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上手な会議のやり方

ダイレクト出版の社員に向けて書いたレターを転載しています。

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To: ダイレクト出版のみんなへ
From: 小川忠洋


明治維新の功労者として、岩倉具視という人の名前は聞いたことがあるだろう。この人、何した人か知っているだろうか? 岩倉具視は公家だから、坂本龍馬や西郷隆盛とは全然違う種類の人なのに、なんで明治維新の重要人物とされていたか?答えは、会議が上手かったからだ。

渡部昇一さんによれば、当時、これからの日本の方向性などを決める会議を仕切ったのが岩倉具視で、彼のその采配によって、旧勢力から新勢力に変わったんだとか。何が言いたいかってぇーと、会議の技術にはこんなインパクトもあるんだよって話だ。

実際、組織やチームのメンバーが増えれば増えるほど、会議やミーティング(Mt)をいかに効果的にやるかというのは、そのチームのパフォーマンスに大きく影響する。そのためにまず考えなくてはいけないのが、いかに「少なく」するか。


会議は「タイムアウト」である。タイムアウトの時間が長ければ、当然、試合には負ける。フィールドでプレイしている時間にしかプレイヤーの価値はないし、タイムアウトはある種、休憩にもなっている。必要だが増やしてはいけない。必要悪みたいなもんだ。

つまり、

・参加者を減らす
・回数を減らす
・時間を減らす

これらを常に考えなければいけない。

会議をしてると、仕事をした気分になってしまうが、それは大間違いの大間違い。
繰り返すが、会議は仕事の中断である。


では何のために必要か。会議には主に次のような種類があるだろう。

1.意思決定のための会議
2.情報共有のための会議
3.企画・ブレスト・アイディア出しのための会議

岩倉具視がやっていたのは意思決定のための会議だわね。んで、ウチの会議やMtを見ていると、もっとも大きな時間になっているのは2番目の情報共有のための会議ではないだろうか。意思決定や企画のための会議は減らすのが難しいが、情報共有のための会議は大幅に減らすことが可能だ。

どうやって減らすか?
やることは簡単で「文書化」を徹底すること。

「ドキュメントによるコミュニケーションを増やそう!」と前から言っているが、文書、ドキュメントの効果は、まず、

■ 発信者が内容を考えるので、内容が絞られて明確になる(=考える力がつく)

というのもあるが、

■ 受け手の時間をまったく消耗しない(会議に比べ)

というのもある。

6人で1時間の会議をやれば、合計で6時間が吹き飛ぶ。この手の会議を週に2回も3回もやれば、どんどん時間が吹き飛んでいく。ところが文書、メモを作れば、発信者は大変だが、受け手の5人はほとんど時間を消耗しない。これほどのリソースの節約はないんじゃないか。


しかし文書を書くというのは、書き手にとっては大変だ。何の準備もなしに、その場にいってペラペラ喋ったほうが圧倒的にラク。ラクだからこそ、文書化よりも会議を選んでしまう。

しかし、そこで書き手が規律を持って明確な文書を作れば、情報共有のための会議は大幅に減らすことができる。上手な会議のやり方とは、会議を削減すること。削減するためには文書で情報を共有する習慣を作ることだ。


PS. 
この文章なんかも、書くのには30分ほどの時間がかかった。こんなの書くよりは、「やっぱさぁ~」とか喋ったほうがそりゃ圧倒的にラク。しかし、このように書いたことによって、自分の考え・意見を多少なりとも論理的に伝えることができ、大勢の人に一気に伝えられる。保存もできるので、後から来た人にも「これ読んどいて」で伝わる。これが全社会議を開いて、このテーマを話すとなったら、どれだけ時間がムダになるだろうか。

PPS. 
誤解しないでほしいが、これは「フェイス to フェイス」のコミュニケーションを否定しているわけではない。個人的には、「フェイス to フェイス」のコミュニケーションは、会議などの公式な場でなく、ぶらぶらしてるときにバッタリ会って話す、みたいな感じのほうが好ましいな、なんて思うがね……。

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