今回は開発ディレクターも企画もこなすエンジニアにお話を聞きました。VRコンテンツのプロジェクトリーダーとして、エンジニアとして培ってきた技術ノウハウを活かすことはもちろん、企画も自身でこなすマルチエンジニアです。 ジェネラリストとしてチームをまとめる姿勢には、数多の逆境を乗り越えて芽生えた「チームを大事にする」確固たる思いが込められていました。
■プロフィール
オンラインゲームを契機にプログラミングに興味をもち、専門学校へ進学。その後はWeb系の企業にて一人で200サイトを運営するなど実務の中でスキルを磨く。プログラミングの難しさや稼働時間の長さ、チームを大事にしない環境からから一時は挫折しかけるも、小学生の頃の文集に書かれた夢やメンバーとの縁から再起。2016年にダズルへ入社し、現在は開発ディレクターとしてVRコンテンツのプロジェクトチームをまとめる。
■挫折しかけたとき、背中を押してくれたのは「ゲームを作りたい」という夢を描いた小学生の自分
高校卒業後、はじめは福祉系の大学に通っていましたが、当時はまっていたオンラインゲームをきっかけにプログラミングに興味をもつようになりました。「プログラミングが出来たら面白そう」、最初はそんな気持ちからでしたがWebも含めて幅広くプログラミングスキルを身につけたいと思い、専門学校のシステムエンジニアコースへ進路変更。実際にプログラミングをやってみると思っていたより難しく、当時は挫折しかけました。 その後、200ほどのWebメディアを運営する企業に就職するも、入社後3〜4ヶ月後には1人で200サイトのうち、ほとんどを運営する状態に。サーバー管理などシステムまわりをすべて担っていました。学校で勉強したことだけではとても追いつかなかったので、当時は勉強しながら実務に取り入れることの繰り返しでした。 そうはいっても1人でそれほど多くのWebメディアを運営するとなると、稼働時間は必然的に長くなり体力的にも辛くなります。結果的に退職し、実家に戻ることに。実家に戻ったあと、ふと目にしたのが小学生の頃に書いた文集でした。なにげなくページをめくったその先に書いてあったのは、自分が書いた「ゲームが作りたい」という文字。当時自分で考えたゲームのイラストも文集に描いてあり、改めてエンジニアとして、ゆくゆくはゲーム業界で、頑張ってみようと決意を固めました。 上京後は前職での経験を活かしてエンジニアとして働いていましたが、専門学校時代の同級生との縁があり、システム開発会社に入社。当時はソーシャルゲームがちょうど流行り始めた頃で、サーバサイドエンジニアでもゲーム業界に足を踏み入れるチャンスがありました。同社が受託開発を主にやっていたのでゲーム会社へ出向先を変えてもらい、ゲーム業界でのキャリアをスタートします。 その後はゲーム会社へ転職し、ゲームプログラマーとしてキャリアを歩んでいましたが、チームメンバーを大事にしない環境が徐々に辛くなっていきました。ゲーム開発には多くの職種が携わるので、それぞれ「こうしたい」という思いがあるのはもちろんですが、その上でどうしていくかを聞いていくのが大切だと考えていたので、そういった環境の中で仕事がしたいと思うように。 そう考え始めたときに、既にダズルへ入社していたメンバーから話を聞き、個人的にも興味があったVRへ携わることができることに魅力を感じてダズルへ入社しました。
■抱き続けた「チームを大事にする」思いを、ダズルで実現する
現在は開発ディレクターと企画を担当しています。VRコンテンツのプロジェクトにおいてディレクションをしながら、エンジニアとしてプログラミングもします。また、自社開発のプロジェクトにおいては企画を担当することも。これまで実務として企画に携わったことはありませんでしたが、個人で企画書を制作しUnityでカジュアルゲームを作っていた経験を活かしています。 今までは経験が浅かったこともあり、言われたことをただひたすらやるだけでした。しかし、ダズルではまず挑戦させてもらえる。自分で考えたことを発信し、ある程度の範囲はありますが好きにやらせてくれる環境があるので、非常にやりやすいです。なので、ずっと抱き続けていた「チームを大事にする」という思いを実現することもできます。 これまで、ワンマンバーガー、面倒だがトリあえず脱出、Ninja and Princessに携わってきましたが、すべてのプロジェクトで大切にしたことは「担当するメンバーがどんなものを作りたいか」を取り入れること。エンジニアにしても、デザイナーにしても、何かしら「こんなものを作りたい」という思いを抱えている人は多いです。自分もそうでしたから。なので、自分でも「こうしたら面白いんじゃないか」というものはどんどん伝えていきますし、エンジニアやデザイナーが「これは良い」と思っていることをできる限り取り入れます。頭から「そうじゃない」と折ることは極力せずに、良い部分を「どうすれば実現できるか」と考えていくことで、実際にコンテンツとしても面白いものになることを実感しています。 そういった発言や意見をしっかりキャッチできるように、常に現場とのコミュニケーションを大切にするよう努めています。エンジニアやデザイナーに対して、自分の知らない領域において「これ出来るでしょ」という言い方は絶対にしません。社内では主にSlackを使ってコミュニケーションを取っていますが、口頭での直接的なコミュニケーションも大切にしています。文字だけだとどうしても細かいニュアンスが伝わりづらいですし、表情も見えない。相手の人となりを自分でも理解した上でコミュニケーションを取りたいと思っているので、出来るだけしっかりと顔を見て話す機会をつくるようにしています。 こうした行動の結果か、メンバーが今どんな状況にあって、どんなことを考えているのかも徐々に分かってくるようになりました。エンジニアやデザイナーに話しかけようと思うとき、集中して作業している状態なのかどうか、今では背中を見ただけでなんとなく分かるようになりましたね。これは普段からメンバーのことを見てきたからだと思っています。
■独りよがりでなく、みんなで。誰もが知るコンテンツを作りたい
今後は、誰もが知るコンテンツを作りたいと考えています。売上も大切ですが、ゲームに限らず名前を聞いただけで誰もが知っているものは世の中に多く存在しています。そういったコンテンツを生み出せたら嬉しいですね。 また、個人的な思いとして被災者のために何か創りたいとも思っています。出身が福島なこともあり、東日本大震災のときは実家のまわりも津波がきて被災しました。ダズルでは以前、徳島市阿波おどり動画として、阿波踊りを360度楽しめる動画を制作しました。これは代表取締役CEOの山田の「VRで地域活性化ができないか」という思いが契機ですが、いつかVRで地元に貢献したいという気持ちは自分にもあります。 しかし、これは自分ひとりの力では出来ないとも思っています。だからこそ、独りよがりにならず、チームメンバーの力を結集させてダズルみんなで生み出したい。そう思っています。 当面はノウハウの蓄積や技術検証など、ダズルとしてやっていかなければならないことがまだ多くあるので、そういったことを一つ一つ積み重ねていきたいと考えています。