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ドリーム・アーツはなぜリーダー研修で超リアルなベンチャー経営シミュレーションゲームを取り入れたのか

ドリーム・アーツ(DA)では1月21日、「リーダー研修」を実施し、経営シミュレーションゲームに取り組みました。盛り上がってあっという間の研修でしたが、もちろん、楽しむためだけに実施したわけではありません。なぜ導入したのか、参加者は何を学んだのか、取材しました。

リーダーの「視座を高める」研修に

DAでは、本部長や副本部長、グループマネージャー(部長クラス)を対象として1年に1回、リーダー研修を実施しています。この日の午前中は、代表の山本孝昭やHRDグループ(※)の担当者による座学を中心におこないました。午後は今回初めての経営シミュレーションゲーム「T2D3」に取り組みました。

 ※HRDグループ=Human Resources Development

「T2D3」とは元々、ARR(年間経常利益)を1年ごとに3倍(Triple)→3倍(Triple)→2倍(Double)→2倍(Double)→2倍(Double)に伸ばすという、SaaSスタートアップの理想的な成長曲線を表す言葉で、リブ・コンサルティングが開発したシミュレーションゲームのタイトルになっています。参加者は2~4人1組のチームで、SaaSベンチャーの経営者として資金調達、市場選択、施策選択などの意思決定をおこない、創業10期目にARR100億円を目指します。

リーダー研修に、経営シミュレーションゲームを導入した狙いについて、HRDグループ グループマネージャーの芳賀奈津美は、「この1回の研修で目的が達成できるとは思っていませんが」と前置きしつつ、「リーダーの視座を高めたかった」と話します。

参考記事:【co-creators】「人事」から「人材戦略」へのトランスフォーメーション 人的資本経営を支える育休明け女性リーダーの奮闘 | co-creators (wantedly.com)

「リーダーたちは日々とても忙しく、どうしても目の前の業務に集中しがちなので、研修は、日常業務を離れて日頃の自分の立ち位置を見直す絶好の機会です。今回は「T2D3」が、『経営者が何を考えながら事業を見て、意思決定をしているのか』を知るなど、視座を“上げる”ことに加え、自分の職種や所属以外の視点を知り、視座を“横に広げる”機会になればと考えました」

さらに、参加者は経営者としてさまざまな意思決定をおこないますから、プロダクト開発、マーケティング、営業、カスタマーサポート、採用や企業文化づくり、他社協業、働き方など、社内のあらゆる部署の業務やミッションを考えざるをえません。個人対抗ではなく、異なる本部に所属する複数の人がチームとなってゲームに参加することで、本部をまたいで議論し、協創することへの気付きを得られればという期待もあります。「DAでは『協創する喜びにあふれる人と組織と社会の発展に貢献する』をミッションに掲げていますが、ほかのチームのミッションに対する理解が進むと、会社全体がもっと強いチームになると考えました」と芳賀は話します。


営業、採用、開発…どの施策をどのタイミングで打つか

ゲームは、役員や本部長で構成された3チームと、グループマネージャーから成る9チームの、計12チームで競います。年功序列ではないので年齢層は幅広く、50代、60代もいますが、コアとなるのは30代~40代です。「優勝を目指しましょう」「絶対に負けたくないんで」と、各自ふつふつと闘志をたぎらせながらゲームに臨みました。

ゲーム内ではそれぞれのチームで、①「プロダクト志向」「経営力重視」「バランス重視」といった企業タイプ ②狙う市場 ③資金調達の有無と規模、④施策を決めていきます。施策は、マーケティング、セールス、プロダクト開発、経営管理、採用、人的資源などのさまざまな「施策カード」から選びますが、取れる施策の数はCXOの人数によって決まります。

「まずは採用して人を増やそう」

「『タクシーCM』でプロダクトの認知を上げつつ『アウトバウンドコール』かな」

チームごとに議論して市場、資金調達、施策を決めると、即時にその結果が数字となって表れます。ダッシュボードには、ARRのほか、営業利益や社員数、顧客企業規模ごとのリードと成約数などが示され、参加者からは「あぁ……全然売り上げが伸びなかった」というため息や、「狙い通り中小企業市場が取れた!」といった歓声があちこちから上がります。

さらに、チームによっては、プロダクトの機能不足を指摘する顧客や、給料が低いという社員からの不満などさまざまな声と共に、不定期に採用成功率の変動や資金調達ブームなどのHARD THINGSが発生し、さまざまな判断を限られた時間でおこなう必要性があります。「このタイミングで顧客の声を聞くべき? 放置すると離反するのでは?」「でも、ワークライフバランスの悪化でCXOが辞めちゃったから、採れる施策の数が足りない!」と、施策の意思決定も複雑になってきます。


なかなかARR100億円に届かない!

5期目以降になると、「そろそろ攻めに転じないと、このままでは10期目でARR100億には届かない」という声も上がり始めます。

「リードが取れているのに成約率が上がらない! 人材不足で機会損失しているのかも。でも、今から採用して育成が間に合うのか」

「そろそろエンプラ(大企業市場)を取りたいから、『代理店開拓』が必要じゃない?」

「解約率は低いし、製品の評価は高いみたいだから、『値上げ』しても大丈夫そうだ」

「資金は潤沢だから、『テレビCM』を打って、『M&A』もやっちゃう?」

10期目を終えたところでゲームが終了。1位となったのは副本部長チーム。2位の本部長と役員からなるチームに10億円以上の差をつけての優勝でした。1位のチームは、本部長や役員らから、ランチをごちそうしてもらえるそうです。

参加者は、

「前半の採用や育成の投資が足りなかったので、後半売り上げが伸びず、一発逆転を狙ってM&Aを実施したけれど、シナジーが生まれなかった」

「最初に商品開発に力を入れて土台を作ったのはよかったけれど、ARRがなかなか伸びず、アクセルを踏むタイミングがつかめなかった」

「施策を決めるときにダッシュボードの情報を活用しきれなかった。コストは気にしていたけれど、リードや成約数などが追えなかった」

など、悔しそうに反省の弁を述べていました。


投げる前の「振りかぶる動作」「投げた後」まで視野が広がった

ゲーム終了後、参加していたチームの1組に、感想を聞きました。メンバーの3人は、それぞれ経営管理本部、CTサービス本部、セールス統括本部に所属するグループマネージャー。総務、システム保守、セールスとバラバラのバックグランドを持っています。

このチームでは、ターゲットを金融に絞り、「最初の2年でミドル(中規模企業=地銀など)市場を狙い、その実績を"てこ"にエンプラ(大企業=メガバンク)を取りに行き、最後にそこまでの実績をもとに広告を打って、営業の労力をできるだけ使わずスモール(小規模企業)を一気に取る」というシナリオを描いていたそうです。

最初は営業力強化の施策を打ったのですが、取れる受注が計画に反してスモールばかり。数字は2倍、2倍……と伸びたものの、計画とは違う動きになったために「中長期の視点を忘れて対症療法的に場当たり的な施策を重ねてしまった」と振り返ります。

「私はセールスなので、普段は“外の声”(お客さんや見込み客)ばかり聞いています。だから、初めて接する『給料が安い』などの“中の声”(社員)に翻弄され、ほかの指標を分析することなくすぐそれに対応しようとしてしまいました」

ただ、「T2D3」での経験は視野を広げるきっかけになったようです。

「これまでいかに、売り上げを上げるところ“しか”見ていなかったかに気付きました。『投げる』動作の前の、『振りかぶる』ところにあたる資金調達は意識していませんでしたし、投げた後には反動があって、お金は使うと減る。売り上げに関わる『攻め』の数値はいつも見ていますが、コストに関わる数値にはあまり意識を払っていなかったかもしれない、と反省しました」


施策の議論が一番楽しかった

経営管理本部で総務を担当するグループマネージャーは、「普段からさまざまな指標に接していますが、出てきた指標に対してアクションを繰り出すのは新鮮でした。瞬発力も必要だし、先のことも考えなくてはならない。自分1人ではできないですし、いろんな人の力がないと難しいことを実感しました」といいます。

ほかの2人も「協創」の重要性をあらためて感じたと話します。

「何しろ施策を3人で議論するのが一番楽しかったです。私は『ここはやっぱり営業強化でしょう!』となりがちで、自分がいかに“思い込み”で動いているかがよくわかったのですが、いつもそこでほかの2人が異なる視点を投げかけてくれました」

そんな「T2D3」での経験から、DAの組織のあり方への気付きも生まれました。

「DAでは、各本部が自分の本部の施策を考えていますが、もっと他の本部の声を聞き、他の本部の施策にも目を向けるべきなんじゃないかと思いました。本部を越えた連携は今もやっていますが、一方通行の“依頼”が多い気がします。お互いのミッションをもっと理解していれば、もっと双方で『一緒にやろう』という姿勢になるのではないかと感じました」

これに対し、「他本部にも目を向け、グループマネージャーたちが本部を越えて補い合う関係がいいですよね。他の本部が何をやっているのかわからない状態では『協創』はできませんから」という声もあがりました。


求められるリーダーも変化している

DAの「リーダー研修」全体についても聞いてみたところ、「『長期的に投資してくれている』と感じます。『目の前の業績を上げよう』『今の課題を解決しよう』といった研修ではなく、『柔軟な考え方を持つ』『しなやかに生き抜くためには』といったテーマに基づいて研修が組まれている印象です」という回答が。ほかの2人もうなずきながら聞いていました。

総務グループのマネージャーとカスタマーサクセスグループのマネージャー

「私もそう思います。リーダー研修に力を入れるようになったのは、ここ数年のことですが、会社としても、『どんなリーダーを育てるべきか』『今必要とされるリーダーシップの姿はどんなものか』を考えながら研修プログラムを作っているように思います。だからこそ、知識やスキルに加えて、柔軟性やしなやかさ、広い視野といった、人としてのあり方をテーマとしたリーダー育成のプログラムが提供されているのではないでしょうか」

ドリーム・アーツは、2019年に「脱オンプレミス」を掲げてサブスクリプション事業に転換を図ったほか、2023年には東京証券取引所グロース市場に上場するなど、企業としても目まぐるしく変化しています。

「ビジネスが変化しているので、求められるリーダーも像も変化しています。人事部門も、人材開発のあり方を我々と一緒にアップデートし、ともに成長しようとしているのではないでしょうか」


自ら考え、協創する

冒頭でHRDグループの芳賀が話していた「ほかのチームのミッションを理解し、協創を進めることで、会社全体がもっと強いチームになる」というメッセージは、「T2D3」の体験を通じて参加者にも伝わったようです。

「人材育成」「研修」というと、新人研修や若手に目が行きやすい傾向がありますが、「DAの力を強くするには、リーダー層の強化も欠かせない」と芳賀は語ります。「ビジネス環境が目まぐるしく変化し、予測するのも困難な中、リーダーにはますます自ら考え、協創していく力が求められます。そのために必要なエッセンスを、研修などを通じて提供していけたらと考えています」

(構成=大井明子)

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