HOSTEL ALA | まちづくりホステル
宮崎県都農町初「まちづくりホステルALA」。5反(約5,000㎡)の耕作放棄地と2軒の空き家を再生。町を超えて町内外の人と繋がり、都農町の「未来」を創っていく「まちづくり連動型ホステル」です。
https://ala-tsuno.com/
模造紙と付箋を超えるワークショップを貼って笑顔で記念撮影。
住民参画のワークショップでよく見る光景。
最近、こども・若者参画まちづくりをはじめ観光、防災、高齢者支援をテーマにした市民ワークショップの企画とファシリテーションを担当する機会が増えてきました。
やるからには、ワークショップを付箋で終わらせず、参加者が、事業計画つくって実現するまで、一歩先を踏み出すきっかけにしたいと思ってます。
地方でよくでる課題「空き家活用」でぼくらが5年前に手がけていま経営しているHOSTEL ALAの実例を逆算してワークショップを組み立ててみました。
ワークショップのテーマや回数、参加者の層によって、最終アウトプットは異なりますが、こんな感じのフォーマットで参加者とゴールイメージ共有。
ちなみに、ぼくらが都農町で5年間継続している中学校の総合学習「つの未来学」も逆算して、項目をうめてみるとこんな感じに
まぁ、こういうのは往々にして事後に入力すると
・美談っぽくなる
・きれいな時系列
になりがちなことは割り引いて見てください。
実際は全部同時進行でカオスなプロセス。
1回目のワークショップでは、企画するテーマについて
1.現状の課題
2.ありたい姿
3.解決策
の3つを順番に、拡散思考でとにかくたくさん出します
現状の課題が、後々「なぜやるのか」「なんのためにやるのか」を言語化したミッションになるものと位置づけています。
【HOSTEL ALA実例】
[地主さんの課題]
5,000㎡の耕作放棄地にある2件の空き家と1台の中古トレーラーを売って現金が必要、ただし買い手を見つけようがない
[ぼくらの課題]
都農町に移住して1年たった状況で
・都農町らしいホテルがない
・町内外の人が交流できる拠点がない
・ぼくの自宅が普通のアパート。。涙
理想の未来として、ありたい姿を出すことは、後々のビジョンにつながると位置づけてます
【HOSTEL ALA実例】
・仕事仲間と、星見ながらBBQしたり夜な夜な話し合いができる
・まちづくりや地方に関心ある学生が集まり合宿
・町内の小中学生や経営者と町外の人がつながる関係人口醸成場
現状の課題とありたい姿をそれぞれ整理して、解決策を出します。
解決策はアクションを起こすためのアイデアなので、他人ごと・評論家にならないよう、あらかじめ一人ひとりが
・「誰かにしてあげられること」
・「誰かにしてあげたいこと」
をそれぞれ5個以上書き出してから、関係する「現状の課題」と「ありたい姿」の交わる線上に出していくと、自分ごとのアイデアに奥行きが。
【HOSTEL ALA実例】
・1棟は、若い人が気軽に泊まれるホステル
・もう1棟は、ぼくの自宅兼オフィスと、合宿時の対話スペース
・トレーラーは、独立型の宿泊施設に
ここからは実現ステージの企画
❶から❸までの議論で出たアイデアを整理しつつ、絞り込んだアクションを対象に、阻害要因や制約条件を書き出します。
【HOSTEL ALA実例】
・過疎地で観光、出張ともに需要がほぼない
・学生を呼ぶ手段がない
・公共下水道がないため、浄化槽は自己投資(200万円!)
ここが一番力を入れたい商品・事業企画です
もちろん、ワークショップ1回でぽっと出る内容ではありませんが、だからこそジェネレーターとなって、積極的に介入していくことが必要です。
HOSTEL ALAの具体的なサービスについてはこちらをご参照ください
【HOSTEL ALA実例】
・ローコスト・リノベーション
・価格帯と部屋タイプを多様化
・まちづくりに関心ある人をターゲット
・無人チェックインの導入
・固定賃料の確保
・ADDress ・HafHとの提携
・スタディツアー・コンテンツづくり
HOSTEL ALA正面(築20年の戸建・1階は農機具倉庫)
(HOSTEL ALA2階・普通の居室)
(HOSTEL ALA1階・農機具倉庫)
(中川自宅のある棟のリビング)
(トレーラー)
具体的なサービスまでアイデアが出たところで、実際にターゲットとする顧客にとってのありがたいみはあるのか?いいことは何か?
ここからはチームでやる良さをいかんなく発揮してほしいところ。
1人で考えてると、具体的になればなるほど、これいける!って突っ走りがち。いわゆる正常化バイアスもばりばり入り、暴走予備軍に。
【HOSTEL ALA実例】
・日本一周の学生から、県内家族連れまで気軽に使える
・イツノマのまちづくりを聞けて、一緒に話せる
・ADDressユーザーが九州・宮崎に来たときついでに寄れる
・地方創生や地域交流を学ばせたい高校・大学
・都農町の経営者や小中学生に会える
企画をしたはいいけれど、蓋をあけてみたら全然使われなかった、ってことがないように、類似サービスとの差別化もチームでチェック!
ただし、都農町のような過疎地だと、そもそも需要が少ないため既存の類似サービスはないので、どちらかというと全国の過疎地において成立している類似業態をベンチマークする意味合いのほうが強いかもしれません。
【HOSTEL ALA実例】
・トレーラーホテルの希少性・独立性
・無人運営ながら社員・インターン生と交流
・町内の経営者・小中高生との関係が濃い
・スタディツアーのコンテンツ企画力
最後は、これが一番大事なお金まわりと発信。
❹の阻害要因・制約条件でも最大課題は「お金」。
ここでは机上で考えられる資金調達手段や、事業収支シミュレーションをしまくることができること。
でも、実際は覚悟を持って、資金繰りに駆けずり回るしか即効策はないのであしからず。
別途、資金調達&事業収支ワークショップはプログラム企画が必要!
【HOSTEL ALA実例】
・地元工務店に投資依頼、10年マスターリース
・トレーラー内装クラファン(150万円)
・浄化槽設置+初期備品借入(500万円)
・まちづくり関係メディアに掲載
・まちづくり会社・大学・高校へスタディツアー発信
PRで面白かったのは、宮崎が誇る芸人、蛙亭イワクラさんが、トレーラーホテルに興味をもって公式YouTube「宮崎よかとこチャンネル」で特集してくださったこと!地元の中学生も大喜びでした!
以上、HOSTEL ALAの実践事例を8項目に落とし込んでみました。
実際には、この通りの順番では進みませんし、他にも考えなければならないことは山ほどあります。
ただし、ぼく自身、この8項目を一番考えたことは確か。
まずはワークショップで一緒になった人たちと仲良くなって、ワイワイ、ガヤガヤ楽しくやりながら、難題をクリアーして欲しいなって思います。
ゴールイメージなく話し合うよりは、着実に一歩を進めると信じて!