少子高齢化の影響で多くの業界が人手不足に直面しており、人材の確保が困難な時代においては、企業は働き手に選ばれる存在とならなくてはならない。
働き手に選ばれ、長く働いてもらう為には会社の「個性」がとても重要になる。
「個性的」な会社とは、経営者の個性がカタチとなった会社。
経営理念が1本のピアノ線となって、会社の中にピーンと張られている会社。
鍵盤をポンとたたけば、経営者の哲学やポリシーが、1っの澄んだ音色となって、社員1人ひとりの耳に届く会社。社員1人ひとりの心と共嗚する会社、等。
会社の中に1本のピアノ線が通っていれぱ、社員は、心地よい音と雑音とが間き分けられる。
だから社員は、雑音になど耳を貸さない。
その音色が延びていく先。社員にとっては、そこが自分たちの目指すところであり、会社にとって、そこがたどリ着くべきゴール。
ゴールがわかるからこそ、社員は安心してチャレンジできる。
チャレンジを通した自分の成長が、くっきりとイメージできる。
だけど、会社にピアノ線は張れない。だったら、「就業規則」を活用しよう。
経営者は、自分が目指す会社の姿を
その中に書き込もう。企業理念やビジョンが盛り込まれた就業規則。それが1本のピアノ線。
就業規則は、いわば会社の「基本法」。社員に対する会社の基本姿勢を述べたガイドブック。
だから、「ありあわせ」のものをちょっと言葉を換えて引き写すのではなく、「わが社ならでは」のものをつくりたい。ことに大切なのは、その最初の部分。
だけど、ほとんどの企業はわずか数行で、「第1条(目的)」を事務的に記すだけ。
経営者は就業規則の最初にこそ、自社のミッションを書き込もう。
それは、経営理念や信条に裏打ちされた会社のビジョンや将来像。そして、経営者が「価値」と信じるもの。
例えばミッションは、「~する人、この指とまれ」の「この指」。「この指」のさし示す方向がはっきり見えたとき、多くのタレントが、多くの仲間が、「この指」に止まりにやってくる。「この指」を高く高く掲げて、その存在を知らせよう。
「~する人」の「~」を就業規則に、しかもその最初にうたうことで、ミッションを社員全員に浸透させよう。
「個性的」な会社って、単にほかとは違った会社のことじゃない。ほんとうの意味は、透明性が高くて、その会社のミッションがくっきり見える会社のこと。
「この会社」の「このミッション」を、社員1人ひとリが理解し、「この会社」の「このミッション」に、社員1人ひとりが共嗚するとき、「わが社ならでは」の個性がくっきりと浮き出てくる。
だから、就業規則にしるされるのは、そのミッションに沿った社員の行動の原則。
たとえ他社と同じような状況でも、それがミッションに照らしだされたとき、その意味合いと輝きが違ってくる。
就業規則には、経営者の想いをどんどん書き込もう。
たとえば、マネジメントに対する要望とか、社員の自己啓発やチャレンジに関する希望など······。
「わが社のミッションに照らし合わせて、こういう行動を会社は価値と認める」というふうに。
規則で縛るのではなく、価値ある行動を促すもの。それが個性的な会社の、個性的な就業規則である。