熟練の生産計画ノウハウを活かすDXで、持続可能な生産体制の構築を目指す
国内製造業のDXを支援するスカイディスクは、配線器具、車載機器、情報通信機器等を開発・製造する旭電器工業株式会社(以下、旭電器工業)の本社工場(三重県津市白塚町)において、生産計画の業務負荷改善・属人化解消のために製造業向けAI×SaaS生産スケジューラ「最適ワークス」の導入を開始したことをお知らせします。
旭電器工業は今回の導入によって、製造における諸条件を考慮して作成していた生産計画の業務負荷を軽減するとともに、作業標準化により属人化リスクを解消します。
製造業において生産計画とは「何を、いつまでに、どれくらいの量を生産するのか」に関する計画のことを指し、納期などの諸条件を満たすように計画を立てる必要があります。
「最適ワークス」は、あらかじめ設定した条件を加味して、AIが生産計画を立案するAI×SaaS 生産スケジューラです。直感的な操作で設定条件の変更や修正ができるため、属人化しやすい計画立案業務の効率化、最適な生産計画による生産性向上を実現します。
■導入の背景と期待する効果
旭電器工業では、パナソニックとの取引を中心に配線器具・制御機器製造メーカーとして、住宅用配線器具、制御機器、情報通信機器、防災機器、車載機器など多彩な製品を手掛けています。
多岐にわたる製品群は、それぞれに特有の工程や製造条件が存在します。従来、そのような諸条件を満たす生産計画を立案する業務自体が非常に複雑化しており、毎月8時間以上の時間を要していました。また、計画立案業務を担っている特定の担当者にとって、大きな業務負担となる一方で、業務が属人的であることに課題感を持っていました。
こうした背景から、スカイディスクが「最適ワークス」を提案し、2022年9月より、一部の組立・加工工程から導入を開始しました。
「最適ワークス」は、特有の製造条件をデータとして設定しておくことで、担当者に代わって条件を考慮した生産計画を立案します。シンプルな操作性により、計画修正、再立案の操作が容易に可能となります。
旭電器工業は「最適ワークス」の活用により、複雑化した生産計画立案の負荷を低減しながら、生産性を最大化します。また、属人化解消により、安定的かつ効率的に生産計画を立案できる体制の構築を目指します。
■持続可能な生産体制の構築を目指す
旭電器工業は「技術・技能で新たな挑戦」のスローガンのもと、オリジナリティな商品の設計開発や金型・設備の開発に取り組んでいます。なかでも、塗装などの2次加飾なしで、きれいな樹脂部品を造る原着成形加工のオリジナル技術を通じて、サスティナビリティへ貢献しています。また、市場の多様なニーズに対応するため、企画開発から、生産技術、設計、製造、品質保証、出荷までの生産一貫体制を構築しています。
そんな中、製造と出荷の間に位置する「生産計画」は、非常に重要な役割を担います。最適な生産計画の立案は、製造効率を向上することに加え、製品の安定供給、在庫の適正化、適切な人員配置など、さまざまな波及効果が期待されます。
一方で、生産計画の業務は、必要なドメイン知識や技量が多く、属人化しがちです。まずは、現場への作業指示のための計画業務の一部を「最適ワークス」に置き換え、特定の担当者にしかできない属人化リスクを解消し、持続可能な生産体制の構築を目指します。
■生産計画へのツール導入の課題
製造業では近年、多品種少量の潮流により生産計画が複雑化しています。製造過程では製品ごとに異なる製造条件により、人間の頭では考慮しきれない多くの条件を考慮して生産計画を立案する重要性が増しています。
しかし、スカイディスクが製造業従事者350名以上を対象に実施した「生産計画へのツール導入に関するアンケート」によると(※1)、実に80%以上が「未導入」「検討中」「過去に検討したが諦めた」と回答しており、本分野でのデジタルツール活用が進んでいない現状があります。また、ツールを既に導入した企業でも、その90%以上が「運用に課題がある」と回答しています。
導入が進まない要因のひとつに、要件定義の難しさがあります。生産計画立案業務にツールを導入する際には、製造条件をシステムに設定する必要があります。しかし、実際の製造工程や製造条件を、すべて明確に定義してシステムに設定することは、非常に難易度の高い業務です。
「最適ワークス」では、設定変更を簡単にする部分にAI技術を活用しています。計画担当者がアウトプットを見て初めて気付くような、長年のノウハウ(暗黙知)が製造現場にある前提で開発されており、改善の過程で言語化されたノウハウを追加設定していくことで正確な要件定義に到達します。スカイディスクでは、最適ワークスで高速でPDCAを回して理想の生産計画立案に辿り着く、スモールスタートでのツール導入を推進しています。
■AI生産スケジューラ 最適ワークス
最適ワークスは株式会社スカイディスクが開発・提供する、製造業向けAI×SaaS生産スケジューラ(生産計画自動立案システム)です。「いつまでに、何個、どの製品を」というオーダー情報から、AIが設備稼働・人員配置の割付け計画を瞬時に立案します。
独自開発エンジンにより、マスター設定にかかる手間を劇的に改善。製造業各社がスモールスタートできるサービスを実現しました(月額5万円〜)。
製品サイト:https://saiteki.works/
2021年10月 有償パイロット版 提供開始 ※順次
2022年4月 正式版 提供開始
■旭電器工業株式会社 会社概要
会社名:旭電器工業株式会社
代表者:代表取締役 橋本幸司
設立:1949年7月
事業内容: 配線器具、情報通信機器、防災機器、制御機器等の企画・設計開発・製造
従業員数: 641名
会社サイト: https://asahidenki.biz/
■株式会社スカイディスク 会社概要
2013年の創業以来、製造業を中心に150社を超えるお客様と350以上のプロジェクトに取り組んできました。そこで得た知見・ノウハウをサービス・プロダクトとして世の中に還元することが私たちの使命だと考えています。「ものづくりに関わる人の力をTechnologyでBoostする」をミッションに、誰かの仕事を奪うのではなく、そこで働く一人一人の力をBoost(拡張)させるため、AIを活用したDX支援にチャレンジしていきます。
本社所在地:福岡県福岡市中央区舞鶴2-3-6 赤坂プライムビル4F
代表者:内村 安里(代表取締役社長 兼 CEO)
設立:2013年10月1日
事業内容:AIを活用したDX支援
会社サイト:https://skydisc.jp/
※1 生産計画へのツール導入に関するアンケート…製造業従事者 352名を対象に実施(期間:2021年10月〜2022年6月)。生産スケジューラの導入状況について、導入前(未導入・未検討:35.2%、導入検討中:27.6%)が6割超。導入の前後で課題にぶつかった企業(未導入・過去に検討したことがあるが諦めた:18.5%、導入済・運用に課題がある:17.3%)が約4割を占めました。「導入済・運用もうまくいっている」と回答したのは僅か1.4%に留まりました。
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