2024年12月、ビットコインの価値が10万ドルを超えたことが話題となりました。
1ドルが150円程度なので、1ビットコインあたり、1,500万円の価値があるということです。
ビットコインを始めとした仮想通貨(暗号資産)のベースとなる技術が「ブロックチェーン」です。
「ブロックチェーン」という言葉くらいは聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
しかし、比較的新しく登場した言葉なので、まだ一般的には浸透していないように感じます。
今回は「ブロックチェーン」がどんな技術なのか、今までの技術とどう違うのかといった基本的な部分を、ITに詳しくない人にも分かるように、ざっくり噛み砕いて解説する試みです!
ブロックチェーンとは何か?
早速ですが、ブロックチェーンという技術について、まずは概要をつかんでみましょう。
ブロックチェーンは、デジタル技術の一つで、「データを管理する仕組み」に分類されます。
これを理解するために、まずは身近な例を考えてみましょう。
今までの中央集権型のデータ管理
例えば、銀行がAさんから1万円を預かった場合、銀行は1万円札そのものを保管するのではなく、「Aさんが1万円を預けた」という取引情報(データ)を記録・管理します。
これにより、Aさんは預けた銀行だけでなく、別の支店やATMからも同じ金額を引き出すことができます。
そのような顧客の取引情報は、銀行が所有しているサーバー(性能の高いコンピューター)で一元的に保管され、銀行の人たちがその正当性を確認したり更新することで管理されています。
このような管理方法を「中央集権型」と呼んだりします。ようするに「1か所で情報を管理する仕組み」ですね。
しかし、この方法にはリスクがあります。
例えば、その銀行が所有しているサーバーがサイバー攻撃を受けたり、情報が不正に改ざんされたりしたら、取り返しのつかない事態になりかねません。
もし「Aさんが1万円を預けた」というデータを「Aさんが1,000円預けた」と改ざんされてしまったら、Aさんは大きな損害を受けますし、そんな銀行にお金を預けようとは思わないでしょう。
つまり、一つの場所でデータを管理する方法は便利な反面、リスクも伴うのです。
ブロックチェーンのデータ管理
一方、ブロックチェーンは「1か所で情報を管理する仕組み」ではなく、「複数の場所で情報を管理する仕組み」であるということが大きな特徴です。
具体的には、複数のコンピューターが同じ取引情報を同時に記録します。
例えば、「Aさんが1万円を預けた」というデータが、ネットワーク上の複数のコンピューターに保存されるのです。
あっちのコンピューターでも、こっちのコンピューターでも、同じデータをみんなで持っておきましょうという感じです。
そのようにすると、一つのコンピューターの情報を勝手に書き換えられても、他のコンピューターが持っている情報と一致しないため、不正な変更であることがすぐにわかりますよね。
「あれ?お前のデータだけみんなのデータと違くね?おかしくね??」って感じでしょうか。
また、一部のコンピューターがダウンしても、他のコンピューターが情報を持っているので、使えなくなってしまうなんてこともありません。
このように、ブロックチェーンはリスクを分散し、安全性を高めるための仕組みとして注目されています。
画像①
ブロック同士が鎖のようにつながっている構造
ブロックチェーンの「ブロック」という単位は、取引情報を一定時間ごとにまとめたデータの塊です。このブロックには以下のような情報が含まれています:
取引の情報
送金の日時
ハッシュ値(暗号化された情報)
ハッシュ値とは?
ハッシュ値は、ブロックチェーンの特徴的な仕組みの一つです。
この値は、直前のブロックの情報を暗号化して生成されるもので、ブロック間を「鎖」のように繋げる役割を果たします。
具体的には:
直前のブロックが持つ情報を元にハッシュ値を生成
そのハッシュ値を次のブロックが引き継ぐ(画像②を参照)
このように、各ブロックが順番に前のブロックと連続して繋がっています。そのため、途中のブロックが改ざんされると、以降のすべてのハッシュ値に影響が出てしまう仕組みです。
画像②
なぜ改ざんが難しいのか?
1.制約の厳しいハッシュ値
ハッシュ値には一定の条件(制約)が設定されており、この条件を満たさないとブロックは有効なものとして認められません。
2.マイニングによる調整
ハッシュ値の条件を満たすように「マイニング」と呼ばれる計算作業が必要です。
この処理は高性能なコンピューターでも時間がかかるため、不正にデータを改ざんして全てのブロックを書き換えるのは非常に困難です。
マイニングでは「ナンス」という一度だけ使用する数値を調整してハッシュ値を計算します。
ナンスを変更しながら条件に合うハッシュ値を見つけ出すため、改ざんすると新しいハッシュ値を見つけるために膨大な計算が必要となり、現実的に不可能です。
ブロックチェーン技術の特徴
ブロックチェーンは、以下の2つの仕組みによって強力な信頼性を確保しています:
・分散型のデータ管理
複数の場所で同じデータを共有・管理することで、一部のデータが破損しても安全を保つ。
・時系列で連続したデータ構造
各ブロックがハッシュ値で繋がり、改ざんが難しい仕組みを実現。
これらの特徴により、ブロックチェーンは仮想通貨をはじめ、お金や価値の移動を扱うシステムの基盤として信頼されています。
仮想通貨と呼ぶのか、暗号資産と呼ぶのか
世間的には「仮想通貨」という呼び方が一般的ですが、日本では“通貨”という言葉が暗黙的に「国家が発行し管理するもの」と関連付けられるため、金融庁は2018年に「暗号資産」という呼び方に改めると発表しました。
国際的にも「Crypto asset(暗号資産)」と表現されるようになってきていますが、ここでは仮想通貨という呼び方で話を進めますね。
一般的にお金は国ごとに決められ、国が発行しているものですが、仮想通貨は国や金融機関が直接管理しないため、銀行や政府を通さず、直接世界中の人と取引することができます。
しかし、現在の日本では国と完全に関わりが無いわけではなく、マネーロンダリングや詐欺などの犯罪防止と、税金の徴収を目的にある程度の介入を行い、法律を定めたりしています。
ビットコインってどんな仮想通貨?
最近ニュースでよく聞くビットコインもたくさんある仮想通貨の種類の一つで、2008年に世界で初めてブロックチェーン技術を使った仮想通貨として誕生しました。
サトシ・ナカモトが生みの親と言われていますが、正体が不明で本名なのか偽名なのか、個人なのかグループなのかも未だにはっきりしない、ミステリアスな存在です。
ビットコインが初めて公開された当初、その価値はほぼゼロでした。
お金は多くの人が同じ価値があるものだと思ってくれないと成立しないので、個人が「新しいお金作った!」といっても、そんなわけのわからないものを取引しようとは思えませんよね。
初めてビットコインが価値を持ったのは、2010年のことです。
プログラマーのラズロ-・ハニエツさんが10,000BTC(BTC=ビットコインの単位)でピザを2枚購入しました。
といっても、直接ピザ屋に10,000BTCを支払ったわけではなく、イギリスに住むジェレミーさんがオンラインでピザ2枚をラズロ-さんの自宅に注文し、ラズロ-さんから10,000BTCを受け取ったそうです。
当時、1BTCの価値は、およそ0.0025ドルだったので、10,000BTCは25ドルほど。ピザ2枚の金額としても、ほぼ等価だったといえるでしょう。
このビットコインが初めて現実世界で価値を持った出来事は「ピザ事件(Bitcoin Pizza Day)」として有名になりました。
仮想通貨への投資リスク
その後、大きな暴騰や暴落を何度か繰り返しながらも、ビットコインの価値は上がっていきます。
冒頭でお伝えした通り、現在は1BTCが10万ドルに達し、ピザ2枚の代金であった10,000BTCは10億ドル、1,500億円という莫大な価値を持っています。
わずか15年で、価値が4千万倍にもなりました。もしピザ代金のビットコインを今も保有していれば、大金持ちですね。
そのように価値の変動も大きいことから、ビットコインのような仮想通貨は、株やFXと同じように投資の対象として扱われています。
しかし、今後も同じように価値が上がっていくのか、それともまた急激に下がるのかは、今の段階では誰もわかりません。
さらに仮想通貨で大金を稼いだ場合も、税金の対象になるので注意が必要です。
当然リスクも大きいため、もし資産として購入しようと思う場合は、よく調べてから自己責任で行いましょう。
今回はブロックチェーンの大まかな仕組みを、わかりやすさを重視して解説しました。
私もまだ勉強中だったり、簡易的に伝えるためにあえて省いた部分や、一部説明不足である点もありますが、興味を持つきっかけにしてもらえたら嬉しく思います。
このブロックチェーンは「分散型ネットワーク」「NFT」「スマートコントラクト」といった、「Web3.0」という新しいテクノロジーを支える基盤となる技術です。
仮想通貨についてもビットコインだけでなく、「イーサリアム」や「バイナンスコイン」といった他の種類が多くあり、それぞれに特徴をもっています。
ブロックチェーンの技術はこれからも発展し、社会の形が新しく変わっていくことに繋がる可能性は高いので、引き続き注目していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。