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今後の人生で最も大切なのは「お金」ではなく「人間関係」。Diverseが目指すパーパスとミッションの裏側

2022年4月、Diverseはビジョンをアップデートし新たな一歩を踏み出しました。

今年5月、MBOにより株式会社IBJから独立したDiverse。今後、Diverseとしてどんな社会をつくっていくのか。同代表取締役である津元さんに新ビジョンと今後の展望について聞きました。

Diverseの新ビジョン

※ビジョン=パーパス+ミッション

■パーパス:「助け合いが溢れる社会を作る」
・多様な人間関係を誰もが築ける場をつくる
・利他性があるコミュニティをデザインする
・多様な発想とテクノロジーで解決する

■ミッション: 「コミュニケーションを創造する」
・いつでも誰かと話ができる居場所をつくる
・恋愛コミュニケーションをハックする
・潜在的な孤独を顕在化させない

「より社会的意義のある事業をしたい」という思いを会社創立の原点に見つけた

――新たなビジョンが発表されたとき、正直なところ「今までにはない新しさ」を感じました。津元さんもそのあたり意識されて作成にあたったのでしょうか?

津元:自分の中では大きく変えた、という意識はあまりなくて。ただ、5月にIBJグループを抜け、婚活アプリの「youbride」をIBJに事業譲渡した経緯があって、改めて「自分自身がやりたいことって何だろう?」というところからスタートしました。

そうやってさかのぼって考えてみると、元々Diverseを始めたときに2つのやりたいことがあったんです。

――その2つとはどんなことなのでしょう?

津元:1つは「社会のためになるようなサービス事業をやりたい」ということ。そしてもう1つは「インターネットというテクノロジーを使ってサービスを展開したい」ということです。

後者のテクノロジーを使うことはひとまず置いておいて、「社会的に意義のある」「社会のためになる」という部分を深く深く考えるようにしました。手がかりを探そうと、現代社会の特徴や、課題、またさまざまな世代の価値観を書籍や海外論文などに求め、読んでは考えるということを繰り返していましたね。

そこでひとつ見えてきたのが「行動の先に、良い社会をつくること」が一番理想形だな、と気づいたんです。その考えを一歩進めて、「では良い社会とはいったい何なのだろう?」という考えを深めていくことにしました。

――「良い社会」といっても、それは人によってそれぞれ違う。なのである意味どれも正解なような気がしてしまいますよね。

津元:ええ、そうです。その中で「ああ、この状態は良い社会だよね」という誰もが共感できるものは何だろうと。そこで、僕がたどり着いたのが「利他性のあふれた社会」でした。何か行動をする際の動機が損得勘定なのではなく、「人のため」になるような人たちがあふれていたら、今よりもっと良い社会になるのではないか。そう考えたんです。

――利他性のあふれる、優しい世界は想像しただけで幸せな気持ちになりますね。

津元:そうですよね。しかし、これは強制的では意味がない。「誰かのために何とかしてあげたい」という意思が自然に生まれてくるような状態をつくることが大切なのです。といっても誰もかれも利他性を発揮するのは現実的ではありません。つながりのある人たちと強固な関係をつくる。その関係をつくれるようなサービスを生み出していく、そんな思いをパーパスに込めました。

誰もが「孤独」に陥る時代、人間関係をつくるということを意識する時代

――今回、ミッションを考えるにあたって、津元さんは「孤独」をテーマにしたと聞いています。

津元:はい、「助け合いが溢れる社会を作る」をパーパスとすると、「ミッションは何になるだろう?」と考えたとき、ひとつの社会問題が関連付けられて頭に浮かびました。それが「孤独」という問題です。といっても、普段のニュースなどでは「孤独死」の問題が扱われるので、僕たちは孤独を「自分とは関係のない遠い存在」ととらえていますよね。でも、実際は顕在化していない「孤独」はすでにたくさんあると感じています。

実際、内閣府などが調査したデータでもやはり「孤独を感じる人の数」は増えてきていて、その割合はなんと男女ともに30代が多いのです。

――高齢者ではなく30代で最も孤独を感じる割合が高いのは驚きです。

津元:そうですよね。でも詳しくみていくとこんな仮説が立てられます。

20代前半は学生時代の友人同士のつながりがまだまだ残っているでしょう。でもその後20代後半にかけ仕事が忙しく仕事中心の生活となり、同時に社会における自分の価値レベルを知り、中には「自分は取替可能な存在なのでは?」と思う人もいたり、加えて転職や友人が結婚したりと、徐々につながりが減っていきます。

そのつながりの減少を代替するものとしてSNSがありますよね。Twitterに代表されるネットのサービスは非常に便利で極めて楽に使えるので、本人的には孤独とはまだ距離がある状態だと思います。

ところが30代にもなると仕事の忙しさは相変わらずで、結婚する友人が増えていきます。やがて結婚した友人には子供もできると疎遠になってしまう。頼みの綱だったSNSでは満足を得ることができなくなり、ある日突然身の周りに友人や心を許せる人がいない…ということに陥っているのだと推察します。

――なるほど…、ただその一方で昔も孤独を抱えていた人はそれなりにいたはずですよね。

津元:ええ、そうです。今も昔も孤独を抱えている人たちはたくさんいて、その割合は大きくは変わっていないと思うのですが、今も昔も人の付き合い方には3つのパターンがあるのではないでしょうか。

――と、いいますと?

津元:今も昔も変わらないのは、リアルな人間関係を持っている層がいます。これが2割ほど。それとは逆に、付き合いがあまり好きではない人たちも、2割ほどいる。と、考えていくと、残りの6割は「人間関係は苦手ではないけれど、そんなに重要視もしていない人たち」です。ここに属している人たちが徐々に孤独を感じる割合が増えたから、全体的に徐々に孤独を感じる人が増えているんじゃないか、と思っています。

実際、僕もこの6割に属しているのですが、苦い思い出があります。地元を離れ東京に出てきてからというもの、地元の友達とは連絡を取らなくなってしまいました。「面倒くさいし忙しい…」という気持ちが当時は強かったんですね。

しかし、今振り返ってみると、「損得関係のない人間関係をつくるのは意外と大変」で、だからこそ「社会人になるまで学生時代の友達や地元の友達は大事だったんだな」と痛感しています。おそらくこれは誰もが当てはまることでしょう。多くの有識者も言っているように、これからの時代を生き抜いていくために大切なのは、お金でも資産でもありません。間違いなく「人間関係」です。

――津元さん自身も、「孤独」を感じる機会はあったということですね。

津元:そうですね、それはいつも感じています。僕は今、家族もいますが「孤独」は全然遠いものではありません。むしろ、近いものだなと感じています。特に子どもなんて親から離れていくものだと思っていますし、奥さんと離婚する可能性がないわけじゃない。

そうやって考えると、家族って実は社会で生きていくための万能なセーフティーネットではないんですよね。だからこそ、外とのつながりを持つこと、自分を孤独に置かないで人間関係をつくる意識を持つべきなのだと考えています。

――人間関係構築をするため、最近ではSNSを使う人も多いと思います。この点、津元さんはどう考えていますか?

津元:SNSは非常に便利ですよね。好きなときに話せるし、話したくないことは話さなければ良い。面倒くささもリアルと比べるとはるかに楽。だけど、それは本当の人間関係ではないと思っています。

人間関係を構築するためのキーワードは「共感」です。日常起きたうれしいことや悲しいことを、話し合って深い共感をしあうことが最も大事だと思っています。

今のミッションを「コミュニケーションを創造する」という定義にして、「恋愛」という言葉を入れた理由もそこにあります。すなわち、恋愛は共感を発揮しやすい環境にあるからです。

いきなり、「濃い人間関係をつくりましょう」と言われてもそれはハードルが高い。だけど、恋愛を通してならそれがしやすくなる。いわば共感力のトレーニング的な位置づけとして恋愛をとらえているのです。

利他性のある社会にするために、Diverseとして何ができるか

――DiverseはYYCを提供している会社、またマッチングアプリを出している会社という認識が強かったと思うのですが、今回津元さんのお話を聞いて、恋愛だけではない人と人とのつながりにまで発展させていきたいという思いを感じました。

津元:そうですね、もちろんマッチングアプリを通して、1対1のコミュニケーションが生まれて、孤独を遠ざける効果はあると思います。しかし、そこから一歩進んで「マッチングアプリだけでは癒せない孤独をどう解消するか」ということをメンバーと一緒に考えていきたいと思っていますね。それが、冒頭に申し上げた「助け合いが溢れる社会を作る」ことにもつながるのかなと。実は助け合い、という利他の精神を学んだのは、実は幼稚園や小学校で行うパパママ向けの行事がきっかけなんです。

――幼稚園で親御さんがやらなきゃいけない仕事や準備などもあるといいますよね。

どんな出来事がきっかけになったんですか?

津元:そうなんです。あるとき、幼稚園のイベント準備の関係で、リーダーを進んで引き受けた親御さんがいたんです。最初は「なんでこの人、こんな面倒くさいことやるんだろう…?」と疑問だったのですが、よくよくその人を観察すると、とても幸せそうで楽しく過ごしている。なおかつ、友達も多い。濃い人間関係がそこにはあったんです。

まさに「他人の幸せが自分の幸せ」です。

それまでどちらかと言えば僕は利己的な人間で、「自分さえ良ければいい」という考えが強かった。しかし、そうした幸せそうな人を間近に見たことで、「こういう生き方の方が幸せなんだ」と改めて納得できたんですね。

――そういったいわばモデルケースがあったことで、津元さんも考え方を変えることができたのですね。

津元:実際には今もまだ利他的になるよう、進行形の部分はあるんですが、少なくとも「幸せだな」と感じるのは「人間関係」あってこそなんだな、と思いますし新たな「人間関係」を生み出せるようなサービスをDiverseとして展開していきたい、という思いはありますね。そこから発展して、「自分のありのままを受け入れてくれる濃い人間関係をひとりでも持っていれば、助けてもらえるんだ」という考えが広まれば、安心感のある社会になるとも思っています。

――いわば「誰一人取り残さない安心感のある社会」を実現するのは大変ですがそれだけ意義のある、またチャレンジしがいのある取り組みだとも思います。

津元:そうですね。これまでいろんなことをお話してきましたが、「孤独から抜け出したい」というのは人間の根源的な欲求であり、昔から連綿と続いてきた永遠の課題でもあると思うんです。ひとりひとりがそこから抜け出すために、Diverseがアプローチをかけていきたいですね。

深い共感でつながった社会を実現するため、みんなでここからもう一歩頑張っていきたいと思います。

――津元さん、ありがとうございました!

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