サッカーのデジタルコンテンツ制作の最前線で活躍する、ディレクターに、1年間の挑戦と成長についてお話を伺いました。
デジタルコンテンツを通じてスポーツの魅力を伝える仕事の醍醐味とは—。
目次
- プロサッカーリーグ公式SNSメインディレクターとしての1年
- デジタルコンテンツディレクターの醍醐味
- チームみんなでアカウント運用をする意識を
1. プロサッカーリーグ公式SNSメインディレクターとしての1年
―― 公式SNSのメインディレクターとして、どのような役割を担われているのでしょうか?
基本的に全てのSNSアカウントの運用を担当しています。全ての発信の組み立てや、リーグとのやり取りの窓口になるなど、情報発信の要となる立場ですね。以前は女子ゴルフのメインディレクターを務めていましたが、このアカウントに関わるのは今年が1年目。最初からメインの立ち位置という、責任の重い挑戦でした。
―― 1年間を通して、特に大変だったことは何でしょうか?
まず常に思考が働いているという点ですね。SNSの運用は365日止まることがないので、"この日は休もう"というわけにはいきません。日々の投稿の組み立てや、制作体制の采配を1年間ノンストップで行ってきました。
また、見なければいけない範囲がとても広いんです。リーグ側からの様々な依頼に加えて
毎週末、30試合程度、60クラブの情報を可能な限り漏れなく拾っていかなければなりません。リーグ戦、カップ戦、代表戦、各種イベントなど、取り上げるべき出来事も多岐にわたります。考えることが多く、考える時間も長い。職業病に近いもので、苦労したポイントではないのですが、プライベートで試合を見ている時も、"このシーンはSNSで使えそうだな"と考えてしまうほどです。
2. デジタルコンテンツディレクターの醍醐味
―― メインディレクターとして、特に意識されていることは何でしょうか?
フォロワー数の大小で仕事が変わるわけではありませんが、日本のスポーツ界でも屈指のフォロワー数を抱えるアカウントを運用する責任感は常に感じています。質の伴ったものを毎日出し続けることを、1年間第一に考えてきました。
特に意識しているのは、リーグ公式として扱うべきコンテンツや話題が、最適な形で世に出ている状態を作ること。これは非常に大変な部分ですが、同時に自分の得意分野でもあります。日頃からたくさんの試合を見たり、SNS上での話題を注視することで、"こういうのを出さなければいけない"、"ファンは今これを求めているはず"というトピックを察する力は、ファンである自分の強みかなと思います。」
―― 以前はプロゴルフを担当されていたと思いますが、競技の違いによる特徴はありますか?
ゴルフは毎週試合が完結して優勝者が出るので、コンテンツに困ることは少なかったんです。一方、サッカーは1年を通して1つのストーリーが展開されていく。一般的には何でもない試合でも、そのクラブのサポーターにとっては特別な瞬間があったりする。そういった価値のある瞬間を見逃さないよう心がけています。
また、ゴルフは個人競技で、女子ゴルフ全体のファンが多いのに対し、プロサッカーリーグは各クラブのサポーターが中心。なので、各クラブのサポーターの気持ちにできるだけ寄り添うように意識するのと同時に、誰が見ても興味を惹かれるようなコンテンツを選定するようにしています。
3. チームみんなでアカウント運用をする意識を
―― 今後、デジタルコンテンツディレクターとしてどのように成長していきたいですか?
チームのみんなが同じ絵を描きながらアカウントを運用できる状態を作りたいですね。"このアカウントはこういう表現をすることが望ましい"、"こういう世界観を持っていたい"という認識を共有しながら、一つ一つの制作物に取り組める環境を目指しています。
ただし、完全にマネジメントに回るのではなく、自分でもコンテンツを作って発信していきたい。高度な技術がなくても、編集や言葉遣いの工夫一つで全然フォロワーの反応が変わることがある。そういった細部へのこだわりを突き詰められる、クリエイティブな能力を持ったディレクターになりたいと考えています。
―― 2025シーズンに向けての意気込みをお願いします。
リーグとして何を出すべきか、リーグ(クライアント)が何を望んでいるのか、そしてファン・サポーターが何を求めているのかを常に考えて、行動に移していくことをさらに突き詰めていきます。それを単にベターな形ではなく、ベストな形で出せるように。そういったアカウント運用をしているんだという使命と責任感を持ちながら、チーム全体でより良い発信ができるよう取り組んでいきたいと思います。