“営業”とひと言でいっても、BtoBとBtoCに分類されるだけでなく、取り扱う商材などによってそれぞれの特色があり、いくつものキャリア展開があります。今回は、紅茶の輸入会社を立ち上げBtoC営業を経験した後、リクルートでBtoB営業に邁進してきた萩原直樹に、今後のキャリア展開を考える営業経験者へのアドバイスを聞いてみました。
事業を動かすBtoB、人と繋がるBtoC
――まず、BtoB営業という仕事の特徴や面白さを教えてください。
BtoBの特徴は、単純に動かす金額が大きいので、事業を動かしている感じがあるというのが大きいでしょうね。僕自身、前職のリクルート関連企業では大企業の採用設計をしていて、5万5000人の応募者から40人を採用するというプロジェクトに関わっていました。
やはりダイナミックなので、数字を動かしているという点ではすごく楽しかったですね。
けど、その応募者たちに実際に会うことはないんですよ。だから、構造的に動かしているのは自分なのに、その先にいる人達の体温を感じられない。採用された人たちが果たして幸せなのかはわからない。という無機質感はありました。
――対して、BtoC営業はいかがですか?
BtoCは現場ベースのビジネスなので、お客様とのやりとりにおいて個人のキャラクターや話し方で大きく成果が変わるというのが面白さであり、特徴と言えると思います。人と人の繋がりが直接仕事に繋がるんですよ。
僕はリクルートの前に紅茶の輸入販売をしていたんですけど、目の前で商品を提供していたので、直接お客様の反応が見られて、手応えややりがいを感じられました。その一方で、扱う金額が小さいので、社会的貢献や意義を感じるには限界を感じましたね。
まず経験値を積み上げる。そうすることで見えてくるBtoB営業のキャリアルート
――萩原さんは、特にリクルートでBtoB営業を極められましたけど、BtoB営業のキャリアルートはどのようなものがあると思いますか?
まず言えるのが、30歳くらいまでにある程度成果を出していないと、経験値に限界が出るということ。特にBtoBは全体概要を把握する能力が求められます。例えば、人材ビジネスの場合はこれだけの人を採用できたからOKではなく、さらに採用した人が売上も達成しないと自社からもクライアントからも評価されないとか。けど、ある程度の数や規模感を経験していないとその能力は身に付かないんです。
きちんと実績を積み重ねて経験値も十分にある人が最終的に目指すのは、商社系が多いと思います。商材やマーケットの規模をベースに考えて、ビッグビジネスに入っていくんですね。その手前として、ひとまず専門的な業界や輸入などの仕事に進んで、さらに経験を積んで扱える規模を大きくして年収を上げていくというパターンもあります。
僕のように経営コンサルタントを目指すのはニッチですね。しかも歯科専門っていう(笑)。
――そうなんですね(笑)。では、経営コンサルタントという仕事はBtoB営業出身者に向いていると思いますか?
正直、向き不向きはあるかなと思います。僕自身はこっちに進んでよかったと思っているけど。経営コンサルタントって、本当に何でもやるんですよ。その分野の専門家ほど深くはないけど、ある程度のレベルでそれぞれの分野の仕事をできないといけない。当然そのための勉強をする必要もあります。
それに、考える力がないとかなり厳しい。この商材を売ればいい、このゴールを目指せばいいなど誰かが決めてくれることはないんです。自分の頭でクライアントの幸せや成果を考える必要がある。なので、指示待ちタイプの人は何をやればいいのかわからなくて困惑するでしょうね。
じゃあこの仕事の面白さは何なのかと言うと、成果を出せれば決裁権が無限に広がるところ。例えば、その医院の壁紙をどんなものにするか、外装はどうするか、どういうプロモーションをするかなども、僕たちコンサルタントが中心になって決めることもあるんですよ。上司に逐一報告し、承認を得ながら進めるのではなく、院長に「これでどうですか?」と提案して決めていくんです。そういうのも全部ひっくるめて楽しめるようなタイプの人には本当におすすめの仕事です。
もう1つ上のレイヤーに上がって、成果が目に見える仕事がしたい
――萩原さんにはリクルート関連企業で上を目指したり、商社に行くなど様々な選択肢があったと思うのですが、なぜ経営コンサルタントという方向でキャリア形成を考えたのでしょうか?
そもそも僕が転職を考えたきっかけに、親が倒れたということがありました。当時、ある程度の成果を残せていたかなと感じておりましたが、正直年収やポジションも含めて必要とされている感じを受けにくかったんです。そういうタイミングに、大事な人の生死に関わるような事態に直面し、「誰のために働いているんだろう」とふと思ってしまったんです。
仕事にある程度やりがいはあるけど、誰かに感謝されたり認められるわけでもない。自分には決裁権がないから、仕事における自由度も低い。
さっき、経営コンサルタントの仕事の面白さは決裁権が無限に広がることと話しましたけど、僕が経営コンサルタントになると考えた決め手はまさにこの「自由に考えて、それを形にできる」ことだったんです。人としてもう1つ上のレイヤーに上がるためには、経営にダイレクトに携わる必要があると思ったからなんです。その上で、成果が目に見える仕事がしたかったんですよね。
――前職は上場を控えたリクルート関連企業だったわけですけど、迷いはなかったんですか?
迷いはなかったというと嘘になるかもしれませんね。特に尊敬している先輩に引き止められたのはとてもつらかったです。「これから一部上場企業になる会社の役員になる道を蹴って、よくわからないコンサル会社に行くのか」って(笑)。
けど、行ってみて、仕事をやってみないからには何もわからない。本気のやりがいを求めてこの会社の門を叩いたんです。
うちの会社はそういう人間だらけですよ。渡邊は年収が半額以下になるのに、当時住んでいた福岡の家を売って、当社がある神奈川に家を買うという背水の陣でこの会社に来ました。山下は、当時大阪にいたから弊社への入社を断ったものの、もっとやりがいのある仕事がしたいという思いで結婚直前にこっちに来ました。
本当の実力を身に付け、自身の信念を元に突き進む
――起業から2度の転職を経験した萩原さんが考える、キャリア形成において大事なものは何ですか?
営業は、自分という無形商材の価値を上げ続けないといけないんです。つまり大事なのは、自分自身の実力を付けるということ。
大企業に勤めていてどれだけ売上を上げていたとしても、大企業という看板が外れた時に自分自身に力がないと、その先の選択肢が狭まるんです。リクルートで言うと、タウンワークやリクナビという圧倒的な商品力のおかげで売上を上げられていた人の場合、どこの会社でも成果を出せると思ったら大間違い。自分でビジネスを形にする能力や実力が伴っていなければ成果は出せません。残るのは同じように商品の強さがある大企業しか行く場所はないのです。
あともう1つ。周りの目を気にしないこと。次のステップに行こうと思った時、今持っている何かを手放さないといけません。それを周りは「もったいない」「やめておけ」などと言います。それらを振り切ってでも、自分が信じる道を進む覚悟と熱意が必要です。
――では、自分自身の実力を付けるためには何が必要だと思いますか?
学び、それを実践することです。
少し前に大学院に通っていたんですけど、その時に思ったのが、インプットすることはもちろん大事だけど、それをアウトプットするフィールドに行かないと、自己満足的な学びになってしまうということでした。だって、どんなにディスカッションしたところで、それは机上の空論でしかありませんから。インプットしたらアウトプットしなければいけない。
けど、アウトプットするフィールドに行くのにも消費期限があると僕は思っています。いつまでにインプットしてそのフィールドに行くかを35歳くらいまでに決めておかないと、気づいたら選択肢がない中でキャリアを積まざるを得ない未来になっているわけです。
そうならないために、たまには立ち止まって自分のキャリア形成について思案してみるのも1つの手ではないでしょうか。
一緒にいいキャリアを形成しましょう!
今営業を頑張っていて、これからのキャリアプランに悩んでいるという方、少しでも当社に興味をもってくださった方、一度お話ししませんか?会社のこと、あなたが目指していることをざっくばらんにお話しましょう!
経営戦略研究所 株式会社's job postings