創業からリブランディングへ——ゼロから再出発したプリマのものがたり
1999年。プリマは池袋の百貨店に、高級アーティフィシャルフラワーの専門店として誕生しました。
当時はまだ日本に根付いていなかった「お部屋に飾って楽しむ造花文化」を提案し、全国の百貨店を中心に約20店舗を展開。多くの人に「花のある暮らし」の魅力を届けてきました。
そして2020年。新しい経営者を迎え、世界的なパンデミックをきっかけに、プリマはすべての実店舗事業を卒業。法人向け提案とオンライン中心のブランドへと、大きなリブランディングに踏み出します。
その変革を先頭で引っ張ってきたのが、創業期から事業全体をけん引してきた営業部長・奧山さんと、店舗スタッフを経て、現在はブランドマネージャーとしてECや商品企画を担う加藤さん。
今回はお二人に、創業当時のことから現在のブランドのかたちに至るまで——
20年を超える歩みと、リスタートの舞台裏をたっぷりと語っていただきました。
▶︎ お二人のプロフィール紹介や他のインタビューも、ぜひ合わせてご覧ください!
目次
創業からリブランディングへ——ゼロから再出発したプリマのものがたり
Q1. プリマの始まり...教えてください。
Q2. どんなお店だったのでしょうか?
Q3. 大きな転換点になった「実店舗からEC」への移行。きっかけは?
Q4. ゼロからの再出発。「最も大変だったの事」教えてください。
Q5. それでも、続けようと思えた理由は?
Q6. あらためて、今のプリマをどう表現しますか?
Q7. 採用について、どんな方に来てほしいですか?
Q8. 最後に、これからのプリマに向けて一言!
次のステージへ向けて
Q1. プリマの始まり...教えてください。
奧山さん:
プリマの一号店ができたのは、1999年。池袋西武に、高級アーティフィシャルフラワーを扱う専門店をオープンしたのが始まりです。
実は、私はもともと生活用品の量販店向けの営業をしていて、“お花の事業” はまったくの未経験でした。
ところが、商品部に異動になり、ある日突然、造花の輸入担当に。
アメリカ市場のリサーチを任されたことがきっかけで、アーティフィシャルフラワーの可能性に強く惹かれるようになりました。
アメリカでは、日本よりも高級な造花が身近な存在で、そしておしゃれに使われていて。その感性にすっかり魅了されました。
加藤さん:
その頃、私は店舗スタッフとして入社しました。2〜3店舗目が立ち上がるタイミングでご縁があって。
ブランド自体がまだ黎明期だったので、「教わる」というより、「一緒につくっていく」感覚が強かったですね。
当時は地方店舗の店長をしていましたが、本社とも距離が近く、常に一緒の方向を向いて進めているのが楽しかったです。みんなで「ブランドを作る」を経験させてもらいました。
Q2. どんなお店だったのでしょうか?
奧山さん:
一言で言えば、“生花屋のような造花店”ですね。1本ずつ購入できるスタイルで、店頭にはフラワーデコレーターがいて、その場で花束やアレンジをオーダーできる。
お客様一人ひとりに向き合いながら、世界に一つだけのギフトを作っていました。
加藤さん:
毎月、季節のお花が入荷していて。クリスマス、お正月、母の日、桜…。造花なのに「旬」をすごく大事にしていたんです。
日本発のブランドだったからこそ、日本ならではの季節感や文化を反映したデザインが特徴的でした。
今の苔のフェイクグリーンや「カップボン(モダン盆栽)」の原型は、この頃の“和”を意識したデザインがルーツなんですよ。
当時、日本にあったアーティフィシャルフラワーの有名ブランドは、「made in Paris」などの欧米スタイルを謳ったものだったので、日本らしい季節の移ろいを感じさせる品揃えは、プリマらしさのひとつだったと思います。
Q3. 大きな転換点になった「実店舗からEC」への移行。きっかけは?
奧山さん:
大きな理由は、「プリマの強みが、裏返すと弱みにもなっていた」という点でした。
プリマは“対面で1点モノをつくるお店”という価値を大切にしていましたが、
それはスタッフの感性や技術に依存するビジネスでもありました。
個人のお客様に丁寧に向き合うスタイルは魅力である一方で、
生産性を上げることが難しく、オペレーションとしても限界が見え始めていたんです。
大量生産しづらく、品質の均一化も難しく、立地にも左右される。
そんな中でコロナ禍が訪れ、「この仕組みのままでは未来が描きにくい」と強く感じました。
加藤さん:
店舗にはお客様がご来店されなくなって、一部スタッフからは「出勤が怖い」という声も出て…。安全面はもちろん、売上の面でも厳しい状況が続きました。
一方で、ECサイトは家時間が増えたことで需要が一気に伸びて。アトリエはてんてこまいで、配送のダンボールが積み上がる日々でした。昼間はアレンジ制作と出荷。みんなが退社したあと、ECの仕事を夜遅くまでする日々でした。
それでも頑張れたのは「今、何に集中すべきか」がはっきりしたんですよね。
夜な夜な、奧山さんと今後の方向性について話し合ったことを覚えています。
奧山さん:
私自身、迷いもありましたが、社長とも何度も何度も話し合いを重ねました。
その中で、「集中と選択」をしていく必要性を強く感じるようになり、
大きな覚悟を持って、全店舗を閉じる決断に至りました。
そして、オンラインと法人向け事業に舵を切ることを決めたんです。
加藤さん:
振り返ると、あの時期に白井社長が経営者になったことは、プリマにとって大きな転機でしたよね。
あの決断がなかったら、今どうなっていたのか…ちょっと想像できないです。
迷いもある中で背中を押してくれたことで、一気に道がひらけました。
Q4. ゼロからの再出発。「最も大変だったの事」教えてください。
奧山さん:
…正直、全部です(笑)。
でも今思えば、その一つひとつが必要な経験でした。
一番記憶に残っているのは、全店舗を閉め、小さな倉庫に移転した翌日。出荷のダンボールがたった「1個」だったんです。「本当に大丈夫かな…」と、正直、不安になりました。その光景は今でも忘れられません。
でも、そこから少しずつ増えていき、今では置き場所に困るほどに。ありがたい悩みですね。
加藤さん:
私はリブランディング後の「グリーンカタログ」制作ですね。
それまで花が中心だったラインナップを、グリーンを主体にして、ゼロからの商品開発・撮影・編集・販売ページの制作まで…すべてが初めて尽くしでした。
だからこそ、完成したときの達成感は本当に大きかった。あの日、撮影した写真は、今見ても“最高”って思ってます。
全て0からのリスタート。反対するメンバーもいた中で、無謀と言われるほどの商品数をつくり、一緒に形にしてくれたチームには、本当に感謝しています。
Q5. それでも、続けようと思えた理由は?
奧山さん:
「やりきりたい」という気持ちが大きかったです。
自分が立ち上げた事業でもありますし、責任を果たしたい思いもありました。
そして何より、スタッフやお取引先の存在が大きかったですね。
「プリマを応援してるよ」と言ってくださる方がたくさんいて、どれだけ励まされたか分かりません。
加藤さん:
お客様からの声にも支えられました。閉店したお店のインスタに「どこで買えますか?」ってメッセージが届いたり、法人のお客様から「今度はこの施設も加藤さんにお願いしたい」ってお声がけいただいたり。
“なくなるには惜しいブランド”だと、誰かが思ってくれてる。
それが、何よりの希望でした。
Q6. あらためて、今のプリマをどう表現しますか?
加藤さん:
奧山さんとは、「だいぶ土台がしっかりしてきたよね!子供で言うと大学生くらい?」ってよく話してます。
あと少し!まさに成長過程にある会社ですね。かつて20店舗を運営した経験もあるけど、今はまた違う視点で、“新しい形”に挑戦している途中。
法人向けの提案も、ECでの展開も、すべてが今につながっているし、ここからさらに広げていける感覚があります。
奧山さん:
私も、ようやく「土台」ができてきたと思っています。
グリーン専門ブランドとして、プロダクトと空間提案のクオリティに自信が持てるようになってきましたし、社内の連携も少しずつ強まってきた。
これからは“組織づくり”も磨いていくフェーズ。プリマらしい空気感、スタッフの雰囲気、チームとしての魅力——そういう“中身”も、丁寧に育てていきたいですね。
Q7. 採用について、どんな方に来てほしいですか?
加藤さん:
お客様とのやりとりが好きな方。あとは、「これって、どうしたらもっとよくなるだろう?」と考えることが好きな方。
小さな組織だからこそ、自分の意見がすぐに反映されるし、提案がそのまま形になる場面も多いです。「指示を待つ」よりも、失敗しても「自分から動きたい」タイプの方には、とても合うと思います。
奧山さん:
経験やスキルより、「まずやってみよう」という気持ちがある方。
私自身、花の名前も分からないところからのスタートでしたし(笑)。
信頼できる仲間と一緒に小さな一歩を積み重ねて、気づいたら道ができていた——
それがプリマらしさであり、一番の財産です。
Q8. 最後に、これからのプリマに向けて一言!
奧山さん:
次のステージでは「仲間を増やすこと」に力を入れていきたいと思っています。
グリーンが持つ力を、もっと多くの人に届けるためには、いろんな視点や感性を持った人たちの力が必要です。新しい仲間と一緒に未来をつくっていけることを、心から楽しみにしています。
加藤さん:
私は「ブランディングをちゃんと育てていきたい」ですね。プロダクトのクオリティはある。空間提案の実績もある。じゃあそれを、どう伝えていくか? どう知ってもらうか?
そのために必要なのは、言葉であり、写真であり、人の声。これから関わってくれるスタッフと一緒に、“プリマらしさ”を育てていけたら嬉しいです。
都内に今よりも大きなショールームも夢見ています!有言実行。たくさん言葉にして、実現に向かいたいたいと思います。
次のステージへ向けて
創業当時から変わらず、プリマが大切にしてきたのは
「花と緑を通じて、心を動かす価値を届けること」
業態の転換、ブランドの再定義、営業の再構築——
一つひとつの挑戦を重ねながら、ただ事業を続けるのではなく、より良い形を模索し続けてきました。
そんな中で今、私たちが目指しているのは「会社という組織の土台を、もう一段階強くしていくこと」です。
柔軟で風通しのよいチームを保ちながら、
これまでにないアイデアや才能を取り入れ、
より多くのお客様に、より高い価値を届けていく。
今回のインタビューで語られたことは、その未来に向けた「これまで」と「これから」のほんの一部です。
この想いに共感してくださる方、ぜひ一緒に新しいプリマをつくっていきませんか?