こんにちは、元バンドマンで今はIT企業で人事・広報の仕事をしている兵永です。
近頃は別業界からITエンジニアへジョブチェンジする方も多く、私の会社だけでなく多くのIT企業が未経験者の採用を行っています。
たとえ未経験者でも、多くの方が何かしらIT分野の勉強をしている事が多く、その中でもJavaやPythonなどのプログラミング言語は人気のようです。
他にもITパスポート、基本情報技術者試験などの資格取得に向けて勉強している方や、自分が進みたい分野の資格取得を目指している方もいます。
ただ、みなさんどうやって勉強をしているんでしょうか?
Webで検索するとITスクールの広告も多く出て来ますし、本屋に行けば多くのテキストが棚に並んでいます。
今回はこれからITを学ぼうとする方のために、スクールでITを学ぶのと、独学でITを学ぶのとではどのような違いがあるのか、IT業界の人事担当の目線から考えていきたいと思います。
・ITスクールで学ぶメリットとデメリット
○メリット
・専門的な指導を受けられる
・構造化されたカリキュラムがある
・実践的な経験を積める
・業界情報や人間関係を得られる
まずメリットから見ると、やはりその分野の詳しい人から学ぶことができるという点は、自分のスキルを上げるためにも重要なことです。
スクールには教育ノウハウがあるので、誰でも成長ができるようにステップバイステップで技術を押してもらうことができ、幅広い知識を体系的に学べます。
また、チーム演習などで実際のIT業界で働くことをイメージした授業などがあり、より実践的な経験を積むこともできます。
また、スクールによっては就職の支援などまで行ってくれるケースもあるので、人によってはそれがメリットと感じる事もあるでしょう。
○デメリット
・費用がかかる
・時間の制約がある
・スクールのスタイルに合う合わないがある
・自分の理解度に応じた授業ではない
デメリットとしてはやはりお金がかかる事が大きいかもしれません。スクールやコースによって変わりますが、1ヶ月毎日平日に授業を受けるとなると最低30万~60万円くらいの費用がかかるようです。
授業型のスクールの場合、授業に合わせてスケジューリングをしないといけません。オンライン授業も増えていますが、リアルタイムの授業であれば同様です。
スクール受講経験者に聞くと「先生が合わなかった」や「進むスピードが早すぎてついていけなかった」という声もありました。
多くの生徒が決められた期間内に、決められたカリキュラムをこなす必要があるため、一人ひとりに合わせた進め方というのは難しいのでしょう。
無料で実施しているITスクールもありますが、無料ということはなにか理由があると思ったほうがいいでしょう。
大学や専門学校の授業料が高いことを見れば分かるように、人から何かを教えてもらうということは、本来お金がかかるものなのです。
それが無料でOKということは、何らかの仕組みがあるに違いありませんが、それを理解したうえで、自分が納得しているのであれば問題ではありません。
他にも自治体が雇用問題解決のために実施している、職業訓練の様な無料スクールもあるようなので、自分が対象に含まれるか調べてみても良いかもしれませんね。
メリット・デメリットなどを理解し、自分に合ったものか・・・と言っても、すべて自分に合うように条件の揃ったスクールなんて基本ないと思うので、自分が合わせられるものかをちゃんと判断しましょう。
でないと、「学費だけ先に払ったのに結局続かなかった・・・」なんてことにもなってしまうかもしれません。
・独学で学ぶメリットとデメリット
○メリット
・自分のペースで学習ができる柔軟性
・オンラインリソースの充実
・コストの削減
・自己管理や自己学習能力、問題解決力の向上
なんといっても自分のペースで学習を進められるという点は、独学で学ぶメリットでしょう。通勤の行き帰り、スキマ時間、休日など、自分の都合に合わせて学習を進めることができます。
しかも、この現代社会では色々な情報がオンラインで手に入ります。動画での解説や、オンライン教材での学習というのも増えおり、割と低コストでも手に入り安く、場所を問わず学習ができるようになりました。
中には無料で使えるような教材が、PCアプリやスマホアプリで提供されています。
単純に学習スキルだけでなく、自分で立てた計画に沿って学習を進めていく事ができれば、自己管理や問題解決力は自ずと身についていくことになります。
○デメリット
・アドバイスやフィードバック機会の制限
・モチベーションの維持
・情報の信頼性への疑問
・学習の方向性の欠如
デメリットはやはり、詳しい人に頼りづらいということでしょうか。自己学習でも周りに相談できる人がいると安心ですが、人によっては頼れない場合もあります。
進捗が悪いとモチベーションも落ちてしまい、勉強が辛くなってしまうという事もよく起こるようです。スクールでも同じですが、自分を律する必要がありそうです。
またいくら教材がWeb上にあると言っても、情報の信頼性にはばらつきがあります。情報が古いため間違った知識として進めてしまう事もあるかもしれません。
全く知識がない中で、どのように順序立てて学習を進めていくのかは、独学の場合ではより難しくなるでしょう。
特に在職中の方がITを勉強しようと思ったら、スクールなどに通うのは難しい環境であることが多く、実際に当社でも独学でIT技術を学んだという方が少なくありません。
他にもメリット・デメリットはあると思いますが、一般的によくいわれているものについて改めて書き出してみました。
・ITエンジニアの面接で好印象を得るには
特に未経験者の採用面接において、学習について聞かれたり、自分からアピールする場面があると思います。
未経験者採用を進めている企業としては、業務経験の無い方でもITスキルを身に着けていたり、ITを積極的に学習している方に入社してもらいたいと考えています。
未経験者に新人研修を行うカリキュラムがある企業も増えていますが、そもそも本人に学んで成長しようとする意思がなければ、研修を受けさせる意味がありません。
その意思を判断するためにも、面接でIT業界への転職理由や、学習状況について聞く事が多くあります。
そんな時には目的や、ゴールに対しての進捗も明確に伝えるとプラスの印象を与えることに繋がります。
例えばですが、
「Javaを独学で勉強しています」
というだけでなく、
「開発系の仕事をしたいと考えJavaを独学で学んでいます。今はまずJava Bronze試験の合格を目指しています」
と目的や目標を伝える事で自分がどんなことに興味関心があるのかを伝えることができます。進捗度合いも具体的に伝えるとなお良いですね。
ただし、私の経験として、面接をしている中で少しもったいないなと感じる場面があったのでお話しておきたいと思います。
それはITスクールでプログラミングを学んだという方に「学んだ技術で何か作りましたか?」という質問をした時に、スクールのカリキュラムの中で作成する課題しか出てこなかったことです。
もちろん真面目に学んでいる姿勢はいいのですが、スクールの課題はあくまでスクールが用意した実習なので、同じ授業を受けてる人は全員同じように作るでしょう。
これは独学でも同じで、教科書に書いてあるとおりにプログラミングを行えば、教科書どおりのものが出来上がります。
学んだことを形にするというのは実習として意味があるのですが、できればそこから一歩踏み込んで簡単なゲームやアプリでもいいので、自分で考えて作ってみるという事をやって欲しいなと思いました。
そういう経験の中で、つまずいたところをどうやって乗り越えたのか、どう工夫したのかを面接で聞くことで、その人の問題解決力が見えてきたりもします。
私も面接で自分が作ったゲームやアプリをポートフォリオ的にその場で見せて貰う事があり、そういう方の事はより印象にも残りやすかったです。
企業の面接官と「何がしたいのか」「何ができるのか」をより共有できると、自分の望む仕事に就ける近道になるでしょう。
・自分にあった学習スタイルに出会うために
一概に「どちらがいい」と言えるものではなく、自分にあった学習スタイルを選ぶ事が重要だとは言われますが、それを選ぶのが難しいから悩んでいるという方もいるのではないでしょうか。
見極めるためには「何のためにITスキルを学ぶのか」と「ゴールはどこなのか」をちゃんと定める必要があると思います。
より好条件の企業に就職するため、自身のITリテラシーを高めるため、スキルを活かしてビジネスを始めるため等、ITを学ぶ目的は人によって目的は様々です。
そしてゴールも、企業に就職する、資格に合格する、アプリケーションを自身で作成するなど、目的に応じて明確に決めておくことで、自分の学習方法を選ぶ上での指針になります。
「とりあえずITスキル身につけておこう!」という事が悪いわけではないですし、実際身につければ有用なスキルであることは間違いありませんが。
ちゃんと目的とゴールを明確にして学ぶ方が、学習効率においてもモチベーションの維持においてもいい方向に作用すると思います。
「目的とゴールを明確にしてもやっぱり迷う!」ということであれば、まずは自分で勉強を始めてみるという事をおすすめします。
やっているうちにスクールや他の人のチカラが必要と感じたり、コストをかける必要性を感じた時に、ITスクールの利用を検討してみるという形がいいのではないでしょうか。
幸いなことに10〜20年前に比べれば、誰でも手軽に学ぶ事ができるコンテンツが世の中に増えているので、そういうものをうまく活用できると効率的に学ぶことに繋がりそうですね。
今回はIT学習を始めるならスクールと独学ではどちらが適しているのかについて考えてみました。
義務教育でITやプログラミングについて学ぶようになったことからも、算数や理科などと同じように社会の一般常識となっていくことが予想できます。
ITを学ぶことはこれからの社会を生きていくうえで絶対に間違いじゃない!と個人的には言い切っていいと思っています。
これからの社会に適応できるよう、一緒に学んでいきましょう。
ここまで読んで頂きありがとうございました。