「EV充電エネチェンジ」を支える開発チーム。2027年までに充電器3万台設置を目指して | ENECHANGE株式会社
ENECHANGE(エネチェンジ)株式会社は、「エネルギーの未来をつくる」をミッションに掲げ、エネルギーの4D革命を推進するエネルギーテック企業です。私たちが注力している事業のひとつに"電気自動...
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2023年4月20日より「EV充電エネチェンジ」の6kW普通充電器において、自動車メーカー各社や株式会社e-Mobility Power(以下、eMP社)などで発行された充電カードで、電気自動車(以下、EV)やプラグインハイブリッド車(以下、PHEV)の充電ができるようになりました。これにより、EVユーザーは「EV充電エネチェンジ」のアプリによる決済と、充電カードの利用のいずれかで充電サービスを受けられるようになります。
ENECHANGE株式会社はこれまで、「EV充電エネチェンジ」のサービス名称で6kWの普通充電器の設置を全国に拡大し、ユーザー向けの専用アプリを用いて充電器の検索から充電・決済までが完了する充電インフラを提供してきました。一方、2023年2月に業務提携を結んだeMP社は国内に広くEV・PHEV充電ネットワーク事業を展開し、自動車メーカー各社の発行する充電カードをかざすだけで「カード1枚でどこでも充電ができる」世界を構築してきました。
パートナーシップ提携を契機として、EVユーザーからは「EV充電エネチェンジ」での充電カード利用開始を希望する声が多く寄せられていました。それだけに、この施策はまさにEVユーザーの待ち望んだものだったのです。今回はこのプロジェクトをけん引したEV充電サービス事業部の花井 章剛と小林(業務委託メンバー)*、2023年5月から事業部に参画した佐々木 徹にインタビューしました。
*(注)小林さんは今回のインタビュー記事では写真なしで、文章のみでの登場となります。
――まずは花井さんと小林さんそれぞれに、今回のeMP社とのパートナーシップ提携のプロジェクトでどのような役割をされたかを伺います。
小林:私は以前からIoTエンジニアとしてEV充電システムの構築や運用に関わっていて、今回のプロジェクトではサーバーサイドチームのメンバーの1人として、主にEV充電器がサーバーとコミュニケーションする部分の実装を担当しました。少人数のチームかつシステム開発を自社で行っているため、要件定義からリリースまでの一連のプロセスに携わることができました。
充電カードでエネチェンジのEV充電器が利用できるようにするためには、「1. EV充電器がエネチェンジのサーバーと通信していて、遠隔で制御できること」「2. EV充電器が充電カードを読み取れること」「3. 充電カードのIDをエネチェンジのサーバー経由で照合・認証すること」の3つが必要です。今回の開発のスコープは2と3でした。
充電カードでどんなユーザー体験を提供できるのかをメンバー同士で話し合ったり、充電カードをかざした際のEV充電器の挙動を確認したり、シナリオテストを作成したりと、私はコーディング以外にもさまざまな役割を担いました。
花井:今回のプロジェクトで、私はプロジェクトマネージャーとしての役割を担っていました。具体的には、開発チームへのタスクの割り振りやスケジュール管理、開発リソースの管理などを行いました。
また、ENECHANGEとeMP社、開発会社という3社間でコミュニケーションをとって渉外活動や仕様確認なども実施しています。こうしたタスクを担いつつ、2023年4月20日のリリースに間に合うように動いていたのが基本的な役割でした。
――佐々木さんのEV充電サービス事業部内での役割や、ENECHANGEへの入社を決めた理由についてもお聞きしたいです。
佐々木:私は5月1日にENECHANGEに参画しまして、システムの信頼性向上を担うSREの業務を主に担当しつつ、サーバーサイドの開発タスクも手伝っています。目の前の課題と向き合いながら、システム全体の健全化や安定化、スケーラビリティの向上などを実現したいと考えています。
入社したきっかけは、転職サービスでVPoTの田中 真之さんからスカウトメッセージをもらったことです。それを機にENECHANGEやEV充電について調べていくうち、すごく意義のある仕事だと思うようになりました。EVは今後確実に発展しますし、その充電サービスは社会インフラのひとつになっていきます。
これは余談ですが、私には幼稚園に通っている息子がいます。子どもが大人になる頃までには、日本のエネルギー業界や自動車業界はより環境に優しい形に変わっているべきだと思っています。だからこそ、息子が将来暮らす社会そのものを作っていけるこの仕事は、とても魅力的だと感じました。
▲佐々木 徹
――eMP社とのパートナーシップ提携とはどのような取り組みなのか、概要を教えてください。
花井:世の中には、EV充電器を設置している会社がいくつか存在します。eMP社は、そうした企業とのネットワークを構築・管理している会社です。eMP社とのパートナーシップ提携をしている会社のEV充電器は、自動車メーカー各社やeMP社などから発行された充電カードによって充電ができます。ENECHANGEはeMP社と2023年2月に業務提携を結び、2023年4月20日から「EV充電エネチェンジ」の6kW普通充電器においても、充電カードでの充電が可能になりました。
たとえて言うなら、電車に乗る人の多くはSuicaやPASMOなどのICカード乗車券を持っているじゃないですか。そして、仮にJR東日本で発行されたICカード乗車券だとしても、日本全国ほとんどの地域で使えますよね。昔はこれ、SuicaはJR東日本でしか使えなかったんですよ。
それが西日本でも使えるようになったことで、電車のユーザーがとても便利になりました。今回のパートナーシップ提携はそれに近い便利さがあります。充電カードを持ってさえいれば、EVユーザーは日本各地のいろいろな充電器で充電ができるようになりました。
また、6kW普通充電器は、これまでの3kW普通充電器に比べて同じ電力量を充電するのに半分の時間で済みます。だからこそ、多くのEVユーザーが「EV充電エネチェンジ」の6kW普通充電器を使えるようになることは、かなりインパクトの大きい出来事なんです。
――プロジェクトで経験した出来事のなかで、大変だったエピソードはありますか?
小林:ユーザーに向けて充電カード利用機能をリリースする前に、本番環境で大規模なシステム障害が発生しました。充電が利用できなくなる障害で、しかも何度か発生したんですよ。かなり影響が大きかったです。
EV充電サービス事業部のメンバーだけでは解決することが難しかったため、社内チャットでヘルプコールを出しました。普段関わることがないエキスパートのエンジニアが何人も手を挙げてくれて、何時間も調査を手伝ってくれました。困った時に助けてくれる素晴らしい仲間がいて、すごくありがたかったです。
最終的には、無事に障害を解消し、再発防止策を施すことができました。この経験から、システムの安定稼働の大切さを改めて実感しつつ、チームで力を合わせてパフォーマンスを上げていく楽しさを学びました。
花井:社員同士で助け合って速やかに動けましたし、みんな当事者意識を強く持っていて、非常に心強かったです。ただ、この障害をきっかけとしてシステムの信頼性や可用性をより向上させなければならないという課題も見えてきました。技術的負債がそれなりに溜まっており、それに起因して障害が起きる可能性があります。
今回のインタビューで佐々木さんに参加してもらったのも、こうした課題が背景にあります。eMP社とのパートナーシップ提携のプロジェクトを経験して「大変でしたが、リリースしたので終わりです」と考えるのではなく「システムの信頼性を高めるためにSREが重要になるので、一緒にがんばりましょう」という思いを共有したかったからです。
▲花井 章剛
――他のエピソードはありますか?
小林:組込みシステムならではのテストの大変さがありました。動作確認や負荷試験のために実デバイスを毎回操作すると時間がいくらあっても足りないので、開発期間中はシミュレータを自作して対応しました。E2Eテストを実施する際はオフィスに何度も通って検証したのですが、テストの重要性とソフトウェアだけではテストが完結しないことの辛さを体感しました。
この際に、花井さんや花井さんの知人の方々に助けてもらうことが多かったです。花井さんはENECHANGEで働く前からEVに乗っており、普段から車をかなり愛用しています。そして、同じようにEVに乗っている知り合いの方々が何人もいます。
今回のプロジェクトでは検証をするために車と充電器の両方が必要ですし、さまざまなタイプの充電器でテストをすることが求められました。充電器が設置されている場所に花井さんが出向いてのテストや、知人の方々にもテストをお願いするといったことを積極的に実施してくれました。
花井:確かにそれはあったかもね。2023年4月20日のリリース日もそうでした。サービス開始が午前10時からだったんですが、私自身もその時間にスタンバイしていただけではなく、EVに乗っている知り合いに「午前10時から試せる人いる?」と聞いて動作確認をお願いしました。
――プロジェクトを終えての学びはありましたか?
小林:サービスはデリケートなものであり、簡単に崩壊し得ると学びました。システムのなかではいろいろなサーバーが動いているし、多くのライブラリやミドルウェアが使われています。そのどこか1つがおかしくなっても、サービスが成立しなくなります。システムの稼働状況を把握するための、メトリクスの測定方法などを考えるきっかけになりました。
花井:私は「何かトラブルがあった際などに、どうやって充電カードのユーザーに情報を伝えるか」を考えるようになりました。これまで「EV充電エネチェンジ」のユーザーに対しては、基本的に専用アプリを通じてメッセージを伝えていました。
ですが、専用アプリではなく充電カードを使用するユーザーが増えていくと、そうした情報を伝える手段がなくなってしまいます。サービスの公式Twitterアカウントで告知するなどのユーザーに伝える方法を今後考えていく必要があります。
――佐々木さんが参画されたことで、先ほどおっしゃったようなシステムの信頼性向上にどのようなプラスの影響が出ると思いますか?
小林:佐々木さんはエンジニアとしての経歴が長いですし、前職で大規模なシステムの運用にも携わっていました。その知見を活かして活躍してもらえることを期待しています。技術的負債は、サービス拡大をしていくうえでの障壁になります。だからこそ、何か問題が起きる前に食い止める役として、みんなが拾い切れていないボールを拾って、システムを改善していく役割がSREになるのかなと思います。
花井:「EV充電エネチェンジ」をさらに利便性の高いサービスにしていく過程で、システムの複雑性はどんどん増していきます。それでも、EV充電のコアとなる機能をユーザーに対して安定的に提供し続けたい。佐々木さんにはそのシステム基盤を支えてもらいたいです。不具合が出たから改修するという感じに後手に回るのではなく、なるべく先手を打ってシステムの信頼性を高めるような仕組みを構築していきたいですね。
――この言葉を受けて、佐々木さんからはいかがですか?
佐々木:私は裏方に回って支えることが得意な性格です。だからこそ、SREは自分の性に合っていると思いますし、あまり表には出ないですが重要な役割だと認識しています。EV充電のサービスは社会インフラになり得るものなので、信頼性の向上は重要です。
開発メンバーの手が回らない部分をサポートしたり、自発的にシステムの課題を見つけたりして、障害になる前に解決しておくのが私の役割だと思っています。私の今の目標は「SREが目立たないこと」ですね。要するに、私が目立つときはシステムの障害が起きているときなので、そうならないように動いていくべきだと思っています。
――EV充電サービス事業部への参画を検討しているエンジニアに向けて、インタビューの総括としてメッセージをお願いします。
小林:ENECHANGEという会社は、社会インフラを作りたい人やエネルギー業界で一番になるためにがんばりたいという人、裁量の大きい環境で働きたい人などに向いています。それから、花井さんのようにプライベートでEVに乗っている人が多いので、そういう仲間に出会いたいとか、EVが好きだという人にもぜひ来てほしいです。
もし失敗したとしても責められることはないので、トライ&エラーを続けながら自己研鑽したい人にも向いています。そういう方はぜひ、会社主催のイベントに参加したりカジュアル面談を申し込んだりしてもらえるとうれしいです。
花井:EV充電サービス事業部では、EVに関連する多種多様な職種を募集しています。大抵のポジションはあると思うのでぜひ来てほしいですし、今回のテーマである「システムの安定稼働」を担うエンジニアも絶賛募集中なので、気軽にお声掛けいただきたいです。
佐々木:ただコードを書いていたいというエンジニアよりも、これからの社会インフラを作っていきたいというマインドのエンジニアが向いています。イソップ寓話の「3人のレンガ職人」という話を知っていますか。
これは、レンガを積む仕事をしている人が3人いて、それぞれが仕事の目的を問われたときに「ただ言われた通りにやっている」「家族を養うために積んでいる」「歴史に残る建造物を造るためにやっている」と答えた、というものです。まさにこの3人目のようなタイプの人が、EV充電サービス事業部には向いていると思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
以下に、EV充電エネチェンジを開発するデザイナー、ネイティブアプリエンジニアにもインタビューしたを記事があります。未読の方は併せてこちらもお読みいただければ幸いです。
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