食品産業のDXをすすめる株式会社for Crafts、シードラウンドで資金調達を実施。"産業BizDev"の採用を開始
株式会社for Craftsのプレスリリース(2024年3月28日 10時00分)食品産業のDXをすすめる株式会社for Crafts、シードラウンドで資金調達を実施。"産業BizDev"の採用を開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000103535.html
兵庫県・神戸市に拠点を構える株式会社for Craftsが、国内33兆円規模の国内食品産業に静かな革命を起こそうとしている。「和製GAFA」を目指すというこの若いスタートアップは、一体何者なのか。
for Craftsは、2022年4月に代表取締役・岩本 拓真 氏が、大学時代に修行をしていた商社の一角で創業した、食品領域の負を解決することに特化したスタートアップだ。2024年3月、サイバーエージェント・キャピタルやデジタルHD創業者の鉢嶺登氏を引受先とする資金調達を実施し、レガシー産業×DXを掲げる方々から期待を寄せられているうちの一社だ。
関西学院大学在学中から食の領域に興味を持った同氏は、農業研修生、青果卸、食品の専門商社で広く現場経験を積むなかで、食品業界の構造的な問題に直面し続けてきた。
「食品は儲からない。100円のパンを売っても手残りは2円だけ。構造的に平均給与も低く、いい人材が集まらない。そのために、イノベーションも起きづらい環境になっています。」
岩本自身はこう語る。「業界の負を現場の方々とともに解決したい」——その強い想いが、創業への原動力となった。
for Craftsが展開する事業は、大きく分けて2つの軸で構成されている。
まず注目すべきは、開発したい商品に最適なOEM製造委託先をAI提案し、すぐに製造ができるサービス「CRFT(クラフツ)」だ。
これまでの食品業界では、新商品を開発したいブランドが製造委託先を見つけるのに膨大な時間と労力を要していた。複雑なサプライチェーンの中で、技術力、生産能力、コストなど多岐にわたる条件を満たす最適なパートナーを見つけることは、まさに"針の穴を通す"ような作業だった。ただ一方で、馴染みの工場があったり、知人の紹介伝で製造ラインに差し込んでもらうなど「よしなな」取引が続いているのが現状だ。
CRFTは、こうした課題をAI技術で解決する。開発したい商品の特徴や要求仕様を入力するだけで、膨大なデータベースの中から最適なOEM製造委託先を瞬時に提案。従来は数週間から数カ月かかっていたパートナー探しを、大幅に短縮できる仕組みだ。既に国内大手企業からの引き合いもあり、国内・海外の食品工場との連携強化をすすめている。
もう一つの柱が、商品開発人材による伴走支援サービスだ。食領域に参入する企業の課題やニーズに合わせて最適な人材でプロジェクトチームを編成し、アドバイザリーのみではなくハンズオンの伴走支援を実施している。初回は相談無料というハードルの低さも特徴的だ。
「単なるコンサルティングではなく、実際に手を動かして一緒に汗をかく」——そんなスタンスで、食品ブランドの商品開発を自社専属のプロフェッショナルが支援している。プロフェッショナルには、業界経験が長く、特に商品企画・開発、マーケティング、品質管理に携わり大手流通と取引を重ねてきた方々が連なる。
「この数年のトレンドで、アパレルやインテリア業界の企業が自社のポジションを「ライフスタイル」ブランドだと領域を拡張する流れを多く目にしてきました。食品は、消費者にとって試しやすく、買い続けやすいもの。ブランドに対して愛着を持っていただきやすい、一つのフックにもなるんです。」
「この事業をすすめているなかで嬉しかったことは、とあるプロフェッショナルの方から"学び続けたい私にぴったりです"という言葉をいただいたことでした。自身のノウハウを広く役に立たせたいという気持ちからご参画いただくことは勿論、自身が他の方から学びを得られることに価値を感じて参画される方もいらっしゃることに胸が熱くなりました。」
また同社としては、現在AGENT事業をすすめているなかで培ってきた業界横断的な開発ノウハウをもとに、 社内の商品開発人材を育成する研修事業も行なっている。
2025年7月には、兵庫県の支援先スタートアップの一社として採択、また農林水産省の実証事業にも採択された。国レベルで同社の技術力と業界への影響力が期待されているといえる。
for Craftsが掲げる「食品産業DX」は、単なるIT化ではない。プロダクト開発、DX推進支援、商品開発、ソフトウェアによる業務効率化の3つを統合した包括的な事業構築を目指している。人口減少が進む日本において、持続可能な食産業の実現への貢献が期待されている。
「これから人手不足を端緒とする課題がより顕在化していくなかで、それら外圧からIT・AIを活用していく流れは必然です。決して派手ではなくIT化が遅れている業界だからこそ、私たちは現場の人たちが本当に必要としているサービスを作りたい」——岩本代表のこの言葉に、for Craftsの本質が凝縮されている。
多くのテック企業が理想論で業界変革を語る中、for Craftsは泥臭い現場経験に基づいた実用的なソリューション開発にこだわる。食品業界で実際に汗をかいた経験があるからこそ、現場の人たちが本当に困っていることが分かる。そして、それを解決するサービスが生まれる。
for Craftsの野心は、食品業界のDXにとどまらない。
「医療といえばエムスリー社、食品といえばfor Craftsというような旗印になりたいんです。わかりやすい記号ではありますが、それくらいこの産業に魅力を感じていますし、市場に向き合っている僕たちならなれると思っています。」
「和製GAFA」という目標は、日本発のテクノロジー企業として世界に影響力を持つプラットフォーマーになることを意味している。33兆円という巨大市場を持つ日本の食品産業。ここで培った技術とノウハウを基に、アジア、そして世界へと展開していく——それがfor Craftsの描く未来図だ。
現場経験に基づいたリアルなソリューション、強力な投資家陣営、県・政府機関からの支援、そして若きリーダーシップ。これらの要素が組み合わさることで、真の意味での「和製GAFA」への道筋が見えてくる。
食品業界という、一見地味に見える市場から生まれる次なるユニコーンの誕生に、業界内外の注目が集まっている。