都農町が官民共創でデジタル化推進、タブレット配布、ポータルサイト開設双方向型のポータルサイト「都農ページ」を開設
都農町のプレスリリース(2021年4月6日 14時00分)都農町が官民共創でデジタル化推進、タブレット配布、ポータルサイト開設双方向型のポータルサイト「都農ページ」を開設
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000060969.html
「地方で働くって都心と比べてどんな感じなんですか?」
「地方で生き残るためにどんなスキルが必要でしょう?」
インターンの大学生とかによく聞かれます。
たしかに、イメージはわきにくいですよね。
地方といってもピンキリ、福岡と都農町ではまったく別物。
「東京と福岡」より「福岡と都農町」の方が差はデカい。
ぼくもそうでしたが、東京の仕事のやり方、地方に持ち込んでもまずうまくはいきません。
いろいろ理由はあるのでしょうが、ぼくなりに感じているのは
都心は需要は多いけど競合が多い
→生き残るために必要なのは「競争に勝つ力」
地方は需要は少ないが競合はない
→生き残るために必要なのは「需要を創る力」
ぼくは20年以上、都心で「競争に勝つ」ための仕事をしてきました。
いつも緊張感と勝負してる感じでそれはそれで楽しくやりがいもありました。
でも、個人的には地方が楽しく性に合ってるなぁと実感。
「需要を創る」ってこじあける仕事だから。
そういう人にとって、地方はブルーオーシャンと感じるかもしれない。
ただ、市場がないって、ほんとにきついですけどねw
「需要を創る」といっても、エジソン的イノベーションだ、起業だって意味合いより、日本中にあっても、その地方においては初めてのモノ、コトを創り出す意味合いのほうが強いです。
以下に、実際に自分が体験したことをまとめてみました。
都農町に移住して2週間で新型コロナの緊急事態宣言。
やろうと思ってたまちづくりプロジェクトはすべて休止でプチ失業状態。
そんなとき、町の生産者たちの販路がなくなり、オンライン産直のポケットマルシェを紹介したのですが、そもそもZOOM使えないなどの問題露呈。
ひょんなことからデジタル施策を提案することに。
デジタルの専門家でもなんでもないぼくらが、高齢者へのタブレット配布や若者によるデジタル講習、ホームページのリニューアルなど4つの施策をサクっとまとめて議会に提言したところ、1.7億の予算がついたのが6月でした。
町内でデジタルに精通する事業者がいないこともあり、つの未来財団を推進母体に、ぼくらがデジタル推進の企画役に。
結果、グッドデザイン賞のベスト100にも選ばれたり。
最初の2年間はデジタルの需要を創り出し、もっぱらデジタル業務を。
これが、ぼくが最初に実感した地方での「需要を創る」でした。
ぼくら発のゼロから企画ではなく、前町長曰く、
以前からデジタル化はずっと懸案でやろうと思ってたけど、企画提案してくれる人がいなかった。
このあたりに、数少ないチャンスはあるのかなと。
0→1(ゼロイチ)というよりは0.5→1ぐらいの感じです。
ちなみに、この時の流れで町の公式ホームページ「都農ページ」の運用と、ぼくらが立ち上げた町の公式You Tube「つのTV」の企画・制作もしていたのですが、はじめての更新時期になり、よもやのプロポーザルに。
You Tubeになると、過疎地でも競争するプレイヤーは出てきます。
なんと7社の応募!ぼくらは見事に。。。。落選。
需要が創られ、市場ができた結果、ぼくらが「競争に弱い」ことを再認識した顛末でした。
都農町で一番やりたかったことが町内唯一の中学校と一緒にまちづくりをしていくこと。
移住した年度で唯一の高校が廃校となり、残すは都農中学校のみという状況だったので、町長や教育長へ直談判しました。
都農中学校では、地方の町村ではよくあるように、教員不足で独自のカリキュラムをつくる余裕もなく、総合学習を民間に委託する選択肢もまったくイメージしてなかったようでした。
企画提案を重ねていくうちに、中学校側で授業時間を調整、各学年、年間15時間いただけることに。
当初は、都農町がふるさと納税の寄付金を原資に設立したつの未来財団からの委託契約、いまは教育委員会からの委託契約で4年間継続してきました。
もともと全然、予算も予定もなかったところでのスタートでしたが、継続していくうちに、学校の先生たちとの役割分担もスムーズにいくようになり、小学5年生から中学3学年と体系的に整ってきたように感じてます。
今年度は、経済産業省の「キャリア教育アワード」の優秀賞をいただくこともできました。
前述の都農中学校「つの未来学」で1年間「気候変動対策」をテーマに2年生が合計300個のアイデアを出し、当時の町長に紹介しにいったところ町として「ゼロカーボンタウン宣言」!
デジタルと同様に、国として町として、重要テーマと位置づけていたものの、具体的な企画提案をする人もいなかったようでした。
早速、小中学生の選抜チームを結成して、年度末には議会で提言を、と提案したところ承認されてゼロカーボン推進チーム「Green Hope」が結成。
「木と花を植える」という政策提言を初年度に、2年度は「花とみどりで商店街を元気に」という提案を100万円の予算申請とともにしたところ、議会が全会一致で可決。
3年度は100万円の予算を活用しながら毎月、商店街で「みちくさ市」を開催するに至りました。
ゼロカーボンに関しても、競合する事業者はいませんでした。
今年度からは、選抜チームで考えていた内容を、町内の小学校3校の6年生を対象に、各校年間15時間の総合学習「つの学」で実践。
先月、「子ども議会」でゼロカーボン施策9案を提案しました。
最後の事例は、ぼくらイツノマが直営する「HOSTEL ALA」です。
人口1万人の都農町は観光地でも出張地でもないため、宿泊需要は少なく、ビジネスホテルが1件と古くから営業している旅館が2-3件あるぐらい。
そんな環境でのホステルは普通に考えれば厳しい環境。
ただし、過疎地域で少子高齢化をはじめわかりやすい地域課題が多いことから、高校や大学、企業などのスタディツアーには最適。
2021年度からはじめて、ツアー数はゆるやかな右肩上がり。
もともと観光客というよりは、「まちづくりの合宿所」をコンセプトに、地方創生・まちづくりに関心のある人たちが地域の人との交流を含め、地域を感じられたらいいかなという思いではじめました。
まだまだ小さな需要ですが、少しずつ増やしていきます。
ぼくらの事例は、まだまだはじめたばかり。
本当の意味での「需要を創る」という次元にはないと自覚してます。
今後の自分たちの成長のためにも、他者の事例も研究しつつ、現時点で思う「需要を創る」コツは
「もともとある資源」「前から言われててやれてないこと」
×
複数アイデアの重ね合わせ
×
必然がある状況
市場が小さいorないのは当たり前ですが、かなりキツイです。
なので、都心のほうが厳しくて地方のほうが楽とか、その逆とかではなくて、どちらのほうが、相対的に自分の好き、得意を活かして勝負をかけれるか?という選択です。
ぼくは、厳しいけど、「競争に勝つ」ことより、わずかな可能性でも「需要を創る」ことを考えて実践するほうががんばれるので地方にいます。
書いてみて、地方の最前線で活躍されている方々と、「需要の創り方」について事例やナレッジの共有会をしたくなってきました。