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製造業のDXを実現するO2の「デジタル化実装」と「新規事業創出」とは?

「日本の製造業の発展を手助けする仕事がしたい。そんな思いから、株式会社O2(以下、O2)への転職を決めました」

こう語るのは、O2でCTOを務める青木 孝綱。青木は前職時代、大手精密機器メーカーのキヤノン株式会社(以下、キヤノン)でエンジニアとして働いていました。しかし、ある出来事をきっかけに日本の製造業の未来に危機感を覚え、その状況を改善できるような仕事をすることを決意したのです。

「事業会社のなかで自分の高いスキルを十分に活かせていないエンジニアにとって、O2のようなコンサルティングファームで働くのは有力な選択肢」と青木は語ります。なぜ、優秀なエンジニアが活躍できる環境が、O2にはあるのでしょうか?

今回は青木がO2を選んだ理由や、O2のコンサルティングの特徴について聞きました。

日本の製造業の発展を手助けする仕事がしたい

――青木さんのCTOとしての役割を教えてください。

O2は製造業のコンサルティングを行う企業なのですが、クライアントの経営戦略を考えるだけではなく、課題を早期解決するためにデジタルソリューションも活用しています。

クライアントが抱える技術的な課題に対して「私たちが手を出したり、伴走したりしますから、こういったデジタルソリューションを使いながら課題を解決しませんか」とご提案をするのです。どのようなソリューションを開発するのか、各クライアントへ何のソリューションを提供するのかなどの取りまとめを行うのが、私の役割です。

――前職での業務内容について教えてください。

キヤノンの記録技術研究所で、主にインクジェットプリンターの研究に従事していました。例を挙げますと、インクジェットプリンターのヘッドに関連する新技術を開発して事業部に持ち込み、最終的に製品としてリリースするといった業務を担っていたのです。プリンターのヘッドは、時間の経過に伴って蒸発などによりインクの状態が変化していきます。それを前提に設計するため、高度な技術が必要とされましたね。

――前職でもやりがいのある仕事をされていたと思いますが、転職を考えたきっかけについてお聞かせください。

転職する少し前に、懇意にさせていただいていた協力会社さま2社が、立て続けに事業を終了されました。私から見ても技術力のある会社でしたから、そういった会社が生き残れないということは、日本の製造業が持つ経済的な力が弱くなっているのではないかという危機感を覚えました。

それをきっかけに、日本の製造業の発展を手助けする仕事に従事したいと思うようになったのです。転職先の企業としてさまざまな選択肢がありましたが、なるべく多くの製造業の事業者を支援したいという思いから、コンサルティングファームへの転職を目指すようになりました。


――数あるコンサルティングファームのなかで、O2を選んだ理由を教えてください。

転職活動中に転職エージェントに登録しました。面談に行ってみると、なんと中学・高校時代の友人が働いていたのです。「待っていたぞ」と声をかけられて驚きました(笑)。転職の理由を話したところ「青木にはO2というファームが合っているのではないか」と言われ、初めてO2のことを知りました。企業のことを調査したり、O2の社員と面談をしたりするなかで、企業のビジョンが自分の目指すこととマッチしていると感じましたね。

――どのような点が青木さんの目指すこととマッチしていましたか?

大企業だけではなく、中小企業や地方の技術力の高い会社のコンサルティングにも力を入れている点でしょうか。

日本の製造業の中小企業はいくつもの課題を抱えています。たとえば、多くの企業は発注元から納期の短縮やコストカットを求められており、技術革新を起こすための体力がなく疲弊しています。

また、製造業を救うために国が実施する各種政策では、経営努力をしている企業もそうでない企業にも同じようにお金が配られるため、本来サポートすべき企業への配分が少なくなってしまうのです。これでは将来有望な中小企業を支えることはできません。

日本企業のうち99%以上は中小企業であり、そういった会社が成長しなければ日本の製造業は伸びていきません。O2の事業内容に強く共感し、転職を決めました。

O2のコンサルティングの軸、「デジタル化実装」と「新規事業創出」とは

――O2のコンサルティングでは、AIやIoTなどの技術を取り入れた「設計・生産のデジタル化実装」と既存技術の応用を通じた「新規事業創出・新製品/サービス開発」を中心に支援していると伺いました。それぞれ、どのようなものでしょうか?

デジタル化実装とは、ベテランのエンジニアが持っている暗黙知(=経験や勘、直感などに基づく知識)を目に見える形にしてデジタル化することで、誰でも使えるような状態へと落とし込む手法を指します。大きく分けて、設計の考え方をドキュメントなどに残すパターンと、デジタルツールに落とし込んで活用していただくパターンがあります。

――なぜデジタル化実装の必要があるのでしょうか?

製造業の現場では、せっかくのノウハウを継承できないままベテランの方々が退職し、技術が失われるケースが増えています。製造業のコアとなる技術が後世に引き継がれないのは、企業にとって大きな損失です。デジタル化実装により、ベテランのノウハウを他のメンバーへ確実に伝えることを目指しています。

――デジタル化実装の具体的な事例についてお聞かせください。

デジタル化実装については、O2のグループ会社であるIBUKIの事例がわかりやすいと思います。IBUKIは、プラスチックを型へ押し流してプラスチック製品をつくる、射出成形という製法で用いられる金型を製造している会社です。金型は金属のブロックから削り出してつくるのですが、装置を操作するエンジニアのスキルによって仕上がりのクオリティに大きな差が出ます。この職人の技術をO2ではデジタル化実装しました。


ベテランのエンジニアにヒアリングしたところ、刃先や機械の振動に応じて操作方法を変えるのが重要とのことでした。しかし、刃先の振動は速すぎて目で確認するのは難しいですし、機械の振動も装置のどこかを触ると違いがわかるといった肌感覚の世界で、他の人々に伝えることは容易ではありません。

そういった職人の感覚を、工具の振れを感知するセンサーや機械の特定箇所の振動周波数を捉えるセンサーを導入することで可視化していきました。こうして取得したデータと、ベテランから「こんな現象が起こったら○○をするといい」と説明してもらった言葉との関係性を把握し、さらに実際に表れている事象をツールを使って分析します。

これらの情報をかけ合せて因果関係を把握することで、射出成形の経験が少ない人でも振動波形を見て「周波数が変わったから、装置をこう操作しよう」と判断できるようになりました。ベテランの持っていた肌感覚を、デジタルで表現したのです。

――もうひとつの軸である新規事業創出についてもお聞かせください。

製造業の方々が持っている優れた技術とユーザーのニーズとを突き合わせながら、どんな領域で新しい事業ができるのかをクライアントと一緒に考えるのが新規事業創出です。

今はモノがあふれている時代ですから、ユーザーの表面的なニーズはすでに満たされています。加えて、人々の生活スタイルの多様化や社会の変化速度の高速化などにより、潜在的なニーズを掴むことも容易ではありません。

そのため、新しい事業や製品の開発は成果が出るかが不明瞭であり、多くの事業者はそういった業務に取り組むよりも、確実に利益の出る既存事業を優先します。しかし、会社の将来を考えると新規事業創出はとても重要な仕事です。そこで、私たちが知見を活かして支援を行います。

――新規事業創出の具体的な事例についてお聞かせください。

こちらもIBUKIの事例についてご説明します。IBUKIは射出成形で使う金型を製造するBtoBの企業ですが、より事業の幅を広げていくため何かしらBtoCの事業を始めたいと考えていました。私たちはIBUKIと一緒に、IBUKIが得意とするプラスチック製品の表面に微細な加工を出せる金型づくりに着目し、新しい製品を生み出そうと構想したのです。

すると、あるメンバーがリゾート地で高級なシャンパンを頼んだ際に、味気ないプラスチックのカップが出てきてがっかりした話をしてくれました。プールサイドで飲みものが提供される際には、割れると危ないためガラスではなくプラスチックのカップが用いられます。ですが、ただのプラスチックのカップでは、せっかくの高級感が損なわれてしまいますよね。

そこで、IBUKIの金型を使えば、高級感があって美しく、かつ安全に使えるプラスチックグラスを生み出せるのではないかと考えたのです。リサーチを重ねながら、見た目が綺麗なだけではなく、より飲みものが美味しく味わえるような、うすはりのグラスを開発しました。ガラス製のうすはりグラスと変わらない質感と薄さが特徴で、高級ホテルなどにもご導入いただいております。

プラスチック製品のための金型を製造する技術と、プールサイドでも高級感のあるグラスを使いたいというユーザーの潜在的なニーズをうまく結びつけることで、新発想のプラスチック製グラスが誕生したのです。


こうして誕生したのが、こちらのグラス。画像は https://ibuki-glass.com/ より引用。

O2はスキルの高いエンジニアが力を発揮できる場所

――どんなときに、エンジニアとして培ってきたスキルが有効活用できていると感じますか?

製造業のコンサルティングは、工学やITなどの知見、ものづくりへの理解、コミュニケーション力といった総合力が求められる仕事です。いずれもエンジニア経験で磨かれる力ですから、培ったスキルが活きる場面は非常に多いと感じています。

順にご解説しますと、O2の業務でコンサルティングを行ううえでは、工学やITなどの観点から各種の事象を分析するスキルがあらゆる場面で役立ちます。私がもともと携わっていたのはインクジェットプリンターの研究ですが、たとえ他の種類のプロダクトを扱う場合でも、ベースとなる知識は変わりません。前職時代に培ったスキルを有効応用できます。

コンサルティングを進めていく過程では「ものづくりに携わる人々がどんな課題を抱えているか」「どう改善すれば現場で働く人々の役に立つか」を念頭に置いたうえで、各種のご提案を行う必要があります。これは、ものづくりへの理解がなければ難しいですよね。

業務のなかでは現場の方々からヒアリングする機会が多いため、この際にコミュニケーション能力が要求されます。メーカーでエンジニアとして働いていると、社内のさまざまな部門のメンバーや社外の協力会社など、多種多様な人々と意思疎通を行う必要がありますよね。エンジニアはそういった経験を通して、コミュニケーション力が磨かれているはずです。

あとは、これまで以上に相手の気持ちに立って働くという意識を持てば、コンサルタントとして活躍しやすいのではないかといます。

――O2での経験を通して、どのようなスキルが身についたか教えてください。

ひとつは恐怖心を取り去るマインドを身につけられたこと。もうひとつは多種多様な技術に対してアンテナを張る力を養えたことです。

O2ではさまざまな製造業の事業者をご支援しますから、自分の不慣れな領域を取り扱う際、最初のころは「うまくご提案できるだろうか」という恐怖心がありました。しかし、気持ちを切り替えて「どんなご提案をすればクライアントのためになるか」だけにフォーカスすることで、恐怖心を取り去って適切なご支援ができるようになったのです。

また、さまざまなクライアントを担当するからこそ、多種多様な技術に対してアンテナを張る力を養えました。先ほど述べた新規事業創出の話ともつながるのですが、幅広い知識を持つことにより、新しい発想が生まれてくることも多いですね。


――高いスキルを持つエンジニアが、O2で働く意義についてお聞かせください。

ひとつの事業会社で働いていると、スキルが高いからこそ「物足りない」「せっかくできることがあるのに自分のスキルを活かせない」と感じることがあるはずです。より自分のスキルを活かして他の人たちを支援したいと思うのであれば、事業会社を出て当社のようなコンサルティングファームで働くのも、選択肢として有力なのではないでしょうか。

事業会社を出るのは勇気がいることだと思いますが、その外には大きな世界が広がっていますし、そこでしか得られないスキルや経験もあります。私自身、前職時代よりもO2で働く現在の方が視野が広くなったという実感があります。これまでの枠組みにとどまらない仕事に従事でき、そして日本の製造業に貢献できるという点で、O2で働くことはエンジニアにとって大きな意義があると思います。

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