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今回ご紹介するのは、編集チームのPjM(プロジェクトマネジャー)として編集部をけん引し、コンテンツマーケティングや業務設計までマルチに活躍するマツマエです。
アルバイトとして入社した彼は、契約社員(現在はありません)から正社員というキャリアパスを辿り、現在はPjMとして組織に欠かすことのできない存在になりました。
各フェーズにおいてどのような経験をし、その結果どのような考えの変化があったのか、つぶさに語ってもらいました。
異業種から転職した後は、想像もしなかったキャリアの変遷が待っていた
- 始めに、今までの経歴をお聞かせください。
だいぶ遡ることになるのですが、大学の卒業間際になってもやりたい仕事というのが見つからなくて、学生時代から続けていたバーテンダーの仕事をしていました。
お客さんの楽しんでいる姿を見てそれなりにやりがいなどは感じていましたが、なんとなく「これじゃない感」を持っていたんです。
「このままじゃいけない。本当に自分がやりたいことは何だろう」とずっと考えていました。
“自分はちょっと難しく考えすぎるきらいがある”とは認識していたので(苦笑)、それだったら「考えるな、と言われても考えてしまう」ところを強味にできないかな、と。
じゃあ、”考えること自体を仕事にする”となると”哲学者”に行きついてしまって違うだろ、と(笑)。ちなみに、それが24歳の頃の話です。
では、”考えること”にはなにが必要なんだろうと…。そして、「考えることには”言葉”が必要だ!」ということに気づいたんです。
“言葉”を仕事にするとなると、だんだんと職種のイメージが広がっていって、その中の一つに「編集者」があったんです。それで、編集者を目指したのが始まりです。
でも、「未経験かつ正社員でいきなり応募しても絶対に採用されないだろうな」ということに気付けるくらいには大人になっていたので(笑)、「まずは雑用からなにから全部引き受けます!」という気持ちでアルバイトの求人に応募しました。
- 超真面目ですね(笑)どのように面接を臨んだんですか?
「これこそが自分のやりたい仕事だ!」と思い込んでいたので、なんとかアピールしようと思って、そのときに読んでいた本を10冊くらいバックパックに詰めて面接に行きました。
で、通された部屋のデスクに本を全部並べて、それぞれの本について頑張って熱弁したような覚えがあるんですけど、今考えると大したことは言えてないんでしょうね(笑)
あと、履歴書はこれ以上書けないくらいの情報量でやる気をアピールしたのは覚えています。
多分、何が言いたいのかわからない冗長な文章になっていたと思うんですけど、後に代表の安田から「アルバイトでこれだけ書いてくるんだからやる気は伝わってた」と言ってもらったのでやり切って良かったなと思います。
採用通知のメールが来たときはすごく嬉しかったし、そのメールは今も大事にとっておいてます。
- 初めてのウェブ編集者としての仕事はどうでしたか?
アルバイトとして初めて任された仕事は、”クライアントの掲載情報にある画像のALTを記述する”という仕事でした。
今となってはごく普通の作業ですが、当時の僕としては「文章を書く仕事をしている!楽しい!」という気持ちになっていたことを覚えています。
ちなみに、サイト内に上げているすべての写真データに対してALT記述を徹底するほどの粒度でSEOにこだわっていることを考えると、その当時からすでに「長期的な意味での消費者価値」にリソースを投資していたのか、と事業への取り組み方に一貫性があって全くブレてないな、と再認識しますね。
先ほど話した通り、何でも引き受ける精神で入社したので、来客時のお茶出しから片付けなども率先してやっていましたし、当たり前なんですが、来客時の挨拶は誰よりもしていた自負はあります。
そういうことは特に会社から”やってくれ”とも言われてないので勝手にしていたのですが(笑)
業務的には、先に話したALT記述や、モザイク処理の一作業あたりにかかる時間を最小化して作業効率を倍に向上させた成果が認められて、「試しに連載コンテンツの編集をやってみない?」と持ちかけてもらったときは、めちゃくちゃ嬉しかったですね。
キラーコンテンツの「ニッポンの介護学」を定期的に任せてもらうようになってからは、毎朝早めに起きて記事のネタを血眼で探していたのが懐かしいです。
編集者からプロジェクトの責任者への大胆なコンバート
- その後、クーリエでの編集業務はどのように変わっていったんですか?
そうやって手掛けた記事が反響を呼べる状態になって半年ほど経った頃、契約社員(現在はありません)になる話をしてもらいました。
契約社員になると、自分のことはもちろんですが、アルバイトメンバーのタスク進捗に責任を負うようになり、それまでとはまったく別の難しさを感じるようになりました。
一緒にアルバイトとして業務にあたっていたメンバーとの接し方には悩みましたが、自分からメンバーへ要求しなければ仕事が進まないということを、そこから段々と実感し始めました。
一方で自分の業務の方は、連載コンテンツとは対極にあるストックコンテンツ(Google、Yahooなどの検索エンジンを通して情報を得ようとしている人に向けて用意するコンテンツのこと)の改善にあたることになりました。
連載コンテンツなどのフロー型の記事は、ネタの面白さやゲストのネームバリューなど、いわゆる情報感度がものを言う文系的なセンスが試されますが、ストック記事については、最初に理系的な発想が必要で、モレなくダブりなく(「MECE」という概念で社内の共通言語化している)キーワードを集め、そこから体系的にページごとの階層構造を作り上げていく、といった全く別のスキルが必要となります。
この2種類の記事作成を経験して、それぞれが「フロー(SNSコンテンツ)」「ストック(SEOコンテンツ)」として「コンテンツマーケティング」の両翼を担っていることを理解でき、タイトなスケジュールな中で自分自身が必死に実務をこなしていく内に、Web編集者としての明らかなスキルアップを感じていました。
- 着実に経験を積んでいったのですね。さらに自分が変化するきっかけになったことを教えてください。
そんな経験を通して編集者としての基礎的な知識と技術を身に着けたとき、正社員としてさらにステップアップする機会を与えてもらいました。
クーリエの正社員は自分自身でタスクをこなす実力を求められることは当然として、それを他のメンバーに言語化してナレッジ共有する「仕組み化」が求められます。
ここで新しい壁にぶち当たりまして…(笑)、今までの仕事の進め方は自分のことだけを考えていれば良かったものが、他のメンバーにも高いレベルで成果を上げてもらう必要が生じてきたんです。
自分のことであればクリアできる自信はあったのですが、自分以外の人のこととなるととたんにハードルが上がってしまい、どうすれば壁を乗り越えられるのかに苦心しました。
そうして毎日悩んで考え抜いた結果、不足していたのは「業務プロセスの解像度」だったことに気づきました。
「この案件、こんな感じでやっておいて」と抽象度の高い丸投げで渡しても、事業が求めているレベルの成果物が上がってくる可能性はほぼ期待できないのです。
「事業的なインパクトの大きいことから優先順位を決め、プロジェクトの大まかな期日を設定します。具体的には…。」
「開始するデッドラインを決め、ゴールから逆算しプロセスを書き出します。具体的には…。」
「プロセスごとにさらに細かなタスクへブレイクダウンし、オペレーションフローを考え、WBSを設計します。具体的には…。」
“伝わっているつもりでお願いすると前に進まない”ということを身をもって体感してからは、可能な限り解像度が高い状態で仕事を割り振るクセがつきました。
とはいえ、あまりにも具体化し過ぎると、タスク実行者の裁量がなくなり、仕事がとたんにつまらないものなってしまう危険性もはらんでいるのでバランスのとり方は難しいところです。
メンバーが進め方がわからなくて不安にならないように、また、簡単すぎて退屈にならないように、を良い塩梅で実現できるかが、仕事を任せる上で最も大事なことの一つだと思い知りました。
- 今現在はどのようなポジションを担っているのでしょうか。
元々は編集者としてエキスパートになろうと意気込んで入社したんですが、それぞれのやりたいことや、向き不向きを鑑みて適切なポジションにアサインさせるのもクーリエの文化の一つです。
自分は業務に携わるうちに「もっと仕事の視野を広く持っていろいろなことができるようになりたい」と思っていたので、自分自身がライティングや編集技術を磨き込んでいくというよりは、仕様や要件などをまとめるWebディレクションとしての役割を担う機会が多くなっていきました。
いずれも共通した仕事のアプローチとして、”まずは体系的に骨子を作り、枝葉は人が魂を吹き込む”というような品質を落とさずに生産性も担保するといった絶妙なバランスがあると思います。
また、進行管理をする中で”オペレーションをどのように属人化せずに業務設計をすればよいのか”という知見が得られるのも、クーリエのカルチャーが成せる業なのかもしれません。
その過程でマネジャーや経営層とのコミュニケーションを頻繁に行う中、プロジェクトの工程管理技術を直に叩きこまれました。
タスク内容の厳密性や工数、期日、進捗状況を秒単位まで入り込んで追っていく泥臭い仕事ですが、自分の性に合っていたことと、事業が着実に進んでいる実感を得られることがあって、大きなやりがいを感じています。
- 未経験のアルバイトから始めて、ここまでやってこれたのはなぜだと思いますか?
私的な話になりますが、自分のコンプレックスを武器にできたことだと思っています。
知識もスキルも何も持っていない自分が、IT業界のベテラン経験者と働く中で渡り歩いていくには、”今はまだ誰も成果を出していない分野”で突出した価値を持つ必要があると思っていました。
例えば、ある程度SEOの基盤はできていたものの、まだそこまで知見のあるメンバーが少なかったため、さらに「SEOツールの活用」や「構造化データ」など、ウェブマスター向けの専門知識を誰よりも収集し、「SEOといえばマツマエ」と思ってもらえるように努めていました。
これは、”社内で競争に勝つ”ということではなく、すでに他のメンバーができることを自分ができるようになってもプラスになる量が少ないので、伸びしろのある「まだ誰もできないこと」を追求して組織の底上げをするという意味です。
Webの最新情報を取りにいくこと自体が楽しく、継続してこれたことも長く続けられている理由と思います。インターネット上の情報は陳腐化する速度が速く、”半年前の情報がもう古い”ということもしばしばです。
業界自体が常に進化が続いているということでもあるので、好奇心の塊(笑)の自分にとっては最先端をキャッチアップすることがすごく性に合っていたし、その情報をアウトプットする機会が常にある環境との好循環が完全にハマっていました。
- 最後に、今後クーリエで達成したいと考えていることを聞かせてください。
組織においての仕事とは、「自分の代わりになる人を見つけること」と思っています。
そうすることで、自分は新しい仕事にチャレンジできますし、仕事を任された人は新しい経験をできるので、みんなにメリットがあるんです。
当然、組織としての力も底上げされていき、現場レベルでのサービス改善が精度が上がり、しかもより早く進む、という好循環が生まれます。
僕も入社した当初はまったくイメージしていなかったポジションを担って、大げさではなく人生が変わりました。
順風満帆に見えるかもしれませんが、思ったように結果を出せない日々もあって自分の至らなさに悩むことも多々ありましたが、逃げずに向き合い継続してきてよかったと思います。
そのおかげで機会を得られたことも多かったと感じますし、多くの失敗も許容してもらえました(笑)。まだまだ成長途上にあるサービスなのでいくらでもチャンスはあると思っています。
とはいえ、いきなり自分で掴み行けと言ってもなかなか難しいので、業務ごとの目的やコンテキストを自分の解釈を通して丁寧にメッセージし、「仕事って面白い、もっと色々なことを知りたい」と感じる人を増やしていくことに心血を注いでいくつもりです。
そんな気持ちで仕事を進める人だけで構成された組織はとんでもないスピードで多くのことを成し遂げられますし、未だ見ぬサービスを生み出して世の中をもっと面白くできると思うんです。