CourseVALUの一番最初の種は、実は「授業の口コミサイト」でした。
学生時代に出たビジネスコンテストで、僕はこのアイデアが伸びるんじゃないかと考えていました。ちょうどChatGPTが世に出始めた頃で、これからは定量的なデータよりも、定性的なデータにこそ意味が出てくる——そう直感していたんです。
考えてみると、授業の口コミをわざわざ書く学生って、その授業がよほど面白かったか、逆に酷評したいか、どちらかなんですよね。時間と労力をかけてまで言葉を残してくれる。ということは、大前提としてかなり真面目な層が使うサービスになるはずだ、と。
僕にはずっと、ある問題意識がありました。大学の授業で学んだことを、もっとちゃんとキャリアに活かすべきだ、と。でも現実には、自分が受けた授業から逆算して「自分はこういうことに興味があるんだ」と気づくのは、なかなか難しい。だからこそ、「この授業とこの授業が好きなら、こういう職種に興味があるんじゃない?」とレコメンドできる仕組みを作れないか。学生が自分でも気づいていない魅力を、データの側から見つけてあげられないか。そんなことを模索していました。
ただ、当然これは簡単じゃなかった。
授業の口コミサイトをゼロから立ち上げるのは難易度が高いし、マネタイズの面でも壁がありました。就活系のマッチングサービスって、優秀な学生を集めるには魅力的な企業が必要で、企業を集めるには魅力的な学生がいないといけない。この両輪を同時に回さないといけないんです。当時は早稲田大学のインキュベーションセンターに小さなオフィスを構えていましたが、学生に使い続けてもらう力も、企業を開拓する力も、まだまだ足りていませんでした。
毎日地道な文字起こしと手入力の日々
それでも、できることは全部やりました。
学生一人ひとりに成績表を出してもらって、「キャリア相談」という名目でアンケートやインタビューをひたすら重ねる。どの授業が面白くて、どれがつまらなかったのか。その理由を、とにかく深掘りする。当時は自動文字起こしなんて便利なものもなかったので、録音を自分たちで手作業で起こしては、ChatGPTに分析させようとしていました。正直、当時のChatGPTは今ほど賢くなくて、思うようには動いてくれない。でも、今となっては全部いい思い出です。
3年前、僕らはこの口コミサービスから、「インターンを求める企業と学生のマッチング」へと事業を転換しようと試みました。実際に1〜2名はマッチングまでこぎ着けた。けれど、どうにも採算が合わず、断念することになりました。
ひとつだけ、忘れられないことがあります。
そのとき数少ないマッチングが成立した学生さんが、のちに僕らの会社でインターンをしてくれることになったんです。あのときの小さなご縁が、巡り巡って戻ってきた。事業としてはうまくいかなかったけれど、人との出会いは確かに残った。ある意味、それがCourseVALUの原点なのかもしれません。
うまくいかなかった最初の一歩。でも、ここで掴んだ大学生のキャリア感を変えたいという想いは、今もまったく変わっていません。