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ヤフーが目指したのは”筋肉質な採用”、優秀人材へのアクセスと休日稼働の解消を同時に実現

「広告」「eコマース」「決済金融」の3分野を軸に100を超えるサービスを運営しているヤフー株式会社。ヤフーではかねてから中途採用領域でダイレクトリクルーティングの活用を進めてきましたが、そのノウハウを元に新卒採用における母集団形成でもダイレクトリクルーティングの活用を行っています。今回は採用チームの皆さんに、新卒採用でダイレクトリクルーティングを活用した背景と成功のポイントを伺いました。

採用は最重要、でも人を増やせばいいというものではない。目指したのは”筋肉質な採用”

中村:ヤフーでは中途採用でダイレクトリクルーティングを積極活用されていますね。新卒採用での取り組みについて伺う前に、ダイレクトリクルーティングを強化している背景について教えていただけますか?

鈴木:採用する方の数を増やすのではなく、質を高める方向によりシフトしていく必要があったためです。ヤフーでは新しいサービスを積極的にリリースし続けているのもあり、採用は非常に重要です。毎年新卒・中途ともに2~300名ほどの採用を行ってきました。一方で、採用担当者の数を大幅に増やすことは難しいのもあり、エージェントに対する依存度が高まっていました。もちろん、エージェント経由でも良い方に出会える場合もありますが、近年は採用市場が盛り上がっているのもあり、我々の欲しいエンジニアが取れない、という課題感が強くなってきていました。そこで、より”筋肉質な採用”に変えていく、工数面・コスト面を適正化しつつ優秀な人材を採用するために、リファラル採用とダイレクトリクルーティングにここのところ切り替えを進めています。2017年ごろからダイレクトリクルーティングの利用を広げてきて、運用も成果が出た。使える、という感触がありますね。

鈴木 勇二:ヤフー株式会社 コーポレートPD本部 採用部 中途採用担当
2001年ヤフー入社。ネットコマース売上拡大のための業務全般に関わる。2012年より採用部長としてヤフーの採用全体を統括。その後、子会社出向を経て2017年より再び採用へ。中途採用全般を管轄し、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用の強化を推進。

中村:”欲しいエンジニアが取れない”という課題感があるというお話でしたが、
特にどのようなスキルを持ったエンジニアの採用が難しいと感じてらっしゃったのですか?

稲辺:ヤフーの求めるきちんと手の動く技術志向のエンジニアに会うのが難しくなっている感触がありました。特に少し上の年代になると、マネジメントはできるが手は動かない、というタイプの方が増えてきます。マネジメントはもちろん大切ですが、ヤフーではきちんと手の動く技術力のあるエンジニアが欲しい。ダイレクトリクルーティングへのシフトを進めたことで、これまで開拓できていなかった層の方々にアクセスすることができました。

鈴木:エージェント依存型だと良い候補者がくるのを待つことしかできませんが、我々からもアプローチできるというのが大きな違いですね。時期が合わない等のミスマッチの場合もありますが、本当に欲しい人材であれば半年先1年先に候補者の方のタイミングが整った時点で再度連絡を取ることで、中長期的なアプローチを取ることもできます。

インターンの母集団形成にダイレクトを導入。数から質への転換を加速

中村:続いて、新卒採用での取り組みについても教えてください。なぜ新卒でもダイレクトリクルーティングに取り組もうと思われたのですか?

稲辺:やはり”筋肉質な採用”を新卒採用でも進めるためですね。優秀な人材を採用することは大前提で、それを効率的に行うためです。

中村:これまではどのような採用手段を取られていたのですか?

稲辺:ありがたいことに自社ホームページからの流入が一番多いです。身近なサービスを提供させて頂いていることもあり、学生さんの方から情報を取りにきてくれる面はあります。その他に大きな比重を占めていたのは、逆求人イベントです。ここに大きな工数がかかっていました。

:母集団形成が盛り上がるシーズンになると、土日はほぼ一日中拘束されている状態でしたね。平日も都内や地方の大学を他のイベントにまわって学生さんとの接点づくりをしていてほぼ会社にはおらず、本当に会社に存在しているのかわからなくなってしまう状況でした(笑)。そこから、応募数ではなく質への転換をさらに進めよう、というのが狙いですね。

幅大輔:ヤフー株式会社 コーポレートPD本部採用部 新卒採用担当(写真左)
2017年中途入社。前職からエンジニア採用経験が長く、ヤフーでもエンジニアを中心とした採用を担当。

稲辺真奈美:ヤフー株式会社 コーポレートPD本部採用部 新卒採用担当(写真右)
2009年新卒入社。広告営業を経て、2013年より人事。組織開発やHRBPに従事した後、2018年より採用担当。


中村:逆求人は縮小して、ダイレクトリクルーティングに移行していかれたんですね。

:はい、その通りです。今回の夏季インターンの母集団形成から新たにLinkedin、irootsといったダイレクトメディアを利用し、従来逆求人で行っていた母集団形成を徐々にダイレクトリクルーティングでのスカウトに移行しています。効果も測りやすく、また他の施策との比較もしやすく、やって良かったと思っています。

地方めぐりせずに全国の”腕に自信アリ”学生へアクセス

中村:具体的な効果の方はいかがでしたか?

稲辺:まず工数面で言うと、移動の工数がなくなったのが大きいですね。地方出張が多くなりがちな新卒採用の母集団形成において、基本的にはオフィスにいながら全国の優秀な人材にアクセスできる。コスト面も低く抑えられています。
質の面でいうと、今回はインターンということで実際に入社頂いたわけではないので一概に判断するのは難しいですが、他のチャネルに比べると優秀な方が多い感触はあります。

中村:ダイレクトリクルーティングではスキルを見て採用していくので、スキル面でのマッチはしやすいだろうな、という感触は我々としてもあります。一方で、面接で見ていくようなソフト面についてはいかがでしたか?

稲辺:インターンの選考においては、エントリーシートの選考に加えて、コードテストと面接を行っています。コードテストについては仰る通りで、スキルを見てスカウトしているので合格レベルの方が非常に多かったです。一方で、面接の合格率も非常に高かったのは良い意味で想定外でした。新しい取り組みということもあり固めの数字で事前の計画は立てていたのですが、結果的には、去年までで言うと逆求人イベントで合った学生さんの中でも超優秀だ、絶対来て欲しい、というレベルの学生さんに数多く応募いただけました。

:特にLinkedinは腕に自信あり、という学生さんが多かったですね。今回は早期の活動だったのもあり、この時期にLinkedinに登録しているような学生さんは、感度が高い方が多かったのではないかと思います。

カルチャーフィットまでダイレクトで見極める、その方法を模索したい

中村:今回の取り組みの結果を受けて、注力したい点やさらに強化していきたい点などはありますか?

稲辺:今回まずはインターンの母集団形成でダイレクトリクルーティングの活用を進めましたが、本選考でも本格的に活用するために施策を練っているところです。

鈴木:新卒・中途ともにLinkedinにきちんとターゲット層がいることが分かったので、体制をもっと強化していきたいと考えています。ダイレクトリクルーティングメディア毎の特性についてのノウハウももっと貯めて、より効果的な活用の模索も続けます。メディア毎に候補者の質も違いますし、短期的に利用するのがよいのか中長期的に利用するのがよいのか、といったことも違いますので。

稲辺:次々と新しいメディアがリリースされているので、どこに行くといままで会えていない、本当に欲しい人材に会うことができるのかは引き続き模索していきたいと考えています。

鈴木:カルチャーフィットまで含めてどう見ていくかも課題だと思っています。カルチャーフィットは基本的には面談なり面接でみていくものですが、事前にフィットしそう、フィットしなそうということがもっと分かれば、候補者にとっても我々にとっても良いことだと思います。面談の時間の使い方も変わってきて、より本質的な話に時間を割ける。もっと無駄をなくして、コンバージョン率の高い採用を行っていきたいと考えています。

中村:本日は貴重なお話、ありがとうございました。ぜひ今後とも一緒に新しい取り組みにチャレンジさせてください。

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