日本でも従業員満足度という言葉は浸透してきたが、心理学と経営学の関係性を研究する専門家たちは「従業員満足度から、幸福度に指標を置いていく時代が来ている」と提言している。満足度は社員パフォーマンスには比例しないが、幸福度は比例するというのである。満足度は日々の業務や行動に対しての個人評価で終わってしまうが、幸福度はまさにワークライフインテグレーションが完全に整って完成する。ワークライフインテグレーションとは、「ワークが辛くても、ライフで挽回する」という従来のワークライフバランスの考えではなく、「ワークもライフも両方ともに幸せを感じるものにする」ということだ。会社業績を大きく支える社員エンゲージメントもまさにこの両者一体になった社員の中に、自発的に芽生えていく。
弊社は1年前「人事部長はシアワセですか?」というタイトルで公開セミナーを行った。80名定員の会場は予約開始直後に満席となり、当日は立ち見を含めた120人が受講した。シアワセになりたい人事部長が多いのか、わが社の人事部長はシアワセそうには見えないと感じる人が多いのか。どちらにしても問題は同じ。「人事部長はシアワセですか?」と自問自答して欲しい。会社の未来はすべて「人」にかかっている。だからこそ、社内でトップクラスにシアワセ感にあふれている人こそが人事部長のポジションにいるかどうか、その重要性にいち早く気づいて欲しくてのセミナータイトルだった。
現在、世界的に「Well being・Happiness(心豊かに生きること・幸福)」をテーマにした学術論文や研究そのものの数が急増している。シアワセな社員が会社にもたらす恩恵も、すでに世界で数多くのリサーチが行われ、業績や生産性、株価に比例するという結果が出ている。今、海外のトップ企業の経営者たちは進んでポジティブ心理学や幸福学を学び、社内に社員幸福度向上の専門職であるCHO(チーフハピネスオフィサー)のポジションを設けている。「働き方改革とは、幸福度を高めること」これは間違いなく近未来の世界のスタンダードになる。あらためて問いかけてみよう。
その筆頭となる人事部長はシアワセですか?