングを進めて」と指示しました。後は勝手に両者でやりとりをしながら開発を進めてくれましたね。まるでエンジニアのチームをマネジメントをしているような感覚でした。
みやさん:そのうち「このタスクに設定された納期、厳しいよね」とか、AIエージェント同士で相談し合うかもしれないですね(笑)。今後、AIの部下をマネジメントするのが人間のエンジニアの仕事、という時代が来るかもしれません。あとはAIエージェントの人事部的な役割が必要になるという話を耳にしたこともあります。AIエージェントの能力を評価して雇用するかどうか決め、場合によっては解雇もするのだとか。
フィル:それ、面白いですね。
みやさん:その人事部の役割を担うのが、人間なのかAIなのかは分からないですけどね。
ーAI時代において、エンジニアには何が求められると思いますか。
フィル:新しい技術を素早くキャッチアップできる力や課題を捉え解決に導く力など、本質的にはこれまでと変わらないと思います。ですがこれからは手を動かして作業をする時間は減り、お客様と話す時間が増えていくのではないでしょうか。
みやさん:対話はより重要になっていくでしょうね。特にAI活用にあたっては漠然とした抵抗感を抱く人も多いので、不安を取り除くことが重要です。AIシステムの導入の際、現場担当者の方に向けた研修をエスタイルのエンジニアが実施しているのですが、研修内容のうちAIの知識に関するものは3~4割で、残りの6~7割は「心の抵抗感」をなくすことが目的のコンテンツになっています。
また、AI活用を推進する私たち自身を好きになってもらうことも大事です。私は以前コンサルタントの仕事をしていたのですが、ふとした雑談がきっかけでお客様先の社員の方と仲良くなったことで、それまでなかなか進まなかったプロジェクトが動き始めるという経験をしました。そこからは、仲良くなるためにタバコも吸わないのに喫煙室に行っていましたね。
フィル:それはAIにはできない仕事ですね。
みやさん:AIは喫煙室には入れませんからね(笑)。AIが得意なところはAIが担い、人間は人間にしかできないことに集中する。上手に分業していくことが大事なのかなと思います。
大切なのは「今スキルがあること」よりも「これから学び続けられること」
ー人材採用や育成において大切にしていることは何ですか?
みやさん:「コウキシンが世界をカクシンする」という当社のViewにもあるように、好奇心こそが最大の原動力だと考えています。だからこそ、どのようにメンバーの好奇心を刺激するかを日々考えています。好奇心をモチベーションに夢中で取り組んでいたらいつの間にか社会に貢献できていて、キャリアも築けていた。そんな状態を実現したいんです。
先ほどのAIエージェントの話で、フィルは「遊んでみた」と言っていました。仕事の延長線上にあるようなことを、彼は遊びとしてプライベートの時間でやっているんです。こういう人に、やらされ感で仕事として取り組んでいる人は勝てないんじゃないかと思います。
人材を採用する段階においても、どれだけ好奇心に突き動かされて行動してきたかを重視しています。逆にこれまでのエンジニアリングやAIの経験は、あまり問いません。
フィル:実際、エスタイルのエンジニアの9割近くがAI未経験で入社しています。未経験からAIエンジニアを育成できることは、エスタイルの大きな強みですよね。
みやさん:今あるスキルも、数ヶ月後には古くなる可能性がある世界。だからこそ、「今スキルがある人」よりも「これから学び続けられる人」を採用したいと考えています。
ー育成を支える仕組みには、どのようなものがありますか?
フィル:エスタイルには「ESTYLE U」という社内研修プログラムがあり、最先端の技術に関する講義を毎月受けることができます。また「コウキシン50」という資格取得にかかる費用を年間50万円まで会社が負担するという制度や、「マガサポ」といった技術書購入費用を会社負担する制度などがあります。内容は、自身の業務の範疇から著しく外れるものでなければ何でもOK。必要に迫られて学ぶケースもありますが、純粋な興味から活用している人が多い印象です。
みやさん:「マガサポ」を利用して購入した本は、読み終わると社内の本棚に置いてもらっています。新人がそれを手に取ることで、学びの道標やきっかけにもなっているようです。
フィル:また、2025年7月から「SkillDB」という仕組みを導入しました。社員一人ひとりが持つスキルやそのレベルを可視化し、プロジェクトへのアサインや育成指標として活用しています。エンジニア本人も、自分の強みや課題が一目でわかるので、次に伸ばしたいスキルが明確になります。
みやさん:僕はゲームが好きなので、仕事もできるだけゲーミフィケーションして、みんなに楽しんでもらいたいと思っているんですよね。SkillDBの活用は、ゲーム上で「このキャラはどんなスキルを覚えたらもっと強くなるかな?」と考えることに似ているので、ゲーム感覚で楽しみながら自分のスキルを戦略的に育てていってほしいですね。
ー今後、入社する人に期待することは何ですか?
みやさん:チームや組織に愛着を持てる人にジョインいただきたいですね。もし一人で完結できる仕事をするならフリーランスの方が合理的です。でも、組織や仕組みがあるからこそ生み出せる価値があると思うんです。
フィル:今後はAIによる開発の効率化が進み、同じ人数で多くのプロジェクトを回せるようになります。そうなると、一人ひとりが担う業務範囲は広くなり、エンジニアであってもコンサルタント的な視点やプロジェクトマネージャーのようなマネジメント力が求められるようになっていくでしょう。今いるメンバーやこれから入社する人には、そういった力を伸ばしてほしいですね。
組織を率いるお二人に、エスタイルの事業面や技術面における今後の展望について、また今後のエンジニアに求められるスキルなどをお聞きしました。エスタイルはこれからも、社員の「コウキシン」を原動力に、テクノロジーの可能性を追求しながら新しい価値を創り出していきます。